ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

「モンスター誕生」攻略感想(7)

正解ルート概要

 

リバT『ダンジョン脱出後のパラグラフ解析が終了いたしました。これで完璧なナビができます』

 

ダイアンナ「へえ。これで本作の攻略記事にもゴールが見えたんだね」

 

リバT『正解ルートは、パラグラフ・ジャンプを駆使して、一本道です。少しでも寄り道すると、バッドエンドになるので、攻略だけを考えるなら、この地域(トロール牙峠の北方)の観光を楽しむことができません』

 

アスト「ゲームブックの目的は、解くことが第一義だが、ストーリーを味わうためには舞台となる地域(背景世界)を散策したり、寄り道イベントを体験したり、絶対に倒せない強敵と遭遇してバッドエンドに踏み込んだりすることも大事だからな」

 

ケイP『死んでもやり直しができるゲームだからこそ、死ぬほどの強敵に直面して、教訓を得ることも大事だッピ』

 

リバT『本作の最強敵は、パラグラフ143番で戦うことになる業火の主(マスター・オブ・ヘルファイア)。技術点14、体力点14の悪魔です。こいつと遭遇したら最期、たとえ戦闘で運良く勝てたとしても、バッドエンドのパラグラフに直行してゲームオーバーです。主人公モンスターさんの即死能力も無効化されますし、絶対に倒せない敵の一つです』

 

ダイアンナ「絶対に倒せない敵って、他にもいるのか?」

 

リバT『そもそも、ダンジョンにいたシャドウ・ストーカー(物理攻撃無効)とか、ペチャクチャ獣、毒スライムとか泥スライムだって、そうじゃないですか? そいつらは罠モンスターで、そこに踏み込んだら死ぬとか、逃げ出さざるを得ない連中ばかりですよ。出会ったら死ぬ系のモンスターへの対処方法は、出会わなければいい、です。本作は、倒す必要がない致命的なモンスターがいろいろ出て来て、バッドエンドのネタを提供してくれます。逆に言えば、バッドエンドを経験することで、致命的なモンスターへの知見を深めることができる、と言えましょう』

 

ダイアンナ「なるほど。正解ルートだけを効率よく進むやり方は、真の強敵を避けて通る解法だから、それだけでは世界の奥深さを十分味わいきれないってことか」

 

リバT『それに本作のラスボスは、能力値の設定されていないザラダン・マーですからね。彼の強さというのは、彼の拠点で配下にしている魔物の強さから推して知るべし、です。恐ろしい悪魔と盟約を結んでいる妖術使いというのは、本人の技術点や体力点がそれほどでなくても、恐るべき強敵ということになりますね』

 

アスト「ザラダン・マーの強さは、財力と組織構築力、自ら表に出ずに副官などを通じて望みを達成する慎重さ、知謀や悪のカリスマ性にあると言えるからな」

 

リバT『そんな武闘派バルサスとは対極にいる暗躍魔法使いザラダン・マーを倒すための唯一無二の正解ルートは以下の通りです』

 

●ダンジョンを脱出したパラグラフ442で、近くの建物を調べる(123)。

●建物内で、ドリーの三姉妹からスカル藻探しのクエストを引き受ける。

●翌朝、南のコーヴンの村へ向かう。

●村を素通りして西へ行き(274)、ハーフオークのグロッグを助ける。

●同行者となったグロッグの助言で、占い師のロシーナに会いに行く。

●ロシーナの占いで、スカル藻が青い茎をしていて、ディードル川南のカエル沼にあることを知る。

●カエル沼の探索で、スカル藻の入手に成功する。グロッグの助けがなければ、カエル沼で生き残ることはできない。惜しくも、グロッグ自身はカエル沼で命を落としてしまう(涙)。

●スカル藻を見つけると、その夜、ドリーの三姉妹が接触して来て、この世のバランスを維持するためにザラダン・マーを倒すことを求めてくる。そのための協力者として、白髪エルフのダーガ・ウィーズルタングとの接触および交渉方法を教えてくれる。

