新キャラ、フォーティ
リモートNOVA『今回から、「巨人の影」の攻略記事だ。なお、関連記事は次の2つぐらいになるか』
アスト「FF40周年記念作にして、当ブログのFF攻略記事20作め記念だな」
ダイアンナ「そして、これを終えると、FFコレクション3(リビングストンBOX)の攻略が完結する、と」
NOVA『なお、パラグラフ解析はもう済んだので、ストーリーは把握している。ダイス目の事故がない限りは、攻略も滞りなく進むはずだ。そして、キャラの能力値は技術点11、体力点20、運点11にした』
アスト「ダイスを振らずに決めたのか?」
NOVA『最初は、「奈落の帝王」プレイ時のリーサン・パンザと同じ技12、体20、運12にしようか、とも思ったんだけど、技術点12だと判定時のドキドキがないので、失敗の可能性が3%ぐらいはある方が、ドキドキはできるだろう、と。まあ、敵の技術点が高くて、戦闘難易度が高い作品なら、そんなに甘いことを言ってられないのだが、スカラスティック版のリビングストン作品は、「たった一つの真実の道」のリスクは最小という言葉に偽りなく、最強能力じゃないと攻略が難しいという激ムズ作品ではないからな』
アスト「そこまでキツいのは、パフィンブックス版なんだろうな」
NOVA『リビングストンも丸くなった、というのは「危難の港」「アランシアの暗殺者」を解いての実感だな。最高難易度は「火吹山ふたたび」だが、もっとキツいのが「甦る妖術使い」というのもパラグラフ解析で確認した』
ダイアンナ「記事には書いてないけど、パラグラフ解析は済ませたんだ」
NOVA『ああ。邦訳されたリビングストン作品(社会思想社版の残り4作)は、一通りチェックしたぞ。意外と「フリーウェイの戦士」が難儀そうだということが分かった。分岐が多くて、正解ルートがこれだと見極めるのに手間どったというか』
アスト「他の作品はまた別の機会に語るとして、今回は『巨人の影』に専念しろよ。結構、待っている読者の方もいるだろうしな」
NOVA『では、期待に応えて、始めるとするか』
ふもとの町アンヴィル
NOVA『今回のキャラクターは、リビングストンらしくオーソドックスだな。同じ40周年記念作のジャクソン編「サラモニスの秘密」が冒険者になる前の一般人、技術点6、体力点12、運点6という最低ラインの固定値から始まるのに対し、何もかも基本ルールどおり。保存食も10食持ってるし、ポーションもある(いつものように幸運ポーションを選ぶ)。その他の装備品は、背景で語られるんだが、以下のとおりだ』
★折れたる剣士フォーティ
・技術点11(剣がないので戦闘時にマイナス2)
・体力点20
・運点11
・金貨50枚
・食料10食
・持ち物:折れた剣、幸運ポーション、秘密の地図(火吹山の隠された部屋)
ダイアンナ「最初から金貨50枚も持っているんだね」
NOVA『そう。今作は買い物の機会も多いので、お金が実に役立つゲームだ。残飯漁りや、指名手配犯と違って、実に恵まれた初期状態だと思う』
アスト「だけど、剣は折れているんだな」
NOVA『前のダンジョンで、扉をこじ開けるのに使って、うっかり折っちゃったんだ。おそらく、技術点判定で12を出してしまったんだろう』
ダイアンナ「そういう時のために、ハンマーか斧を使うんだろう?」
アスト「まったくだ。剣で扉を壊そうとするなんて、剣の精霊がいたら絶対に文句を言うぞ」
NOVA『まあ、「アランシアの暗殺者」でも最後の刺客との戦いで、〈悪魔の短剣〉を折ってしまったからな。その後の物語だったら、ちょうど話がつながると1年前は思ったりもしたが、結局、リーサンの物語よりも遠い未来の話ということになったから、そっちとは関係なく、剣が折れたところからスタートだ』
