ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

D&Dの盗賊話(クラシック完結編)

D&Dコンパニオン以降の盗賊

 

アスト「さて、今回はクラシックD&Dの盗賊について語る最終回なんだが、困ったことになった」

 

カニコング「何がでごわすか?」

 

アスト「ネタがない」

 

ダイアンナ「ネタがないって、どういうことだ?」

 

アスト「文字どおりの意味だ。クラシックD&Dは、赤箱ベーシックルールでダンジョン探検の基本を解説し、青箱エキスパートルールでダンジョンから外の都市や野外の冒険について解説した。そこで盗賊というキャラの可能性は一気に広がったんだが、コンパニオン以降は盗賊について新しい情報が何もないんだ。話が終わった。『当記事 完』ってことだな」

 

ダイアンナ「いや、何もないってことはないだろう」

 

アスト「まあ、成長データはある。コンパニオン以降の盗賊の特殊行動はピックポケット(スリ)の伸び率が高く、コンパニオン最高のレベル25で140%、マスタールール最高のレベル36で195%を誇るようになる」

 

ダイアンナ「それは失敗しようのない数値だな」

 

アスト「実のところ、ピックポケットは相手のレベルが1上がるごとに、成功率が5%マイナスされる仕様なので、自分と同レベルの相手からスリ取るには結局15%ということになる。その昔、ロードス島戦記の盗賊ウッドチャックはラスボスの高レベル魔女カーラから額のサークレットをスリ取ったという実績があるが、D&Dのルールに厳密に従うなら、カーラのレベル×5%を成功率から減らさないといけないので、かなり厳しい判定になっていたと思われる。

「ただ、ロードス第1部のD&Dリプレイの最終レベルは8とか9ぐらいと記憶するので、ピックポケットの成功率は約6割。おそらく、カーラのレベル(マジックミサイルを5発撃ってることから最低11レベルと推測されたが、実際にはメテオの呪文を使っているので21レベル以上と見なされる)分のマイナス修正は計算されていないと考える」

 

ダイアンナ「昔話はよく分からないけど、100%以上の基本成功率があっても、相手のレベルや行為の難易度によって絶対成功とは限らないってことだな」

 

アスト「とにかく、クラシックD&Dの盗賊技術はレベルアップによって成功率が100%に近づくなり、時には100%を越えるなりの成長を果たすんだが、コンパニオンルールでも、マスタールールでもできることが増えるわけじゃない。成功率が数%ぐらい良くなっても、別に新しいことができるわけでもないので、やってることはマンネリで、それだけだとあまり楽しくないのが事実だ」

 

カニコング「緑箱コンパニオンや黒箱マスタールールを否定するつもりでごわすか?」

 

アスト「いや、職業による。呪文使いは新しい呪文が用意されているので、それだけで価値あるルールと言える。特殊能力を持たないファイターは一番、成長がつまらないと言われがちだが、エキスパートルールまでは同意する。しかし、コンパニオンルールでは、騎士や領主、パラディンなんかになったファイター用の戦闘オプションが加わり、できることが一気に増えた。マスタールールではウェポンマスタリーの恩恵を最も受けられるのがファイターだ。つまり、戦闘ルールにヴァリエーションが増えた分、コンパニオンレベル以上のファイターは非常に選択肢が広がって奥深いクラスになったということだ」

 

ダイアンナ「盗賊には、そういう恩恵はないのか?」

 

アスト「ウェポンマスタリーは、盗賊にも恩恵がある。とりわけ、デフレクト(受け流し)が使える剣類を装備していると、ACには関係なく一定回数までの攻撃を対デスレイSTに成功するだけで無効化できるので、盗賊でもファイターと遜色なく肩を並べて前衛でも戦えるようになるほどだ。

「まあ、ウェポンマスタリーのルールを採用するかどうかで、クラシックD&Dの武器戦闘の様相は大きく変わって来るのは間違いない。低レベルのベーシックでは何も変わりないが、レベル3もしくはレベル6で剣類をスキルドからエキスパートに訓練するだけで、盗賊キャラは接近戦キャラとして安定して戦えるようになる。もちろん、一度に複数の相手から狙われると厳しいし、結局、ファイターの方がもっと強いのは確かだが、コンパニオンルールではファイターだけに許された戦闘オプションが、ウェポンマスタリーの導入で他の職業にも一部解禁になるので、盗賊の戦闘能力にも恩恵が与えられる、と」

 

ダイアンナ「コンパニオンルールではファイターだけに恩恵が与えられたので、盗賊にとっては美味しくないが、マスタールールでは盗賊が武器戦闘でも積極的に戦えるようになる、と」

 

コンパニオンルールの領主話

 

アスト「ウェポンマスタリーは、盗賊が武器戦闘に励むのにもお得なルールだが、一方でコンパニオンルールは盗賊にとっての旨みが少ない内容と言えよう」

 

ダイアンナ「ええと、コンパニオンルールってどんなルールだ? コンパーニュの名前の元ネタになったということしか、よく分からんのだが」

 