●ダーガに上手く会えたら、飛空艇ガレーキープへの潜入方法を教えてもらえる。また、ザラダンの部屋の目印についてもヒントをくれる。

●上手くガレーキープに潜入したら、正しい扉を選び、次元の門の向こうにいるザラダン・マーを呼び出す。そのための手がかりはダンジョン内にあった(−93)。

●ザラダン・マーの話を聞いて、配下になるよう説得されるが、反発して、彼の魔法に耐える(エルフの粉の力)。

●ザラダン・マーの使っている次元門を、水晶の棍棒(333)の力で破壊する。

●ザラダン・マーは地獄に閉じ込められ、物理世界に接触できなくなる。その魔力の効果が消え失せ、モンスター主人公は自分の真の姿(ガレーキープの船長)を取り戻すことに成功。グッドエンド。ただし、その後の主人公がどういう人生を送ったかは不明。

 

リバT『最初に、ドリー三姉妹に接触しなかったり(建物以外を調べる)、彼女たちの依頼を断った場合、東の〈よじれ樫の森〉などを自由に探索できるのですが、コーヴンには行き着けません。

『また、グロッグの助けがなければカエル沼を脱出できません。それでも、〈よじれ樫の森〉を探索して正解パラグラフを上手く選べれば、ダーガと遭遇することはできます。しかし、ドリー三姉妹の協力がなければ、ダーガからうまく情報を引き出せないので、ガレーキープに侵入することができません』

 

アスト「地上をいろいろ探索できるんだけど、正解ルート以外は全て最終的にバッドエンドにつながってしまうので、バッドエンド総数はすごいことになりそうだな」

 

リバT『では、正解を示しましたので、後は自由気ままに周辺地域の散策をして参りましょう』

 

外の世界の始まり

 

リバT『第2部の地上編が始まるのがパラグラフ442番。記憶を奪われ、ダンジョン以外の世界を知らないモンスターさんが初めて見る外界の描写が秀逸なんですね』

 

 広い空間だ! ついに地下迷宮を脱け出したのだ! 

 きみは思いっきり冷たい夜の空気を吸い込んだ。ゆっくりとあたりを見回してみる。開けた空間はきみにとって驚異だ。 

(中略。この後、選択肢になる「平らな土地全体に配列された石」「左方に見える、とがった屋根の大きな建物」「右に見える森」の描写が行われてから)

 頭上には巨大なボールが浮かんでいた。ボールは青白い光を発しているが、もうじき漂っている煙に隠されてしまうだろう。

 きみはこの新しい環境に圧倒されていた。

 

リバT『夜空に浮かぶ満月と漂う雲という当たり前の景色を、モンスターの主観視点で、いかにも神秘的な驚異として描写する様子がお見事というか、プレイヤーの想像力をかき立ててくれるわけです』

 

ダイアンナ「モンスターにとって地上がどう見えているか、作者が想像力を駆使しつつ、読者に実感して欲しいという意気込みが表れているね」

 

アスト「ゲームとしては、ダンジョンをついに脱出しただけでも、プレイヤーは大きな達成感を得ているんだな。そこに、モンスター自身が広がる未知の世界に畏敬の念を抱きながら、ドキドキワクワクしつつ、丁寧に主観描写を積み重ねていく文章に感情移入させられる、と」

 

ケイP『モンスターならではの独特な世界の見え方、感じ方をいかにプレイヤーに擬似体験的に味わえるようにするか、文章の凝りようが凄いッピね』

 

リバT『それと、これまでのダンジョン内の描写も、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、肌感覚の五感をたっぷり踏まえた描写なんですね。知性ではなく、本能的な感じ方を中心に描写するテクニックで、凝ったゲーム性だけでなく、文学的、ブック的にも面白い表現手法で読み応えがあるわけです』

 