アスト「その代わり、ダンジョンで火吹山の秘密部屋の地図を見つけたわけだな」
NOVA『これも運命神の導きか、と思い、新たな冒険に導かれてアンヴィルに来たわけだ。背景には、アンヴィルの歴史や近況が書かれていて、ザゴールの脅威にさらされた過去よりも大いに発展していることが分かる。別の記事なんかで知った設定記述も合わせて、ざっとまとめるとこんな感じだ』
- 現在のアンヴィルは、賑やかな鉱山町として西方のカアドからの交易路の東の拠点となっている。
- 近隣の火吹山は元々ドワーフの鉱山だったが、火竜と結託した魔法使いザゴールによって追い出されたドワーフが逃げ延びた先がストーンブリッジである。
- ザゴールが勇敢な冒険者によって討伐されて、復活した後も再討伐されたり、異世界の悪魔と融合した際も、善の魔術師ヤズトロモの助力を受けた勇者が退治するなど、火吹山の魔法使いの伝説も過去の物と成り果てた近年、ストーンブリッジのドワーフたちは往年の故郷に戻って、新たに金の鉱脈を掘り当てるなど、アンヴィルの町の発展に協力した。
- 以前はひなびた農村でしかなかったアンヴィルは、ドワーフの金鉱掘りが酒場に集い、さらにやり手の商人である町長が広場に市場を設置したために、カアドからの商人も集い、さらなる東方のゼンギスや新興都市ハーメリンへの往来も行いやすくなった。長らく未開の地と呼ばれ、各地の集落が点在するだけだった北部アランシアも、数々の冒険者の勇気ある活躍や、善なる種族の民たちの地道な営みの甲斐あって、秩序がもたらされる中で、人々は楽観的な空気を満喫していた。
ダイアンナ「この時代は世界が明るい雰囲気なんだ」
NOVA『そうだな。対となる「サラモニスの秘密」が、これからバルサス・ダイアやザラダン・マーといった闇の魔術師が世界を脅かそうとする状況で、新人冒険者を募るような変革期にあるのに対し、「巨人の影」は魔の物が地の底に身を潜め、表面的には人々が平和を満喫するようになった未来だ』
アスト「それじゃあ、運命神ロガーンとしてはつまらないので、トラブルの種を主人公に託したんだな。それこそが、火吹山の秘密部屋の地図」
NOVA『やっぱり、この地図を入手できたのは、ロガーンの目論見があったんだろうな。しかし、フォーティはそういう神の目論見に気づかないまま、賑やかな交易町アンヴィルを訪れたわけだ。まず、火吹山を探る前に、新しい剣を見繕おうと思う』
アスト「よし、オレが剣の役をしてやろう。こっちにいい剣があるぞ、とフォーティに念波を送る」
ダイアンナ「また、剣の役かい? マンネリが過ぎないか」
NOVA『全くだ。怪しげな剣の念波は、フォーティには届かない。一通り市場を見て回ったけど、「良い剣がないなあ」と呟いている』
アスト「ならば、剣から謎の老人に姿を切り替えよう。『そこの旅人や。どうやら、剣を探しているようじゃが、わしが力になってやろう』」
NOVA『お前がNPCを演ってくれるのか?』
アスト「ああ。準備時間がそれなりにあったからな。ディレクターの真似事ぐらいはできるさ。老人曰く、『わしの名前はダンバー・ラップ。ちょっとした商売と市場の案内で生計を立てておる。この町で一番の剣を扱っている奴を知っているぞ。興味はないか?』」
NOVA『いかにも怪しい老人なんだが、選択肢はないんだな。まだ、パラグラフ1番の前の背景なんだから。老人に導かれるままに、〈アマリックの武具店〉に到着して、そこからパラグラフ1番だ』
アスト「『ほれ、ここじゃ。わしは店の前で待っておるから、良い剣が手に入ったら、謝礼をよろしくのう』とダンバー・ラップさんは言う。なお、彼は片足で松葉杖をついているんだが、その足を失った理由が、若いころに氷指山脈で雪狼に食いちぎられたかららしい」
