ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

神前TRPG・アルシャード編5(クライマックス)

クライマックスを前に

 

ヒノキ「新兄さん、先ほど(前回)のプレイでは、先に謝っておかねばならんのじゃ」

 

NOVA「ああ、リターナーの特技《マインドロック》の処理を間違えていたってんだろう? 判定ダイスに+1するのが正しい効果だから、達成値12が達成値18になるのはおかしいってことだな」

 

ヒノキ「気づいておったのか?」

 

NOVA「いや、気づいていれば、その場で間違いを指摘していたはずだ。俺も、ヒノキ姐さんのニックが迷うことなく、ダイスを振り直していたので、そういうものかと流していたが、後からルールをチェックして間違いに気づいたんだ。レジェンドの《逆転運命》は振り直し特技だが、《マインドロック》は達成値が1足りないという場合に使うもの。リターナーの場合は、レベル2の《クロックシステム》で振り直しができるってことだな。まあ、所詮は雑魚戦だったから大きな影響はない。クライマックス戦闘でミスらなくて良かったと思おう」

 

ヒノキ「ところで、ボス戦のデータは決まったのか?」

 

NOVA「ああ、実は……って、これからプレイするのに、それを聞いたらダメだろう?」

 

ヒノキ「ヒヒヒ、うまく聞き出そうと思うたが、引っ掛からなかったか」

 

NOVA「全く、油断も隙もない。まあ、GMとしては、ボスキャラ・テンプレートのうち『動物スペクターのバトルビーストタイプ』を使おうと思っていたんだが、何だかプレイ中に『透明で奇襲攻撃が得意』という情報が出たので、それをどう能力に反映させようか考えている最中だ」

 

ヒノキ「なるほど。動物スペクターのバトルビーストタイプで、透明で奇襲攻撃が得意、と。それに基づいて対策を練ればいいのじゃな」

 

NOVA「言っておくが、敵のデータをあらかじめチェックするのはなしな」

 

ヒノキ「魔物知識判定に成功すればいいのじゃろう?」

 

NOVA「ソード・ワールドと違って、アルシャードには魔物知識判定というルールはないはず。とにかく、GMの準備の邪魔をせず、翔花たちに加護やブレイクのルールについて、レクチャーしてやって下さい。クライマックス戦闘ではチームの連携が何よりも重要だと思うし」

 

ヒノキ「了解した」

 

NOVA(ん? 加護か。よし、敵の奇襲能力は、エネミーの特技ではなく、加護で再現することにすれば、元のデータをイジらなくて済みそうだな。後は演出の問題ってことで。後は、被害者2回によって、エネミー強化チャートIIを振って……)

 

 こうして、ボスキャラの準備は整った。

 いよいよ、クライマックスフェイズの開始である。

 

加護とブレイクの確認

 

GM(NOVA)「さて、クライマックス戦闘の前に、加護とブレイクのルールについて確認しよう。これを使いこなさなければ、ボス戦にはまず勝てないからな」

 

アキラ(晶華)「はあい。加護はシャードに宿る神々の奇跡の力で、クエスターだけが使えるのね」

 

GM「大体、合っているが、一つ惜しい。奈落の影響を強く受けたボス敵だって使って来る。ボス戦では、敵味方の加護の撃ち合いが発生するので、相手が何の加護を使ったのか、味方がどんな加護を使えるのか、しっかり把握して連携をとることが勝利の鍵である」

 

ニック(ヒノキ)「そのために、各人が使える加護を申告しておくのじゃ」

 

ユイ:《トール》《ガイア》《フレイ》

アキラ:《イドゥン》《オーディン

ニック:《ヘルモード》《ヘイムダル》《バルドル

ディオーネ:《エーギル》《オーディン》《ブラギ》

 

ユイ(翔花)「わたしは《トール》で大ダメージを与え、《ガイア》で万能の奇跡を起こし、《フレイ》で敵味方の使った加護をコピーすることができます。つまり、今だとアキラちゃんの使った《ミューズ》をコピーして、誰かを洗脳することも可能」

 

GM「と言っても、《ミューズ》の洗脳効果はエキストラ(一般人)やモブ(敵ザコ)にしか通用しないんだけどな。クエスターやボスには通じないので、その場合は通常12のクリティカル値が1回だけ7になる効果しかない」

