ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

イモータルへの道(ポリマス編)

 さて、ひとたびドルイ道に踏み込んだら、そこからフォーセリアやら、5版やら、アドバンストやら際限なく話が広がる気配なので、書く内容を整理するためにも、すぐに終わらせそうな記事はさっさと片を付けようと思います。

 

 そんなわけで、ついに来ましたイモータル最後の道「ポリマス」。

 つづりはpolymath。日本語の意味では「博学多識の人」「大学者」って感じで、まあ、理系文系どっちも教えている万能塾講師を最近自称してみたNOVAなんかも、ポリマス予備軍になるのかなあ、と慢心の精霊に取り憑かれてみるわけですが、悪霊よ去れ、とすぐに謙虚な自分を取り戻すでござる。

 

 ええと、クラシックD&Dのイモータルにおけるポリマスは、知識のみならず全てのキャラクタークラスを極めた万能キャラ、俗な言葉で言えば「何でも屋」を指す称号です。

 まずは戦士から始めて、十分育ったら、輪廻転生して魔術師、その次は僧侶、その次は盗賊と合計4つの人生をレベル1から始めて、それぞれの人生でアーティファクトを獲得し、人生リセットして全ての道を相応のレベルまで歩み通した時に、やがて過去世の全ての記憶を取り戻す。

 すると、そこにいるのは戦士でありながら、魔術師呪文と、僧侶呪文と、盗賊技能の全てを使いこなす完璧超人。

 

 いや、昔、このルールを読んだときは、凄いなあ、アメリカ人って暇なんだなあ、俺には真似できないなあ、と痛感したわけですが、何でもできる万能キャラって憧れたりもしました。

 でも、よくよく考えてみると、コンピューターゲームなんかでは、割とそういうキャラを育てているんですね。ファイナルファンタジーのジョブジェンジとか、ドラクエ6とか7の転職システムは結構そんな感じ。特に、ドラクエで転職を繰り返した先に「勇者」になれるというのは、それこそポリマスじゃん、と思います。

 

 つまり、TRPGでは複数プレイが基本だから非常に難しいことが、コンピューターRPGの一人プレイだと、普通に達成できる。

 まあ、達成しちゃうとその場は満足しちゃうんだけど、それはゲームが終わる時なので燃え尽きたような虚しさが残り、また別の楽しみを求めたりしながらも、時経て、「あの時は、あのゲームを楽しんだなあ。あの時の感動は何だったんだろうなあ。もう一度味わえたらいいんだけどなあ。でも、さすがに時間も気力も体力も昔ほどはないよなあ」と振り返ったりもしながら、時に思い出話として昇華することに。そして、若き日の冒険の日々は、美化された記憶と共に伝説へ……たぶん、イモータルってこういうことだと思うぞ、主観的には。

 

 大帝国建設を目指す皇帝の夢。

 人々を救う流離のヒーローの夢。

 研鑽を重ねた最強魔術師の夢。

 何でもできる万能超人の夢。

 

 全てが夢であり、そこに手を伸ばしては、うまく掴めたり、掴めたと思ったら幻だったり、とても手が届かないと断念したり、それでも飽くなき挑戦魂で現実そっちのけで追い求めたり、イモータルを「不朽の夢想、現在の伝説や神話の英雄」と解釈すれば、そこには人生の縮図が見え隠れするのかもって、そんな気がします。

 気のせい、と言うなかれ。夢を忘れた旧い地球人よ。

 

★もう少しポリマス

 さて、前書きでは、いささかフワフワした抽象的な記述でしたが、もう少し具体的に掘り下げていくとしましょう。

 ポリマスは「ファイターに好意を持ち、物質の領域への道である」と定義されます。物質の領域は、不変と安定を表しているのに、ポリマスになるためには4つの職業を転々と転職しなければならない。これぞ、不定形ライフというもの。
 ある時は剣で戦うファイター、ある時は魔法で戦うマジックユーザー、そしてまたある時は神の使いクレリック、さらには忍びの技を使いこなすシーフ。しかるに、その実体は……人を超越した完璧超人イモータルを目指すポリマスさ。
 この変幻自在の転生を繰り返して、全てをつかみ取った何でも屋こそがポリマスだ、と。
 正に「人間じゃなくなった不定形」を象徴する道ですな。

