ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

「サラモニスの秘密」攻略EX

ジャクソン最新作を終えて

 

リモートNOVA『さあ、自分の誕生日を挟んで、たっぷりと堪能できたジャクソン最新ゲームブックの攻略記事も、これで終了だ』

 

アスト「感想はどうだった?」

 

NOVA『新しいゲーム体験……とは少し違うな。FFゲームブックとしては、新しい体験だったと言えるけど。前半の「冒険者になる前のシティ・アドベンチャー的な部分」が新鮮で、ここは他にない楽しさを感じた。後半の冒険者になってから「ギルドで仕事を請け負って、攻略を進める手法」については、コンピューターゲームでもお馴染みで、ゲームブックよりはTRPGのソロアドベンチャー的な印象。

『また、「成長システムや、〈綴り呪文〉のパズルシステムが面白い」と思いながら、終盤になって伏線が収束されていき、それまで関わって来たNPCが主人公の周りに集まって来る展開はいかにもクライマックスの盛り上がりを感じて、運命神に選ばれた主人公が英雄への道を昇り詰める流れが、物語としては良いなあ、と思ったりも』

 

ダイアンナ「たまたま冒険者としての仕事に励んでいたら、王族絡みの大事件に関わったことで、国家を救った英雄と見なされる流れだね。その後、大魔術師の弟子にスカウトされて、世界を脅かす巨悪に立ち向かう導線も提示されたわけだし」

 

NOVA『40周年祭りの記念作としては、新鮮さと懐かしさ、そして初心者をも改めて引き込むストーリーの仕掛けもあって、いろいろ盛りだくさんだ。冒険者ギルドで7つのミッションを解決するミニアドベンチャー集としても、それぞれのミッションが多彩でTRPGのシナリオソースとしても、バリエーション豊かなアイデア群がいいなあ、と』

 

アスト「農家を脅かす魔物退治から始まって、危険な土地に生えている植物採取、鉱窟探検のダンジョンシナリオ、怪現象の謎を調査する情報活動、隊商の護衛任務、邪教団への潜入、そして森でのユニコーン捕獲か。1冊のゲームブックで、多彩な冒険ネタが仕込まれていて、いかにも簡易冒険シナリオ集って感じだな」

 

NOVA『ゲームブック執筆をメインにしてきたリビングストンと違って、ジャクソンの方はコンピューターゲームTRPGの方でマルチジャンル的に、FFシリーズを広げてきたという話を最近知った。

『たとえば、「ポピュラス」(89年)や「テーマパーク」(95年)、「ダンジョンキーパー」(97年)という作品で有名なコンピューターゲームのデザイナー、ピーター・モリニューが1997年に設立したライオンヘッド・スタジオに、ジャクソンも共同設立者として名を連ね、10年ほどのキャリアを積んでいる。ジャクソン自身はプログラマーではないけど、アイデア出しやディベラップメントなどでモリニューをサポートしたのだろう。そういうサポート業務は、作品製作者として名前が残るものではないから、日本では伝わりにくかったのだろうけど。ライオンヘッドの作品も、日本ではマイナーだったろうしな』

 

ダイアンナ「現在は、AFF2版の監修者という立場で、メインデザイナーのグレアム・ボトリー氏をバックアップしていたんだね」

 

NOVA『AFF2版は2011年に本国で出版され、日本語訳は2018年から。で、ゲームブックの方も2017年からスカラスティック社で再々展開が始まったことで今に至っている流れだな。現在、FFシリーズを紹介しているSNEはアナログゲームがメインの会社だから、ゲームブックTRPG以外のジャクソンの活動は積極的にチェックしていなかったし、ジャクソンもどちらかと言えば裏方サポートに回っていたから、その活動がこうして話題に上るのは本当に久しぶりになるわけで』


アスト「つまり、『サラモニスの秘密』という作品は、ゲームブック畑だけでなく、コンピューターゲームTRPGの要素を濃厚に反映した作品ということなんだな」

 

NOVA『世界観は、ジャクソンのアランシア冒険譚(「火吹山」「バルサス」「モンスター誕生」および小説「トロール牙峠戦争」)を背景世界に盛り込んで、きちんとFFシリーズらしい雰囲気を描写しながら、ゲームシステムは懐かしくも新しいという矛盾を上手くまとめ上げている』

 