ケイP『マスターNOVAが5年前に研鑽していた記録が残されているッピよ』

アスト「一言で言えば、青箱エキスパートルールで冒険者として成功し、城持ち領主となった戦士その他の仲間がどうやって自分の国を経営していくかについて書かれたルールだ」

 

ダイアンナ「今の時代に、タイムリーじゃないか。要するにキングオージャーだろう?」

 

アスト「まあ、王様ごっこができるルールではあるわな。じっさいには、王さまに仕える男爵以降の領主をプレイするわけだが。まず、冒険や戦争の結果、自分の土地を持った戦士は男爵になって、その後、土地を増やすことで勢力を広げたら子爵→伯爵→侯爵→公爵に出世して行ける。そのための領地経営ルールの概要やら大規模戦闘のルールなんかがダンジョンマスターズルールには記載されていて、中世ヨーロッパの騎士道封建社会をプレイすることが可能。場合によっては、魔法使いや僧侶がそれぞれ魔法国家や神権政治のトップに立つことも可能、と示唆だけはされているが、盗賊だけは扱いが微妙だな」

 

ダイアンナ「ウルトロピカルは、元快盗団の王が治めている国だろう?」

 

アスト「治めていると言えるのか? 肩書だけはキングだが、実際は時空魔術師の研究助手みたいなことしかしていない。まあ、ここの屋久島を真に治めているのは、次元ドルイドであり、大地母神と怪獣王の権威でもって原始神権社会を営んでいるだけの気がする」

 

ダイアンナ「まあ、国民はいないに等しいし、別に税を集めたり、統治機構を備えているわけでもないし、ごっこ遊びと言われたらそれまでだが」

 

アスト「現実に領地経営をしようと思えば、領地の人口を算出し、領地から採れる資源の種類や量を決め、いろいろとややこしい作業をしないといけないのだが、そこまで考えると、もはやTRPGと言っていいのかどうか」

 

ケイP『日本で君主PCが領地経営のできるTRPGシステムは少なくとも2作品が考えられるッピ』

アスト「まあ、領地経営をシステム化はしていなくても、領主役のプレイヤーが自分の国で起こった事件を解決するために、ダンジョンに潜ったり、モンスター退治したり、城を抜け出して悪人を成敗したり、お忍びの旅を続けたりする『肩書き領主、実務は臣下に丸投げ』って作品はいっぱいあるがな」

 

ケイP『キングオージャーも有能な家臣が働いてくれるから、王様は戦いに専念していられるッピ』

 

アスト「クラシックD&Dも元々は戦術ウォーシミュレーションゲームから、個人単位の冒険ゲームに発展して行ったのが、コンパニオンルールでTRPGとは違う方向に進化して、ゲームの本質を見失っているのでは? と批判もされたらしい」

 

カニコング「冒険ゲームのはずが、領地経営とか、軍隊を指揮してウォーゲーム紛いのデータ管理の複雑なゲームに流れてしまえば、これじゃない感を指摘されても当然でごわす」

 

アスト「しかも、大規模戦闘ルール(ウォーマシーン)は%ロールで行い、元のD&Dの戦闘ルール(D20で判定)とは似ても似つかない後付け感半端ないルールだからな。これをD&Dに加えるぐらいなら、大規模戦闘用シミュレーションとして別売りにしたルーンクエストやトラベラーの方がまだ潔いというか」

 

ケイP『本国ではともかくとして、日本ではウォーマシーンを扱うためのプレイサポート記事も特になく、コンパニオンルールの中でもプレイ環境が整いにくいルールだッピ』

 

アスト「結局、日本で君主として大規模戦闘を扱うRPGを作る際は、指揮官役のプレイヤーキャラの戦闘能力を軍勢がサポートアイテムのように高める形で、TRPG個人戦闘の延長に当たるシステムとして構築するようになっているようだな。軍勢の数によって、PCのHPが補強されるとか、弓が得意なPCは弓兵部隊を率いるとか、魔法使いは魔法部隊を率いているとか、軍隊メインではなくてキャラクターメインのシステムで大規模戦闘を表現している」

 

ダイアンナ「ところで、盗賊の話から離れていないか?」

 

アスト「だから、コンパニオンルールで盗賊はネタがないんだって。盗賊王として領地経営できるならともかく、政治体制で盗賊キャラが関与できるのって『共和制』ぐらいだ」

 

カニコング「共和制って、どういう国でごわすか?」

 

アスト「君主を廃した政体だが、一般大衆の選挙によって政治家が選ばれる民主制と違って、革命を起こしたりして君主を排斥した一部集団が特定の理念に基づいて政治を行うような国と定義されたりもする。アメリカで、共和党民主党の政治理念の対立を考えると分かりやすいか」

 

ダイアンナ「いや、ちっとも分からないんだが」

 