 まあ、仮面ライダー的には、鎧武の極フォームとか、今後出る予定のビルドのジーニアスフォームとか、全ての武器を使いこなすオールマイティーな最終形態って感じです。
 いや、アギトのトリニティーフォームとか、電王のクライマックスフォーム、キバのドガバキフォームとか、ゴーストのグレイトフル魂とか、全部乗せで強いけど、最終フォームではないものもそれなりにありますが。
 オーブさんも、最終的にはオーブオリジンが(スペック的にはサンダーブレスターなんかが強くても)、総合的なバランスなどでは最強格という扱いですし、やっぱ自分を見失わないというのも大切ですよ。他人の力を借りた強化形態を越えた先にある自分の成長した姿こそ最強、というのが割と近年のフォームチェンジの流れだったり……って、全然D&Dの話から外れてますな。

 ええと、自分らしくはあるんだけど、自分の書くべきテーマを見失わないのも大切。何でもできるというのは素晴らしいけれど、なまじ色々なことができちゃうばかりに、その場その場での最適な行動を選択できるかは結局、自分の強い目的意識とか判断力、自制力が必要、と実感します。
 素人がいきなりスペックの高いキャラをプレイしようとしても、何をしていいのか最適解が見出せず、性能をフルに発揮できないというのは、よくある話。それなら、まだ単機能型で行動選択に頭を悩ませないで済むキャラを扱う方が安心ってもの。
 だからこそ、ポリマスはきちんと段取りを踏むんですな。魔法使いでいる間は、ファイターの技が使えずに、普通の魔法使いライフを経験せねばならず、いきなり魔法戦士になったりはできない。この辺の、転職後は「以前の能力は封印されて使えない」というのがポリマス育成の厳しい点。万能完璧超人は最後のご褒美であり、その過程では「最初から再ゲーム」なわけですな。
 レベル30以上まで育てた戦士(イモータルへの道のスタートラインがレベル30)が、いきなりレベル1の魔法使いに格下げしてしまう悪夢って、想像すると並大抵ではないですよ。どんな罰ゲームやねんって気になります。

 超高レベル戦士の魂を持つ魔術師が、さあ、ポリマス探求の第一歩だ、と気合いを入れて転生後の初冒険に臨んで、流れ矢に当たって死亡。「イモータルへの道」完(合掌)

 こんな終わり方をすれば、プレイヤーの嘆きの声はいかばかりか?
 クラシックD&Dの死にやすいゲームシステムなら、十分あり得ることだけど。


ポリマス目指すプレイヤーP「DM、いくら何でも、これで終わりってことはないよなあ。俺の魔術師を何とか生き返らせて、続きをプレイさせてくれるよなあ。頼む、お願いだ(土下座)」

DM「そんなことを言われてもなあ。自分は本当はドラゴンランスのキャンペーンに時間を割きたいんだよ。今さら赤箱ベーシックの低レベルシナリオのマスタリングなんて、飽きちゃってさ。そんなことに時間を浪費したくはないわけで」

P「すると、俺の3年間、手塩にかけて育てたファイターのイモータル探求はどうなるんだ? こんなところで終わっていいのか? いや、いいはずがない。DMは責任をとって何とかするべきだ」

DM「お前さあ。そんなに言うんだったら、お前がDMすればいいだろうがよ。大体、3年間、俺にばかりDMさせやがってよ。俺だって、たまにはプレイヤーをしたいんだ」

P「自慢じゃないが、俺はDMなどしたことはない。金輪際する気もない」

DM「30レベル以上のファイターを育てたベテランプレイヤーが、DM経験ゼロってんじゃ、本当に自慢にならないな。シナリオアイデアなら出してやるぞ。お前の転生魔法使いの両親は資産家で、冒険の旅に出て行方不明になった子供の捜索を冒険者に依頼するんだ。そうして、他のプレイヤーキャラクターに遺体回収させればいい。もちろん、報酬は後払いできちんと済ませてな。遺体回収後は、両親が復活費用まで払って、お前の魔法使いを生き返らせたらいい。自分の不始末は、自分がDMを務めれば、シナリオのネタになる。いい機会だ、お前もDMデビューすればいい」