アスト「名誉点を経験値とした成長システムは、TRPG的だな」

 

NOVA『冒険者ギルドの掲示板に自由に選択できるミッションが並べられて、自由な順番で攻略できるのはシステマチックなコンピューターRPG的でもある。後にTRPGのソロシナリオでも採用されたけど、1回のセッションで複数の冒険要素を準備するのは、シナリオを自作するGMには負担が大きいので、あまり一般的じゃない。まあ、プロレベルだと、カバンの中に複数のシナリオを用意していたりもするケースもあるけど』

 

 

すごいGM『ほう。このシナリオが気に入らないか。だったら、別に3本のシナリオを用意した。どれでも好きな仕事を選べ』

 

 

ダイアンナ「ダディはどうなんだ?」

 

NOVA『ほう。このゲームシステムが気に入らないか。だったら、別に3つのシステムを用意してある。どれでも好きなのを選べ……と言ったことはある(苦笑)。

『まあ、90年代は文庫RPGもいっぱい出ていたし、軽いシステムも多かったからな。今は、カバンの中に3つもゲームシステムを用意するのは難しいと思う。ソード・ワールドだけでも、基本ルールブックを3冊は最低でも用意したくなるし、サプリメントもいっぱいだ。ましてや、ハードカバーのルールブックを持ち歩いてゲームマスターをしに行くのは、ハードワークと言えるだろうな』

 

ダイアンナ「その点、AFFはルールブックもサプリメントも、薄手の冊子で軽いから、持ち運びには便利だよね」

NOVA『むしろ、今回のFFコレクション4の方が重くて、かさばるような気がする。何だかんだ言って、コレクションも20冊になったわけだからなあ。そのうち、AFFのルールとサプリメントを全部揃えるよりも、高価になるんじゃないか、とも』

 

ゲーム性の変化

 

NOVA『システムの重さ軽さの話はさておき、今回は36年ぶりの新作ということで、久々に筆を執ったジャクソンのゲーム作りの作法がどう変わったかなあ、というのも気になっていたが、そのトリッキーさや、意地悪な仕掛けについては健在ということが分かって、ああ、ジャクソンらしいな、と安心した』

 

アスト「どういうことだ?」

 

NOVA『ふつう、意地悪なことをされると気分を害するだろう? 理不尽な罠とか、勝ち目のない戦いとか、読むだけで作者の頭を後ろから叩き倒したくなるけど、それができないので、目の前の本に八つ当たりしたくなる。でも、俺は本を愛する人間だから、それもままならず。ああ、こんちくしょうと思いながら、お茶を一杯飲んで、何とか落ち着きを取り戻した経験は誰にだってあるだろう?』

 

アスト「まあ、腹が立ったときのリアクションは人それぞれだと思うが、ゲームブックで暴力沙汰に走るのはやめておいた方がいいぞ」

 

NOVA『いや、まあ、そこまでどうしようもなく苛立ったのはアーロックくらいなんだが、ジャクソンの場合、理不尽な罠でも笑って許せる面があってな。リビングストンもバッドエンド愛を表明していて、いろいろ凝ったバッドエンドを読むのが楽しいんだけど、ジャクソンの場合、もう少し淡白なんだな』

 

ダイアンナ「どういうこと?」

 

NOVA『リビングストンのバッドエンドは、じわじわ来るというか、想像力を掻き立てるネチネチさがあって、死後の世界の何たるかを想像させてくれるんだな。それはそれで俺好みなんだけど、ジャクソンの場合は、ホラーの「地獄の館」でもどこか淡々としていて、ゲーム的というか、カラッとした健全さを感じる。いや、まあ、バルサスに洗脳されたり、大頭脳に洗脳されたりする場面ではシチュエーション的なじわじわが残るんだけど、ジャクソンの文体って死をあまり引きずらず、さらっと流す感じがあるんだ』

 

アスト「さらっと流す感じ?」

 

NOVA『死んだか(にっこり)。じゃあ、次に行こう。まだ、やるだろう? 今度はしっかりな……って感じで、しかも、その騙し方が鮮やかで感心させられる。まあ、カーレとか、マンパンのスローベン・ドアとか、対処困難で正解を見出すのに苦労させられる罠も数多くあるんだが、それは意地悪をされたと言うよりも、難しいパズルを出題されたって感じで、そこに怒りは伴わないんだ。