 

アキラ「戦闘では弱いのよね。で、私の加護は《イドゥン》で復活できて、《オーディン》で敵の加護を打ち消す、もっぱら防御用の効果なの。攻撃は他の人たちに任せた」

 

ディオーネ(ダイアンナ)「《オーディン》はあたしも持っているから、敵の加護は2回まで封じられるな。他は《エーギル》で相手の行動をファンブルにするか、クリティカルを打ち消すことができ、《ブラギ》で加護の再使用を可能にする。ユイちゃんの《トール》を再使用できると、強力な攻撃を2回できて効果的だろうな」

 

GM「相手の《オーディン》で打ち消されなければな。ここぞというところで放った必殺技が相手に打ち消されると厳しいので、いきなり切り札の《トール》を使っての大ダメージ狙いは、セオリーに反すると思う」

 

ユイ「必殺技は、相手がそれを防ぐ構えがとれないと分かった段階で撃ち放つべし、とヒノキちゃんが教えてくれた」

 

ニック「うむ。初手からいきなり大技を撃つと、相手にあっさり対応されて、ピンチに陥るのがよくあるパターンじゃからのう。切り札はギリギリまで取っておくのが望ましい」

 

アキラ「だけど、ゲームではいきなり最強技を出して、先手必勝モードで相手を瞬殺するのが最適解ってこともあるけど?」

 

ニック「瞬殺できる相手ならば、それでいいが、ボス敵ともなれば、相手の手の内を見てから対応策を練って、そのうえで機を見て大技を放つ駆け引きも必要となる。さて、ニックの加護じゃが、《ヘイムダル》で判定をクリティカルにし、《ヘルモード》で自分の防御判定をクリティカルにし、《バルドル》でも自分以外の判定をクリティカルにする」

 

ディオーネ「クリティカルの鬼みたいだな」

 

ニック「微妙に効果が違うので、使い分けが重要じゃな。自分の判定をクリティカルにするのが《ヘイムダル》で、自分の身を守るなら《ヘルモード》、自分以外の仲間の支援なら《バルドル》ということになる」

 

ユイ「後はブレイクね。敵の攻撃でHPがゼロになっても、小宇宙を燃やして立ち上がることができる」

 

GM「まあ、大雑把に言えば、そんなところだな。ただし、ブレイクにはデメリットがある。通常状態だと、HPがゼロになった場合、戦闘不能と処理されて、戦闘が終われば普通に復活できる。自分が倒れても仲間が敵を倒してくれるなら、そのまま寝ている方が安全だ。ブレイク中にHPがゼロになると、本当に死ぬので、ブレイク状態は追いつめられた感がある。ただ、ブレイク状態だとバッドステータスが無効になるし、特技使用の代償(MP消費その他)がなくなるので大技撃ち放題となる。ブレイク前提で、MP消費の多い強力な特技ばかりを習得するキャラ構築もあるぐらいだ。まあ、限界突破、命懸けの本気モードといった感じだな」

 

アキラ「そういうのは、ソード・ワールドにはないルールね」

 

GM「まあ、1回ならHP0になっても立ち上がれる。瀕死の追いつめられた状態だからこそ、強さが全開で発揮できる。それでも死んだら、最後の手段で《イドゥン》で復活せよ、という流れだな」

 

ユイ「うん、ヒノキちゃんに聞いた通りだね」

 

GM「そうか。だったらルール確認はOKだな。では、クライマックス戦闘を始める」

 

 

闇夜に潜む影獣

 

GM「深夜の寂れた廃工場街。やや欠けた満月が地上をうっすらと照らし、完全ではないものの、君たちの周囲は暗闇に包まれて、各自のシャードの光がなければ見通しにくい場所。そこにビーストが潜んでいるという情報を、君たちはこれまでの調査からつかんだ」

 

ユイ「ここね。ビーストの居場所は。濃い奈落の臭いがプンプンするわ。あまり美味しそうじゃないので、さっさと倒して、すっきり朝ご飯にしましょう。まさに朝飯前って感じ」

 

アキラ「食事にこだわるライダーと言えば、ビーストさんだけど、ユイちゃんも負けてないわね」

 

ユイ「一緒にしないで。わたしの食事はもっと優雅でエレガントな香り高いものなの。本能でむさぼり食う野獣なんかとは違うんだから」

 

