ミニ・ゲームブックのあれこれ
アスト「とりあえず、いくつかの短編をクリアしたので感想を書いておこう」
アスト「なお、表題作の『ハンテッド・ガーデンハート』の攻略記事はこちらだな」
ダイアンナ「わずか37パラグラフの短編だから、一記事で攻略できた作品だね」
アスト「本書には、全部で10本の作品が収録されている。その内訳は以下のとおりだ」
- ハンテッド・ガーデンハート(37パラグラフ)
- かえる沼の龍神(54パラグラフ)
- ネグラレーナの平日(16パラグラフ)
- ガルアーダの塔 外伝(20パラグラフ)
- フィンガーセイバーの冒険(25パラグラフ)
- マドレーンの海域(33パラグラフ)
- ゴルギアスロフの旅の店(52パラグラフ)
- 胸おどる黒豚アグー亭(29パラグラフ)
- トーンの地下水道(52パラグラフ)
- カオスフレイムの戦士(153パラグラフ)
アスト「6番からはFFシリーズ的なルールで、キャラ作成ができる。5番まではキャラが固定で、サイコロを振ったりはしない分岐小説の類だな。今回は5番までをクリアしたので、その感想を語りたい」
かえる沼の龍神
ダイアンナ「かえる沼と言えば、FFシリーズでも『サラモニスの秘密』や『モンスター誕生』でも舞台となっていた魔境だね」
アスト「ああ。アランシアならぬアランツァ世界にも、かえる沼という土地があって、ローグライクハーフの最初のシナリオの舞台となった聖フランチェスコ市からポートス川を上って、赤錆川流域に位置する場所だ」
アスト「かえる沼は他のFT書房製ゲームブック『かえる沼を抜けて』のメイン舞台になっていて、それはそれで面白そうとは思うのだが、すぐには手が出ないので未来の楽しみにしておくとしよう」
ダイアンナ「こちらのかえる沼にも、かえる人がいるんだね」
アスト「FFでのかえる人よりは穏健で、話ができる種族のようだ。アランツァのかえる沼も、オマージュ元はクール大陸のサソリ沼のようで、近隣の集落も原典のフェンマージをアレンジしたマインフェージ村。こうやって関連作がいろいろつながって来るのは面白いと思うな」
アスト「で、かえる沼には赤龍ボリスという主がいたそうだが、最近、その神のごとき龍が病気か何かで死んじゃったそうで、かえる人が聖地に埋葬したという話だ。その龍の心臓にあるドラゴンストーンを巡って、エルフの狩人ニワトコ(男)と、ノームのからくり師ペドラ(女)の2人の冒険者が競争することになる。プレイヤーはどちらかのキャラクターを選んで、龍の遺体を発見して相手よりも先に宝を入手しようって話だ」
ダイアンナ「2人で協力しようって話にはならないのか?」
アスト「2人とも負けず嫌いで、素直になれないんだな。そんな2人がそれぞれの経緯で龍の遺体を探す。キャラが2人いれば、攻略ルートもそれぞれ違ってくる。基本的には、単独で野外の探索ができるニワトコが自己完結できるのに対し(戦闘もこなせるし)、ペドラの方は壊れた荷車の修理とか交渉とかを通じて、NPCとの関わりで話を進めていく形になる。自分の選んだキャラ特性に合わない行動では成功できないので、それぞれのキャラの最適ルートを探すゲーム性だ」
ダイアンナ「ジャクソンの『サイボーグを倒せ』の簡易バージョンってところだね」
アスト「ニワトコは足跡追跡や野生の獣を狩ることができて、戦闘力が割と高い方だから、体力ヒーローって感じだな。一方のペドラは、搦め手タイプの技術ヒーローに近い。短編とは言え、一作で2つの物語を楽しめるから、得した気分にはなれるな。で、最後は両者がクライマックスの洞窟で遭遇して、物語が収束する。龍の遺体を守るゴーレムを前に、単独の力では突破できないんだな」
ダイアンナ「2人で協力する、と」
