ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

「サラモニスの秘密」攻略感想(その2)

冒険者になるために

 

リモートNOVA『今回は、新米冒険者のディートン君がいかにして冒険者となったかの話だ』

 

アスト「すると、無事に冒険者になれたんだな」

 

NOVA『ああ、結論を言うと、サラモニスに着いた翌日、なくした背負い袋が運よく見つかって、所持金を支払って冒険者ギルドに無事に入会できたんだ。もっとも、運だめしに失敗したら、背負い袋を取り戻すことができずにバッドエンドになってしまうんだけどな』

 

ダイアンナ「運が悪いと、冒険者の道さえ閉ざされてしまうわけだね。冒険者にとって、運というものの大切さを思い知るわけだ」

 

NOVA『じっさい、今作では運だめしの機会が非常に多い。ギルドに登録する際、冒険者として各種の技能の訓練を受ける機会があるんだが、自分が習得していない技能については、運だめしで代用することになる。技能は全部で6種類あって、そのうち2種類まで習得できるようだが、未習得の技能については運だめしを成功させることで、問題なくストーリーは進む』

 

アスト「すると、ある技能を持っていないから攻略不可能になる、ということはないんだな」

 

NOVA『たぶん。それで、〈綴り呪文〉も技能の一種なんだけど、これは少し使い方が違っていて、ピンチの時などに〈綴り呪文〉を発動して難を逃れるようなチャンスが与えられる』

 

ダイアンナ「チャンスだけ?」

 

NOVA『そう。この呪文はちょっとした謎ときパズルみたいなところがあって、使用する際に天啓的なお告げが下される。そのお告げのクイズに答えて、その単語を数字化することで正解のパラグラフに進むことができるんだ。

『例えば、〈綴り呪文〉習得のための試験の最初の問題は、答えがFIRE(火)になって、F(12)+I(111)+R(80)+E(3)=206番パラグラフに進むようになっている』

 

アスト「ちょっと待て。それは英語だろう? 日本語でそのパズルをどう訳すんだよ?」

 

NOVA『そこを訳者の安田社長が苦心したようだな。で、結論として、答えのヒントが「H◯◯O◯(+147)」のように与えられる』

 

ダイアンナ「火じゃなくて……炎(HONOO)か」

 

NOVA『そう。火の一文字じゃパズルにならないので、言葉は「炎」を採用した。ただ、それだと、H(30)+O(5)+N(14)+O(5)+O(5)=59で、違うパラグラフに飛んでしまう。日本版のパラグラフを変えてゲームブックの構造を壊すわけにもいかないので、59から206にするために(+147)の修正値を付与した。この点は、本書の後書き解説に「パズルの一部仕様を変更したことの報告と読者への了承」を書いてある』

 

アスト「極力、英語版パズルの雰囲気を維持したまま、日本語で処理できるようにアレンジした仕様ってことだな」

 

NOVA『で、こういう仕様になったことで、逆の楽しみができた。日本語から元の英語は何だったのかなあ? と推理することも可能。FIREで試したら206になったので、おおって感心してる。FIREは日本語版には載ってないので、ここでの推測だが、辻褄は合っているので間違いないだろう』

 

ダイアンナ「でも〈綴り呪文〉を使うには、謎解きパズルを解かないといけないんだろう?」

 

NOVA『そうだな。最初の試験でも、「剣と盾のない強い戦士がいた。(中略)戦士の心には敵への怒りが燃え上がる……」という問題文があって、そこから炎という答えを導き出す必要がある。ローマ字が分からないと無理だし、そもそも、こういうクイズが好きじゃない人もいるだろう(俺は大好きだが)。そういうプレイヤーは別に〈綴り呪文〉を習得しなくてもいい。別の技能を習得して攻略することも可能だからな』

 

アスト「だけど、本作のパズル性を高めているのが、〈綴り呪文〉のルールだから、それ抜きだと十分に楽しめないってことだな」

 