ディオーネ「そうだな。よし、この件が片付いて、街の平和が戻ったら、我が屋敷でデリシャスなブレックファーストと洒落込もう」

 

ユイ「わ〜い。そうと決まったら、とっととビースト退治を済ませるわよ」

 

ニック「まだ、ビークルモードでマスター・ユイを乗せたまま、しばらくセンサーを働かせて、索敵モードに入ります。敵は影に潜み、奇襲攻撃が得意と聞いておるでのう。【知覚】の判定が必要かのう?」

 

GM「判定するまでもなく、物陰から人影が飛び出して来ます」

 

ユイ「ニンニンバイクで突撃し、すれ違いざまにブレイドルーンで切り裂きます」

 

GM「ちょ、いきなりかよ。ユイが突撃する前に人影はフラリと倒れ込んで、地面に横たわります。お願い、そのまま轢き殺さないで」

 

ユイ「ただの人ならいいけど、ビーストが化けているかもしれないし、警戒したままバイクを止めて、様子を見るわ。あ、もちろん、《ルーンメタル》はすでに着装済みよ。いつ、奇襲されるか分からないし」

 

GM「倒れている人影は、尼僧服を着たシスターですね。獣の爪で引き裂かれたかのようにボロボロだけど。ディオーネとアキラには分かるけど、シスター瑠璃伽です」

 

ディオーネ「だったら、駆けつけて、『おい、大丈夫か』と声をかけます。まあ、この女をビーストの犠牲者にしたのは、あたしなんだけどな。このまま死ぬのも可哀想だから、遺言だけでも聞いてやろう」

 

アキラ「仕事料をくれたら、晴らせぬ恨みぐらい晴らしてあげるわ」

 

GM「そういうシーンじゃねえ。いや、そういうことを言われたら、BGMぐらい流したくなるんだが」

ニック「メジャーな仕事人じゃなくて、仕置人というのがポイントじゃな」

 

GM「今年50周年ですからね。それはさておき、瑠璃伽さんはあなたたちがビーストを退治する前に、単独でビースト捕獲を決行して、返り討ちにあった……と、ディオーネさんが決めたので、そういうシーンです」

 

ディオーネ「あたしたちが来るまで、待ってろと言ったのに……」

 

GM「そんなこと、言いましたっけ?」

 

ディオーネ「プレイヤーは言ってない。だけど、キャラクターは言ったんだよ。それぐらい行間を読め」

 

GM「言ってないことを悟らない相手が悪い、とする無茶なセリフですな。行間を読め。じゃあ、ディオーネは言ったけど、瑠璃伽は聞かなかったということで、返り討ちにあった。これで物語からは退場するけれど、まだ何か聞きたいことがありますか? 今だと、ビーストの能力について情報を差し上げますよ」

 

アキラ「そんなことよりも、お父さんのことを何か知ってるんでしょ? 教えてちょうだい」

 

GM「それは、今、語ることじゃないです。ビーストとの戦いを生き延びたら、その時にね。ぐふっ」

 

アキラ「ちょっと、大事な情報を隠したまま死なないで」

 

GM「瑠璃伽を治療しますか? 《ヒール》の呪文でMP2点消費すれば、かろうじて命は取り留めますが?」

 

アキラ「仕方ないわね。あなたはいつ敵に回るか分からないキャラだけど、お父さんにつながる手がかりになりそうだから、今は死なせるわけにはいかない。助けてあげます」

 

GM「魔法の治療を受けたシスターはフラフラと立ち上がり、『優しい子ね。これは借りにしておいてあげるわ。手に負えないと分かったから、ビースト事件からも手を引くことにします。後はあなたたちに任せました』と言いつつ、彼女の見出したビースト対策を伝えてくれます。ビーストの初手の攻撃は気付かなければリアクション不可で、しかも《ヘイムダル》と《トール》で大ダメージを与えてくる。何の対策も立てなければ、初見殺しなのは間違いない。それに対処するには、【知覚】で15を出すか、レジェンドの特技《運命の予感》を使用すればいい。あとは、加護には加護で対策すれば、その後は普通に戦える……という戦術アドバイスをしてくれたってことで」

 

アキラ「お父さんのことは?」

 

