前回の記事で、高校時代のNOVAがついにD&Dを購入したところまで、書きました。
でも、そもそも「D&Dって何よ」って話はあまりしていなかった気がします。
まあ、TRPGというカテゴリを付けている以上、TRPG、すなわちテーブルトークRPG、会話型ロールプレイングゲームが何か、ぐらいは知っていることは前提ですが、それでもあえて説明しておくと、ドラゴンクエストを代表とするコンピューターRPGの起源になった原点です。
系譜を簡単に書くと、「D&D」→「ウィザードリィやウルティマなどの海外コンピューターゲーム」→「ドラクエ」という流れをたどって、80年代の日本にゲーム業界の隆盛をもたらした大元ということですね。
正式名称は「ダンジョンズ&ドラゴンズ」。基本は、ダンジョン(地下迷宮)に入って、ドラゴンを初めとする怪物たちと戦い、宝物を手に入れたりしながら、経験を積んで強くなっていく冒険ゲームです。
コンピューターRPGの経験者に向けて書くと、テーブルトークRPGではゲームマスター(D&Dではダンジョンマスター、DM)と呼ばれる仕切り役がコンピューターの役目を果たします。
プレイヤー各人の扱うキャラクターたちが関わった状況を説明し、モンスターを操作して戦いの判定役をし、プレイヤー側が勝ったら報酬を与え、次の冒険に導く役どころ。冒険シナリオを作ったり、市販の物から選択したりするのもゲームマスターの仕事で、いろいろ面倒くさい役割ですが、それをこなすことで物語を想像・創造する力が養われ、冒険小説家になるためのスキルが磨かれていくという恩恵があります。
他にも、ゲームマスターを映画監督になぞらえたり、ワールドデザイナーやシナリオライターの練習ができると捉えることもできます。もちろん、ゲームデザインを考える上でも土台となることでしょう。
つまり、ゲームを通じて、いろいろなことが経験できるわけですな。
コンピューターゲームだと受け身になりがちな作業を能動的にクリエイティブにこなすことで、磨かれる技の数々は他の追随を許さない……って、何これ、ゲームマスターが何だか学習教材の宣伝文句みたいになっているぞ。
いや、まあ、NOVAはこれまでのささやかなTRPG人生において、プレイヤーよりもゲームマスター経験の方が圧倒的に多く(要するに、NOVAの周囲に積極的にゲームマスター役をやってくれる友人が少なかった)、どうしても視点がゲームマスター寄りになってしまうのですな。
ついでに、一時期「そんなわけあるか」とツッコまれたのですが、「掲示板で書き込む客人としてよりも、掲示板管理人として振る舞うことの方が慣れている」と語ったことがありまして、「普通は他人様の掲示板であれこれ書き込む経験をしてから、自分でもサイトなり掲示板の運営に手を出す」ものらしく、そういう歪さを自覚してから、改めて自分がいられる他人様の庭を探し求めた経験もあります。
どうも昔から経験不足のまま書籍情報だけを頼りに、いきなり難しい作業にポンと飛び込んでしまい、自己流であたふたする癖があるようですな。まさに冒険者な人生と感じることも。
といった感じで、D&Dのゲームマスター道なんかを人生のバイブルの一つにしてきた人間は、NOVAみたいな奴になるぞ、という実例でした。
さあ、冒険の世界へ足を踏み入れたまえ。
★セット1 ベーシックルール
さあ、再び赤箱ですぞ。
このラリー・エルモアさんの描いた「宝物庫を守ろうとするレッドドラゴンと、それに立ち向かう雄々しき戦士」の格好いい絵を見て、ワクワクして来ない人とは、あまりいいお友達にはなれそうにありません。
いや、「え、ベーシックレベルの戦士だったら、この後、ドラゴンブレスで火葬されるか、爪で引き裂かれるか、牙で噛み殺されるかがオチじゃない?」という身も蓋もない感想を抱いた方には、一言。
腐ってやがる(NOVA同様)。
さすがに、少年時代のワクワク感を思い出すとともに、ゲームにおける現実がいちいち頭をもたげてくるようじゃ、純粋さを失ったよなあ、と悲しくなってきます。
でも、まあ、気を取り直して。
このルールセットでプレイできるのは、1レベルから3レベルまで。
それでも、ドラゴンはしっかりルールに入っていて、最弱のホワイトドラゴンでもHD6、画像のレッドドラゴンだとHD10に達します。HDというのはヒットダイスの略で、まあ、レベルに相当する数字。それだけの数の8面ダイスを振ってヒットポイントを決めますので、レッドドラゴンがどれだけ強くても、マスターのダイス目がボロボロでオール1という公立高校受験を諦めた方がいいような結果が出れば、ヒットポイント10で、ベーシック戦士一人でももしかすると勝てるかもしれない。
なお、期待値にするなら、レッドドラゴンはhp45点ですね。ええと、ロングソードで5回殴って、全て命中して、ダメージが最大値(1d8に、戦士だから最低でも筋力ボーナス+1を想定)だったら倒せるぞ。
余裕だね。
と思いきや、レッドドラゴンのAC(アーマークラス)はマイナス1。この時期のD&DのAC、すなわち防御力は低い方がいいので、これは相当硬いということ。念のため、板金鎧と楯を持って完全武装した戦士のACは2。敏捷力の能力値がマックスの18で、ようやくレッドドラゴンに並びます。
でも、こんなレッドドラゴンにこっちから有効打を当てるなら、20面ダイスで20を出さないといけません。
まあ、戦士の筋力に下駄を履かせて、マックスの18ならプラス3のボーナスが得られるので、17以上を出せばOKです。確率にして20パーセントだぞ。後は勇気で補え。
って、こんなのがD&Dを知らない人に読ませる記事ですか >NOVAさん
これが商業雑誌の記事なら、編集さんからボツをもらうこと間違いなしですね。想定している客層をちっとも考慮していないわけで。
いや、まあ、ラリーさんの素晴らしいイラストに刺激されて、脳内のどこかに眠っていた変なスイッチが入ったんだと思います。
ともあれ、実際のゲームでは、少なくともこのセットのレベルでは、このイラストのような戦いは想定されていないはずですが、それでもイメージイラストとしては、まさに「地下迷宮と竜」というタイトルをまざまざと見せつける素晴らしい絵だと思うのですよ。
今のD&Dにはラリーさんが関与していないので、表紙のイラストも壮大な英雄伝説って感じじゃなくて、変にリアルでグロい感じになっていて、ワクワクはしてきませんね。
まあ、これが今の時代のセンスなのかもしれませんが、だったら時代に付いていけない懐古趣味な自分を痛感して、残念です。
もっとも、ベーシックセットなら、新版もベーシックに相当するスターターセットを比べようということで、これなら幾分、昔寄りかな。
とりあえず、アマゾンの商品画像を貼り付けたら、どんな感じかな、と確かめる実験でした。
相変わらず脱線が多くて、他のルールの画像は貼れませんでしたが、今回はここまでにしておきます。