ダイアンナ「そんな過去が。NPCのちょっとした過去話にも、『雪の魔女の洞窟』を思い出したりするよね」
NOVA『同じFFコレクション3の収録作品だから、絶妙に物語がリンクしている感を覚えるよな』
剣を求めて
NOVA『さて、アマリックの店で早速、選択肢が3つ出るんだな。「ダンバー・ラップの名を出す」「剣を買いたいと言う」「アマリックを攻撃する」のどれを選ぶかだが』
ダイアンナ「いきなり攻撃する奴がいるのか?」
NOVA『思いきりバカな選択だと思うが、普通に最適解は、ダンバー・ラップの紹介だという感じで話を進めることだ。剣を買ったら、おまけに短剣も付けてくれる。買える剣は、金貨10枚の【吸血鬼の剣】と、金貨15枚の【炎の剣】だが、それが気に入らないなら金貨5枚の【ルーンの剣】を買うこともできる』
アスト「【炎の剣】は『トカゲ王の島』を思い出すな」
ダイアンナ「あたしとしては【吸血鬼の剣】がいいと思う」
NOVA『それぞれの剣には有効打を与えるモンスター種別があって、【炎の剣】は炎を吐くモンスターに特効、【吸血鬼の剣】はアンデッド特効で、俺は【吸血鬼の剣】を選んだ。代金の金貨10枚と、ダンバーへの謝礼金2枚を払って、残り金貨は38枚だな』
ダイアンナ「【ルーンの剣】はどんな剣?」
NOVA『呪われていて、使うたびに体力点1点を消耗してしまう。一応、ラスボスの巨人退治で最も有効なボーナスを得られる剣の1本だが、そこに到達する前の消耗が多くなり過ぎるので、まったくお勧めできない』
アスト「名前は格好いいんだけど、外れの剣ってことか」
NOVA『俺の考える最適解は、【吸血鬼の剣】の購入から、道中のイベントを経て【竜の剣】に切り替えることだけど、どの剣でも攻略できないことはない。一応、【ルーンの剣】を選ぶと不利だってぐらいだ』
アスト「敢えて不利な剣で挑戦するハードモードが好きなら、ルーンの剣士って選択もありってことだな」
NOVA『ゲームブックでそういうハンデ戦に挑戦しても、デジタルゲームみたいなトロフィーになるわけじゃないので、本当に自己満足の世界でしかないからな。ブログで「ルーンの剣での攻略に挑戦しました」って記事を書いても、読者さんがそれほど称賛するとも思えんし』
ダイアンナ「『何と! ルーンの剣で攻略とは、凄いことをしましたね。さすがはベテラン冒険者、そこに痺れる憧れるゥッ!』なんてことを言う読者さんがいれば、挑戦する気は?」
NOVA『それでウケが狙えるなら、関西人としてエンタメ精神を発露してもいいが、正直、ルーンの剣でしか見られない特別イベントとか、体力を削るけど面白い特殊効果があるならともかく、ただ不利になるだけだからな。「ルーンの剣=あのオルドラン・ザゴールが使っていたと言われる魔の剣。呪われているが、巨人を制御する鍵であるため、巨人に対して特効」という設定でも付いてくれば、ストーリー的に面白いと思うし、「魔に呪われた剣士の巨人退治」ってテーマで攻略記事を書くのも一興だが、今回はやらない』
アスト「魔に呪われた……ってネタも、ややマンネリになっているからな」
NOVA『ともあれ、滞りなく買い物を済ませて、パラグラフ381番の酒場〈ダブル・ダック〉亭に行き、火吹山に詳しい鉱山労働者のドワーフを雇うのがこの後の展開だが、その前にIFルートの【悪魔の剣】入手パターンを見ておくことにする』
ダイアンナ「リーサン・パンザなら縁があるから、そっちに興味津々ってことなんだね」
NOVA『フォーティはリーサンじゃないから、悪魔と相乗りする勇気はないけどな』
IFルート:悪魔の剣
NOVA『【悪魔の剣】を入手するには、パラグラフ1番で武器屋のアマリックを攻撃するという暴挙に出ないといけない』
