ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

「サラモニスの秘密」攻略感想(その10)

とうとう最終回

 

リモートNOVA『待望だったゲームブックの大家、スティーブ・ジャクソンの最新作もついに今回で攻略完了だ。まあ、ここまでゲームクリアに必要なアイテムフラグは全て達成しているので、後は一本道のストーリーを辿り、一連の事件の経緯をまとめるだけなんだが』

 

アスト「シュリーカー事件の解決手段として、〈震える男〉にかけられた呪いを解呪しようって話に帰結するんだな」

 

NOVA『冒険者ギルドでの仕事中に、それらのアイテムを集められていたらいいんだけど、集め損なっていると、自分で冒険者失格と諦めて、田舎の農夫になることを選択するバッドエンドだ』

 

ダイアンナ「それはそれで一つの人生だと思うけどねえ。冒険者人生も決して楽じゃないだろうし」

 

NOVA『まあ、トレジャーハンティングに失敗して、残飯あさりになった挙句、指名手配されて暗殺者に狙われ、死の罠の地下迷宮に飛び込まされそうになったかと思えば、思いがけず謎かけ盗賊に拉致されるような過酷な人生を歩まされた冒険者もいるからなあ』

 

アスト「他の冒険者の話はさておき、ディートンの話に決着をつけようぜ。癒しのハンスさんは、〈震える男〉の解呪ができたのか?」

 

NOVA『解呪のためには、〈クモの森〉へ行って、〈虹の池〉を見つけないといけないらしい。それを聞いて、ロングベアードさんが「徒歩で3日もかかる」と指摘すると、ディートンは「大丈夫です。馬なら1日でしょう。運命神が馬を用意してくれました」とロガーン信者らしいことを言う』

 

ダイアンナ「完全にロガーン信仰にハマったようだね」

 

NOVA『本作に関しては、そういうロールプレイが違和感なくハマるんだよな。じっさいに運命神に導かれているわけだし。とにかく、馬に乗って蛮人ナノックと彼の率いる用心棒の一団、そしてラズニック師匠が応援に駆けつけてくれた。この、これまで関わってきたNPC集結みたいな構図がいかにもクライマックスらしくていいなあ』

 

アスト「カード詐欺師のロドリゲスおじさんはいないけどな」

 

NOVA『そこが少し残念だけど、ナノックとラズニックだけでも嬉しくなるわけだよ。とにかく、鉱山のドワーフたちに、後でサラモニスの街から仕事を手伝った謝礼があるだろうと約束して、別れを告げる。ロングベアードとハンス、〈震える男〉は用心棒の馬の後ろに乗せて、ディートンはナノックの後ろに乗った。ラズニック師匠は「とある利益団体から、きみたちの任務遂行を手伝うために派遣された」と背後関係を匂わせるようなことを言っていたが、おそらくはサラモニス王宮が要請して来たんだろうな』

 

 

ロングベアード『ところで、〈虹の池〉はスティトル・ウォードのエルフに守られているんじゃなかったか?』

 

ラズニック『そのとおりだ』

 

ロングベアード『なら、どうやってわしらを中に入れてもらうんじゃ?』

 

ハンス『心配ないさ。わたしの名前はスティトル・ウォードのエルフたちにも知られているはずだ』

 

ディートン『本当に?』

 

ハンス『何だ、疑うのか、少年?』

 

ディートン『いや、ロングベアードさんの名前は田舎の子どもでも知っているほど著名だけど、ハンスさんの名前はどうだろうって……』

 

ハンス『それだから、世間知らずの子どもは困る。癒し手と言えば、ハンスだというのはアランシアの常識中の常識』

 

ラズニック『ほう。そなたが、かの有名なヤズトロモ氏やニカデマス氏と並ぶ、大魔術師の3大弟子のお一人とは思わなかったぞ』

 

ロングベアード『何と。その癒し手だったと言うのか? いや、わしの聞いた伝説の癒し手の名は確かペン・ティ・コーラという名前だったはずじゃが……』

 

ハンス『……そんな名前など知らん。わたしは癒し手ハンス、サラモニス近辺では最高の癒し手として名を馳せる……はず』

 

ディートン『はいはい。一応、ぼくの手記には書いておくよ。癒し手ハンス。力量のほどは不確かながら、その自信満々な態度は特筆に値する、と』

 