アスト「ゴーレムの弱点を突くことは、からくり師のペドラにはできるんだけど、単独では相手に接近することができない。もちろん、ニワトコ単独ではゴーレムを倒すことができない。そこで2人は一時共闘して、ニワトコが相手の攻撃を引きつけながら囮となっている間に、ペドラがこっそりゴーレムの弱点を突いて、相手を無力化させることに成功する。協力しない選択肢を選べば、バッドエンドだな」
ダイアンナ「2人が協力の大切さを学んで、ハッピーエンドだね」
アスト「最終的にはそうなんだが、もう一波乱あってだな。番人のゴーレムを制した後、ペドラが抜け駆けして目的のドラゴンストーンを先に手に取るんだ。しかし、ドラゴンストーンには龍の魔力の残滓が濃厚に宿っていて、うかつに手にした彼女は亡き龍の精髄を身に宿した龍の器に変貌しそうになるんだ。ペドラ視点では、『ニワトコに助けを求める』か『意地を張って求めない』かで運命が決まる」
ダイアンナ「助けを求めなければ、龍の後継者として怪物化してしまうんだね」
アスト「新たな龍として完全に乗っ取られて、我を失ったままニワトコを殺害して、かえる沼の龍神と化すバッドエンドだ。素直に助けを求めるなら、ニワトコの矢の一撃でドラゴンストーンが弾き飛ばされ、ペドラの呪縛が解ける。ドラゴンストーンは地底の奈落に落ちて回収不能になって、2人の冒険は失敗に終わるんだけど、魂を救われたペドラがニワトコに感謝と、抜け駆けした謝罪の言葉を述べて、ニワトコも『最初から2人で協力すれば良かったんだな。今回は1人でできないことがあることを学んだ。次の冒険はきっと成功するさ。協力の大切さが分かったんだから』……ということで、ニワトコとペドラが互いに素直になって、冒険仲間として、あるいは男女のパートナーとして結ばれたようなハッピーエンディングだ」
ダイアンナ「いい話だ。あたしとアストみたいな」
アスト「アニー……」
ダイアンナ「アスト……」
(しばし、お待ちください)
ネグラレーナの平日
アスト「さて、簡単な短編ラブコメ小説っぽい甘酸っぱさも感じさせた『かえる沼の龍神』に対して、次の超短編は盗賊都市ネグラレーナを舞台とした、12歳の貧困少年が成り上がるか、のたれ死ぬか、様々な未来が待ち受けるマルチエンド作品だ。わずか16パラグラフなのに、エンディングが8つもあって、スラム街での様々な運命が描かれている。どちらかと言えば、ちょっとしたフローチャート占いに、小説風の文章描写が付いたような感じか」
ダイアンナ「乞食に身を落とした少年の成り上がり、という意味では、『サラモニスの秘密』の前半部分に近いかもね」
アスト「もっとシンプルだけどな。では、そのエンディング(少年の運命)を見て行こう」
・2:港で船長に金で買われ、奴隷の船乗りになる。しかし、身を粉にして働いた5年後に何とか自由を買い取り、そこから海賊として名を上げるまでになる(グッドエンド)
・3:ゴーブの寄生虫を腹に宿して、怪力を会得した。素早い少年の体躯と、思いがけない怪力を備えた兵士として、活躍するようになる(グッドエンド)
・4:こっそり侵入した闘技場で、名刀ケージュを盗みとる。刀の力で剣技の腕が上達して、名うての冒険者として暮らすようになる(グッドエンド)
・5:屋台からサンドイッチをくすね取ろうとして店主に見つかる。罪の報いに片腕を切り落とされて、物乞いとして生きていくしかなくなった(バッドエンド)
・6:セエラ伯爵夫人に見染められ、色事の技を仕込まれる(たぶんグッドエンド)
・9:劇的な経験がないままに、1日を無事に過ごす(ノーマルエンド)
・13:盗賊剣士を目指したものの、ケンカっ早い性格が災いして、任務に失敗して死亡(デッドエンド)
・14:親切そうな精肉屋に騙されて、食材として密かに殺される(デッドエンド)
ダイアンナ「盗賊剣士として成り上がるのかと思えば、そんなことはなかったんだね」