NOVA『ソーサリーを魔法使いではなく、戦士で遊ぶようなものだな。ストーリーを楽しむことはできるけど、ゲームシステムの醍醐味を十分味わえないことになる。もちろん、その辺の技能選択はプレイヤーの自由だ。俺は〈綴り呪文〉のシステムを楽しめるって話なので、この攻略記事でもチラチラ解答して行くようにするつもり。ネタバレが嫌なら、この先は読まないように』

 

ダイアンナ「まあ、ネタバレに文句を言うなら、攻略記事を読むなって話になるけどね」

 

NOVA『ただ、発売されたばかりのゲームだから、ネタバレし過ぎると、作者や訳者に対して悪いかなって気にもなる。マーダーミステリーのネタバレはもってのほか、と認識しているが、ゲームブックの場合、どうなんだろうね。古い作品なら時効と思うけど』

 

アスト「ネタバレが興醒めにつながるなら遠慮した方がいいのだろうが、謎が解けずにゲームが楽しめないプレイヤーのための攻略ガイドになるような記事なら、いいんじゃないだろうか。まあ、作者や訳者への敬意は踏まえたうえでな」

 

NOVA『その点はバッチリだ。昔からジャクソンさんと安田社長への敬意は十分なので、本作も敬意をもってワクワク攻略してるってことで』

 

サラモニスの散策

 

NOVA『さて、前回、大切な背負い袋を紛失して無一文の状態で、サラモニスの街に到着したディートン君。このままだと、夢の冒険者になれずに、乞食に身を落としてしまうかも、と心配しているところに、親切な観光案内人のラズニックおじさんが、いろいろアドバイスをしてくれた。いや、後に〈綴り呪文〉を教えてくれるのでラズニック師匠、もしくはラズニック先生とお呼びしなければ』

 

アスト「何事においても、先達はあらま欲しいって言うもんな」

 

NOVA『ラズニックさんに師匠になってもらうためには、質問の1つに「学問の殿堂」のことを入れないといけないんだな。ディートン君は「学問の殿堂」と「仕事の見つけ方」について教えてもらい、街の地図ももらうことができた。街の地図はもらえなくても、プレイが大きく変わることはないが(最初に〈泥どろ豚小屋〉農場に行けるかどうかのみ)、「学問の殿堂」について教えてもらうかどうかは、〈綴り呪文〉の習得に関わる重要ポイントだからな。ここは絶対に外せないと思った』

 

ダイアンナ「呪文にこだわらなければ、他の選択肢もありってことだね」

 

NOVA『その辺の自由度は非常に高いゲームブックだな。このルートを通らなければ、この技能が得られないってことはあっても、このルートじゃないと攻略が詰むというようなカツカツさは今のところ感じられない。まあ、お金稼ぎのためにお得なルートはあるけれど、とにかく正解ルートを見つける攻略ゲーム性よりも、ストーリー展開の自由さを楽しむゲームだと現段階で認識している』

 

アスト「ジャクソンと言えば、手の込んだパズル性で、たった一つの正解を見つけるために四苦八苦って印象があるけどな」

 

NOVA『後半になると、そういう流れになるのかもしれないけど、最初のサラモニス散策はパラグラフ解析してみたところ、本当に自由度が高くて、いろいろなイベントを楽しめる仕様。とにかく、街に着いた1日目はいかにお金を稼いで、宿に泊まれるようにするか、あるいは乞食のように路上で一夜を明かして体力を消耗してしまうかの流れになる』

 

ダイアンナ「自由度が高いってことは、分岐パラグラフが多いってことだね」

 

NOVA『選択肢は大きく3つある。1つは、いきなり街に入って、まっすぐ冒険者ギルドへ直行ルート。ディートン君が選んだのはこれだ(89)』

 

アスト「残り2つは?」

 