アスト「民主党アメリカ建国時から存在し、共和党南北戦争時に誕生したそうだ。南北戦争では、奴隷制存続を訴える南部の大地主が民主党で、北部の奴隷解放を訴える都市の進歩派が共和党として対立するようになった。当初はアメリカの伝統を守ろうとする保守主義民主党で、アメリカの社会をより良く改革しようとする進歩主義共和党だったんだが、第2次大戦の時期に民主党のF.ルーズベルトが出てきた辺りから、政党の保革が逆転し、現在は民主党が進歩派で、共和党が保守派と見なされている」

 

ダイアンナ「途中で立場が入れ替わったので余計に分かりにくくなった気がするが」

 

アスト「この辺の理念の切り替わりは、日本の幕末期の開国を旨とした幕府と、尊皇攘夷を旨とした薩長倒幕派のような複雑さに近いな。外国との関係においては幕府が進歩派で、尊王攘夷が保守派と言えるが、薩長が実際に外国と戦って攘夷の不可能を悟り、古い幕藩体制を倒して天皇中心の中央集権国家を作って外国に追いつき追い越せ、をスローガンに掲げ直したところで保革逆転した」

 

カニコング「当たって砕けて、可愛さ余って憎さ百倍になるほどの変貌でごわすな」

 

アスト「意味不明だ。むしろ、主人公と戦って敗れたことで、自らの弱さを知って、さらなる高みを求めるために『お前の強さを学ばせてもらう』と一時的に共闘関係になったライバルキャラみたいなものか」

 

カニコング「しかし、その後、『ワハハ、力をつけた今こそ、貴様を倒して我が理想をかなえてみせるわ』と挑んだら、結局、負けて牙をもがれたでごわすな」

 

アスト「とにかく、政治は国内事情や外国との折衝によって、当初の理念が現実の諸問題に対処するために次第に変質することもあるって話だ。それはともかく、共和制は革命派の政治集団による寡頭制になりやすく、より広い意見を募ろうとする民主制に比べると、独裁化の危険が大きい。要は軍による君主の排除(クーデター)とかで共和制の名目を作ったりもできるからな。国の成立時は、王権に対する進歩主義だったが、改革派の政治基盤が固まって来ると、国民のためよりも、政治理念の追求や権力維持のための政治闘争に邁進して、かえって保守化する危険もある」

 

ケイP『そういう政治体制だと、盗賊が力を得ても不思議ではないッピ』

 

ダイアンナ「共和制は弱肉強食になりやすいってことか?」

 

アスト「大衆寄りの共和制もあれば、そうでない少数の利益を追求する共和制もあるってことさ。国を牛耳っているのが商人ギルドとか、場合によっては盗賊ギルドだったりすれば、君主政治ではないので共和制が成立する。つまり、ギルド運営の延長で国家を運営するようになれば、盗賊キャラだって領主になれる」

 

ダイアンナ「盗賊に牛耳られた国家か。よほど支配欲に駆られないと、政治なんて面倒なことに首を突っ込みたくないんだけどね。クイーンという肩書を持つあたしがそんなことを言うのも何だけど」

 

アスト「とにかく、コンパニオンルールでは、いろいろな政治形態の紹介だけを示しつつ、詳細はDMおよびプレイヤーの自由に勉強してくれ、と言いながら、ルールブックでは中世騎士道君主国家だけを中心に扱っている」

 

ケイP『他の政治形態については、今後予定されているガゼッタ・シリーズ(後のミスタラ)で本格的に展開するつもりだったかもッピ』

 

アスト「まあ、盗賊支配下の街だと、ポート・ブラックサンドを例に挙げられるように、悪徳が支配して、暴力行為が日常茶飯事で、そこで暮らすだけで冒険になるという、言わばダンジョンがそのまま地上に出て来たような舞台設定だから、いろいろと想像力がたぎるんだよ。ある程度、TRPG慣れした者にはな」

 

ケイP『旧ソード・ワールドでも、盗賊都市ドレックノールってのがあったッピね』

 

アスト「今、調べると、あそこは一応、領主が別にいるんだが、実権がない傀儡王で、裏で最高権力を握っているのが盗賊ギルドの長ドルコンなんだな。つまり、盗賊とか海賊自ら表に立って国の支配者になるか、それとも表向きの君主を擁立しながら裏の世界で実権を握るかの選択肢があるんだが、クラシックD&Dのルールブックでは後者が推奨されている。盗賊は盗賊ギルドに所属して、ギルド内で幹部になる道が用意されている」

 

ダイアンナ「ギルドの幹部になったら、何ができるのさ」

 

アスト「さあ。プレイヤーズマニュアルには、『詳細はDMが教えてくれるだろう』と書いてあるが、DMルールブックを見ても、王国経営の方針とか、大規模戦争のルールは書いてあるのに、盗賊ギルドについては全く何も書かれていない。つまり、ルールではサポートしないので、DMが自由に決めろ、と丸投げしているわけだ」

 

ケイP『もしかすると、アメリカだったら盗賊ギルドに関する雑誌記事やサプリメントがあったのかもしれないッピ』

 