アスト「まさに悪魔に取り憑かれたような振る舞いだな」
NOVA『しかし、アマリックは素早く身をかわして、棍棒で暴漢となった主人公の側頭部を強打する。主人公は意識を失い、犯罪者としてアンヴィルの群衆に公開リンチを受けることになる。その結果、体力点2点を失い、金貨25枚を奪われて、運点2点も減り、剣も買えなかったので技術点を2点失うといった過酷な目にあうわけだ』
ダイアンナ「悪魔の道は厳しいってことだね」
NOVA『町には戻れそうにないから、このまま火吹山に向かおうかと迷っていると、目の前に廃墟の小屋があったので、フラフラと立ち寄ることにする。なお、立ち寄らなければ、本作初のバッドエンドだ。1→109→234で、3つめのパラグラフでいきなり死んでしまうわけで』
アスト「バッドエンド研究家としては、覗いてみなければなるまい」
NOVA『まあ、このバッドエンド234番でしか見られない【嵐の剣】があるからな。火吹山へ向かう途上で、髭面の悪党フラッズラーと出会い、金貨5枚で【嵐の剣】を売ってくれるというので、喜んで購入したら、剣を持った途端、頭上に暗雲が立ち込め、落雷が主人公に降ってきて即死する。主人公を罠にはめたフラッズラーは、手持ちの金貨を全て奪い、革手袋で絶縁した手で【嵐の剣】を難なく回収して、次の獲物を探しに向かうというオチだ』
ダイアンナ「【嵐の剣】というか【雷の剣】って感じだね。革手袋さえ装備していれば、使いこなせるってことかな?」
NOVA『あるいは、雷無効という耐性でも持っていれば、剣に落雷効果を付与して、ライデイン・ストラッシュとか、魔法剣サンダガとか、天空剣Vの字斬りみたいなことができたのかもしれないが、そういう耐電準備をしていなければ、単に自滅するだけの剣でしかない』
アスト「たった一つのバッドエンドのためだけに、面白い剣のアイデアを出して来るとはな。さすがはバッドエンドを考えるのが楽しいと表明したリビングストン卿だけはある」
NOVA『だから、リビングストン作品では、バッドエンドでしか得られない滋養があるんだよ。逆に、バッドエンドがつまらないゲームブックは凡作駄作という評価になるかな』
ダイアンナ「極論だとは思うけど、ゲームブック界でもトップの大御所はバッドエンドでも手を抜かないってことだね」
NOVA『とにかく、本作の【嵐の剣】と悪党フラッズラーは、ここだけでしか見られないレアアイテムであり、レアキャラってことで、イベントチェックした後、109番の小屋に入る。小屋の中にはボロボロのフード付き衣服が捨ててあったので、これを身につけて変装すれば、もう一度町に戻って買い物できるのでは? と考える』
アスト「裏街道をこそこそか。なかなかに惨めだな」
NOVA『悪魔の道は大変だ。変装が上手く行ったかどうかは、運だめしに掛かっている。ここで失敗すると、ダンバー・ラップと出会い、正体がバレて警備兵に捕まって、2年間の投獄を申し渡されてゲームオーバーだ』
アスト「その方が巨人が復活することもなく、アランシアが平和だったんじゃないか?」
NOVA『……本当だ。フォーティが序盤でバッドエンドになっていた方が、ストーンブリッジも壊されることなく、みんなが幸せでいられたのかもしれない。諸悪の根源は俺だったのか?』
ダイアンナ「これも運命神の導きってことね。とにかく、運だめしに成功して、バッドエンドを避けると?」
NOVA『ダンバー・ラップに気づかれることなく、屋台の武器屋で運良く【悪魔の剣】を金貨10枚で購入できる』
アスト「剣自体は手頃な値段だが、その前に金貨25枚を失っているから、【悪魔の剣】の入手価格は実質、金貨35枚ってところだな」