アスト「ネグラレーナと言えば、やはり『盗賊剣士』がメジャーなんだが、その道で大成するのは難しいってことだな。結局のところ、この短編主人公の成功する運命は、船乗り→海賊ルートと、寄生虫持ちの兵士と、盗んだ刀を振り回す冒険者と、伯爵夫人お付きの男娼、もしくは片腕の物乞いということになる」
ダイアンナ「物乞いはバッドエンドじゃないのか?」
アスト「底辺に落ちても、しぶとく生き残る方がデッドエンドよりはマシという扱いなんだな。ともあれ、盗賊ギルドとはまた別のネグラレーナの一般市民、というか孤児の少年のささやかなサバイバル人生を描いた作品だ。セエラ伯爵夫人や、盗賊ギルドのアレハンドロ、そしてアビゲイルが顔見せ的に登場しているので、作品ファンなら楽しめたってところだな」
ガルアーダの塔 外伝
アスト「これも、別のゲームブックの前日譚ということになる」
アスト「タイトルからして、有名ゲームブック・シリーズの『ドルアーガの塔』3部作のオマージュだな」
アスト「で、『ガルアーダの塔』の本編では7人の仲間が登場するらしいが、そのうちの1人、ガリィ・ザ・ダークをプレイする作品だ」
ダイアンナ「ガリィとはどういう男だ?」
アスト「船乗りの息子で、自分は冒険に憧れる考古学者で、自分の冒険譚を本にする執筆活動もしている。でも、剣も魔法もできなくて弱い。ゴブリンと聞いて、強敵だと思ってしまう男だ」
ダイアンナ「ええと、数が多くて厄介とか、油断していると足元をすくわれるとか、そういうことではなくて?」
アスト「安全な冒険ができる遺跡を探して、冒険譚のネタにしたがっている。武力じゃなくて、口八丁の交渉術が得意みたいだな。そして、本外伝はわずか20パラグラフだけど、非常に巧妙なパズルになっていて、『お金とアイテム入手』を上手く考えないと、解けない。正解が一つしかなくて、その正解を見つけるための試行錯誤が大変なゲームなんだ。解法は以下のとおり」
1:手持ち金貨5枚。金貨2枚で石ころを2つ買う。残り金貨3枚。
6:好戦的なゴブリンと遭遇。石ころ2つを投げて、パラグラフ8から10に行く。ゴブリンを撃退して、金貨3枚入手。残り金貨6枚。
16:ゴブリンの商人から銀のカギ(金貨6枚)を購入。残り金貨0枚。その後、鉄の扉を開ける。
13:鉄扉の中には飢えたネズミの群れがいて、怯えたゴブリン商人は逃げ出す。その隙に、鉄缶の中に入った金貨16枚を入手。残り金貨16枚。
3:両開きの扉の方に向かい、剣士コルデ・ローザに金貨3枚を支払う。残り金貨13枚。銀のカギで扉を開ける。
7:帰ってきたコルデ・ローザに金貨12枚を支払う。残り金貨1枚。
20:お宝ゲット。アヴィヨンといっしょに、海の向こうのジンド大陸に向かう渡航費用を獲得。4年後に、『ガルアーダの塔』の冒険開始。
アスト「パラグラフ1の最初の商人のところで、金のカギ(金貨2枚)と、剣(金貨3枚)が買えるんだが、どちらを買っても攻略不能になってしまう。直後のゴブリンを切り抜けるためには、武器がないといけないし、剣があれば普通に突破できるので、初見だと大体、剣を買ってしまうわけだな。すると、残り金貨が2枚で、ゴブリンから金貨3枚を入手して、合計金貨が5枚になる。しかし、その5枚では銀のカギが買えないわけで」
ダイアンナ「最初に金のカギを買えば、いいじゃないか」
アスト「コルデ・ローザに通してもらうためには、金貨が合計15枚必要なんだな。ネズミの群れから逃げたゴブリン商人のところから、所持品を1つ持って行くことができる。金貨も枚数に関係なく、まとめて所持品の1つとして考えるので、ゴブリン商人から銀のカギを買って、彼の鉄缶に入った金貨を10枚から16枚に増やしておく必要がある。もしも、銀のカギを未購入なら、銀のカギを持って行くか、金貨10枚を持って行くかの2択になって、両方が必要になるために、攻略失敗になる」
ダイアンナ「だから、銀のカギの代わりに、金のカギを最初に買えばいいのでは? そちらの方が安いんだし」