アスト「ゲームブックは、珍しい2人称文学の形式をとって、読者に冒険を没入的に擬似体験させてくれる分野だからな。小説だと、語り部の『私』『ぼく』『俺』『あたし』なんかが読者に主観的に物語る1人称スタイルと、もっと客観的に見せる3人称スタイルの大きく2タイプに分かれ、シーンの切り替わりによって視点人物を切り替える多面的な物語の見せ方もあるが、書き手に視点の切り替えを意識的に考えるテクニックが欠落していると、『視点のブレ』が生じて、感情移入が絶たれてしまうわけだ」

 

リバT『ゲームブックの2人称スタイルは、他に例をあまり見ない独特の表現スタイルですが、1人称スタイルの主観描写から心情をある程度、削ぎ落として、キャラの主義主張や個性を強調せずに、見えている事件や世界の描写に集中させる手法ですね。それこそ、見えているものは1人称視点で、内面描写は下手に踏み込まずに行動に重点を置く。そして、「主人公はきみだ」の原則を極力崩さずに、「きみの選びそうな選択肢」を配列させるのもテクニックです』

 

アスト「ゲームブックの選択肢は、そのままキャラ性の描写にもなるな。ヒーローを描きたいのに『一般人を攻撃する』という選択肢を多用するのはあり得ないし、メカを操縦しているのに『コクピットの計器を破壊する』という選択肢も、ふざけるなって感じになる」

 

リバT『ヒーローが「一般人を攻撃する」のは、背景事情とか何らかの理由づけがあって(変装の得意な犯人の情報を聞いたとか)、読者がそれを共有していること前提ですし、単に気まぐれなサプライズでそういう選択肢をちらつかされても興醒めです。メカ操縦中にそういう選択肢を示すのは、作者が「そういう頭の悪いおふざけをその場のノリで見せるのが面白い」と思っているのかもしれませんが、変な選択肢によるサプライズは、読者の感情移入や物語世界への没入感を遮る元にしかなりません』

 

アスト「まあ、そういうノリや、おふざけや、その場の勢いだけで世界観が構築されている(というか作者が自分の世界はそういうものだと示している)のは、プレイヤーにもマジメに世界や物語に向き合うのではなく、バカなノリで気軽に楽しんで欲しいってことなんだろうけど、その割にシステム的な難易度が高いアーロックはチグハグさ満載で、ゲームシステムと文章描写がチグハグで……と、いかん、反面教師的なアーロック批判癖が移ってしまったな」

 

リバT『アイデアが多彩なのは長所ですが、それを下支えする描写の丁寧さや、プレイヤーへの真摯な向き合い方、そしてシステムの巧みな使いこなし方がジャクソンのゲームブックにはあって、そこが欠けていたのがアーロックということになります。で、リビングストン作品とアーロックは共通点が感じにくいのですが、ジャクソン作品の要素がアーロックには濃厚に感じられて、いちいち引き合いに出されてしまうという状況が(苦笑)』

 

ダイアンナ「ともあれ、外界に初めて出たモンスターが『周囲の石』『左の建物』『右の森』を認めて、どれを調べに行くかが選択肢なんだね」

 

リバT『正解は先述のとおり、「建物に入ってドリー三姉妹と遭遇する」だけで、他を選ぶと、もうクリア不能に陥るのですが、普通にプレイすると、まずは近場の石が何なのか調べておこうと思うんですよ』

 

ダイアンナ「何なんだい?」

 

リバT『墓石です。墓石を調べたモンスターさんは、思いがけず亡者の呪いを発動させてしまい、ゾンビの集団に襲われてB級ホラー並みのバッドエンドを迎えてしまうのです』

 

ゾンビの襲来

 

リバT『パラグラフ442番から、「並んでいる石を調べる(198)」の選択肢を選ぶと、「スカル藻病で死んだソガース・ファウルブレイド」の墓碑銘とか、「コーヴンの妖術師ドナグ・ハデュラグ」といった名前が示され、何も知らないモンスターさんはうっかりドナグさんの安らかな眠りを妨害してしまうんですね。だから、ドナグさんが仕掛けた呪いが発動して、死者が次々と蘇る大惨事に(爆)』