ハンス『力量のほどはこれから明らかになる。スティトル・ウォードに行けばな』

 

ディートン『スティトル・ウォードかあ。どんなところだろう?』

 

スティトル・ウォードのエルフたち

 

NOVA『そんなわけで、「モンスター誕生」では背景で語られるのみで、本編中ではじっさいには登場していなかったエルフの聖なる森が、今回初めて冒険の舞台として描かれるのが、本作のクライマックスなんだ』

 

ダイアンナ「初めてが多いんだね。サラモニスの都市内描写も今回が初めてだったそうだし」

 

NOVA『ジャクソンは毎回、新規性が特徴だからな。リビングストンが基本的に地に足ついた世界観の継続性が特徴なのに対し、ジャクソンは毎回、違うシステムを入れて来たり、新しい冒険体験を示してくる。今回のサラモニスでも、FFシリーズではこれまで未体験だった「素人の少年が冒険者として成長し、英雄の座に昇り詰める過程を描いたストーリー」として、かえって新鮮な気分を味あわせてくれる』

 

アスト「少年の成長物語は、日本のRPGでは割と定石だけどな」

 

NOVA『イギリスでは、ハリー・ポッターの魔法学院ものが小説として一世風靡したけど、本作はまた違った少年冒険者が大人の世界の仲間入りという物語。そして、ディートンをまだ子どもと侮る権威の象徴が、ハンスみたいに描かれている。やたらと高圧的で、偉そうなおっさんという印象だ』

 

ダイアンナ「薬師って職業は、割と控えめで謙虚なイメージがあるけど?」

 

NOVA『ハンスは、自分の専門分野に自信を持ってるけど、人当たりはあまり良くない高慢キャラの方向性だな。どちらかと言えば、偏屈な魔法使いのイメージだ』

 

アスト「そんなハンスをリーダーとした一行が、〈クモの森〉に向かう、と」

 

NOVA『道中は大した危険もなく、不気味な森の背景描写が示されるだけで、やがてエルフの領域に入る。森の衛士の集団が矢で威嚇しながら誰何して来るが、ハンスの名前も案の定、知られていない』

 

 

エルフ衛士の女リーダー(ゲイヤ・イヌリエル)『我らが聖域エレン・ダーディナスの領域に、武器を携えて来るとは何者だ?』

 

ハンス『我が名は癒し手ハンス。〈震える男〉の治療に参った。〈虹の池〉が癒しの奇跡を起こせるという話だからな』

 

ゲイヤ『ハンスとやら。そなたの名前は知らんが、我らが女王の予見によれば、「ある冒険者の一行が助けを求めに来るだろう」という話だ。神が女王に啓示を与えたと聞く。しかし、女王の夢に現れた冒険者が本当にお前たちなのか、どうやって証明すればいい?』

 

ハンス『神の啓示? 女王の夢? ……そういうのは、わたしの専門領域とは異なるので、少年、あとは任せたぞ』

 

ディートン『って、どうして、ぼくに振るんです?』

 

ハンス『運命神がどうこうとか、予知がどうこうと言っていたのは、君だろう。ならば、これは君に与えられた試練に思える』

 

ロングベアード『そうだな。新たな物語を紡ぐのは、わしのような老体ではなく、後を継ぐべき若者なのだろう』

 

ラズニック『きみは立派になったよ。その冒険の経験を今こそ活かすときだ』

 

ナノック『ああ、お前の運命が我らを引き寄せたようにも思える』

 

〈震える男〉『ブルブル』

 

ディートン『……みんな。分かりました。ここは、このぼくが運命神の導きを証明しましょう。これで、どうでしょうか?』

 

ゲイヤ『そ、それは、【黄金の樫の葉】ではないか。我らの同胞、〈ヨーレの民〉は本当に信頼できる者にしか、それを授けたりはしない。無理やり奪っても、エルフの祝福を失って枯れ果てるのみ。そこまで瑞々しさを保つとは、そなたをエルフの友と認めるに十分な証だ。人の子よ、名を何と言う?』

 

ディートン『運命神に導かれ、大魔術師ヴァーミスラックス・ムーンチェイサーの弟子になる予定のディートン……と言えばいいのかな。人に語れるほどの偉業や二つ名はまだこれからだけど』

 