GM「話せば長くなるので、まずはこの戦いに生き残りなさい。全てはそれからよ……と言って、シスターは立ち去ります。後を追おうとすると、この後の戦闘には参加できなくなります」

 

アキラ「それは……自分のことよりも仲間が大事なので、未練を断ち切り、決然と時空鞘から愛用のギター〈デモンズストリング〉を取り出します。戦う覚悟を胸に、ジャランと弦をかき鳴らして」

 

GM「では、ここから戦闘に移ります。とは言いつつ、最初は瑠璃伽の言ったとおり、ビーストの奇襲から始まるんですけどね。《ヘイムダル》と《トール》の乗った攻撃がいきなり、ユイに襲いかかり、何の情報も持っていなかった黒歴史のユイは死んでしまうという状況です。しかし、《運命の予感》を使えば、リアクション行動をとることができますよ」

 

ユイ「使った。敵の奇襲攻撃は見切った。だけど、相手の加護の乗った攻撃には対処できない。誰か助けて」

 

ニック「その《ヘイムダル》に対して、《ヘルモード》を使うと、クリティカルで回避できるのか? 騎乗しているマスター・ユイごと?」

 

GM「ええ、可能です。ただし、その《ヘルモード》に対して、相手は《オーディン》を仕掛けて来ますが?」

 

アキラ「その《オーディン》に私も《オーディン》をぶつけて相殺する」

 

GM「では、開幕の加護合戦はここまでです。ビーストは《トール》《ヘイムダル》《オーディン》を無駄撃ちさせられました」

 

ニック「こっちは、《オーディン》を1つと、《ヘルモード》か。敵の《トール》を無駄撃ちさせられたのは大きい」

 

GM「最初の奇襲攻撃を凌がれたので、以降はビーストの存在は明らかになります。このままビーストは《ヘルモード》を使って、シーンから退場する構えに入りますが?」

 

ディオーネ「その《ヘルモード》を《オーディン》で封じなければ、逃げられて終わってしまうということか?」

 

GM「はい、そうです」

 

ディオーネ「ならば……逃がさん。相手の周囲に5枚の札を投げつけて、即座に生み出した結界に封じる。《オーディン》の加護を受けし魔術結界。神出鬼没の貴様を封じるために編み出した技だ。ただ無駄に貴様の後を追い続けたわけじゃないぞ。これで貴様はもはや逃げられん。闇に滅する時だ……と高らかに言い放つ」

 

アキラ「おお、ディオーネ先生が格好いい」

 

GM「では、ここから動きを封じられたビーストと、あなたたちの戦闘をラウンド進行で解決しましょう」

 

 ここまでの加護使用状況は以下の通り。

 

ユイ:《トール》《ガイア》《フレイ》

アキラ:《イドゥン》オーディン

ニック:《ヘルモード》ヘイムダル》《バルドル

ディオーネ:《エーギル》オーディン《ブラギ》

 

 なお、ビーストの加護は次のようになっている(プレイヤーには内緒)

 

使用済み:《トール》《ヘイムダル》《オーディン》《ヘルモード》

未使用:《ヘル》《タケミカヅチ》《フレイ》《フレイヤ》《ニョルド》

 

 最初に加護の連発から入ったのは、ビーストの特殊能力を加護で再現した後、戦闘自体は単純な肉弾戦のエネミーデータで処理するためである。

 正直、アルシャードのプレイに慣れていないので、使える加護の種類が多すぎると、処理にもたつくこともあり、最初に半分ぐらい吐き出しておく方がプレイしやすいというマスタリング事情もある。

 メタ的には、妄想リプレイなので、作者一人でプレイヤーキャラの加護の把握もしないといけないのは結構、厳しい。まあ、できることのバリエーションが多いゲームは楽しいんだけどね。

 

ビーストとの死闘(1ラウンド目)

 

GM「ええと、改めて行動値を確認しましょう。以下のとおりですね」

 

1.ニック(13)

2.ビースト(11)

3.アキラ(10)

4.ユイ(9)

5.ディオーネ(9)

 

GM「ビーストはあなた達から10メートル離れた距離にいます。あなた達は1エンゲージにいるってことで」

 

ニック「先にワタシが動いて相手のエンゲージを封鎖しないと、敵がこちらのエンゲージに入って来て、後衛キャラが接近戦に巻き込まれてしまう、と。仕方ないのう。では、バトルモードに変形して、相手と接触。《奇襲攻撃》で二刀流の攻撃を敢行するのじゃ。(コロコロ)命中は16」