 

アスト「つまり、モンスターが脱出した地下迷宮は、墓場の下に構築されていたってことだな」

 

ケイP『墓場の下に広がる邪悪な地下迷宮……ってのは、ゲームでも結構ありそうなシチュエーションだッピね』

 

ダイアンナ「なるほど。普通は墓場を調べて、地下迷宮の入り口を発見して、中に侵入するのが王道ファンタジーの一種だが、本作はその展開を逆に辿っている、と」

 

リバT『地下迷宮から出て来たモンスターさんは、墓場というものを知らずに、運悪く荒らしてしまった。そして、このモンスターさんは肉体的には怪力を誇り、圧倒的に強い感じですが、物理攻撃の効かない超自然的な存在や魔法的な力、無数の敵集団、そして仕掛けられた罠にはしばしば無力さを露呈してしまうんです』

 

ダイアンナ「ああ、モンスター同士で仲間って関係でもないのか。同じモンスターでも、アンデッドは怖い、と」

 

リバT『ドナグの墓を中心に、次々とゾンビの群れが這い出て来て、恐怖のあまり身震いするモンスターさんの姿は、それ自体がちょっとしたサプライズです。獰猛なモンスターさんでも、心は繊細というか。なお、とある墓碑には「ソフィア・ホワイトローズここに眠る。バラの花のごとく美しかったソフィア。だが、彼女はおのれの剣によって命を落とした」という記述があって、想像力をかき立ててくれます』

 

ダイアンナ「自害した女剣士の墓かな? それとも、敵に剣を奪われて殺害された?」

 

リバT『呪われて亡者化したから、その身をはかなんで、自分の剣で再殺してくれ、と友人もしくは恋人に頼んだのかもしれませんが、真相は闇の中です。とにかく、ここは「地獄の館」でたっぷり披露したジャクソンのホラー映画センスが溢れて、いろいろジワります。外の世界に出て来て、さあ、広い世界を探索だ、とワクワクしていたら、何の因果かゾンビの集団に囲まれてギャーーッと恐怖点を受けそうな勢い。そして、4体のゾンビを撃退した後、森に逃げ込むか、さらに墓を調べるかの選択肢』

 

ダイアンナ「さらに墓穴を掘るのかい? 懲りないねえ」

 

リバT『ふつうは森に逃げ込みたいところですけど、好奇心はネコだけでなく、モンスターも殺してしまうんですね。また出て来たゾンビ集団と戦って、数の脅威に抗えずにバッドエンドを迎えるか、地下室に逃げ込むかの選択肢』

 

ケイP『地下室に逃げ込むッピ。地下室かショッピングモールは、ゾンビ映画の定番っピよ』

 

リバT『地下への階段は滑りやすいので、運だめしを要求されます。失敗すると、滑って転げ落ちて、階下に設置された何十本の槍に貫かれて死亡。成功すると、無事に降りられますが、そこに仕掛けられていた転移魔法で、脱出してきたダンジョンに飛ばされます』

 

ダイアンナ「ダンジョンに逆戻りだって?」

 

リバT『そう。場所は鉄格子を抜けたパラグラフ300番と同じ場所。こちらを参照してください』

ダイアンナ「ああ。一度抜けたところだから、脱出は簡単だな」

 

リバT『いいえ。もはや隠し扉発見のペンダントを持っていませんので、この区画からの脱出は不可能という状況です。結果的に、地下に閉じ込められてゲームオーバーという形』

 

ダイアンナ「つまり、ゾンビから逃れて、地下に行くのはNGなんだね」

 

リバT『いえ、森に逃げ込むのもNGなので、ゾンビが登場した時点で、このゲームは詰んでいるんです。まあ、森に逃げ込むことで、結構、長生きはできるんですが』

 

アスト「では、森の探索を始めるか」

 

よじれ樫の森

 