NOVA『おまけに、ここまで来るのに運点を合計3点も消費したから、どうしても【悪魔の剣】にこだわるプレイヤー以外は、お勧めしないのがこのルートだ。一番、高くつく』
ダイアンナ「ともあれ、これで剣を入手できたから、酒場へGOだね」
酒場のドワーフたち
NOVA『パラグラフ381番で、ドワーフの鉱夫が集う〈ダブル・ダック〉亭に向かう。力自慢のドワーフたちの間では、腕相撲勝負で酒を奢るゲームが大流行りだ。そして、フォーティも金貨2枚の賭け金で腕相撲勝負をしないか、と声がけされる。俺自身が誘われたら、腕力のない魔法使いだから滅相もないと拒むところだが、今はタフな剣士だからな。良かろう、とドワーフとの親睦を深めるために参加することにした』
アスト「しかし、ドワーフとの腕相撲なんて勝てるのか?」
NOVA『ドワーフの技術点は7だ。こちらの技術点は11。いつもの戦闘の要領で、2Dを振り合うことで勝負をつける』
アスト「だったら、ドワーフのダイスはオレが振ってやろう。(コロコロ)8が出たので、合計15だな」
NOVA『フッ。こっちは4以上を出せばいいのか。(コロコロ)ピッタリ、4だ』
アスト「引き分けみたいだな」
NOVA『引き分けは、こちらの勝ち扱いになるので、金貨2枚をゲットだ。これで所持金は40枚。ただ、この勝負、プレイヤー有利だが、もしも負けたときのデメリットが大きいな。ドワーフのバカ力に腕を痛めて、技術点1点と運2点を失ってしまう。純粋に攻略のみを考えるなら、金貨2枚のためにリスクを冒すのはお勧めできない。まあ、これがサラモニスの一般人の少年だったら、金貨2枚は大金なんだが、冒険者にとっては端金だからな』
ダイアンナ「作品によって、金銭価値が変わってくる、と」
NOVA『作品もあるが、主人公の立ち位置の違いもあるな。本作の主人公は、比較的成功した冒険者と言える。ともあれ、自信満々で挑んだ賭けで敗れたドワーフは激怒したが、渋々金貨2枚を支払った。こちらとしては互いの強さを認め合って、親睦を深めるつもりだったが、まあいい。ドワーフは他にもいっぱいいる』
アスト「ドワーフだらけの酒場に、たった一人で乗り込んで来た余所者の人間って構図か。警戒はされないのかね?」
NOVA『ドワーフの多くは、酒を飲んでドンチャン騒ぎに忙しいようだ。その中で、サイコロ遊びに興じている2人組がいて、何だか運命神に導かれた気がして、行ってみた』
ダイアンナ「運命神は便利だね」
NOVA『サイコロといえば、運命神だろう。年寄りと若者の2人のドワーフで、年寄りが若者に「お前、イカサマをしただろう。オレの目はごまかされん」と非難しているようだ』
アスト「マジメで頑固な職人のイメージが強いが、大勢いれば例外もいるだろうさ」
NOVA『何だかゲームの勝ち負けで揉めそうになってるところに、フォーティが割り込んで、「火吹山の秘密部屋に隠された宝を見つけたいんだが」と声をかける』
アスト「『秘密部屋だと? オレたちがいろいろ掘っているのに、まだ隠された宝があると言うのか? 信じられん』と年寄りドワーフが言う」
ダイアンナ「だったら、あたしが若者ドワーフを演るか。『この爺さんは、猜疑心が強いんだ。おいらは信じるぜ。隠されたお宝か。よし、その話に乗った。詳しい話を聞かせてくれ』と、ニコニコ人懐っこい笑みを浮かべる」
NOVA『年寄りドワーフはヒグリーと名乗って、経験豊富な鉱夫らしい。若者は短い髭のギブリーで、恐れ知らずの戦士だそうだ』
ヒグリー(アスト)『この若造が戦士なものか。口先三寸で相手を丸めこむイカサマ野郎だ。悪いことは言わん。信じるな』
ギブリー(ダイアンナ)『やれやれ。どうしても、おいらをイカサマ師に仕立てたいようだね、この爺さんは。サイコロゲームに負けたのは、運が悪いだけ。自分の運の悪さを他人のせいにしているだけだから、本気に受け取らない方がいい』