『そして、ジャクソンのいいところは、必ず正解(危険が最低限で、答えが分かれば簡単にクリアできる)を用意してくれていること。引っ掛けはするけど、初見だと騙されもするけど、正解の道筋が見えると、すっと解けるという達成感があって、ゲームとしては非常にフェアプレイを感じさせてくれるわけだ。本作も、一見、自由度が高くて、いろいろな展開を楽しめるけど、そこから名誉点とか、アイテムの購入タイミングとか、入手資金とか、緻密に構成されていて、最適解のためのパズル的構造が本当にお見事で、理系的ゲームって感じがする』

 

ダイアンナ「パズルを解く楽しさがジャクソン流ってことだね」

 

NOVA『ただ、80年代のゲームブックと、今のゲームブックではゲーム性が大きく違っている面がある』

 

アスト「どこが?」

 

NOVA『昔は巨大ダンジョンの探索がメインで、ダンジョンの中で必要アイテムを見つけ出したり、邪魔する敵を排除したり、一つの舞台をあれこれ歩き回って、頑張ってラスボスのところまで到達するって展開が主流だった』

 

ダイアンナ「でも、やがてダンジョンから森とか島とか、外の世界への旅が始まるだろう?」

 

NOVA『都市を一つのダンジョンと見立てれば、盗賊都市やカーレになるし、荒野の旅も交易路とか獣道とかを通って、マッピングできるならダンジョンの一種と見なすことも可能。要は、イベントが発生する区画をスタート地点からゴールを目指して、順に(途中で分岐を選びながら)踏破して行くのはダンジョンの亜流と言える』

 

アスト「すると、広義のダンジョンじゃないゲームブックは何だ?」

 

NOVA『ジャクソンの作品だと、「サイボーグを倒せ」が明確に非ダンジョン構造的なストーリー主導作品と言えるだろうな。ここでは、地理的な移動ではなく、発生する事件を追って物語を進めることになる。それと、事件が起こる日数管理が問題になる点も含めて、「サラモニスの秘密」はゲームシステムとしては、「モンスター誕生」よりも「サイボーグを倒せ」の後継者的な感じがする』

 

ダイアンナ「地理的な移動や探索よりも、事件(ミッション)を追って、その中でクライマックスにつながる情報やアイテムを集めるゲーム構造ってことだね」

 

NOVA『ジャクソンのゲームブックは、アイテム重視のリビングストン作品に比べて、数字パズル的なパラグラフジャンプを駆使した情報重視のゲームブックだと考えていた。ただ、「サラモニスの秘密」は数字パズルの面を〈綴り呪文〉に集約したせいか、それ以外のパラグラフジャンプの要素は減退し、またアイテム取得に重点を置くようになっている。その点は、旧来のシステムに退化した? と思しき面もあったんだが、代わりに一般人から冒険者に、そして難事件を解決できる英雄に段階を踏んで成長する少年主人公と、それを表現できる成長システムで、従来のFFゲームブックにない「一冊でありながら大河ストーリーを感じさせてくれるキャンペーン物語性」を味あわせてくれた』

 

アスト「物語の中で主人公が段階的に成長するから、ゲームシステムもはっきり能力値の成長を表現したんだな」

 

NOVA『で、本作最大の新鮮さは、冒険者になる前の一般人視点」というものを能力および経済の両面で実感させてくれたことだと思うな。冒険者になる前の能力値が(エラッタ適応後だと)本当に弱々で、FFゲームブックの主人公が普段はいかに優秀なのかを再確認させてもらったわけだし、金がなくて宿に泊まるのも一苦労という底辺生活を(乞食視点も含めて)味わった。冒険中に味わう過酷な試練というのは、それなりに経験した記憶もあるが、冒険に出る前の無力な自分と、そこから英雄になるまでの這い上がりを1冊で体験できるゲーム性は、前半と後半の価値基準の変化も実感できて、灯台下暗し的な体験だったな、と』

 

ダイアンナ「時間経過も珍しいよね。例えば、バルサスはたった一夜の冒険行だし、一つのゲームブックでかかる日数としては、最長じゃないかな」

 