リバT『パラグラフ442番から、「道沿いに右手(東)の森に行く(261)」選択肢を選ぶか、4体のゾンビを倒した後に改めて森へ行くことで、〈よじれ樫の森〉の標識に気付きます。本格的に森の探索を始める前に、木陰で休息をとる(体力4点を回復する)か、歩き続ける(体力2点を失う)を選べて、前者が推奨なんですが、どっちにしてもゲームオーバー確定ルートなんですね』

 

ダイアンナ「あっさり詰むのか?」

 

リバT『いいえ。この〈よじれ樫の森〉を探索するルートは非常に盛り沢山で、ここがバッドエンドルートだとは、しばらく気付かないほどです』

 

アスト「森だけに盛り沢山ってことだな」

 

ケイP『アストさんは芸人社長を目指しているッピか?』

 

リバT『もはや、令和ライダーも、芸人社長、小説家、悪魔使いの銭湯跡取り、狐の神さまを経て、高校生錬金術師の時代ですから、ギャグを解説するなネタもずいぶん古びましたね』

 

アスト「オレは或人じゃなくて、アストだからな。まあ、令和ライダーも5年めだから、そろそろ5人ライダー集結の令和ライダーだけのお祭り映画が作られてもいいだろうが」

 

ダイアンナ「ケイPやリバTも、ケミーみたいな感じだね」

 

リバT『ケミーは一種の契約モンスターや、私どもアシモンみたいなものですからね。それはともかく、今作の主人公モンスターさんは夜目がきかないという設定なので、夜の森では何も見えずに、みぞに蹴つまずいて、低い枝で頭をぶつけて気絶するという展開で、朝になってようやく探索開始という形です』

 

ケイP『ずっとダンジョンの中にいたのに、夜目がきかないというのは意外な事実だッピね』

 

リバT『ダンジョンの中では、通路が光石に照らされているのがデフォルト状態で、時々、暗闇で見えないところがあっても、ペンダントで照らしたり、すぐに闇を抜けたりで、あまり不自由はなかったのです。しかし、森はダンジョンの通路よりも広大で、実はダンジョンよりも危険が大きいことをモンスターさんは初めて実感するのですよ』

 

アスト「確かに80年代だと、ダンジョンの中よりも、野外冒険の方が危険が大きいというのは、TRPGファンの常識だからな。広野を旅していると、突然ドラゴンと遭遇しても不思議ではない」

 

ダイアンナ「そう言えば、ダディーがプレイしていたゲームでも最近、蛇島で突然ドラゴンに襲われていたなあ」

 

リバT『本作ではドラゴンは登場しませんが、空の脅威ガレーキープが上空を徘徊していて、森のいたるところに獣狩りのトラップを仕掛けていて、食料調達に勤しんでいます。ちょっと油断すると(パラグラフ選択を間違えると)、ガレーキープの食料調達罠に引っ掛かって、ザラダン・マーの部隊の食肉に変えられる末路が待っています』

 

ダイアンナ「食うか食われるかの世界なんだね」

 

リバT『ともあれ、パラグラフ244番に到着すると標識があって、北が〈ドブドロ川〉、東が〈訓練所〉、南が〈コーヴン〉(でも、道がない)と書かれています。なお、旧訳版ではこの標識が間違えていて、北がコーヴン、東が訓練所、南がドブドロ川になっているんですね』

 

アスト「南には道がないんだろう? 標識の向きが実は90度ズレていて、来た道(西)がコーヴン、北が訓練所、東がドブドロ川というのが正しい向きなんだろうな」

 

リバT『でも、新訳に際して、プレイヤーフレンドリーにパラグラフも置き替えられたようです。よって、ドブドロ川と訓練所の位置関係も旧訳版から入れ替わって、もしも旧版でマップを描いていると、それに沿ってプレイすると迷う仕掛けになっていますので、ご注意を』

 

ダイアンナ「とにかく、南に行けば、コーヴンということだろう? コーヴンは確か、近辺の街の名だよね。人間の冒険者なら、拠点の街に行ってみるのが筋だと思うが」

 

