ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

D&D各ルールブック紹介4(その1)

 今回は、クラシックD&D4セット目のルールブックの紹介になります。

 というか、3セット目のコンパニオンルールがやたらと長かったですね。 最初の記事が4月19日で、かれこれ3ヶ月前。

 その前のエキスパートルール4月14日で、たった一回の記事で終わっているもんなあ。

 念のため、最初のベーシックルール3月11日

 

   まさか、コンパニオンの記事だけで3ヶ月も掛かるなんて、その時は思いもしませんでした。

 まあ、コンパニオン関連の記事が長かったおかげで、別ブログの花粉症ガールの物語に「コンパーニュの塔」なんて設定ができて、そこに住むヒノキちゃんなどの設定を考えていただけたり、さらにドルイド話から次元ドルイドのハイラスさんが誕生するなど、文字どおり「仲間」設定がいろいろ生まれるという副次的な効果も。

 

  最初にコンパニオン記事を書いたときは「どうして上級ルールの名前がコンパニオンなのか?」ということを考えたりもしたのですが、実際にそこまでプレイを続けることができたというのは「ゲーム仲間」の存在あればこそでしょうし、「ゲームが育んできた仲間の絆。だからこそコンパニオン」ってキャッチフレーズが今だとしっくり来るように思えたり。

 

 そして、とうとうコンパニオンを経てのマスターに至る、と。

 

★セット4:マスタールール



実に久しぶりのラリーさんの表紙絵です。
これまでは、戦士とドラゴンの対決って構図でしたが、とうとうゴールドドラゴンに騎乗して、共に大空を駆け回る伝説の騎士にまで上り詰めました。

念のため、ネットで拾ってきたイモータルルールの表紙絵はこんな感じになります。



何というか、もう完全に住んでいる世界が違うって感じですね。
ギリシャ神話の神様みたいな裸マッチョな超人(そう書くと何だかキン肉マン的)が腕から光線を放ち、自分で空を飛び、宇宙のどこかの惑星で、ペットの赤竜と共に豪快な自己主張をしている。こういうのがイモータルというのなら、ちょっと憧れて自分もそうなりたいとは思わないかも。

純粋に格好いいという意味では、マスタールールのドラゴンライダーの方に痺れる憧れるって感じで、イモータル表紙は時空を超越した別次元の感性が要求されるというか、果てしない冒険の行き着く先が「ゴーゴーマッスルな超人オリンピックの世界」だと言うなら、キン肉マンのコミックを読めば十分って気もします。
あ、キン肉マンと言えば、「コンパニオンへの道(戦士編)」の記事で、マリポーサ=シーフ、ビッグボディ=ドワーフ、スーパーフェニックス=エルフ、ソルジャー=ファイターとなぞらえて、ゼブラだけが思いつかなかったりもしたけど、今だと答えが出ました。ゼブラ=ドルイドじゃないか、と。動物関係だし、使いこなすには相応の技巧が必要な職業だし。
そして、主人公のスグルになると、もう、これはイモータルでいいんじゃないかな。火事場のクソ力とか、フェイスフラッシュなんかはイモータルパワーの片鱗ってことで。

そんなわけで、イモータルを理解したければ、キン肉マンのコミックを読め、と結論してみるわけですな。実際にイモータルは超人オリンピックを通じて、階梯上昇するルールがあるみたいだし。
最初は適当な怪獣やスケルトンなキン骨マンらと戦って、ドジ超人と蔑まれながらも日常生活を楽しむ、そこら辺の冒険者と変わらない田園調布の牛丼野郎だったのが(ベーシックルール)、やがては世界の超人と戦ったり、外国遠征したりする中で(エキスパートルール)、ついにはネームレベルに達し(超人オリンピックV2チャンピオンの称号獲得)、7人の悪魔超人や悪魔六騎士、悪魔将軍らと戦い(この辺りがコンパニオン、仲間との友情パワーとかそんな言葉も頻出しますし)、完璧超人と戦い(マスターレベルかな)、運命の五王子と激突するのがイモータルへの挑戦に相当しそう。

おお、キン肉マンの一連の成長物語って、実にクラシックD&Dの成長ルールとしっくりつながるじゃないですか。
原作マンガの開始が79年で、大体AD&Dが生まれた頃。アニメ開始は83年で、クラシックD&Dの赤箱と同じ年。王位争奪編のアニメは91年で、新和版D&Dが最後の光を放った時期とかぶりますので、つまりクラシックD&Dの歴史はキン肉マンの歴史(とりわけアニメ)とほぼ同じ時期になるわけですな。
つまり、この場でキン肉マン話に寄り道するのも、実は寄り道ではなくて隠された王道、正道だったことに気付かされた次第。