ゲイヤ『運命神に導かれしディートンか。確かに高潔で、優れた戦士の素養を感じる。ならば、ディートンと連れの者たちを歓迎しよう。ようこそ、エレン・ダーディナスの女王の領域に』

 

 

NOVA『こうして、ディートン一行は、人間たちにスティトル・ウォードとして知られるエルフの森に入る栄誉を与えられたわけだ』

 

ダイアンナ「【黄金の樫の葉】は、エルフに認められる必須アイテムなんだね」

 

NOVA『他の選択肢としては、名誉点25以上が必要だが、この段階で名誉点25に達しているかは厳しいな。あと4点は、〈罠の知識〉習得で+2、邪教団のところでデーモンを退治することで名誉点+1、それと〈綴り呪文〉で+2ではなく〈カリスマ〉技能習得で最大+3を稼ぐことができれば、不可能ではないのかもしれないが。どっちにしても、【黄金の樫の葉】といっしょにもらえる【アリコーン】がなければ、この後で攻略失敗になるわけで』

 

ダイアンナ「名誉点で認められる条件は厳しい、と」

 

NOVA『後は、〈カリスマ〉技能を持っていて、かつ運だめしに成功すれば、エルフたちに認めてもらえる。運だめし失敗とか、そもそも【黄金の樫の葉】も、名誉点25点も、〈カリスマ〉技能も持っていなければ、エルフの信用は得られずに不法侵入の狼藉者として、全員エルフの矢の一斉射を受けて全滅バッドエンドを迎える。一行の命運はディートン次第ということだ』

 

解呪の儀式

 

ゲイヤ『神々から女王の元へ予言が届いたのだ。助けを求める勇敢な英雄の一行、呪いを受けた哀れな人物、そして野放しにされ強大になっていく恐るべき脅威……』

 

ディートン『では、エルフの女王さまは〈震える男〉の正体をご存じなのですか?』

 

ゲイヤ『いや。その男には、来たるべき暗黒の時代に果たすべき重要な役割がある、ということだけだ。トロール牙峠に嵐が生まれつつあり、それを阻止できるのは善の勢力の同盟のみとのこと。あるいは、思いもかけない英雄の表に現れない密かな偉業が紡ぎ上げられていくのかもしれないが。バルサス・ダイア、そしてザラダン・マーの脅威を排除するのが何者か、運命神のみぞ知る、あるいは神の予見を越えたところで意外な者が大事を為すものかもしれん』

 

ディートン『歴史を紡ぐのは、一人の英雄だけの力ではない……と、ぼくの知る伝説では語られています。英雄を助ける多くの人物の関わり、ささやかだけど大切な日常の営み、そして無名ながらも英雄に憧れ、志半ばに消えて行った人たちの想いが織り重なって、大いなる勲しや冒険の物語が生み出されていく。

『ぼくは英雄に憧れるだけの小僧だけど、たまたま運命神が導いてくれるのなら、ぼくにできることを成し遂げたい。そして、英雄物語の一端にでも加わることができたら本望かなって思う』

 

ゲイヤ『人はもっと欲深いものと思っていたがな。謙虚さが、きみの美徳かもしれん』

 

 

NOVA『……と言うような多少アレンジを加えた会話を経て、癒しの魔力を秘めた〈虹の池〉に一行は到着した。そこでハンスさんがポーション作りを始めるわけだが、その材料をあれこれ求めるわけだな。まずはメデューサ

 

アスト「当然、持ってるよな」

 

NOVA『これだけは持っていなくても、運だめしに成功すれば、ハンスさんが用意していたことにできる。問題はこの後だ』

 

 

ハンス『次に必要なのは、手に入れるのがとんでもなく難しい材料だ。【アリコーン】と呼ばれていて、ユニコーンの角の粉末から作られる。わたしですら持っていない物を、きみが持っていると期待するのは無理難題だよな?』

 

ディートン『あなたはぼくを見下しすぎです。言っているじゃないですか、運命神がぼくを導いているって。【アリコーン】なら〈ヨーレの森〉で信頼できるハーフエルフの友アーラン・ソーネルが託してくれました。ほら、どうぞ』

 

ハンス『……信じられん。このような稀少なものを……。しかし、さすがに次は諦めた方がいい。この呪いを解くには、「呪いを発した人物の息吹き」が必要なんだが、それが誰か見当もつかん』

 