リバT『そう思って道なき南へ行くと(57)、茂みをかき分ける形になり、先ほど申し上げた罠に引っ掛かります。輪縄に足を絡め取られ、宙吊りにされてしまいます。もがいても脱出不能です』

 

アスト「人間の冒険者なら、剣で輪縄を切断して脱出することもできるんだろうがな」

 

リバT『吊り下げられたときに、うっかり剣を地面に落とさなければ、自力脱出も可能ですが、モンスターさんは剣を持っていないし、かぎ爪で縄を切断するほど器用でもないんですね。自慢のパワーでも、縄を引きちぎるほどではないらしく、脱出できないまま1日が経過して、空腹で体が衰弱していき、そしてガレーキープの食料調達部隊に空中から引き上げられてギロチンによって肉片に解体されてしまう末路です』

 

ダイアンナ「結局、コーヴンへは行けないのか」

 

リバT『森からは無理ですね。来た道を戻って、西へ行く選択肢がありませんから』

 

ダイアンナ「だったら、東の〈訓練所〉だな。北の〈ドブドロ川〉に好きこのんで行きたいとは思わないだろう?」

 

アスト「ダンジョン内では散々世話になったからな。悪い意味で」

 

ケイP『ドブドロ川エンドだけで、一つのカテゴリーが成立しそうだッピね。でも、攻略だったら、先にドブドロ川に行った方がいいッピよ』

 

ダイアンナ「どうしてさ?」

 

ケイP『すぐにバッドエンドになって、じっくり〈訓練所〉イベントを堪能できそうだッピ』

 

ダイアンナ「確か、訓練所ではサイ男の29番兵への手紙を託されていたんだったね。よし、ドブドロ川でバッドエンドを確認してから、サイ男に会いに行こうか」

 

ドブドロ川

 

リバT『それでは、どんなバッドエンドに見舞われるか、ドキドキワクワクしながら、パラグラフ244番から北を目指します(旧訳だと東。パラグラフは12番)。すると、技術点8、体力点9の木こりに襲われます。倒しても、肉を食べて体力を回復する記述がないのが残念ですね』

 

アスト「いやいや、そんなことを考えるのはモンスターだけだって。普通の人間は、木こりの肉を食べられなくて残念、とは思わない」

 

リバT『あなたも一度、獣になってみれば……って、ああ、アストさんは馬ですから、肉食じゃないんですね。むしろ、クイーンに血を吸われる方で……』

 

ケイP『まあ、世の中には、うまい肉を食べたがる牛ライダーもいるから、馬が肉を食ってもいいと思うッピが』

 

アスト「何の話だよ。とにかく、木こりを倒して、次は何だ?」

 

リバT『はい、環境汚染で汚物が流れるドブドロ川に到着しました。上流と、下流と、茂み(57)に行けますが』

 

ダイアンナ「茂み(57)は明らかに罠じゃないか。そこは避けて、とりあえずは上流だ」

 

リバT『上流は洞窟に通じていますね。洞窟に入るには歩いては行けないので、川に飛び込んで泳いで行くことになりますが?』

 

ダイアンナ「……ドブドロ川に好きこのんで飛び込みたいプレイヤーがいるのか?」

 

リバT『たぶん、いないでしょうね。しかし、洞窟の中に宝石があるかも』

 

ダイアンナ「よし、アスト、お前が調べて来い」

 

アスト「ちょっと待て。どうしてオレが!? こういうのはケイPの仕事だろう?」

 

ケイP『ケピッ? ケピピン、ケピピン、ケピピピン!』

 

アスト「訳の分からん言葉で、抗議しているんじゃないぞ。大体、本作のモンスター役プレイヤーはお前だ。お前が調べずに、誰が調べるんだ?」

 

ケイP『仕方ないッピね。こうなったら、ドゴラン細胞の一部を切り離して、偵察用のケイPビットを作り出して、調べてみるッピよ』

 

アスト「ゲームブックのモンスターにできないようなオプション行動をいきなり試してみるんじゃないよ?」

 