アスト「たぶん、英語だといっぱい資料があったんだろうな。クラシックD&Dになくても、アドバンストD&Dなら、盗賊ギルドの設定構築ガイドとか、ポートブラックサンドみたいな都市ガイドがあったのだろう。今だと、それ系の資料は比較的容易に手に入るし」

アスト「しかし、80年代の日本のTRPG黎明期に、自分でいろいろ資料を集めて、盗賊ギルドの詳細を設定できたダンジョンマスターがどれほどいただろうか。たぶん、あり合わせの知識をかき混ぜて、新必殺仕置人の寅の会とか時代劇のイメージで盗賊ギルドを考えたり、ヤクザ映画もしくはマフィア映画を参考にしたり、ファンタジー小説から引き写したり、D&Dの公式とは異なる盗賊ギルド像が、いろいろ魔改造された形で独自造形されたことだろう」

 

ダイアンナ「公式設定はないのかい?」

 

アスト「後に、ガゼッタで敵役のギルド・アイアンリングなんてものが提示されたが、やはり倒すべき敵組織なんだよな。盗賊プレイヤーが所属して、将来はそこの幹部として成り上がろうという設定ではない。むしろ、自ら盗賊ギルドを新たに立ち上げようという気概が必要になるくらいだ」

 

ダイアンナ「で、それをサポートする類のルールはない、と」

 

アスト「『盗賊ギルドを立ち上げるための手引き書』みたいな公式ガイドブックがあればなあ、と何度思ったことか」

 

ダイアンナ「そんなものは、あっても闇ルートでしか手に入らないと思うけど」

 

アスト「なお、今のD&D(5版)では、盗賊ギルドに所属していない盗賊(ローグ)を作ることも普通に可能だ。犯罪者以外に、持ち前の技能を活かして『探偵』として活動する者もいるし、街の『害虫・害獣駆除人』として生きる者、『遺跡の発掘者』とか『官憲の密偵』とか、いろいろなスタイルのローグ像があって、ローグ=盗賊とステロタイプに訳すことがはばかられたりもする」

 

ダイアンナ「じゃあ、何て訳すんだ?」

 

アスト「良くも悪くも『探り屋』というのが意味的には一番しっくり来るんだな。何かを探って入手することが目的の職種が多いし、それが情報だったり犯人だったり宝物だったりするが、クラシックD&Dではそこまで多様性のあるクラスではなかったので、旧世紀と現在の盗賊系キャラのイメージは大きく変わったと言えよう」

 

ケイP『違うゲームでは、盗賊系のキャラをトレジャーハンターと称したり、エクスプローラーと称したり、いわゆる犯罪者のシーフとは異なるイメージを構築しているッピ』

 

アスト「デジタルゲームファイナルファンタジーも、初期は戦士が主人公のイメージだったが、6辺りから重戦士よりも盗賊系の軽戦士が主人公風味の作品が増えた感だな(6、9、10、12)」

 

ケイP『映像がリアルになればなるほど、鎧兜に身を包んだ主人公像が走り回ることに違和感を感じたりして、見た目もデザイン重視のスタイリッシュかつファッショナブルなものに変化したッピ』

 

ダイアンナ「いろいろ話を広げているけど、クラシックD&Dの話じゃないのは、つまり……」

 

アスト「ああ、最初に言ったように、コンパニオン以降のクラシックD&Dでは、盗賊というクラスに全く新しいルールもないし、世界観的なサポートも基本ルールの範囲では為されていない。その後の盗賊の話を語ろうと思えば、クラシックD&Dの範囲を逸脱するのが必然ってことだ」

 

盗賊と、アイテムや戦術の話

 

アスト「話を戻そう。領主の道、冒険ではなくて定住生活を選んだ元冒険者(統治者、支配者)の世界が提示される一方で、コンパニオンルールでは従来の冒険生活を続ける道も残されている。さらなる冒険の舞台は、多元宇宙と称される別次元だが、コンパニオンルールではとりあえず精霊たちの住むエレメンタルプレーン(精霊界)が紹介されていて、そのための呪文やマジックアイテム、そこで戦うモンスターなどが追加されている。例のビホルダーなんかも、クラシックD&Dではコンパニオンルール初出だ」

 

ダイアンナ「盗賊という職業単体では恩恵が薄くても、ゲームを運営するDMにとっては新しい要素がいっぱいでワクワクするルールってことか」

 

アスト「ローフル(秩序)の戦士はパラディンに転職して僧侶魔法が使えるようになるし、ニュートラル(中立)の僧侶はドルイドに転職して、新たに使える魔法が増える。まあ、ドルイドが元の僧侶より強いかと言われたら、疑問が湧くところだが」

 

カニコング「金属鎧が着れなくなって、亡者退散のターンアンデッドが使えなくなった代わりに、従来のクレリック呪文に加えて、新たにドルイド呪文も使えるようになった。ただ、アドバンスト版と違って、獣変身の能力はクラシックにはないでごわす」

 