って、マスタールールの話をするつもりだったのに、イモータルに触れてしまったために、話が異次元の彼方に吹っ飛んだ気もしますが、これもイモータルルールの表紙絵がマッチョな超人なのが悪い。
人間のレベルに話を戻すためには、ロビンマスクみたいに鎧を装着して、自分の強すぎる超人パワーを適度にセーブしないといけませんね。するとマスターレベルってのは、ロビンマスク相当と考えればいいのか、と。


★改めてマスタールールでの成長

イモータル的な超人キン肉マン時空から戻ってきて、人としての最高レベルがマスタールールです。つまりは、ミスターサタンジェロニモか。
ダメだ。超人ひしめくコミック界の人間キャラを考えると、どこかしょぼくなるので、コミックで例えるの禁止令を出さないと、マスターレベルへの憧れが霞んでしまう。

ええと、とにかくレベル26から36レベルのマスターレベルって凄いんだぞ。竜騎士なんだぞ。金色アーマーをまとった黄金聖闘士なんだぞ。マントと王冠だって付けて、いかにも王様って感じだぞ。
裸マッチョとは訳が違う。

さて、こんなマスターレベルですが、ちょっと経験値的に考えてみましょう。基準はファイターね。
まずファイターがレベル1から2に成長するのに2000点の経験値が必要になります。
続いて、エキスパートのレベル4になるには倍々で8000点。ここから倍々が続いて行き、レベル8で12万点。
この後は12万点ごとにレベルアップして、コンパニオンになるレベル15で96万点。
マスターレベルの26だと228万点で、つまりマスターとコンパニオンの差を経験値にすると132万点になるわけですな。最高の36レベルだと348万点で、平均すると1レベル10万点ぐらい。

なお、4つの職業のうち最初に36レベルに達するのは僧侶で290万点。次に盗賊で340万点。最も大変なのが魔法使いで435万点。
よって、僧侶が最高レベルに達したとき、戦士と盗賊は31レベル、魔法使いはようやく26レベルでマスターレベルに なったところ、という格差が発生することに。
現在のD&Dは職業によるレベルアップのしやすさは排除されていて成長段階は皆同じなんですが、TSR時代は職業ごとの成長格差は露骨にあったわけですな。


戦士「よし、経験値228万点でレベル26。ついにマスターレベルになったぞ」

僧侶「おめでとう。ぼくはレベル29なので、現在、神の道に邁進中なんだけどね」

盗賊「俺もレベル26だ。最初は盗賊が最速レベルアップだったのに、レベル12から逆転されたよな。こっちは1レベルアップするのに戦士と同じ12万点が必要なのによ」

僧侶「ぼくだけは10万点で1レベルだからな。やはり、神の道に最も近い職業がクレリックということだろうね」

魔法使い「そして最も遠いのが魔法使いですよ。1レベルアップに15万点も稼がないといけないから、僧侶さんの50%増し、他の二方の25%増しでレベルアップしにくい。何しろ、まだレベル22だから、マスターレベルに達するには60万点近く経験値を稼がないと」

僧侶「それだけあったら、ぼくは最高レベルになっちゃうよ」

エルフ・ドワーフ・ハーフリング「人間は成長できていいよなあ。我々はとっくに最高レベルで、イモータル? 何それ? な世界だし。デミヒューマンは辛いよ」


なお、デミヒューマンにも一応、マスターレベルでの成長ルールはありまして、アタックランクという形で攻撃命中率と攻撃回数だけは増やせるのですが、経験値228万点でエルフはアタックランクI、ドワーフはアタックランクK、ハーフリングはアタックランクHとアルファベット表記されています。
ハーフリングの伸びが意外と悪く、クラシックD&Dのクラスの中で最も成長が遅いと言われるエルフよりも成長が遅れるということで、総合的には一番不遇ということになりますな。


★マスタールールの概観

ベーシックルールはダンジョン中心。
エキスパートルールは広野など外の世界に目を向け、
コンパニオンルールは領主となって、あるいは放浪の旅を経て英雄を目指すところまで達した。

それではマスタールールでは何をするか?

ええと「天空を駆け、伝説の道へ踏み込め」と書かれてありますね。何だか用語がドラクエっぽい。
それにしても伝説、レジェンドか。確かに時空を超えた旅とかも自由に行えそうですな。
僧侶とか魔術師の最高レベル辺りの呪文には、次元移動を可能にする「トラベル」もあって、そういうのを連発できるだけの使用回数がマスターレベルのキャラにはある。
え、戦士や盗賊には、呪文が扱えないですって? いやいや、そんな非呪文使いをサポートするのが豊富なマジックアイテム、いやアーティファクトの類です。
ルールブックを読むだけだと、呪文使いに比べて非呪文使いは成長しても旨味の少ないキャラに見えますが、実際のプレイだと戦士は冒険中に入手した魔法の武器や防具を優遇されますし、盗賊だって探索に便利なアイテムを渡されることが多い。つまり、戦士や盗賊の成長は、マジックアイテムと共にあるといっても過言ではない。

