ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

イモータルへの道(改めてダイナスト&エピックヒーロー編)

 コンパニオンルールの紹介記事からの派生です。

 

 コンパニオンルールでは最初に、レベル15ぐらいまで成長したキャラクターのその後の人生の選択肢として、拠点を築いて定住するか、それとも放浪と冒険の旅を続けるかの二択が示されます。さらに、その先の究極の目標として「イモータルへの道」というガイドラインが初めて提示されるのですが、コンパニオンルールではほんの触りだけで、詳細はマスタールールに委ねられます。

 

 マスタールールまでは日本語翻訳されたのですが、その後の金箱と称されるイモータルルールは和訳されることもなく、日本のD&Dプレイヤーの間では「幻のイモータル」とも呼ばれる扱いに。

 まあ、個人的には、イモータルをプレイするというのは、考えることも非常に多くなって、そんなに楽しいのかな、と思わなくもない。神さまの視点で、地上の人類の暮らしを見つめながら、そこに介入することで自分の勢力を強くするような感覚になるので、RPGをプレイするというよりも、もっと上から目線のボードゲームをプレイするような感じかな、と想像します。

 ゲームマスターとしてプレイヤーキャラの行動を物語面で仕切るとか、掲示板やブログの管理人としてトラブルにならないように考えて運営するとか、3次元世界の住人として2次元世界のあれこれを語るとか、そういう現実の行動が、ゲーム内のイモータルとやっていることが大して変わらないんじゃないか、と考えると、わざわざそういうプレイをゲームでしてもなあ、と思わなくもない。

 

 で、結論としては、イモータルってなってからが楽しいのではなく、そこに到達するまでの過程で、あれこれ想像を膨らませるのが楽しいんじゃないか、と今は感じる次第。

 ただ、まあ、これまではそのイモータルへの道すら、まともに考えたこともなかったわけですな。

 

 それで、今回はしっかり考えて、すでに「ダイナスト」と「エピックヒーロー」について、記事を書き散らしたわけですが、

 ダイナストは帝国主義者で世界征服、あるいは天下統一を目指す方向性。

 

 まあ、最近、水野さんの『グランクレスト戦記』最終巻を読み終えて、どういう形で感想を書こうかな、と思っている最中なんですが、一応の主人公で物語の究極目標である皇帝聖印を獲得に至った君主テオは、それによって世界の混沌を全て消滅させ、混沌から力を得ていた魔術師や邪紋使いの力を全て奪い、聖印の力さえ無きものにしてしまい、この世界はファンタジー世界じゃなく、我々の住む秩序と科学の世界として構築しようという方向性を示唆。

 おかげで、世界は平和で希望あふれるハッピーエンドになったのだけど、冒険の舞台としてはまあ、つまらなくなってしまったとも。だって、特殊能力を持ったプレイヤーキャラも全てただの人になるわけですからね。まあ、それでも手に職つけた技能は消えないので、コツコツ真面目に働いてきた人は、特権なくしても暮らしていける流れ。

 

 さすがにD&Dのイモータルは、それに到達したからといって、世界の根幹構造まで変えてしまうものではないと思うのですが、その辺はDMとの要相談になるのでしょうな。

 PCが世界の改変者となって自分たちの望む新世界を作っていくのか、それとも世界の守護者となって既存の秩序を脅かす混沌の敵と戦うのか、どっちが好み? って感じ。

 

★ダイナストについて復習

 世界をどう変えるか。
 これについて、一番はっきり帝国作り、という形で示したのが、「ダイナスト」の道です。

 例えば、D&Dで城を作る道を選んだとする。この際、プレイヤーはどのような城を作るのか、そのマップをDMとの相談やアドバイスを含めて、自分で設計する必要があります。もちろん、そのためのガイドラインがD&Dエキスパートルールにはしっかり載ってあって、施設や城壁の建造費用とか明記されており、例えば「18m×18m、高さ24mの城本体」を建設するのに金貨7万5000枚とか、そんな感じ。D&Dのルールだと、冒険中に手に入れた金貨の価値=経験値になりますので、城本体を作れる資金を集めれば、戦士は1レベルから7レベルまで成長できる計算になります。
 冒険の目的の一つが城作りということであれば、ある程度の段階で、プレイヤーが城を「ダンジョンマップを作る要領」で自ら設計し、そのためにかかる費用を計算し、それだけの資金を得るために頑張って冒険するという遊びも可能。
 あるいは、「自分で城のマップなんて作れないよ」というプレイヤーのために、既存のダンジョンマップを流用したり、冒険中に探索した廃城、古城を修復、改築したりするという選択肢だってある。改築だったら、建造費用が半額で済むとか、その辺の裁量はDM次第。