アスト「環境によりけりなんだな。野外活動では便利なキャラだが、都市が中心のシナリオでは扱いにくい。まあ、DMのシナリオネタとしては、行動方針(自然を守る)が明確でNPCとしてなら扱いやすいか。少なくとも、宗教観を割愛したクラシックD&Dのルールで初めて、明確な宗教観を提示した聖職者で、エコなら批判されることはないよね、という思想がうかがえる」

 

ダイアンナ「シーフにとっては、革鎧仲間になるわけだ」

 

アスト「一方、街で活動するシーフと違い、ギルドから距離を置いて流離人になった盗賊はローグ(ルールブックではロウグと記載)と呼称される。別に転職するわけではないが、ギルド所属がシーフで、ギルド外の流れ者がローグと区別されるわけだ。ローグは組織の一員ではないが、名の知れた冒険者として組織と顔つなぎしながら、ギルドマスターと個人的な協力関係を築くことはできる」

 

カニコング「言わば、シーフギルドの社員がシーフで、フリーの外注がローグだと」

 

アスト「シーフにせよ、ローグにせよ、ファイターからおこぼれの魔法の武器を、魔法使いからおこぼれの呪文の巻き物を譲られると、魔法戦士の真似事はできるかもしれないな。他にも盗賊が欲しいマジックアイテムは、何よりもエルブン・クローク(エルフのマント)とエルブン・ブーツ(エルフの長靴)だと思う」

 

ケイP『マントは6分の5の確率で透明化に成功。ブーツは10分の9の確率で音をたてずに歩ける。2つ合わせると、75%の成功率でバックスタブできるッピ』

 

アスト「D&Dの魅力の一つは、豊富なマジックアイテムの数々だ。戦士や盗賊は魔法が使えず、成長が単調という意見もあるが、実プレイをすると、マジックアイテムの入手でいろいろとヴァリエーションが楽しめる。ハック&スラッシュが楽しいのは、敵を倒した後に得られるお宝、アイテム群だからな。職業単体の成長では表面上、単調に思えても、実プレイの経験者は『いや、戦士の魅力は魔法の武器や鎧を優先してもらえること』と答えたりする」

 

ケイP『DMがケチだと、マジックアイテムをあまり出してくれないッピ』

 

アスト「TRPGの黎明期は、マジックアイテムを出す頻度はどれぐらいが妥当かってことも議論のネタになったものだ」

 

ダイアンナ「マジックアイテムかあ。魔法の宝石なんてのはあるかなあ」

 

アスト「宝石かあ。指輪はいろいろあるが、宝石は普通、換金アイテムだろう?」

 

ケイP『これを使うッピ』

アスト「それはD&Dの生みの親がまとめた、伝説のお宝本。(内容を吟味して)宝石の項目には4つある」

 

ダイアンナ「へえ、素晴らしい。まさにマーベラスだな。どんな効果だい?」

 

アスト「以下のとおりだ」

 

  1. ドルージオンジェム:呪われた宝石。被害者はゆっくり木に変わってしまう。
  2. イデアジェム:コマンドワードを言うと、DMが冒険の役に立つヒントをくれる。1〜4回まで使用可能。
  3. インカムジェム:地面に埋めると、金貨の成る黄金の木が生える。毎週11〜20gpの金貨が手に入る。
  4. リターニングジェム:異世界転移の門アイテム(オルターネイト・ワールド・ゲート)とセット。違うゲーム世界への通廊が開かれて、誤ってそこに踏み込んでしまったなら、この宝石を探し出すことで帰還できる。転移できる世界として用意されているのは、80年代当時にTSR社が展開していた『TOP SECRET』『GAMMA WORLD』『アドバンストD&D』『DAWN PATROL』『STAR FRONTIERS』『BOOT HILL』『GANGBUSTERS』。

 

カニコング「最後のアイテムは何でごわすか? 未訳ゲームばかり出されても、日本のプレイヤーの多くはどうしようもないでごわす」

 

アスト「日本だったら、アレンジしてロードス島とか、エセルナートとか、モノカンとか、シュリーウェバとか、ラース=フェリアとかに転移するようなものか」

 

ダイアンナ「ロードス以外、知らんのだが」

 

アスト「ネットで調べろ。いずれも80年代後半から90年代にかけて誕生した国産ファンタジー世界だ。当時はそれなりに話題作になったゲームばかりなんだぞ」

 

ダイアンナ「知らんものは知らん。そんなことよりも、思いきり自分の会社の宣伝ばかりしているのではないか、ゲイリーさんという男は」

 

アスト「80年代から、仮面ライダーディケイドみたいなことを考えていたんだな、ゲイリーさんは」

 

ケイP『ちなみに、10年ほど前にFEAR社も自社の別ゲームのキャラがコラボするリプレイを出していたッピ』

アスト「とにかく、異世界コラボの話は明らかに寄り道脱線なので話を戻す。80年代のTRPGは、ストーリー重視とか世界観とかが話題になりがちだったが、ハック&スラッシュでバトルと報酬ゲットの拡大再生産のノリも十分楽しめるってことだな」

 