NOVA『〈泥どろ豚小屋〉農場に行って、肉と臓物の解体作業に従事する。臭いのと、非衛生的な汚れ仕事なので、ダイス目次第で体力点や技術点にダメージを受ける可能性もあるが、もっとも金儲けができそうなルートでもある(122)』

 

アスト「他人がやりたがらない汚れ仕事にも、ビジネスチャンスはあるってことだな」

 

NOVA『3つめは、街へ行く前に港でもう少し時間を使うかだ(45)。港ルートを選ぶと、蛮人ナノックと再会して、後々、彼から上級戦闘術を学ぶ機会が生まれる他、犬と会話できるアクセサリーを拾ったり、乞食プレイが楽しめる』

 

ダイアンナ「乞食プレイって楽しいのか?」

 

NOVA『まあ、他のゲームブックではなかなかプレイする機会がないよなあ。にわかに乞食の真似事をして、乞食ギルドの縄張りを侵したとかで揉めるプレイというのはそうそう経験できん。もちろん、目指すは冒険者なんだけど、そこに至る過程としての乞食ごっこというのは、物語体験としては新鮮なものがある』

 

アスト「乞食と言えば、連想するのがエルリック・サーガのナドソコルなんだが?」

 

NOVA『乞食の町で有名だな。俺がTRPGで初めて見た「プレイヤーキャラに、ナドソコル出身の乞食が用意されているゲーム」が、「ストームブリンガー」だ。いや、もしかすると、「混沌の渦」の盗賊サブクラスが先かもしれん。その後、出会った「ウォーハンマー」でも「物乞い(ベガー)」が用意されているが、ダイス目の結果、いきなり乞食になってしまうと、そこからの這い上がりロールプレイをどうするか考えどころだな』

 

ダイアンナ「で、ディートン君は結局、乞食の道は選ばなかったんだね」

 

NOVA『興味深いので、パラグラフはしっかり読んだが、進んだ道は前述のとおり、冒険者ギルド一択だ。寄り道ルートは後からチェックしたわけで』

 

冒険者への道

 

NOVA『港で目撃した乞食連中を気にしながらも、街へ向かったディートン。港は荒っぽい雰囲気の場所だったけど、街の中は非常に洗練された文化都市の様相を呈していて、田舎者のディートンは圧倒された。ここで、選択肢があって「小アクセサリーを持っているか」と聞かれるが、持っていないので、初見では「どこで手に入るのかな?」と気にしながら、通りを先に進む(99)。

『すると、通りの隅に「無くした背負い袋と似たような袋」を持っている細身の男を見たような気がしたので、「後を追うか?」という選択肢が出た。結局、後を追っても無駄に体力を消耗するだけなのを確認してから、スルーすることにした』

 

アスト「相変わらず、チートなことをしやがるな」

 

NOVA『パラグラフ解析しながらのプレイだからな。ともあれ、冒険者ギルドには程なく到着したんだが(54)、入会金に金貨2枚が必要だと分かったので、どうしようかなあ、という選択肢になった。改めて農場(122)と港(45)という選択肢が出て、それ以外にギルドの近所の屋台の店主に雇ってもらうよう頼む(11)という選択肢も追加された』

 

アスト「港湾労働者という選択はないのか?」

 

NOVA『乞食よりも、そちらが良さそうなんだが、それには伝手が必要なのかな、と思う。で、街の商人に雇ってもらうためには、商人ギルドの許可が必要なんだそうだ。要するに、この街でまともな仕事に就くためには、コネか金が必要で、世間知らずの田舎者にはなかなか荷が重くて、トボトボと歩いていると声をかけられた』

 

賭博師のロドリゲス

 

NOVA『序盤の街で遭遇する、後に師匠になる人物は3人いる。1人は地図屋にして観光ガイドのラズニック。2人めは用心棒(ストロングアーム)の道を教えてくれる蛮人ナノック。そして、3人めが冒険者ギルドに入れずに、がっかりモードの主人公に親切に声をかけてくれた胡散臭いロドリゲスさんだ』

 