NOVA『「さまよえる宇宙船」のようなSFだと、惑星から惑星へ飛び回る行動範囲の広さから結構、長期間になりがちだけど、ファンタジーだと数日、長くて1週間ぐらいの仕事になるかな。でも、本作では各ミッションを終えた際の日数経過も明確で、以下のようになっている』

 

1.農場:1日

2.カエル沼とドリーの村:8日

3.鉱山:1日

4.コーヴン村:8日

5.シャザール:15日

6.邪教団:1日

7.ヨーレの森:8日

 

NOVA『ミッション4から3へ調査活動を継続する場合に、日数経過が1日しか経たないのは、瞬間移動でもない限り変なので、2つのミッションを合わせて8日と解釈したらいいのだろうな。要は曜日経過が合わせて1マス進んだというゲームシステムだ。曜日以外の日数管理はゲームに影響しないってことで』

 

アスト「すると、本作の時間経過はおよそ1ヶ月前後と考えられるな」

 

NOVA『なお、ジャレッド王子が行方不明だった期間は、1年以上だったことが最後のパラグラフで語られている。1年以上も行方不明だった王子を、冒険者になって1ヶ月前後の新米冒険者が救い出すのに一役買ったわけだから、まさに運命神に導かれたとしか言いようがない』

 

ダイアンナ「素人の少年が冒険者生活を始めて1ヶ月ほどで英雄に昇り詰める物語、それこそが『サラモニスの秘密』だと』

 

NOVA『で、80年代は大きなミッションを与えられて、それを達成するのに400パラグラフをかけていたんだが、今作はミニミッションをいくつも与えられて、それをある程度、自由な攻略順番で体験できる。パラグラフ選択の自由度は非常に高いので、初見プレイだと自由にあれこれ試して遊ぶと思うんだ。もっとも、強ディートンでプレイしたからこその自由性だと後から分かったんだけどな』

 

アスト「弱々ディートンだと、勝てない敵や運だめしの成功率が低いなどの制約が大きいから、そこまで気楽に進められない、と」

 

NOVA『俺個人としては、最初に自由度の高さを味わえたのが幸いだったと思う。それで一度、行けるところまで自由に進めて、おおよそのストーリー構造をつかんだところで、アイテム不足で死んだ。それで攻略順を緻密に検討しようか、と思ったタイミングで、初期ステータスが本当は低い固定値で始まり、そこからの育成を綿密に考える必要があるゲーム性だったということを知って、「今回のジャクソンは優しい(易しい)?」と最初に感じた印象がガラッと覆ったわけだ。今作の難易度を決めるのは、今までの基準とは違って難しいと思う』

 

ダイアンナ「〈綴り呪文〉を使うかどうかで、ずいぶんと難易度が変わって来るみたいだね」

 

NOVA『〈綴り呪文〉の謎々を考えるのは好きだったけど、攻略記事ではその楽しさを表現するのが難しいな。結局、謎の答えのワードとパラグラフ番号を示すだけで、お茶を濁した形だけど』

 

アスト「謎解きのワードがストーリーに関係しているので、そこは面白いアイデアだと思うな」

 

NOVA『クイズを解くと、ピンチの状況が打開できるというのは、ストーリーとパズルの融合という意味でジャクソンらしいゲーム性と思うな。まあ、この辺は安田社長の解説書の受け売りだけど』

 

ダイアンナ「でも、〈綴り呪文〉は絶対じゃない、と」

 

NOVA『そもそも、〈綴り呪文〉が使える場面が限定的だから、それぞれのミッションを解決するための裏ワザ的なところがあって、正攻法的な解法、もしくは〈綴り呪文〉が必要でないパラグラフ選択が用意されている。パラグラフ解析すると、〈綴り呪文〉以外の攻略手段も分かって、別の技能でも、あるいは技能を使わなくても(名誉点の制限を除けば)攻略できるようになっている。技能選択の有利不利はあっても、特定技能がなければ解けないというゲームにはなってないので、その意味での自由度は高いわけだ』

 

アスト「自由に技能選択はできるけど、この技能を習得していないとクリアできない……ってゲーム性にはなっていない、と」

 

NOVA『技能選択の有利不利はあっても、絶対に必要ってわけではないから、キャラ作りの汎用性は高い。その分、パラグラフ選択や、ミッション攻略順はきちんと考えていかないと、必要アイテムを買い逃したり、資金が不足して詰んだりする仕掛けはある。その辺の攻略の自由さから正解を見つけ出すルート選択は、ジャクソンの昔からのゲーム性なので、初見は自由さを楽しんで、いろいろなイベントを楽しんでから、後で必要アイテムは何かをチェックして、正解の攻略順を吟味するのが正しい解き方なんだろうな』