NOVA『う〜ん、そういう風にロールプレイされると、判断に迷うなあ。ヒグリーを雇うと、前金が金貨4枚で、宝の分け前は半分。ギブリーなら金貨2枚で、宝の分け前が3分の1らしいが、ギブリーは本当にイカサマ師だからなあ』
ダイアンナ「口達者なのはギブリーみたいだね」
NOVA『そして、手渡した金を持って、ちゃっかり逃げるんだよな。だから、ここはヒグリーを雇う方が正解だ。ただし、そのヒグリー爺さんが残念ながら死んでしまう運命なんだな。結果を見れば、ラッキーなのがイカサマ師のギブリーだったという皮肉』
アスト「正直者が報われるとは限らない世界だな」
NOVA『実は、小銭稼ぎの小悪党の方が大きな事件に巻き込まれない分、得をするというか生き残る世界かもしれん。そして、主人公に関わると、冒険のスリルを味あわせるストーリーの都合で、あっさり殺されるのがゲームブックあるある。その中で生き残ったキャラは凄いってことだ』
アスト「ヒグリー爺さんは、巨人にまつわる冒険のきっかけになるから、どうしても死ぬ運命にある。今回はせいぜい良いドワーフっぷりをロールプレイして、惜しまれる死を演出してやろう」
NOVA『では、イカサマ師のギブリーはスルーして、ヒグリー爺さんを雇おう』
ヒグリー(アスト)『うむ、お前はなかなか見る目がある。金貨4枚を受け取ろう。斧とロープ、背負い袋をカウンターの奥からとって来て、準備完了だ』
NOVA『では、出発するか』(残り金貨36枚)
占い師のお告げ
ヒグリー(アスト)『出かける前に、霊媒師のメアリのところに寄ってくれないか?』
フォーティ(NOVA)『霊媒師だと?』
ヒグリー『有用な助言をくれる占い師だ。霊験あらたかだぞ』
NOVA『縁起を担いでも、死ぬときは死ぬのがこの世界だが、霊媒師のところに挨拶に行っておけば、死んでも魂が安らげるかもしれん……とプレイヤー心に思いながら、ヒグリー爺さんの言葉に従うぞ。占い料として、金貨1枚も快く支払ってやる(残り金貨35枚)』
ダイアンナ「だったら、あたしが占い師メアリだ。『ようこそ、メアリの館へ』と、長い黒髪の若い女性が暖炉の前の揺り椅子に座って、膝の上の黒ネコを撫でている。『ヒグリー様に、もう一方は初めまして。どうやら、これから命がけの冒険に出向くようですわね。私の知恵は先の先までは見通せませんが、ちょっとした予見を差し上げましょう』」
竜の瞳は
頭の宝石
緑は命
赤は死
ヒグリー『なるほど。緑を選べば命拾いするが、赤を選べば死ぬということか。良いことを聞いた』
フォーティ『火吹山は赤いよな。あまり、縁起のいい占いとは思えんが』
ヒグリー『大丈夫だ。このオレがいる限り、お前は死なさん。安心して、オレに従うといい』
こうして、【吸血鬼の剣】を持った剣士フォーティは、ドワーフ鉱夫のヒグリー爺さんと連れ立って、火吹山に眠る隠された宝を探しに出かけた。
しかし、それは強大な巨人ゴーレムを目覚めさせ、北アランシアに脅威をもたらす恐ろしい冒険の始まりになろうとは……運命神とプレイヤーと(たぶん)賢明な読者のみが知ることだった。
……結構、知っているよな。
知らぬは劇中の登場人物のみか。
まあ、ストーリーの大筋を知っている読者さんも、演出で楽しんでもらえるように頑張って書くつもり。
ではでは、続きはパラグラフ191番にて、次回へ続く。
★アンデッドおよびトレジャーハンターな剣士フォーティ
・技術点11
・体力点20
・運点11
・金貨35枚
・食料10食
・持ち物:【吸血鬼の剣】、幸運ポーション、秘密の地図(火吹山の隠された部屋)、短剣
・情報:ドワーフ鉱夫のヒグリーが同行
メアリの占い(緑は命 赤は死)
(当記事 完)