P「しかし、せっかく生き返らせてもよ。もう一度、魔法使いのレベルを上げるのは面倒臭すぎるぜ。何とかならないのか」

DM「お前が選んだイモータルの道だろうがよ。だったら、お前がさらにDM続けて、こんなシナリオにすればいい。過保護な親が、息子の無理無茶無謀な高レベル冒険の計画を聞いて、止めさせることもできないものだから、せめてもの支援のために、高レベル冒険者を護衛に雇うんだ。ダンジョンで手に入れた宝は、息子の分も含めて山分け。その代わり、護衛料として冒険者にも相応の報酬を与えれば、十分納得するだろうし、NPC息子としてもらった報酬から経験値を算出すれば、足手まとい魔法使いのレベルだって、ポンポン上がるだろうさ。イモータルの道だって、DMの立場を併用すれば、何とか踏破可能だと思うぞ」

P「そうか、その手があったか。よし、俺もDMをやるぜ。来週のDMは俺だ」

DM(やれやれ、やっとその気になったか。イモータルはDM養成ルールという噂は本当だったようだな)


 こんな感じで、まだうまく行った例もあれば、大切なキャラをプレイ中の事故で殺された恨みで、DMに復讐を敢行する「イモータルならぬ犯罪者街道を突き進んだ大人げないプレイヤー」とか、「失意のあまりD&D稼業から足を洗って引退したプレイヤー」とか、「失意のあまり、この世からも足を洗って、リアルなイモータル世界へ旅立ったプレイヤー(俗な意味での仏さまってやつ)」とか、まあ洒落じゃ済まないケースもそこそこあったんじゃないか、と推測しつつ。
 さすがに、こういうのは統計データが残っているとは思わないけど。「D&Dが原因で、犯罪を犯したり、自らの命を絶ったりした統計データ」なんてものがあったりしたら、マスコミの格好の攻撃材料になるだろうし。まあ、これまでも恣意的なデータが悪意をもって用いられてきた可能性はあるけどさ。
 日本では、そこまで社会現象にはなっていないけれど、アメリカではスピルバーグ監督が『ET』の映画でD&Dを楽しむ少年たちを映像化してから30年、いまだに、そのことを思い出話としてインタビュー本で語っている某SNE社長とか(懐かしいのにタイムリーさを感じて好き)、そのスピルバーグ自身がD&Dモチーフ(それだけじゃないけど、かなり大きな位置付け)の映画『レディ・プレイヤー1』の監督やっている事実とか。
 映画の中で逝去した有名ゲームデザイナーのジェームズ・ハリデーは、D&Dの生みの親で原作小説の発表数年前に逝去したゲイリー・ガイギャックス氏へのオマージュであることは、D&Dマニアの中では有名な話。
 まあ、映画はそういう宣伝の仕方をしていないし、原作にあったD&D臭を消す方向で作られているけれど、バーチャル世界に作られたハリデーの部屋が、そういうオマージュに溢れていて興味深かったり。
 映画の中では、ハリデーさんその人がイモータルみたいな描かれ方をしていて、プレイヤーに温かい気持ちで、過酷な試練を与えたりもしていますな。正に元祖ダンジョンマスターそのもの。RPGマニアを自認するなら、この映画こそは是非見るべき、と太鼓判を押しますよ。原作小説もね。