リバT『ディレクター役として、プレイヤーのアイデアは汲みとりましょう。偵察ビットがベトベトした汚水を遡って行くと、悪魔髪(デビルズ・ロック)という触手生物が絡みついてきて、蜂毒にも似た強烈な麻痺毒を打ち込んで、偵察ビットを餌食にしてしまいました。ゲームオーバーです』

 

ケイP『さらば、偵察ビット1号。お前のことは忘れない』

 

リバT『ということで、「超・モンスター事典」にも掲載されていない謎生物の悪魔髪さんの出現でした。レアな生き物を発見できたことを喜びつつ、次の探索場所に向かうとしましょう』

 

ダイアンナ「あまり気が進まないが、下流だな」

 

リバT『下流に向かうと、小さな湖に流れ込んでいます。水面には蒸気が立ちのぼり、あたりには酸っぱいような臭いが立ちこめていますね。蒸気の向こうの岸辺には、一頭の四つ足獣の姿が見えて、美味しそうに汚い水を飲んでいます。馬のような蹄と、鱗の生えた胴体、先端が棘付きボールのような形をした尻尾、そして蛇のような形の長い頭部と長い舌を持ったレア生物、その名もオフィディオタウルスです』

 

アスト「オフィディオタウルス? 確か聞いたことがあるような気がする」

 

ケイP『「超・モンスター事典」には、しっかり載っていて、森エルフの乗用獣として重宝されているッピね。ダーガ・ウィーズルタングの名前も記載されているッピよ』

リバT『お兄さま、ネタバレ禁止です』

 

ケイP『今のはネタバレッピか?』

 

リバT『まあ、今の時点でオフィディオタウルスの情報を知っても、本作を解けるわけではないのですが……』

 

ダイアンナ「とにかく、このオフィディオタウルスが、攻略の鍵であることは間違いないんだな」

 

リバT『まあ、それはそうなんですが……では、オフィディオタウルスから話を続けてみますか』

 

オフィディオタウルスと森エルフ

 

リバT『オフィディオタウルスと出会うパラグラフ423番では、この獣を迂回して進むか、空腹を満たすために攻撃するか、そっと近づいて乗ろうとするかの3つの選択肢に分かれます。しかし、迂回も戦いも、その後はさらに下流に進んで、茂みの罠(57)にハマって、バッドエンドを迎えます。上手くオフィディオタウルスを乗りこなす(2Dで技術点未満の出目を出す)と初めて、話が進展するんですね』

 

ダイアンナ「では、オフィディオタウルスに乗ってみよう。ケイP」

 

ケイP『(コロコロ)出目6で成功だッピ』

 

リバT『すると、オフィディオタウルスが連れて行った場所で、白髪のエルフが二人の山賊にボコボコにされていますね。放置すると、エルフが山賊に殺されてしまい、その遺体を食べて体力点を3点回復できますが?』

 

ケイP『さすがに、そのような非道はできないッピ。食べるなら、山賊2体の方がお得だッピ。山賊2体をやっつけるッピよ』

 

リバT『山賊の能力は、どちらも技術点8で、体力点は7と9。戦闘は省略します。助けられたエルフさんは、あなたに害意がなさそうなので、ホッとして、怪我に苦しみながらも、情報を教えてくれます(448)』

 

●名前はホワイトリーフ。イーセル・アメインの村に住んでいる。

●スティトル・ウォードの村は、東に2日ほど進んだ虹の池のすぐそばで、地下にあるから、上空からでも見つからない。

●ガレーキープは、ザラダン・マーとその部隊の空中拠点になっている。もしも、墜落すれば、悪の軍団が全滅するだろう。ガレーキープは風が弱まると、ここから西の地点に着陸するから、そこから乗り込むことができる。

●ホワイトリーフの母親は、かつてエレシス王女の侍女だった。父は王宮警備隊の一員で、ホワイトリーフの仕事は鳥の世話係で、鳥から情報を集めることができる。

 