 

ダイアンナ「ダディは正しい解き方をしなかった、と?」

 

NOVA『俺は1回死ぬと、どうすれば死ななかったのか、正解を見つけてから(サイコロを振るゲームを中断して、パラグラフを読むだけで仕掛けを把握してから)再挑戦することが多い。それと、ゲームをプレイするのと、選ばなかったパラグラフをチェックして解析メモを作っていくのと、大体は同時並行で進めて行くから、死亡回数は比較的少なめだと思う』

 

アスト「パラグラフ選択のミスで死んだ場合に、最初からやり直すプレイヤーもいれば、死んだパラグラフはスルーして、そのまま続けるプレイヤーもいるもんな」

 

NOVA『俺の場合は正解を選んでも、少し進めてから、選ばなかったルートを遡ってチェックしてイベントを確認するようにしているな。そこに取り損ねたアイテムがあったりすると、がっかりする』

 

ダイアンナ「そういう時はどうするのさ?」

 

NOVA『そのアイテムは取らなかった形で先を進めるのがフェアだと考えてるな。あくまで、パラグラフ解析で知ったイベントはIFストーリーという形でとらえる。まあ、攻略ノートには記しておくけどな。そのアイテムが後で必要と判明して、それ以上、先へ進むのが不可能なバッドエンドと分かったら、その結果を受け止めて最初から、もしくはセーブしておいた番号、および記憶、もしくは記録したデータがあれば、途中からアイテムを拾って再攻略する。そして、最後まで進めるルートを発見したら、改めて最初から最後まで、もう一度解き直して攻略完了……ってなことを昔はしていた』

 

アスト「今は?」

 

NOVA『攻略記事を書きながら、だからなあ。面白いネタを記録するとか、プレイ中のアクシデントなんかも記事ネタとして楽しむようにしている。自分のドジなんてのも、笑えるネタとして十分使えるなら、それこそが楽しいリプレイってものだ。まあ、死にまくってストーリーが進まないのは、記事としてつまらないと思うんで、ストーリー展開を重視するんだけど、ダンジョン物だったら、自分のキャラが通らなかったルートをIF展開でイベントチェックしたりはしているわけで』

 

アスト「正解だけでなく、外れルートの中にも面白いイベントがあったりするもんな」

 

NOVA『そこを知らずに、完全攻略をした気にはなれないわけで』

 

ダイアンナ「だからこそのバッドエンド解析なんだね」

 

 

バッドエンド・リスト

 

NOVA『では、当ブログ名物のバッドエンド集だ』

 

・96:〈ヨーレの森〉の大魔術師の弟子になり、『バルサスの要塞』につづく。厳密にはバッドエンドではないけど、『サラモニスの秘密』は途中で終了という形。

・123:ザラダン・マー軍の一員として、ガレーキープに搭乗し、トロール牙峠戦争に参戦する未来が運命づけられた。

・131:ドリーの魔女を怒らせて、カエルにされる。

・137:〈ヨーレの森〉でハーフエルフの頼みに応じず、ユニコーンを解放しなかったので、弓で射殺される。

・148:徴税官ピンチペニーに投獄されて、そのまま放置されて牢死。

・164:サグラフの訓練所から脱出しようとして失敗。ガレーキープの乗員たちの食料にされる。

・191:鉱山の落盤に埋められて圧死。

・193:ガレーキープの網に捕まり、捕虜となる。絶望的な囚人生活エンド。

・217:失った背負い袋の所持品を、冒険者ギルドが返してくれないことに激怒し、暴言で罵った挙句、投獄される。サラモニスで冒険者になる道は閉ざされた。

・255:カエル沼の湿地にハマって、脱出できないまま沈みこむ。

・310:呪いを解くのに必要なアイテムが欠けているので、重要な任務が失敗する。冒険者をあきらめて、農夫になるのがいいかと思う。

・331:ロングベアードと2人だけでは、シュリーカーの大群に太刀打ちできず、襲われて奮戦虚しく死亡。

・344:偵察任務中に見つけたゴブリンライダーの集団に、無謀にも単独で挑んで倒される。

・350:カエル人の群れに囲まれて殺される。

・359:スティトル・ウォードのエルフたちに受け入れられず、不審な侵入者として仲間とともに抹殺される。

・406:〈震える男〉の居場所が分からず、重要な任務が続けられない。冒険者をあきらめて、農夫になるのがいいかと思う。

・420:洞窟の床が崩れて、地底川に落下する。冷たい急流に飲まれて溺死エンド。

・426:ガレーキープの罠に捕まり、捕虜となる。絶望的な囚人生活エンド。

 