 ともあれ、世界のマップに、自分の城が誕生するのが世界改変の第1歩。まあ、エキスパートだとそこまでしかルールに書かれていませんが、コンパニオンルールだと、その続きがあります。つまり、領地経営のためのルール。
 まあ、さすがにルールを読むだけだと抽象的すぎて、具体的にどういう感じにプレイしていけばいいのか良く分からない人も多いでしょうが、そこで具体的な冒険物語の例を示したのが、コンパニオン最初のシナリオ(ルールとは別売り)『大いなる試練』。D&Dの魅力の一つに、市販の冒険シナリオの充実がありましたので、最初はシナリオ集をそのまま(慣れたら一部アレンジしたりして)使うことで、新ルールで新たに提示された冒険のあり方について、DMとプレイヤーが学習することもできた、と。

 そして、城を建てて、領地を経営しながら、攻めてくる敵の軍勢を撃退したり、あるいは自らの領地を広げたりしながら、やがては広大な帝国に。え、侵略戦争なんてしたくない? それなら、DMの方から、悪の帝国を設定し、攻めてくるだけです。戦わないと生き残れない。そう、攻めてくる敵国を返り討ちにし、悪政に苦しめられた民衆に救いの手を差し伸べるために、自ら併合してあげるという道もあるわけですな。
 この辺は、自ら積極的に攻めるプレイスタイルと、防衛戦争の結果、相手国を滅ぼしてしまって仕方なく統治してあげるという受け身なプレイスタイルの両方があって、後者だったのが野心に火がついて前者に切り替わることも考えられます。
 もちろん、戦争以外に友好国との外交をメインに物語を展開することも考えられますがね。友好国がモンスターの軍勢に滅ぼされて、命からがら逃れてきた王女を助けて、モンスター打倒の軍を起こしたり、戦争ではなく少数精鋭の勇者パーティーを率いて、モンスターの親玉を撃破したりなどの末、助けた王女を妻にして、亡国の復興を助ける名目で統一王国にするという物語も可能。

 こういうことを繰り返しながら、支配力のおよぶ範囲を広げていった結果が、「ダイナストへの道」というわけで、クラシックD&Dの推奨する冒険の大きな一つです。まあ、こういう方向性だと、プレイヤーもワールドマップを見ながら、領土経営のあり方とか、次はどの国と戦うか、あるいは友好関係を結ぶかなどを積極的に考える必要が生じます。プレイヤーに積極的な世界への関与を促すスタイルですね。
 さすがに、普通の高校生が楽しめる物語スタイルではないでしょうが、経験を積んだ大人向けのゲームを意図したのでしょうな。

★エピックヒーローについて復習

 そして、定住しての領地経営という道に関心を持てない永遠の冒険者たらんとする人たち向きの目標が、「エピックヒーロー」となるわけですな。
 世界中を旅して回りながら、訪れた街や国で困っている人の問題を解決しては感謝されつつ、新たな街へ向かうさすらいのヒーローへの道。
 あるいは、人助けよりも、自分の好奇心を満たすための探検や、世界中に隠された宝を見つけるための探索行など、冒険の目的は人それぞれ。

 まあ、割と普通の冒険物語を延々と繰り返すだけでも、D&Dは十分に遊べます。もちろん、高レベルということは、世界の方も一介の冒険者としては見てくれず、何らかの肩書きを寄越そうとしてくるのでしょうがね。完全に世捨て人として気儘な風来坊でいるか、それとも公職に就きながら、それと自分たちの冒険行をどう両立するかが一つの課題かな。
 とりわけ、戦士の場合、どこかの王国に形式だけでも忠誠を誓い、ナイトの称号を得ないと、戦闘オプションが使えませんから、この辺はDMと要相談になりますね。
 別にナイトだからといって城務めだけが道じゃないし、ナイトの身分を隠しながらも王様から「そちの力量を見込んで、特別な使命を与える。世界各地を旅して回れ。そして、諸国の様子をその目でしっかり見てくるのじゃ。何か大きな異変があれば、戻って報告することだけを期待する。古の古文書によれば……いやいや、ただの杞憂かも知れぬから、今はまだ気にしなくていいぞ。過去に封じられた大いなる邪悪の復活など、どうせ夢物語じゃろうからな」と、伏線らしき情報とともに、自由な旅に送り出されるといいかな。
 こういうレベルのプレイングガイドも、80年代当時はなかったですな。一応、今、「コンパニオンルールをしっかり活用するなら」というIFで書いているだけだしね。

 でも、冒険を36レベルまで繰り返すなら、大いなる邪悪とやらを何体、倒すことになるんでしょうね(笑)。たぶん、大いなる邪悪を倒したと思ったら、「あやつなど、古に語られし七つの邪悪の中でも最弱の一体に過ぎん。さらなる恐怖がいずれ目覚めるであろう。それに向けて、そなたたちも精進を重ねるがよい」とか言われて、修行の地のギアナ高地らしき魔境へ行かされるとか、真の魔王を倒すための伝説の武器のありかを求めて各地の情報を尋ね歩くとか、いろいろ冒険のネタを繰り返すことになるのでしょうな。
 長期に渡る連載冒険マンガと同じで。これぞ、エピックヒーロー、伝説の勇者の物語なわけで。

(完。パラゴン編に続く)