リバT『こういった情報をいろいろ教えてくれるのですが、その話はウソばかりです』

 

ダイアンナ「ウソなのかよ!?」

 

リバT『そもそも、名前からして偽名ですからね。こいつに本当のことを喋らせるためには、ドリー三姉妹のイベントを解決しないといけないので、今は無理です。どっちにせよ、話をし終えた自称ホワイトリーフは傷ついた体を押して立ち上がり、フラフラとその場を後にします。残されたモンスターさんは、さらなるバッドエンドの袋小路に踏み込むことになります』

 

当記事最後のバッドエンド区画

 

リバT『嘘つきの報いで山賊2人を怒らせたホワイトリーフ氏を見捨てようと、助けようと、進む先は同じでパラグラフ414番です。道はこの後、東(272)か、西(139)に進みますが、どっちに行っても死にます』

 

アスト「要は、パラグラフ・ジャンプによる隠しパラグラフを見つけないと、普通に進んでいるだけでは行き詰まるってことだな」

 

ダイアンナ「つまり、どんな死に方をするかを楽しみにってことだね。とりあえず、東、西の順でいいんじゃないかな」

 

リバT『東に行くと、銀色の水が湧き出るきれいな泉があります。泉のそばで一休みすると、体力点2点回復しますが、飲料には適していなくて、飲むと頭が重くなって体力点を2点失います。最適解は、飲まずに水浴びすることで、体力点2点回復するとともに、メタルコーティング(金属被膜)効果で緑の鱗が白銀に輝き、シルバーフォーム形態で技術点+1にパワーアップします。素晴らしいですね』

 

アスト「でも、すぐにバッドエンドで、意味のないパワーアップだろう?」

 

リバT『ゲームブックでは意味がなくても、TRPGで流用するアイデア源にできるんですよ。で、次も嬉しいイベントです』

 

ダイアンナ「何だ?」

 

リバT『木に吊るされたホビットを発見します』

 

ケイP『餌だッピ♪』

 

リバT『ええと、選択肢は「ホビットを食べる」「ホビットを助ける」の二択なんですが、どっちを選んでも理性がホビット肉の誘惑に抗えず、結局は食べてしまうんですね。なお、このホビットさんたち、「超・モンスター事典」にはホビット名義で載っておらず、ハーフリング名義で記載されておりました。ゲームブックではホビットという言葉が使用できても、別の出版社のTRPGサプリメントでは使用許可が下りなかったのでしょうかね。そして、ハーフリングの項目を読んで知ったこと』

 

●リビングストンのFF21巻『迷宮探検競技』にはハーフリング(ホビット?)が登場している(後でチェックしたい)。

トロール牙峠に、「小さい人」の肉を求めてやまない、オーガーやトロールよりも危険で恐ろしい生き物がいると噂されている。

 

リバT『後者は、当作の主役モンスターさんが話題になっていて、笑えました。ともあれ、ホビットイベントの後で、道は左右に分かれますが、ホビットを殺した罰が当たったのか、右側では木霊(トリー・スピリット)に囲まれて死亡。この辺は、〈お化け森〉と呼ばれる危険地帯みたいです。左側では茂みの中の罠(57)に捕らわれてバッドエンドです』

 

ケイP『ホビットを食べる→直後に不幸な死に方をする、という流れが定着したッピな』

 

リバT『最後に、西へ進むと、細かい分岐がありますが、毒を飲んで死んだり、お化け蔦(技10、体13)にくびり殺されたり、蔦から脱出できても森小鬼(フォレスト・インプ)の集団に毒槍で一斉に貫かれたり、こちらでも茂みの中の罠(57)に捕まって、何をしてもバッドエンド地獄から逃れられないという話です』

 

ダイアンナ「つまり、森エルフから正しい情報を入手できないと、行き詰まりを打破できないんだね」

 

リバT『では、次回は〈訓練所〉での話をしてから、正解ルートのドリー三姉妹との遭遇イベントに移りましょう』

(当記事 完)