 

ロドリゲス『やあ、少年。まじめそうで正直な顔つきをしている、きみのような子が金で切羽詰まってるように見えるのは悲しいことだ』

 

ディートン『分かりますか。実は……かくかくしかじか』

 

ロドリゲス『本当にきみは世間知らずなんだな。おっと、失礼。しかし、都会の人間は見ず知らずの他人に、そこまで自分の事情をベラベラ喋ったりしないものだ。このロドリゲスが悪人でなかったことを、ロガーン様に感謝するといい』

 

ディートン『え? もしかすると、宗教の勧誘ですか?』

 

ロドリゲス『まさか。私の仕事には、ちょっとした幸運と技術が必要なんでね。運命神の加護を願うのは、当然の習慣なんだ。私自身は別に聖職者でもないが、きみにサラコインの稼ぎ方を教えることはできる。それはグリフトだ』

 

ディートン『グリフトって何ですか?』

 

ロドリゲス『ちょっとした金儲けのテクニックさ。興味があるなら、付いて来たまえ』

 

ディートン『他に行く当てもないので、喜んで』

 

 

NOVA『ということで、のこのこと詐欺師のおじさんに従って、近くの宿屋、〈靴下の片っぽ〉亭に向かったディートンだった。この宿の名前は、後でちょっとしたキーワードになるので、チェックしておいた方がいい。ロドリゲスを師匠にするのに必要だ』

 

アスト「何の師匠だよ?」

 

NOVA『カードゲーム詐欺の芸(グリフト)と、それから「カリスマ」の技能だな。これはこれで面白そうな技だと思うけど、こっちを選ぶと〈綴り呪文〉が選べなくなるので、今回のプレイでは見送った』

 

ダイアンナ「詐欺師おじさんの弟子になるルートもあるわけだね」

 

NOVA『とにかく、ロドリゲスおじさんはディートンにカードを使った手品を披露して、酒場の酔客からお金をせしめるわけだけど、このシーンではカードの札の数字を当てるパズルになっている。まあ、パズルを解くのを楽しんで宿賃を稼いでもいいし、もっと単純に「宿屋で転がっている銀貨1枚を正直に店主に渡す」ことを選んでもいい』

 

アスト「拾ったお金を店の主人に渡すだって?」

 

NOVA『すると、店主はディートンのバカ正直さに感銘して、今夜の宿代をタダにしてくれるんだ。俺はその選択肢を選んでから、後でロドリゲスのカード詐欺のパラグラフを読んで、そっちの方がテクニカルで面白いと思ったわけだが、実プレイでは正直者のディートンに徹しようと思った次第。親切な賭博師にして詐欺師のロドリゲスさんの弟子になるのも一興かと思ってはいるんだが、それよりも〈綴り呪文〉が本命だろう、と』

 

一夜明けて、運命変転

 

NOVA『野宿することなく、正直者に報いてくれた宿の主人に感謝しながら、翌朝になった(86)。冒険者ギルドに向かうと、どういうことか「落とし物の背負い袋が届けられていた」ので、これは自分のものだとギルド長の人に主張してみることになった。中身を確認すると、ロングベアード著「逆風平原の伝説」なんかが入ってあって、ディートンの物だと証明できたわけだが、手数料のために金貨1枚(10サラコイン)で買い戻す必要がある』

 

アスト「金なんて持ってないじゃないか?」

 

NOVA『だから、運だめしが最後のチャンスなんだ。運だめしに失敗すると、背負い袋を返してくれないことに激昂してしまい、ギルド長に悪口雑言で罵って、冒険者たちに乱心者として取り押さえられてしまう。そのまま投獄されて、仮に自由の身になったとしてもサラモニスの街で冒険者になることは無理となり、故郷に帰って農夫になるしかないな、と諦めてゲームオーバーだ』

 

ダイアンナ「たった1回の運だめし失敗で、ゲームオーバーになりたくなければ、それまでに銀貨10枚を稼いでおかないといけないってことだね」

 