表面的には、戦士というキャラクタークラスは成長ルールが少なくてつまらないように見えるかもしれませんが、コンパニオンの領地経営ルールは戦士を基準に作られていますし、魔法の武器に関するルールもやはり戦士中心。コンバットオプションも戦士のためのルールであり、もうルール全体で戦士をこれでもか、と優遇しているわけですね。領主にでもなれば、自分のキャラだけでなく自分の領地の内情も含めて、一番考えることが多くなる職業ですし。

そして、マスタールール。
ええと、単純な成長データだけだと、戦士に与えられたページはわずか1ページの3分の1。魔法使いが呪文リストも含めて5ページも与えられた中を、わずか3分の1ページのスペースを間借りさせてもらっている程度。
ちなみに僧侶はドルイドとセットで3ページ。
盗賊は1ページ。
デミヒューマンは3つまとめて1ページと、大きなイラストで1ページ。
1ページ分の命中判定表も含めると、マスタールールのキャラ成長部分は全部で12ページだけですな。プレイヤーズマニュアル32ページ中のね。

ちなみにコンパニオンルールでは20ページありましたし、エキスパートルールだと16ページ。いかにマスタールールのクラス成長要素が薄いかってことですな。もう、コンパニオンレベルも後半になれば、呪文使いは最高レベルの呪文を使えるようになるし、HPだって1レベルで1、2点しか伸びないし、マスターレベルだから劇的にこういう特殊能力を獲得した、ということは皆無です。
まあ、コンパニオンルールに収録されなかった新呪文が追加されたぐらいで、クレリックは2つ、ドルイドは7つ、マジックユーザーは12個の呪文が増えた、と。

では、マスタールールの価値はどこにあるか?
それは、プレイヤーズマニュアルだと、武器の習熟ルールである「ウエポンマスタリー」と、攻城戦ルールの二本柱。

前者は8ページ分で、武器で戦う職業全てに恩恵があります。とりわけ戦士でしょうな。

後者は10ページ分で、コンパニオンルールの大規模戦闘ルール「ウォーマシン」とセットで使う城砦攻略戦ルールの「シージマシン」が一つの目玉ですが、それ以上に中世の城砦攻略に関するイメージを高めるための創作資料という趣きが強い。攻城兵器に関するイラスト付き記述を読むだけで良い勉強になったなあ、と思いましたし。
ファンタジー小説や映画で、大規模攻城戦が描かれたシーンで、容易にイメージが湧いたりするのも、D&Dマスタールールの恩恵が大きいです。特に『ロード・オブ・ザ・リング』でローハンやゴンドールの戦いを初めて映像で見たときは、やはりD&Dのルールを思い出したものです。
マスタールールを買ったのは89年で、自分が大学生の年。そして、『ロード・オブ・ザ・リング』の該当シーンが公開されたのは、2作目が2002年で、3作目が2003年。10数年を経て、脳内イメージだけだった攻城戦が映像化されると興奮しきりだったのも良き思い出。まあ、その前に高校時代に原作小説を読んでいて、挿絵と文章でイメージを作っていたのもありますが、それを遥かに超える豪快さで、今なお自分のファンタジー映画、とりわけ城塞攻略の最高峰ですからね。

これが神レベルの戦いになると、もっと派手な映像もあるのでしょうが、人類VSオークなどの蛮族の兵士レベルのリアルっぽい攻城戦という形だと、CGでは出せない現実のセットや大道具の質量感と、CGの巧みな組み合わせの域に達し、つまりリアリティと想像のベストマッチ感が味わえるのは指輪物語がマイベストということで。

うむ、D&D話から、指輪物語のミドルアース時空に話が飛んだけど、キン肉マン時空よりは飛躍していないので、まあOKと。


他に概観ですと、コンパニオンのパラディンドルイドに相当する新職業として、「ミスティック」なる武闘家がDMルールで紹介されています。いわゆるモンク僧なんですが、わずか2ページほどのガイドラインで、最高レベルは16とか、本当におまけ程度の紹介。これについて書くなら、現D&Dの3版や5版のモンクについて書く方がよほど有意義かと思います。
クラシックD&Dのドルイドに対しては、欠陥ルールと断定しましたが、マスタールールのミスティックについては、ルール以前のガイドライン。プレイに導入するには、DMの自作要素が必要になるわけで、この辺はDIY精神、あるいはAD&Dのルールを参考にアレンジしなさいよ、って感じ。

なお、同じミスティックでも、ソード・ワールド2.0では占い師キャラになるので、念のため混同しないように。

一応、今回はマスタールールの第1回ということで、いろいろ寄り道もしましたが、概観を紹介した形。
まあ、目玉要素のイモータルの道については語り終えましたし、コンパニオンほどの時間は掛けずにさらっと流して、クラシックD&D話を秋には終わらせる予定。
その頃には、ロードスやソード・ワールド新版も軌道に乗っているだろうし、こっちもクラシックからアドバンスト、そして新世紀D&Dについて掘り下げる方向性を意図しております。

(完)