アスト「その場合、手持ち金貨が石ころ2個と金のカギを買った残りで1枚。そしてゴブリンから金貨3枚をゲットしても、4枚にしかならなくて、ゴブリン商人から金貨10枚をくすねても、ギリギリ金貨14枚にしかならないんだ。非常に緻密に金貨の枚数とアイテムの値段が設定されている作品だと思うぞ」
ダイアンナ「剣を買わずに、石ころ2個でゴブリンを倒すのもポイントなのか」
アスト「剣だと金貨1枚分、出費が多くて、銀のカギが買えなくなってしまうからな。最初に石ころ2個というのが、初見ではなかなか選択できない」
ダイアンナ「石ころ1個では、ゴブリンを倒せない、と?」
アスト「石ころはパラグラフジャンプを発生させるようになっていて、敵と出会った際に、パラグラフ+2すれば、石ころを投げたことになる。ゴブリンと出会うパラグラフ6で、剣を持っているかいないかという選択肢が出て、剣があればゴブリンを倒せる、なければ倒せなくてゲームオーバーという仕様なんだが、そこで、6→8→10という2度のパラグラフジャンプでないと、ゴブリンは倒せないんだ」
ダイアンナ「剣なら一撃、石ころなら二撃が必要ってことか」
アスト「とにかく一手まちがえると解けなくなる、詰め将棋みたいな短編ゲームってことだな。力技では解けないので、知恵と工夫と緻密な計算(と試行錯誤)が必要なパズルと言える」
フィンガーセイバーの冒険
アスト「これはこれで、アイデアが面白い小品だ。主人公はサン・サレンの街の名門ココフ家の次男坊。この家系は未来予知の力を持った者が生まれるんだが、『2人以上の予言者は不幸を招く』という家訓もあって、兄が予知の力を発揮した後(その能力で家業の商売を発展させるだろう)、弟である主人公にも予知の力が発現した。その事実を家族に知られると、殺されてしまうという予知が出たので、こっそり家を出て冒険者になることを決意した主人公という設定だ」
ダイアンナ「未来予知をどうゲームで表現しているんだ?」
アスト「フィンガーセイバー、すなわち指セーブって奴だ。選択肢を選ぶ際、1つだけを覗き見て、イヤな結果だったら元のパラグラフに戻っても構わない。いわゆるズルが主人公の特殊能力として公然と許可されているわけだ」
ダイアンナ「すると、扉が2つあって、片方だけは中を覗き見て判断できるのか」
アスト「ああ。ただし、実際の指セーブは両方、覗き見て、良い結果の方を選ぶことをしがちだが、本作では片方だけを見れる。それでも即死バッドエンドは回避できるわけだな」
ダイアンナ「公式ルールがそれで、ゲームが成り立つのか?」
アスト「例えば、最初の冒険で海を選ぶか、陸を選ぶかという選択肢がある。海を選ぶと、海賊船の奴隷にされた挙句、海に落下して溺死する未来が見えた。だったら、海ではなくて陸がいいって話になる」
ダイアンナ「割と、攻略記事でもよくやっている手だね」
アスト「時空魔術とか、覗き見とか、攻略記事を書く都合とか称しているよな(苦笑)。で、陸での冒険で、ギャンブルにのめり込む未来とか、ダンジョン探索とか、未来が読めるための悲哀だったり、堕落だったりを描きつつ(『リプレイ』という小説の雰囲気にも近い)、ダンジョンの仕掛けが面白かったりする」
ダイアンナ「ダンジョンの罠も怖くなさそうだね」
アスト「ところが、ここで未来が見えても防げないトラップが示される」
ダイアンナ「どんな罠だ?」
アスト「扉の向こうにメデューサがいる。その顔を見た瞬間、石化してしまうわけだが、未来予知でメデューサの顔を見た主人公は、扉を開ける前から突然、石化してしまうという末路を迎えたりもする」
ダイアンナ「未来視でも、メデューサを見るのはダメなのか」
アスト「そういう罠と、もう一つ、ダンジョンの仕掛けで面白いのは『とある部屋や宝箱に攻略のための手がかり(パラグラフジャンプの情報)が示されている』んだけど、『部屋に入ったり、宝箱を開けたりすると、バッドエンドの罠でゲームオーバーになる』という仕掛けがあって、そういうのを未来予知の力で手がかりだけ回収して攻略する仕組みだな」