 

GM「ビーストの回避は(コロコロ)14なので当たりました」

 

ニック「ダメージは〈光〉の22点じゃ」

 

GM「〈光〉属性には、防御点がないんですね。そのまま、ダメージをくらいました。ええと、無人のバイクがいきなり走って来たかと思うと、不意にロボに変形して、レーザーソードと実体剣の二刀流で不意を討たれたわけですね。勝手の違う相手の出現に、ビーストは動転しつつも反撃態勢に移ります。獰猛な牙で《猛攻》と言いつつ、命中は……低くて13」

 

ニック「それぐらいなら、回避してみせます。14。うむ、幸先が良いのじゃ」

 

アキラ「では、私の番。《勇気のロックンロール》でユイちゃんとディオーネ先生に、ダメージ+3のボーナスを付与します。ニンニンさんがエンゲージから外れたのは残念だけど」

 

ニック「ニンニンではない、ニックと呼んでください、と返しておくのじゃ」

 

アキラ「行動値を増やして、ニンニンさんより先に行動できるようになればいいんだけどね。とにかく、最初は支援だけして終わり」

 

ユイ「続いて、わたしの番。ニンニンだけ先に突撃したけど、後から走って敵に斬りかかります。《猛攻》を使いながら、命中は15」

 

GM「回避は13」

 

ユイ「もしかして、奇襲さえなければ、弱いのかな。ダメージは〈斬〉の18点」

 

GM「〈斬〉に対しては、6点の防護点があるので、受けたダメージは12点。これまで34点の累積ダメージです」

 

ユイ「敵のHPはどれぐらい?」

 

GM「それは言えないけど、まだ半分には届いていません」

 

ユイ「う〜ん、ここで《トール》と言うのは早計ね。相手のHPが半分を切った段階で、《トール》を宣言する予定ってことで。あ、それとダメージ3点足しておいて。アキラちゃんの支援の分、足し忘れていたから」

 

アキラ「せっかくの支援を足し忘れないでよ」

 

ユイ「うん。追加ダメージ+11を+14にしておく(キャラクターシートにメモメモ)」

 

ディオーネ「次はあたしの番だな。マイナーアクションで《夜の血》を使って、HPに3点ダメージを受けながらも、この戦闘が終わるまであたしの与えるダメージは+3される。そして、メジャーアクションは《スペルブック》でダメージ+2された《アイスブリット》のカードを投げるのだ。魔導17で抵抗するといい」

 

GM「抗魔値4の獣に無理難題を〜。出目4で失敗。ダメージを下さい」

 

ディオーネ「《アイスブリット》は基本ダメージ2D6に、追加ダメージボーナスが+8されるんだったな。出目は低くて12点」

 

GM「だけど、〈氷〉の属性防御はないので、12点をまともに受けた。ここまで受けたダメージ合計は49点」

 

ユイ「まだ、半分に届かない?」

 

GM「届かないよ」

 

 こうして、1ラウンド目は、プレイヤーキャラクターの一方的な攻撃で、なす術のないビーストだった。まだだ、まだ終わらんよ、と内心つぶやきつつ、いろいろ策を考えるGMだった。

 小見出しに「死闘」と書いたのに、ちっとも死闘になってないし。

 

続・ビーストとの死闘(2ラウンド目)

 

ニック「もう、《奇襲攻撃》は使えないので、ひたすら通常攻撃を繰り返すしかないのです。(コロコロ)命中は13じゃ」

 

GM「さすがに、それは避けたい。よし、14と言って回避」

 

ニック「同値はリアクション優先じゃったな。《マインドロック》で+1しても無理か」

 

アキラ「《クイック》で命中+2できるけど?」

 

GM「それは、命中判定を行う前に宣言するので、後出しはダメだ」

 

アキラ「ああ、そうだったんだ。じゃあ、今回はダメね」

 

GM「よし、こっちの番だな。爪による《範囲攻撃》に《猛攻》を重ねて、ユイとニックに攻撃だ。命中は……よし、19だ。ハハハ、避けられるものなら避けてみろ」

 

ユイ「そんなの避けられるわけないわよ。命中」

 