NOVA『以上、バッドエンドの数は480パラグラフのうち、17もしくは18だ。「バルサスの要塞」へつづくエンドを数に入れなければ、17となって、全体の約30分の1。すなわち3%ほどで、それほど多くない』

 

 

サラモニスの難易度チェック

 

★サラモニスの秘密(難易度8)

・ラスボスが強い(◎):技術点11、体力点14のシュリーカー女王は、十分強敵だと思いますが、それだけではなく、本作は主人公の能力がいつもより弱く、とりわけ体力点が伸ばしにくいので打たれ弱いのがハンデとなります。その分、装備品による強化や体力ポーションを複数本購入ができるので、戦闘中のポーションがぶ飲みによる回復が他の作品よりも行いやすく、ボスキャラの実質的な脅威度は数値ほど大きくは感じられません。むしろ、強化が不十分なときに出会う技術点9程度の敵の方が脅威に感じますね。

・全体的に罠が多くて死にやすい(X):バッドエンドの数も少なく、致命的な罠も少ない。罠が少なすぎて、〈罠の知識〉技能を活用する機会が少なくて(2ヶ所しかない)、その分、引っ掛かると致命的ながら、アイテム不足による攻略失敗の方が圧倒的に多いだろうと思う。

・パズル構造が複雑(◎):ジャクソンなので、パラグラフ構造によるトリックとか、〈綴り呪文〉によるパラグラフ・ジャンプとか、随所に見られるパズル性が目玉の一つ。数字を足し合わせることで行き先のパラグラフを決める点とか、攻略し甲斐のある文字と数字のパズルが面白く、翻訳者泣かせでもあったとか。

・ゲームシステムが難しい(◎):成長ルールにつながる名誉点もさることながら、最初の能力値の決め方がいつもと違うということで(エラッタ適用後)、いつものFFと感覚が違うんですね。成長ルールの解釈も、プレイヤーごとの差異があるようで、ルールそのものはシンプルとも思うのですが、新規のルールがいくつもあって、一つ一つの把握に多少の手間を要するかも。久しぶりの新作だから、システム的なアイデアもいろいろ組み込んだのだろうな、と。

・フラグ管理がややこしい(◎):アイテム管理と、日数管理と、ミッションの攻略順とか、一つ一つはシンプルでも、いろいろな情報が錯綜すると、ややこしく思える。アイテム総数は近年のリビングストン作品に比べると少ない分、楽に思えるが、名誉点と所持金の管理が手間かな。一つ一つは簡単なんだけど、チェックするべき情報が多いゆえに煩雑化している形。

 

ダイアンナ「難易度8か。難しいゲームだったんだね」

 

NOVA『う〜ん、どうだろう。本作が「火吹山ふたたび」や「モンスター誕生」に相当するほど難しいとは考えにくいんだが。主観的には、「バルサスの要塞」や「危難の港」「サイボーグを倒せ」と同じ難易度6ぐらいが妥当だと思う。ただ、それは俺が〈綴り呪文〉のルールに馴染みやすかったり、最初は強ディートンのイージーモードでおおよその構造を見極めるプレイをしたり、ラスボスの能力を前もって踏まえたうえでのキャラ育成をしていたりで、楽に解ける道を追求したからかもしれない』

 

アスト「ゲームシステムが難しいというのを、◎ではなくて、◯と解釈したら難易度7に落ち着くんじゃないか。ルールそのものはシンプルと書いているし、難しいと感じる要因の一つは途中でエラッタが入ったことと、いつもと初期値の勝手が違うゆえの感覚の違いだと思うし」

 