ディートン『ぼくの調査と神の啓示で、それは邪教団のジン枢機卿と分かっています。彼の【いまわの息】は、ほれ、このとおり』

 

ハンス『少年……いや、ディートン。わたしは君を年若い子どもと見くびっていたが、謝罪したい。君はその若さで、立派な洞察力と類稀なる幸運を持った冒険者だ。君の英雄的な偉業の手伝いをさせてもらっていることを、わたしは誉れと思う。で、最後の【シュリーカーの血】だが……』

 

ディートン『ご自分で回収されていましたよね、鉱山で』

 

ハンス『もちろんだとも。君が僥倖にも(運命神の導きで)持っていた稀少な品々と、わたしの集めた品物で必要なものは全て揃った。後は、私の薬師の腕の見せどころだが……って、あの声は何だ!?』

 

ディートン『シュリーカー? こんなところまで、〈震える男〉を追って来たのか。ハンスさん、薬の調合はお任せします。連中は、ぼくたちが食い止めますから』

 

ナノック『ディートン、前衛は俺たち用心棒(ストロングアーム)に任せろ!』

 

ロングベアード『わしの斧も役立つじゃろう』

 

ラズニック『呪文を使うには護衛が必要だ』

 

ディートン『ぼくが支援します。その前に蜜蝋で、耳栓をして、と』

 

ゲイヤ『我らの聖域に踏み込むとは、混沌の魔物め、容赦はしない。支援射撃、一斉射だ』

 

ディートン『連中は肉のない骨だから、矢じゃ効果が薄いんだけど』

 

ゲイヤ『ならば……蔦で呪縛(バインド)する魔術で、前衛戦士を支援するのがいいか』

 

ハンス『みんな、頼んだぞ』

 

 

NOVA『こうして、最後の決戦が開始されたわけだけど、そこで出現したのが、ラスボスの〈シュリーカーの女王〉なんだな』

 

ダイアンナ「ああ、女王って群れの女王のことか。てっきり、エルフの女王が黒幕なのでは? と思ったよ」

 

アスト「ラスボスが女王というのは聞かされていたからな」

 

NOVA『エルフの女王は敵じゃない。そもそも、話に聞くだけで出会うこともなかったんだけど、それはバルサスもザラダンも同じだな。とにかく、ラスボス女王は技術点11、体力点14で、最初に6点ダメージを与える毒尻尾の一撃が脅威だ。技術点判定に成功するか、ロープで尻尾封じをする(やはり技術点判定に成功する必要あり)ことで、接近戦に持ち込める』

 

ダイアンナ「どっちも技術点判定なら、ロープを使う意味が感じられないんだが?」

 

NOVA『説明が悪かったな。ロープを使った場合は、技術点判定に失敗しても、もう一度、技術点判定で尻尾を回避できるという2回めのチャンスが与えられるわけだ。まあ、ここまで来たら(技術点11)失敗する可能性も低いんだろうけど、12で失敗する可能性も3%ほどはあるからな。2回判定ができるなら、0.09%だから、これで失敗するのはロガーン神に見捨てられたぐらいの大惨事と言えよう』

 

アスト「2連続で6ゾロを振ると、攻略ネタとしては美味しいな」

 

NOVA『そんなことになれば、放射能犬とは比較にならないほどの大失態だ。失意のあまり、冒険生活をやめて田舎で農夫をしたくなるだろうさ』

 

ダイアンナ「でも、ディートンはそんな失態に見舞われることもなく、難なくシュリーカーの女王を撃退した、と」

 

NOVA『俺に言わせれば、「貴様は岩ウジよりも弱い」って感じだな。やはり、成長が十分でアイテムもしっかり揃えていたら、余裕で勝てた印象だ。女王の攻撃をうまくかわし、ロープで押さえ込み、エルフの小剣で牽制しながら、ナノックといっしょにロープを引っ張って、〈虹の池〉に落とすと、その癒しの効果がアンデッドには大ダメージを与えて、女王を滅ぼしたって感じだ。女王が消滅すると、他の群れもどろどろに溶けて一気に全滅する』

 

アスト「ボスを倒せば、残ったザコも全て消え失せたわけか」

 

ダイアンナ「でも、〈虹の池〉に女王を落として、大丈夫なのかい? 〈震える男〉を癒している途中だったのでは?」

 