NOVA『逆に言えば、ここで一回、運だめしに成功さえすれば、それまで街でコツコツお金稼ぎのためにあれこれ画策したことが、あまり意味がなくなるって話だ。まあ、その後の技能習得のために、ラズニック、ナノック、ロドリゲスとそれぞれフラグを立てておく必要はあるんだけど、とにかく運だめしに成功すると、こちらの窮状に同情してくれたギルド長のジェスカン・ストーベックさんが背負い袋と中身をただで返してくれる』

 

アスト「それはありがたいな」

 

NOVA『何よりも嬉しいのは、背負い袋の中に金貨12枚入りの財布が入っていたことだ。これまでコツコツ銀貨を稼ごうとしていたり、していなかったりしてきたんだが、ここで一気に銀貨にして120枚の大金持ちになった気分だ。当然、金貨2枚を払って冒険者ギルドに早速登録した。もう、銀貨20枚をどうやって稼ごうと思っていた矢先に、突然、宝くじがポンと当たったような感覚だよ』

 

ダイアンナ「金貨12枚って、元々は自分の貯めたお金だったわけだよね」

 

NOVA『それを突然、紛失しての無一文だったわけだから、落とし物を届けてくれた親切な人に感謝だよ。ここに来て、ようやく冒険者としてのスタートラインに立てた気がする。なお、武器はまだ剣が買えなくて、短剣1本しかないが、身分証明書代わりに使える冒険者認可状を発行してもらったし、ジェスカンさんがいろいろと仕事を発注してくれるようになった。ただし、冒険者としてはまだまだ素人なので、冒険前にお金を払って、職業訓練してもらうといい、とアドバイスしてくれたわけだ』

 

アスト「冒険者としての職業訓練か。FFシリーズでは初めてじゃないか?」

 

NOVA『冒険者ギルドなんて組織自体が、初めてだと思う。サラモニスにはそういう近代的な組織があって、きちんと訓練を施してくれるんだなあ、と今さらながら感じ入ってる次第だ。ただの田舎出の若者が、どのようにして冒険者として、そして英雄として育って行くかを改めてじっくり描いてくれているのが、ジャクソンの復帰作だと思うと、自分も初心に帰ったような気分を味わえるな』

 

ダイアンナ「では、ここから訓練タイムだね」

 

NOVA『いや、それは次回の記事だ。次回はパラグラフ127番からスタートするとセーブしておいて、今回は、サラモニスの街のディートンが通過しなかったイベントを一通り確認しておく』

 

肉加工農家のお仕事

 

NOVA『ディートン君は明記されていないけど、田舎の農家の生まれと推測できる。そんな彼が日雇い仕事のために、〈泥どろ豚小屋〉農場で野生豚の解体仕事を手伝いに行くのが農場ルートだ(122)』

 

アスト「動物の解体か。ゴブリンスレイヤーなら、難なくこなすんだろうなあ」

 

NOVA『何だか冒険者ギルドの設定といい、ジャクソンがゴブリンスレイヤーの設定要素を逆輸入しているようにも思えるな。とにかく、雇い主は豚顔のピッグボーイ・スナウターとジャウラー兄弟で、仕事は豚だけでなく、魚や他の動物の肉や腐った臓物を加工する業務。適切に加工した食材はサラモニスだけでなく、西のシャザールまで輸出されるという』

 

ダイアンナ「きれいな仕事ではないけど、誰かがやらないといけない大事な仕事ってことだね」

 

NOVA『給金は1日で5サラコイン。魚の臓物と、豚の脂肪を分ける係を任される。ここで1Dを振って、1〜3なら悪臭で体力1点だけ減少する程度で耐えられる。しかし4〜6なら体力2点、さらに再度のD6で6を出してしまうと、技術点まで1点失ってしまう』

 

アスト「運だめしとか技術点判定じゃなくて、2分の1のランダムか」

 