ニック「ワタシもです」

 

GM「フフフ、ようやく、この加護を使えるときが来た。死の国の女王の名を授かりし加護《ヘル》により、範囲ダメージが+4D6されるのだ。死ぬがいい、とビーストは心の中で吠えた」

 

ユイ「そんなのを受けたら、たぶん死ぬと思う。ええと、こういうときは《フレイ》で《オーディン》と言えばいいのかしら」

 

ディオーネ「いや、それでも通常ダメージを受けるだろう。こういうときは《エーギル》で相手の命中判定をファンブルにすればいいのだ」

 

GM「厳密には、それは無理。ファンブルにできるのは、命中判定の直後で、今はユイとニックが回避判定を行った後だから、タイミングを外したことになる」

 

ディオーネ「うう、反省。次から、敵の命中の後に使うことにする。回避判定は《エーギル》を使えるように、少し待っていてくれ」

 

ニック「ええ、タイミングを上手く合わせるようにしましょう、と応じるのじゃ」

 

ユイ「とにかく、今回は《フレイ》を《オーディン》に変えて、《ヘル》を封じます。通常ダメージはルーンメタルで受け止める」

 

GM「では、《ヘル》の効果は打ち消され、通常の《範囲攻撃》のみ。ダメージは23点の〈斬〉ダメージ」

 

ユイ「5点止めて、18点受けた。残りHP5点で生きてます」

 

ニック「4点止めて、19点受けました。HPは18点なので、残念ながら耐えきれん。やむなくブレイクなのじゃ」

 

アキラ「ちょっと待って。そのダメージに対して、《マジックシールド》で5点軽減します」

 

ニック「おお、ならば、HP4点で生き延びたのじゃ」

 

アキラ「チームは連携が大事なんでしょう?」

 

ニック「もちろんです。少なくとも、1ラウンドは生き延びたことに感謝しつつ」

 

アキラ「さて、リアクションは上手く行ったとして、次は私の手番なのよね。MPは残り16点もあるから、魔法は十分使える。だけど、何をしたらいいかなあ。ええと、ユイちゃんの武器に《エンチャントウェポン》でダメージ+3ってところでどう?」

 

ユイ「わあい。だったら、また《猛攻》で攻撃します。ええと、出目4なので、剣の特殊効果で振り直して、出目8。命中17は当たる?」

 

GM「回避11なので命中です」

 

ユイ「じゃあ、ダメージ行きます。ええと、今回はさらに+3されたから、基本ダメージが+17なのよね。だったら22点。う〜ん、あまり大きくないなあ」

 

GM「6点減らして、16点。これで65点のダメージで、ぴったりHPが半減しました」

 

ディオーネ「すると、合計130点か。あと、2ラウンドあれば倒せそうだな。では、《アイスブリット》の呪符を放ち、魔導17は……当たったな。ダメージは17点」

 

GM「82点ダメージ。残りHPは48点ですね」

 

 

壮絶なバトル(3ラウンド目)

 

ニック「残りHPが見えると、気持ち的に余裕に思えるのう。とりあえず、通常攻撃なのじゃ」

 

アキラ「《クイック》で支援してあげるわ。出目+2していいわよ」

 

ニック「おお、助かる。では、命中18なのじゃ」

 

GM「ダメージ下さい」

 

ニック「〈光〉13ダメージじゃ」

 

GM「残りHPは35点。では、反撃します。《範囲攻撃》は命中17ですな」

 

ディオーネ「このタイミングで《エーギル》と言えばいいのだな」

 

GM「それに対しては、《フレイ》で《オーディン》をコピーして打ち消させてもらいます」

 

ディオーネ「何だと? では、《ブラギ》でアキラの《オーディン》を復活させて……」

 

アキラ「その《オーディン》で、相手の《フレイ》を打ち消します」

 

GM「くっ、すると、ディオーネの《エーギル》が通って、攻撃は外れか」

 

ディオーネ「ははは、これぞ連携の勝利」

 

GM「ムカついたので、ビーストはディオーネを睨みつけて《ニョルド》」

 

ディオーネ「はい? 何だ、それは?」

 