 ともあれ、ポリマスの話に戻すと、過酷な3つの輪廻転生の試練を果たすと、ようやく完璧超人になれるわけですが、イモータルへの道は、もう少しだけ続きます。
 3つの転生時代のそれぞれでアーティファクトを入手した後、ポリマスは12レベルに到達するまで、たった一人で冒険しなければなりません。ええと「勇者ひとり旅」でドラクエクリアしなければならないとか、そういうの? 本当に、やり込みプレイヤーの領域だなあ。まあ、ドラクエ1ならひとり旅がデフォだけど。
 で、ひとり旅の最中に、自分の冒険の旅を記念したメモリアルタワーを建造して、ゲーム内世界で10年間、タワーを維持し続け、さらに戦士、魔法使い、僧侶、盗賊の弟子を一人ずつ冒険に伴い、育成することをもって、晴れてイモータルになれる、という本当におつかれさま、なゲーム道だったり。

 ここまで到達するのに、一体、何回のプレイが必要とされるか。
 コンパニオンルールには、一応、DMルールの方にプレイ回数の指針があって、「1レベルアップするのに、3~8回のプレイが望ましい」とのことで、プレイ頻度ごとに増減こそすれ、DMはそれに合わせた宝やモンスター、経験値の調整をするガイドラインが提示されている。こういうのをきちんと読み込んで実践すれば、目的に合わせたスケジュール管理、バランス調整の感覚とかが養われるんだろうなあ、と思いつつ。
 で、まあ1レベルアップに最低3回という指針に合わせるなら、36レベルで108回。毎週プレイしても、2年から3年ほどかかる計算。ええと、学生のサークル活動なら、週末D&Dプレイというのも可能かな。
 そして、ポリマスの場合、3度の転生プレイでそれぞれ最低5レベルまで上げることを求められるので、レベルアップ4回×3回×3職分の計36回が加わり、さらに、そこから12レベルまでの一人旅なので7×3の21回が加算され、累計57回をイモータル獲得の試練に費やすことに。
 1回のプレイをアニメや特撮番組の1話分に例えるなら、冒険のスタートからイモータル到達まで全165話。

 まあ、D&Dのプレイ時間がたったの30分で終わるはずもなく、大体うまく運んでも2時間から3時間ぐらいは掛かるので、ここは少なく見積もって2時間、映画1本分を基準とすると、イモータルになるまでに映画165本を見るぐらいの時間が掛かるわけで。
 165回×2時間、すなわち330時間もゲームのプレイに付き合ってくれる友人たちがいて、初めて到達できるのがイモータル。まあ、ソロプレイなら何とかなりそうなんだけどね。最近のドラクエは50時間ぐらいで普通にクリアできる感じなので、ドラクエ7作ぐらいをプレイする気力があれば何とか。いや、やっぱりキツいか。

 なお、NOVAが一番TRPGをプレイした年(90年代のどこか)でさえ、プレイ回数は20回かそこらと記憶しますね。さすがに毎週欠かさずプレイとまでは行きません。2週に1度ぐらいのペースになりますか。まあ、TRPG以外にボードゲームやカードゲームのプレイ回数を含めると、もっと増えるんですけどね。
 年に20回のプレイでイモータルに到達するには、8年ちょっとか。まあ、ブログ記事とか掲示板書き込みに割く時間を想定するなら、不可能とは言わないけど(それぐらいは21世紀に入って余裕でこなしてきた)、
 同じ卓を囲む仲間と一緒の330時間ってのは、現在は1回、友達と会ってワイワイやるのに5時間から、夕食まで一緒で8時間ほどってことを考えると、40から60回ぐらいは会わないといけないので、学生時代ならともかく、今じゃ相当キツいですな。大抵の友人とは1年に5回も会えばいい方だし。もちろん、仕事絡みで毎日、あるいは毎週会う人は、この場合の友人(いわゆる趣味仲間)には含めず。

 ……ということで、ゲームの世界でイモータルになることは、今のNOVAには物理的に不可能であることが分かりました。DM権限を活かして、チートするならともかく。
 まあ、代償行為として、ブログ書くことで経験値を細々稼いで、イモータルに近いところをさまようことは可能、と考えてはおります。

 ともあれ、4つのイモータルの道は語り終えたので、最後にイモータル総括をして、イモータルへの道は終了したいと考えます。
(完)