ケイP『だけど、それだけだとコンピューターRPGで十分って時代だッピ』

 

アスト「しかし、当時のクラシックD&Dのサプリメントは、モンスター本、お宝本と続いたわけだから、当然ハック&スラッシュを意識しまくっていたはずだ。ダンジョンに潜って宝探しをひたすら繰り返すのがTRPG原初の楽しみ方であって、それを延々と続けるのも悪くはないのでは?」

 

ダイアンナ「まあ、新しいお宝が手に入るなら、いいかもな。だけど、ある程度、キャラが育つとバトル自体が飽きて来るだろう?」

 

アスト「だからこそ、コンパニオンやマスタールールで新たな武器や戦術が導入されたんだろうな。そして、コンパニオンで導入された武器は戦士よりも盗賊向きの物が多い気がする」

 

ダイアンナ「例えば?」

 

アスト「毒で相手を一撃死させ得るブロウガン(吹き矢筒)」

 

ダイアンナ「おい。そんな物騒なものがあるのか?」

 

アスト「さすがに即死効果が適用されるのは、ヒットダイス1以下のザコもしくは一般人だけだが、以降は最大HPの%ダメージを及ぼす。レベル9より上なら25%ダメージなので、HP100の敵に25点ダメージを与えることが可能だ。まあ、高レベルの敵だと、ほとんどの毒には抵抗されてしまうので、6レベル以下の相手だったら、それなりに有効かもな。大体、4割程度の確率で相手のHPを半分削ることができて、しかも麻痺させられる。運が良ければ、2回吹き矢を打ち込むと、毒殺できる」

 

ケイP『その辺のネタは、マスターNOVAが5年前に語っていたッピ』

ケイP『どちらかと言えば、戦士はファイターコンバットオプションにあるスマッシュ(強打)で与ダメに筋力の数値(最低でも10はあると思われ。普通はボーナスが得られる13とか16とか)を加えて、大ダメージという戦術が定番だと思うッピ。そうなると、コンパニオンルールで加わった特殊効果武器(ダメージはあまり与えられないけど、敵に絡みついたりして行動を封じる系。鞭とかネットとかボーラとか)をもっぱら使うのはシーフの役割かも』

 

アスト「他には、レスリングルールも重装より軽装鎧の方が有利になるので、盗賊が使える絡め手戦術はコンパニオンで増えたことになる。戦士には戦士なりの戦い方があるように、盗賊には盗賊なりの戦術が提示されて、元々持っていた特殊技術以外に軽戦士としての能力を高めてくれると言えようか」

 

ケイP『ところで、クラシックD&Dの武器について調べていたら、前々回の話に一つミスがあることを発見したッピ』

 

アスト「何だと? まあ、ミスぐらい誰だってするだろうが、どんな内容だ?」

 

>イニシアティブで先手をとれると、魔法使いに矢を撃ち込むことで呪文を妨害できる。個別イニシアチブのルールを採用しているなら、敏捷の高い盗賊は先手が取りやすいはずだから、敵の呪文使いを封じることが最大の仕事になる

 

ケイP『クラシックD&Dでは、両手持ちの武器は自動的にイニシアチブを失うッピ。つまり、盗賊の弓矢も手番が遅くなるので、先手をとって敵魔法使いの呪文を妨害することはできないッピ。それをするには、片手で撃てる飛び道具のスリングか短剣を投げるのが有効ってことだッピ』

 

アスト「そうか。ならば、とっさに投げられるように盗賊も短剣を何本か持ち歩くべきなんだろうな」

 

技能判定のルールについて

 

アスト「最後に、技能の話だ。3版以降の新世紀D&Dと、クラシックおよびアドバンストD&Dの最大の違いは、AC関係と、技能判定ルールの一元化にあるようだ」

 

ダイアンナ「ACは、3版以降が10に加算される形で高い方がいい。逆にクラシックやアドバンストは10から引いて行って、低い方がいいというシステムだったな」

 

アスト「ACが低い方がいいというのは、70年代の古いゲームの名残りだったんだが、それが結局、プレイアビリティを下げているという『誰もがそう思っていたけど、それがD&Dの伝統』と思い込んでいた旧弊を、3版からコロンブスの卵的に改めたわけだな。これで、D&Dの戦闘は20面ダイスを振って(攻撃ボーナスを加えて)、相手のAC以上を出せばいいというシンプルかつ分かりやすいものになった」

 

ダイアンナ「もう一つの技能判定ルールの一元化と言うのは?」

 

アスト「D&Dは後から新しいルールをどんどん付け加えて、できることを少しずつ増やして行ったんだが、とにかく戦闘では20面ダイスで高い目を出せばいいのに、それ以外は6面ダイスで低い目を出せばいいとか、盗賊の特殊行動は%ダイスで低い目を出せとか、さらに後付けの技能判定は20面ダイスで能力値+技能修正よりも低い目を出せばいいとか、振るダイスも、出目は大小どちらがいいのかも、判定方法がバラバラだった。それを3版以降は、全て20面ダイスで高い目を出せばいい形にまとめ上げたんだ」