NOVA『パラグラフ470番で、女王が池に落下して消滅する様子が書かれているからな。そして、癒しの儀式を終えた〈震える男〉、サラモニス第2王子のジャレッドが完全回復した状態で〈虹の池〉から出て来る。ハンスの薬の調合と、池の魔力の力で呪いが解除されたわけだ』

 

 

ジャレッド『わたしはサラモニス騎士団の司令官でもあったのだが、ジン枢機卿の呪いで記憶を封じられ、長い苦痛を味わっていた。おそらく、奴の背後には別の妖術師がいたのだろう。二つの邪悪が、トロール牙峠の周辺の土地を奪い合おうとしており、密偵の調査によれば、その両者の戦争はもはや避けられないとのことだ。我らがサラモニスは、その両者の衝突の真っ只中に囚われることになろう。

『明らかに、どちらかの邪悪が、サラモニス王の軍隊の指揮官を亡き者にし、己の帝国の建設を邪魔しないように仕向けたものと思われる。ただ、王族を殺害すれば、サラモニスは防備を固めるだろう。そこで殺害ではなく、呪いをかけることで無力化しつつ、魔物の群れを利用して、この地を混乱のままに留め置くことにした、と思われる。しかし、その陰謀は君たちのおかげで阻止された。ここにいるみんなが、わたしを生きながらの死から救ってくれたのだ。本当にありがとう』

 

エピローグ

 

NOVA『こうして、サラモニスの王子にして騎士団長を呪いから解放するという大仕事を果たして、ディートン一行は王都に帰還するわけだ。ただし、エルフの聖域であるスティトル・ウォードの記憶、そこにどうやって行ったかの道順は、エルフの魔法の作用で、一行の脳裏からはきれいさっぱり消えてしまったのが残念といえば残念だったり』

 

アスト「記憶からは消えたけど、記録には残っているんじゃないか?」

 

NOVA『「スティトル・ウォードの〈虹の池〉で王子を癒したことは覚えているんだけど、それがどんな場所だったか、ぼんやりとしたもやのような、夢のような曖昧さで、よく覚えていない」というような話かな。事実としては覚えているんだけど、脳内で映像や音声が再生されないような感じで、後から変な脚色が混じって、事実を包み隠すような感じ?』

 

ダイアンナ「ゲームブックをクリアしたのは覚えているんだけど、どんな敵と戦ったかとか、どんなマップだったかとか、そういうのが綺麗さっぱり抜け落ちたってところか」

 

NOVA『ガンジーが恐ろしいことは覚えているんだけど、どうやって、そこを切り抜けたかが覚えていないとか、そんな感じだろうな。たぶん、シュリーカーの女王を撃退して、敵の群れを滅ぼしたことは覚えている。そして、この探索に参加したメンバーがそれぞれ自分の印象で話を盛って語るものだから、この事件は非常に壮大な冒険行として尾鰭がどんどんと付けられて行くことになりそうだ。

巨匠ロングベアードの「逆風平原の伝説」の後日譚を交えた36年ぶりの新作「サラモニスの秘密綺譚」って形で、トロール牙峠戦争の後にでも出版されるかもしれない。もちろん、探索に参加した蛮人ナノックや、民間呪術師ラズニックや、薬草師ハンス、そして後にバルサス退治の魔法使いとしても知られることになるディートン・グッドラック(好運のディートン)のそれぞれのエピソードも収録されてね』

 

アスト「ディートンがバルサスを退治するのは確定か」

 

NOVA『攻略記事にはしないけどな。最終パラグラフの480番では、ジャレッド王子が本作の主人公を街を救った英雄としての栄誉を称え、騎士団に迎えてくれるなどの道も示すわけだけど、やはり俺としては魔法使いの方が性にあっているので、ディートンの未来は大魔法使いの弟子として、バルサスと戦うのが妥当だと思う』

 

ダイアンナ「その後は?」

 

NOVA『ジャクソンのさらなる新作が発表されるなら、その後のディートンを主人公にするかもしれないけど、今はまだ未定だ。ディートンの話よりも、リーサン・パンザのその後の方を追いかけたいし』

 

アスト「では、『サラモニスの秘密』のディートン英雄譚(序章)はこれで幕ってことで」

 

NOVA『次回は、おまけの総括的なEX記事な』

(当記事 完)