GM「対象1人に10D6の〈神〉ダメージを与える、火と風と水の神の加護だ。北欧ヴァイキングの崇める航海の神でもあり、フレイとフレイヤ兄妹の父でもある。とにかく、ディオーネを狙い撃った。さあ、死ね……とビーストの悪意のオーラがディオーネの中の闇を活性化させて、命を蝕む。ダメージは……34点だ」

 

ディオーネ「ぐおっ、HP17点で耐えられるはずがない。死んだ」

 

アキラ「ディオーネ先生! 思わずレクイエムをギターで奏でます」

 

ディオーネ「それなら、ブレイクして立ち上がる。ふう、またアキラちゃんの曲が闇に落ちかけたあたしを救ってくれた。こんなところで倒れるわけにはいかないんだ」

 

GM「まずは1人、ブレイク状態に追い込んだ。次は、誰の番かなあ?」

 

アキラ「これ以上の犠牲者が出る前に倒すしかなさそうね。ええと、私も攻撃します。《ファイアアロー》で魔導13」

 

GM「それなら、出目9で抵抗できそうだな」

 

ニック「ならば、ここで光の神《バルドル》の加護を使い、アキラの攻撃をクリティカルにするのじゃ。アキラの魔法に合わせて、ブレイクガンを撃ち放つ」

 

GM「それは打ち消し加護がもうないので、通すしかない。ええと、クリティカル出ろ、とダイス目に期待。(コロコロ)10じゃダメでした」

 

アキラ「ありがとう、ニンニンちゃん。支援がなければ、外していたわ」

 

ニック「ニックと呼んで下さい、と返しながら、クリティカルはダメージ+1Dと言っておこう」

 

アキラ「だったら、3D振れて、うん、いい出目よ。15点に自分のギターの支援効果で+3して、18点ダメージ」

 

GM「ぐっ、残りHPは17点」

 

ユイ「だったら、トドメはわたしが刺します。《猛攻》を使って、ブレイドルーンで斬り込んで行き、命中は15」

 

GM「ええと、出目9で避けられますが?」

 

ユイ「大丈夫。わたしは自分の運命を信じてる」

 

GM「ならば、その運命を呪うがいい。(コロコロ)5」

 

ニック「呪われたのは、ビーストの方だったようじゃな」

 

GM「シクシク。ダメージ下さい」

 

ユイ「ええと、この攻撃に《トール》を乗せれば、〈神〉ダメージにできるのね。まず、2Dを振って……ふえ〜ん、こんな時にピンゾロなんて〜(涙目)」

 

ニック「大丈夫です。ダメージダイスのピンゾロは、ファンブルではありません。ソード・ワールドと違ってのう」

 

ユイ「だったら、《トール》の5Dも乗せて、22点加算。全部で41点ダメージになったわ。オーバーキル過ぎたかしら」

 

GM「そうだな。ならば、ユイの刃がビーストの闇の表皮をざっくり切り裂いた。しかし、ビーストの生命力はなおも強靭で、命尽きる前に最後の反撃を行うとしよう。加護《タケミカヅチ》を使用。受けた41点をそのままユイにもお返しだ」

 

ユイ「え? 何それ?」

 

GM「ボスキャラの最後っ屁って奴だな。ボスは倒れたが、同時に飛彩ユイにも相討ちのダメージを進呈しよう。ビーストとユイは共にHPゼロだ」

 

ニック「マスター・ユイ! ワタシのメモリの中にある黒歴史が一瞬、実現したような錯覚に囚われ、機械らしい冷静さが失われるのじゃ」

 

ユイ「ええと、こういう時にブレイクが有効なのね。だったら、わたしのまとっていたルーンメタルの鎧が、強制的に離脱して、敵の最期の攻撃を受け止めてくれるの。強力な攻撃にルーンメタルは砕け散りますが、わたし自身は無事」

 

ニック「おお、マスター・ユイ、ご無事でしたか」

 

ユイ「ええ。ルーンメタルがなければ即死だった、と、おでこから一筋の血が滴り落ちる。だけど、鎧はアイギスの本部に帰って修復してもらわないといけないわね」

 

アキラ「では、ビーストの亡骸は、また復活するかもしれないので、この場で火葬します。GM、それで事件解決?」

 

GM「ああ、クライマックスフェイズはこれで終了で、後はそれぞれの日常や後日譚を描くエンディングフェイズを行うのみだ」

(当記事 完。アルシャード編の最終回につづく)