NOVA『上手く仕事を最後までやりきると、兄弟の信頼を得て名誉点+2点。さらに、働き手を集めてくれないか、と要望される。パラグラフ番号の下に豚顔のイラストがあって、そこでD6で4〜6を出すと、働き手を1人集めたことになる。後で、働き手1人ごとに金貨2枚の報酬がもらえるので、お金稼ぎをしたければお勧めのイベントだ』

 

ダイアンナ「でも、ダディは選ばなかったんだね」

 

NOVA『2回めのプレイがあるなら、ここは選んでおいた方が得だな、と思う。まあ、絶対必須とまでは思っていないけれど、もしも一定時間内にお金をいくら稼がないといけないという条件づけがあるなら、必須イベントに昇格するかもしれない』

 

港の蛮人

 

NOVA『次に港でのイベントだ。ここではまず、衛兵に盗まれた背負い袋の件を訴える選択があるが、衛兵は「そんな物は誰も気にしないし、もう戻って来ないだろうさ」と嘲笑い、主人公の体をドンと押しやって転倒させる(体力1点ダメージ)。でも、そのイベントの際、「犬の言葉が分かる小さなアクセサリー」をゲットして、後で有用になる可能性があるな』

 

ダイアンナ「あれば便利そうなアイテムだね」

 

NOVA『街での小銭稼ぎイベントを発生させるんだけど、後の冒険で必要になるかは分からん。もしも、これが攻略必須アイテムだったら、俺のプレイは既に詰んでいるんだが、その時は時間を巻き戻してでも取りに来る。とりあえず、ここで「小さなアクセサリー」が入手可ということは押さえておこう』

 

アスト「港の衛兵たちは、無くし物探しの役には立たない、と」

 

NOVA『冒険者ギルドに届けてくれたのは誰だろうか気になるが、そもそも、どうして紛失したのかも謎だからな。オーガーの悪夢に登場したレプラコーンの仕業かもしれん、と現時点で疑っている俺がいる。ともあれ、衛兵のナメた振る舞いに怒ってくれたのが、船旅での話し相手だった蛮人ナノックだ』

 

 

ナノック『気にすることはない。ああいう弱い者を見下すだけの根性悪には、ろくでもないことが降りかかるだろうさ。おれみたいな用心棒相手には絶対にあんな態度はとれないんだがな』

 

 

ダイアンナ「スロムと言い、こういう蛮人キャラはセリフが格好いいよね」

 

NOVA『このナノック兄貴は、この場面で主人公に身の上話をしてくれる。5年ほど隊商の用心棒として働き、隊長クラスにまでなったけど、故郷のサラモニスで妻のタバサと落ち着いた暮らしに戻ろうって考えているらしい。主人公はこれから冒険者を目指す一方で、ナノックは冒険生活からの引退を決意しているようだ。それでも、主人公を気にかけてくれ、後で戦いの師匠となってくれる可能性がある』

 

アスト「つまり、武闘派キャラを目指すなら、ここでナノックに会っておくといいんだな」

 

NOVA『それだけじゃダメだ。次の選択肢で、「冒険者ギルドに行く(390)」を選ぶことで、ナノック師匠のフラグが立つ。もう一つの選択肢「港で何か仕事を探そうかな(410)」を選ぶと、乞食ルートに流れることになる』

 

ダイアンナ「乞食を選ぶと、ナノックを師匠にはできないわけだね」

 

NOVA『あと、ナノックルートを選ぶと、街で発生する犬イベントは諦めることになるな。390番でナノックといっしょに冒険者ギルドに向かうんだが、その途中で彼の妻タバサと、息子のベンボーイと遭遇する。このベンボーイがナノック師匠から技能を学ぶキーワードになるので覚えておく必要があるわけだ』

 

乞食の世界

 