NOVA『だったら、難易度は7〜8と考えるのがいいかな。いずれにせよ、本作は新ルールが多く、「サイボーグを倒せ」みたいに技能選択が多彩で、いろいろな解き方を試せそうで、自由度が高く幅広い遊び方ができそうな作品だと思う。まあ、名誉点とアイテムが縛りになったせいで正解ルートが限定された結果、見た目の自由度が損なわれた感じでもあるが、ジャクソンの作品は元々、そういうものかもしれない。いろいろ寄り道とか多彩なイベントで魅せてくれるけど、正解は一つ的な』

 

ダイアンナ「自由度の多さは錯覚ということか?」

 

NOVA『それでも、ミッション攻略順番とか、攻略の仕方に多少の自由度は設けてあって、完全に一本道というわけでもないし、外れルートも外れと思わせないぐらい物語として楽しいのがいいんだな。ユニコーン・ミッションでのラズニックおじさん同行イベントとか、これを外れと思うのは初見ではなかなか難しいんじゃないか』

 

アスト「ゲームとして攻略上の正解は用意するけど、正解じゃないルートも楽しく物語体験できるようにアイデアが詰め込まれているってことだな」

 

NOVA『本当は1回クリアして、それで、はい終わりって思って欲しくなかったんだろうな。〈綴り呪文〉でクリアしたら、次は〈格闘〉で用心棒ルートとか、〈カリスマ〉+〈世界の知識〉とか、いろいろ遊べるようにした、と』

 

ダイアンナ「だったら、『サイボーグを倒せ』みたいに技能別攻略を試みたら?」

 

NOVA『いや、それには及ばない。「サイボーグを倒せ」は選んだヒーローの特殊能力に応じて、攻略ルートも別々で4通りが用意されているのが凝っているんだよ。本作はそこまでではない。例えば、〈罠の知識〉があれば攻略できるダンジョンが、他の技能では攻略できないから必然的に他のミッションを選ばざるを得ないとか、技能ごとに攻略できるミッションが別々に用意されて、それぞれ違う正解が用意されているなら、4周する意味が出てくる。でも、本作は技能ごとの有利不利はあっても、各ミッションは技能に関係なくクリアできるようになっている』

 

アスト「その辺が自由度の高さである反面、どの技能でも攻略ルートの選択には影響しない(結局、同じストーリーになる)から、違う能力で繰り返す意味が少ないわけだな」

 

NOVA『で、有利不利で言うなら、〈綴り呪文〉+〈幸運〉が一番解きやすく、〈罠の知識〉が一番使えない(つまらない)ってことになる。まあ、名誉点を一番稼げる可能性があるのは、〈カリスマ〉+〈罠の知識〉の合計5ポイントだけど、ダイスによるランダム要素が付くからな』

 

ダイアンナ「技能を一切覚えない攻略は、名誉点が16点に達しないという理由で不可能なんだよね」

 

NOVA『おそらくな。「いや、こういう風に進めばできます」という意見があれば、拝聴したいものだ。技能習得時にもらえる名誉点は重要だろう』

 

アスト「サグラフの訓練所で1点稼いで、リーブラの聖印で1点稼げば何とか技能なしクリアができるんじゃないか?」

 

NOVA『それは……行けそうだな。でかした、アスト。よし、技能なしクリアが可能という理論が成立した。わざわざ試みるつもりはないが(サグラフの訓練所から生きて脱出するための難易度がそこそこ高い)、絶対に不可能じゃない縛りプレイということが分かっただけでも、収穫だ。これを実践して成功させた読者がいれば、コメント欲しいなあ』

 

アスト「理論を考えたら、お前がやれよ。人に頼らずさ」

 

NOVA『考えたのは俺じゃなく、お前だろう、アスト?』

 

アスト「オレに、ザラダン・マーの軍隊養成施設に入れ、と言うのか!?」

 

NOVA『それもまた一興』

 

アスト「イヤだ〜。そういう過酷な縛りプレイは、オレの生きる道じゃない〜」

 

ダイアンナ「……と言うことで、縛りプレイに挑戦するかどうかは、プレイヤーの自由ってことで。作者のジャクソンさん、訳者の安田社長さん、楽しいゲーム体験をありがとうございました」

 

NOVA『影に隠れているけど、ジャクソンさんの執筆を助けた共同著者と言われるジョナサン・グリーンにも感謝だな。いつか、彼の作品も日本語で読めることを願って』

(当記事 完)