 

ケイP『だから、以降のD&Dをd20システムと呼称するッピね。全ての判定を一つの方法で統一した、と』

 

アスト「そして、3版より前は、盗賊の特殊行動は後付けの技能判定ルールとは別扱いだったが、3版以降は鍵開けも罠外しも忍び足も、技能に統合されることになる。5版は3版や4版よりも技能の種類が整理されて数が減ったり、技能習熟のルールがシンプルになったりしたんだが、とにかくd20に能力値その他のボーナスを加算して、目標難易度よりも大きい数字なら成功という風に切り替わった」

 

ケイP『5版の判定難易度は、10が簡単、15が普通、20が困難という3段階が基本だッピ』

 

ダイアンナ「20面ダイスで20を出さないと成功しないのが困難なのは分かる。しかし、半分の10以上が簡単なのは納得しにくいのだが?」

 

アスト「そりゃあ、ボーナスなしだと成功率55%で簡単とは言い難いがな。まず、レベルが4つ上がるごとに1ずつ増える習熟度ボーナスというのがあって、初期状態で+2、レベル5で+3、レベル9で+4という感じになっていく。次に、能力値ボーナスで得意なものは+1〜2ぐらいの修正が得られるので、1レベル時点でも合計+4のボーナスとなる。すると、簡単な作業は技能あるいは適切な道具さえ持っていれば、6以上、すなわち75%で成功できるわけだ」

 

ダイアンナ「普通の動作は50%、困難な作業は25%か」

 

アスト「これによって、レベル1の盗賊でも簡単な鍵開けなら75%で成功できる。昔みたいに、鍵開け15%から始まることはなくなった。さらにレベル1のローグは習熟強化という特徴を持っていて、選んだ技能の習熟ボーナスが2倍換算される。レベル1だと習熟ボーナスが+2から+4に増えるので、成功率が10%上昇することになる。これで、ろくに鍵の開けられないドジシーフの汚名は返上だ」

 

カニコング「技能さえあれば、盗賊以外のキャラでも鍵開けできるのでごわすか?」

 

アスト「鍵開けに必要なのは技能ではなく、盗賊道具の習熟なんだが、その違いはさておき、盗賊道具の習熟を得られるのは、ローグというクラス以外に、背景・犯罪者か浮浪児を持っていればいい。つまり、犯罪者上がりのパラディンなら、鍵開けだってこなせる」

 

ダイアンナ「いや、普通のパラディンは犯罪者の背景なんて選ばないだろう?」

 

アスト「まあ、パラディンの推奨背景は貴族となっているが、別にパラディンが犯罪者を選んではいけないというルールはない。とにかく、5版は背景というルールを既存のクラスと組み合わせることで、それ以前よりも多彩なキャラを作れるようになったが、それはパグマイアでも反映されている」

 

ダイアンナ「そう言えば、あたしは犯罪者上がりのアーティザン(魔法使い)をプレイしていたんだった。そうか、盗賊の技を持った魔法使いってのも、背景とクラスの組み合わせで可能になったんだな」

 

アスト「その辺のキャラヴァリエーションの豊かさが、現D&Dの進化した状態なんだが、その取っ掛かりはクラシックD&Dに技能ルールを持ち込んだことから始まる。それまでは、D&Dってキャラクターのできることは職業クラスで規定されていて、もっと詳細なキャラを表現できる技能(スキル)システムとは対立するゲームだったんだ」

 

ケイP『シンプル・イズ・ベストのクラス制と、細かくリアルにキャラをコーディネートできるスキル制の長所・短所は、TRPG黎明期の大きなシステム議論のネタだッピ』

 

アスト「それを、クラスそのものを技能にして、兼職を容易にしたソード・ワールドの革命というのが日本のTRPGシステム史的には重要なんだが、さておきD&Dはクラス制の代表というか創始者として、スキル制に抵抗しつつ、どんどん新しいクラスを追加することでキャラクターのヴァリエーションを増やすという選択をとった。そんなD&Dが初めて、選択ルールとして技能(スキル)を公式に採用したのが、ワールドガイドのガゼッタ・シリーズだったんだ(1987〜)」

アスト「ワールドガイドで試験的に導入されたD&Dの技能ルールは、89年のアドバンストD&D2版にも選択ルールとして採用された後、91年のクラシックD&D5版(日本の文庫版)でも普通に基本ルールに付随するようになる。あくまで選択ルール扱いだが、60種以上の技能を習得できるようになっている。まあ、あまりに選択肢が多くてややこしくなったので、今のD&Dの技能は18種類に大きくまとめられたが、例えば、クラスの少ないクラシックD&Dでも最初に4つの技能を選べて、〈追跡〉〈生存〉〈忍び〉〈自然知識〉といった技能を選ぶことで、擬似的にレンジャーみたいなことができるようになった」

カニコング「吾輩なら〈水泳〉を選ぶでごわすな」

 