NOVA『さて、ナノックの話に深入りせずに港で金儲けしようとして、乞食になろうと決意する主人公。まあ、可哀想な話をでっち上げて、というか装備品を失って文無しなのは事実なので、それで人々の同情を買ってお金を恵んでもらおう作戦だな。適当な場所に座り込んで、親切な人がコインを投げてくれるのを待つか、それとも金を持ってそうなカモにしつこく絡むかの2択だ』

 

アスト「後者はすごくウザくないか?」

 

NOVA『ウザいよな。絡まれた若者は、「でも、あなたは健康そうですよね。なら、なぜまともな職を見つけようとしないんです?」と正論説教を示してくる(苦笑)。一応、上手く同情させることができれば、2サラコインをもらえるんだけど、名誉点を1点失うことになるし、周囲の本物の乞食を敵に回すことにもなる』

 

アスト「そりゃあ、縄張り荒らしだからな」

 

NOVA『結局、乞食では大して稼げるわけでもなく、迷惑をかけたことを謝って退散するか、開き直って技術点4の乞食相手にケンカして、コテンパンに叩きのめして、なけなしの金を奪いとるか(弱い者イジメの追い剥ぎに転職したかのように)、いろいろなイベントがあって、他ではなかなか見られない乞食ワールドを堪能した後で、ロドリゲスに声をかけられるパラグラフに合流する』

 

ダイアンナ「乞食よりは、口八丁の詐欺師の方がマシなのかね」

 

わんだふるな犬の話

 

NOVA『港の乞食ルートは結構、多彩なパラグラフ選択ができて、乞食ライフもそう簡単じゃないんだな、と実感させてくれる。何よりも、人から同情してもらおうとするだけじゃ、真面目な人間を苛立たせるだけというのは確かに納得できる節がある。世の中には、卑屈さを武器に世渡りしようという人間もいるかもしれないが、卑屈さに付き合うのって疲れるし、楽しくもない。卑屈さからの脱却で、改めて名誉を求める道というのをゲームブックで学んだ気分になる。安田社長は「教養ピカレスクロマン」の雰囲気と本作を称しているが、底辺生活から悪事を経験したりもしながら成り上がる主人公の物語を描いてみせている、と』

 

アスト「で、犬の話だと?」

 

NOVA『港で小さなアクセサリーをゲットした後、街に入るパラグラフ(89)に進むと、喋る犬と遭遇する』

 

ダイアンナ「新しく始まったぷりきゅあかい?」

 

NOVA『今のタイミングで、喋る犬だとそっちを連想するよな。キュアワンダフルなこむぎは、犬が不思議な力で人間に変身したのに対して、こっちの犬は魔女の呪いで人間が犬に変身させられたらしい。で、犬と主人公で共謀して、通りすがりの上流階級の母親(ジュリーナ・ヴァレスト)と娘たちからお金をだまし取ろうって展開になる』

 

アスト「それがヒーローのやることかよ」

 

NOVA『いや、ディートンはそんなことをしてないけどな。でも、本作にはそういうイベントもあるってことだ。犬が狂暴に女家族に襲いかかり、それを主人公が助けることで、彼女たちから謝礼をいただこうって作戦だが、上手く行ったり、行かなかったりで、どっちに転んでもクスクス笑わせてくれる。この喋る犬が、後で物語に絡んでくるかは分からないが、魔女の方はどうもドリーにいる連中っぽいんだな』

 

ダイアンナ「ドリーの魔女かい」

 

NOVA『冒険者になってから、最初のミッションでドリーの魔女絡みのものを引き受けたが、バッドエンドのパラグラフで魔女を怒らせた主人公がカエルに変えられるシーンを見つけた。とにかく、サラモニスの街の散策はこれで終わって、次は冒険者として受け入れられた主人公が、あれこれ訓練をする流れに突入する』

 

アスト「結局、お金稼ぎにあくせくしていた主人公が、翌朝、失くし物が帰って来たことで、ひとまずの念願を叶えて、冒険者としての道に一歩踏み出したってことだな」

(当記事、完)