ダイアンナ「主人公は、罠を発見したり、解除したりする特殊能力は持たないのか」
アスト「あくまで、パラグラフ選択によって発生する未来(の可能性)を見ることしかできないんだな。で、未来視は強力な能力なんだけど、絶対ではないことを主人公(とプレイヤー)が学んでいくのが物語として面白い。あと、未来視ができる人間は、どうも容易に堕落してしまうことを悟った主人公が、『熱血漢で無謀ながら情熱的な目的を持った気のいい相棒とコンビを組んで、決定権は彼に与えて、自分は良きアドバイザーとして立ち振る舞うのが上手く行く』という教訓を得て、冒険で手に入れた財宝から宿の共同経営者という目標を見出す最後がさわやかでいい感じだな」
ダイアンナ「相棒には、自分の能力を伝えない方がいいんだね」
アスト「絶対に外さないギャンブラーという境遇にハマると、不幸な結果になるから、むしろ人とコミュニケーションを交わして、結果が分かっていても、実現すればワクワクできるような目的を抱ければいいとか、未来予知という特殊能力だけに頼らずに、その他のスキルアップも図ればいいとか、自分の選択だけで決まらない不確定要素の他人の選択を大事にして、幸不幸のバランスをとって行こうとか(その上で、決定的な損害は回避するように振る舞う)、予言者の知恵というものを体感できるような面白い作品だった」
マドレーンの海域、そして……
アスト「さて、この作品からキャラクターを作って、ダイスを振ることを楽しむゲームになるんだが、この『マドレーンの海域』は他のゲームブックのような物語上のゴールが設定されていないんだな」
ダイアンナ「どういうことだ?」
アスト「プレイヤーキャラは船乗り、もしくは乗客となって、本土の港町ビストフから、7つの島があるマドレーン諸島を自由に巡って、各島の特産品を入手しながら交易で金儲けしていくのが目的なんだけど、途中で航海中のイベントや、入手できる交易品などがランダムダイスで決まり、種々のアクシデントを楽しみながら、飽きるまで、あるいは船が転覆してバッドエンドを迎えたりするまで、楽しみ続けることができる。
「例えば、いついつまでにお金をいくら稼がないといけないとか、とある島に眠っている魔王の封印を強化するために3つのアイテムを探さないといけないとか、そういう目的があれば、ストーリー上のゴールが設定できるんだろうけど、ただ、ひたすら航海と交易を楽しむだけのゲームだな。ランダムイベントを楽しむだけの、物語性に欠けた作品と言っていい」
ダイアンナ「ストーリー的な目的のないゲームは、ゲームブックと言えるのかね?」
アスト「例えば、T&Tのソロアドベンチャー『カザンの闘技場』は、闘技場でのバトルイベントをブック形式で楽しむゲームだが、キャラが死ぬまで、または飽きるまで延々と楽しむことができる。まあ、ゲームだから物語抜きにイベントを楽しむだけでも面白ければそれでいいとも思うが、攻略記事のネタとしてはどうかなあ。ルールやパラグラフを読んでの感想としては、物語性の欠如を感じて、ゲームブックとしては異色作だと感じる。まあ、ここから先はプレイしていないので、プレイした段階でまた感想が変わるかもしれないが、今回は紹介だけに留めておこう」
カニコング「そうでごわすな。次は吾輩の出番でごわすよ」
アスト「また、突然、湧いて出て来たな」
カニコング「突然ではないでごわす。かねてから出番を狙っていたわけで。予定どおり、リビングストンの『トカゲ王の島』をクリアしたでごわすよ」
アスト「何だと? いつの間に?」
カニコング「そんなわけで、次回からは『トカゲ王の島』の攻略感想記事を始めるでごわす」
ダイアンナ「熱帯の島を舞台にした異種族の王との対決話だったね。いかにもウルトロピカルって感じじゃないか。楽しみにしていよう」
(当記事 完)