アスト「アドバンストには〈水泳〉があるけど、クラシックにはないんだな。まあ、リストにあるのはあくまでサンプルなので、作ればあるが」

 

カニコング「海の民としては、〈水泳〉は必須でごわそう」

 

アスト「現D&Dでは、水泳は〈運動〉に統合されている。崖を登る登攀も、ジャンプも全て〈運動〉で判定でき、使用能力値は筋力だ」

 

ダイアンナ「敏捷性じゃないのか?」

 

アスト「敏捷性を使う運動系技能は〈軽業〉となっているな。例えば、陸上競技でどこまで高く遠くジャンプできるかの判定では筋力が大事なので〈運動〉、体操競技で鮮やかに宙返りを決めるのは〈軽業〉、フィギュアスケートや新体操などで芸術的な審査も行われるのは魅力を使う〈芸能〉(歌や踊りなどのパフォーマンスを含む)などで判定することになるだろうが、とにかく自分の持ってる技能をどのように使うかは、プレイヤーが主張してDMが許可してもいいし、DMの側から技能判定を要求することもできる。まあ、この辺の駆け引きは、ルールを越えた実プレイの話だな」

 

ケイP『ただし、旧世紀D&Dでは、鍵開け技能がないッピね』

 

アスト「〈罠〉技能はあるが、あくまで仕掛けるための技能で、外せるのは盗賊だけだ。これにツッコミを入れると、〈罠〉技能を覚えた戦士は、自分の仕掛けた罠を自分で解除することはできないことになる」

 

ケイP『〈忍び〉技能も扱いが困るッピ。盗賊のムーブサイレントリー(忍び足)との兼ね合いがあって』

 

アスト「低レベルの盗賊の忍び足よりも、〈忍び〉技能の方が成功率は高いもんな。まあ、〈忍び〉技能はそれが使える地形を選ばないといけないのに対して、盗賊の技術はいつでもどこでも使える点で優位なんだが」

 

ダイアンナ「地形の選択肢は、都市(屋外)、屋内(洞穴)、森林(ジャングル)、平原、砂漠、極地、山(丘陵)の7種類か。自分の得意な環境を選ばないといけないってことだね」

 

アスト「ダンジョンメインなら、屋内(洞穴)を選んでおくのが無難だな。あとは都市冒険か、野外冒険によってレパートリーを増やすのも一興だが、こういう選択で極地(雪や氷に覆われた環境)を積極的に選ぶ人間は少なそうだな」

 

ケイP『フォーゴトン・レルムのアイスウィンド・デイルが舞台です、とDMが宣言した場合とか、雪国出身とか、白鳥座の聖闘士に憧れるなら、選ぶのも一興ッピ』

 

アスト「役に立つかどうかはさておき、キャラ立てのために技能を選ぶのもありと言えばありか」

 

カニコング「海や川はないでごわすか?」

 

アスト「〈生存〉技能なら海洋は含まれるが、〈忍び〉に海はないな」

 

カニコング「こっそり忍び泳ぐ水遁の術は使えないでごわすか」

 

アスト「お前は戦士だから、こっそり忍び泳ぐ必要はないだろう?」

 

カニコング「いや、今はドルイド修行中の身であるゆえ、海ドルイドらしい振る舞いを心掛けているでごわす」

 

ダイアンナ「海ドルイドなんてあるんだね」

 

アスト「5版にはあるんだな。霧を発生させたり、水の上を歩いたり、水中呼吸だったり、専用呪文を習得できたりもする」

 

カニコング「似て非なる者に、沼ドルイドというのもあるでごわす。水の上を歩けるのは同じながら、闇に包んだり、酸の矢を撃ったり、毒ガスを発生させたり、地下ドルイドと並んで、闇に近い連中でごわすな。それに比べると、海ドルイドは割と爽やか系な印象か、と」

 

アスト「って、何で、ドルイドの話に流れてるんだ?」

 

ケイP『とにかく、技能ルールの実装によって、クラシックD&Dでもそれなりに多彩なキャラを作れるようになったッピが、盗賊の特殊技術や既存ルールとの兼ね合いで、多少の不整合を感じながら、やがて3版でシステムの抜本的改革が為されるッピな』

 

アスト「技能ルールの実装によって、盗賊の技術職としての優位が失われる可能性もあったが、3版ではローグが最も技能ポイントが多く与えられるクラスということで、上級職に就くのに必要な技能を習得するために転職でローグを経由するという職業的役割が与えられた」

 

ダイアンナ「ああ、技能ルールの一元化によって、鍵開けは盗賊の専売特許ではなくなったけど、それでも盗賊が多種多彩な技能の専門家という方針は保たれたのか」

 

アスト「そんなわけで、旧世紀の盗賊話はここまでだ。直接のネタのない中、よくぞここまで総括できたと思う」

 

ダイアンナ「おつかれさん。それじゃあ、あたしはガイア様のところで神前TRPGに赴くことにする」

 

アスト「おお。新世紀スタンダード、頑張れよ。翔花ちゃんや、アッキー様にもよろしく」

(当記事 完)