ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

アドバンストD&D(その2)

NOVA「本日7月27日は、ゲイリー・ガイギャックス氏の誕生日だ」

 

ハイラス「何と。かの偉大なお方がこれからお生まれになるのか?」

 

NOVA「何でやねん。80年前の今日、1938年の7月27日に生まれた日ってことだよ。誕生日ってことは普通、過去形であって、未来に誰が生まれるかなんて、どうして分かるんだよ?」

 

ハイラス「いや、そりゃNOVA殿は時空魔術師なのだから、未来をちょっくら見てきて、『おお、こんなことになっているのか。凄え。これは頑張って、現代の人たちに予言してやらないと』って気になったりはしないかと思ってな」

 

NOVA「残念ながら、そういう気にはあまりならない。時間移動には結構エネルギーを費やすし、そうして予言者を目指しても、みんながみんな信じてくれるとは限らない。時間移動のためのエネルギーとは別に、予言者の自分を信じさせる手間暇というものが掛かるし、それをしたところで生じるのはタイムパラドックスという重要な問題だ。SFファンとしては、時間移動の物語を鑑賞したり、思考実験的にあれこれ想像したりするのは好きだが、そうして生じる諸々のリスクや自分に降りかかる反動なんかを考えてみると、単純に『やったあ、俺には未来が分かるぜ。この力を利用すれば、世界は俺の思うがままに』なんて無邪気に喜んではいられないってことさ。より慎重に考えたくもなるし、大いなる力には大いなる責任も伴うわけで」

 

ハイラス「そういうものでござるか。案外、欲がないのだな」

 

NOVA「では、逆に聞こう。クレリック呪文には地震を発生させるアースクエイクなるものが存在するが、仮にお前にその呪文が使えたとして、意味もないのに使いたいと思うか?」

 

ハイラス「もちろん、そういう力の行使は、世界のバランスを歪めるものであって、よほどの必要に駆られない限りは使わないでござる」

 

NOVA「よほどの必要というのは、例えば何だ?」

 

ハイラス「それは、世界が悪の力に蹂躙されそうになって、その悪の勢力を倒さねば世界のバランスが崩れてしまい、他に手段がないという場合にのみ、やむなく天変地異の力を行使するのがドルイ道でござる。遊び心で気軽に使いたい力ではござらん」

 

NOVA「それが節度ある大人の態度ってものだな。もちろん、俺が仕事として一番見たい未来は、『一週間後のテストでどういう問題が出るか』とか『半年後の受験問題がどうなるか』とかだな。そういう情報が100パーセント正確に分かれば、どれだけありがたいか考えることはある。未来が正確に分かれば、それを分析して無駄のない効率的な教育方法だって提供できる。ただ、そういう教育ってお題目的に理想ではあっても、結果として生徒の能力向上にはつながらないんだよな。

「無駄のない効率的な作業しかできない人間は、工場の歯車にはなれてもクリエイティブに何かを創造することはできないんだ。その無駄の中から価値を発見することから発明や発見は生まれるのであって、無駄なことには手を出さないって割り切る人間は、システマチックすぎるんだな。もちろん、効率優先とか、無駄をなくすためのアイデアを考えるとか、何が無駄かを分析する思考法まで否定するものではない。TPOを見据えて必要なときに無駄を廃する選択をとるのはありだろう。ただ、何でもかんでも無駄だと仕分けして、可能性まで摘み取るやり方じゃ、予想外のトラブルに対処できない偏狭で硬直した生き方になるな、と。まあ、世の中には他人に対して厳しく仕分けする政策をとったのに、自分たちの中の無駄を仕分けしない連中もいて、他人に厳しく自分には甘い政治家は信用ならないわけだが」

 

ハイラス「では、こういう無駄話が多くて、なかなか本編に入らない記事のスタイルも、NOVA殿は否定しない、と」

 

NOVA「もちろん限度はある。無駄話がつまらなければ、さっさと本編に行けよ、と思わなくもないわけで」

 

★アドバンストD&Dの種族

では、ここから俺は地の文だ。
俺の説明に対し、ハイラスがコメントを入れたり、ツッコミを入れたりする形なら、このスタイルがいいことを俺は学んだ。
今は亡きゲイリーさんのAD&Dについて書くことが当記事の目的。まあ、ドルイ道に絡めたり、多元宇宙について触れたり、これまでも大雑把に触れては来たんだが、もう少し、じっくり書いていこうと思ってな。

で、今回のテーマは種族だ。
クラシックD&Dとアドバンストの違いとして、クラシックは種族が職業と同じクラスとして分類されているのに対し、アドバンストは先に種族を選んで、それから職業を選ぶ形になる。
キャラ作りの順番としては、まずダイスを振って能力値を決めてから、種族を選択して、それから職業を選ぶ。ソード・ワールドだと種族ごとに能力値を決めるダイスが変わるので、「種族→能力値→職業技能選択」という流れなので少し違うわけだ。

版が変われば、細かい数値の違いも出て来るが、本記事ではAD&Dの2版を中心に、その後の大きな変化も見て行きたいと思っている。
AD&Dの場合、種族ごとの能力値制限や職業制限、レベル制限が非常に厳しく、自由度が低い時代だった。
例えば、ドワーフになるには最初の能力値で筋力8以上、耐久力11以上でなければならない。ひ弱なドワーフは存在しないことになるな。少なくともプレイヤーキャラクターとして冒険に出るような者としては。
これが3版になると、種族ごとの必要最低能力値というルールがなくなって、耐久力が5しかないドワーフだって(戦士としては厳しいけど)不可能ではなくなる。

また、ドワーフはファイター、クレリック、シーフにしかなれず、それぞれレベル上限が15、10、12に決まっている。人間はどういう職業でも20レベルまで伸ばせるのに。
これは、人間には特殊能力がないのに、異種族には多彩な特殊能力があってデメリットが少ないのを、人間重視の世界観を維持するために「人間は高レベルまで成長できるのに、他の種族は成長に限界がある」というルールでバランスをとる必要から。こういうルールの意味とか目的まで、きちんと説明してあるのがAD&Dのルールブックの一つの特徴かも。
3版以降は人間にも種族としてのメリットが与えられ(ボーナス特技が与えられるとか、追加技能が得やすいとか、マルチクラスが他の種族よりも自由に選べるようになったとか、主に多芸っぷりが評価されている)、上限レベル格差はなくなったり。

2版の特徴として、マルチクラスは異種族のみ、というのがある。
ドワーフは、ファイター&クレリック、ファイター&シーフになれる。マルチクラスの場合、経験値は各クラスに均等配分されるので成長が遅くなる(クラシックD&Dの魔法戦士エルフがレベルアップに他のクラスの倍近い経験値が必要なのと同様)反面、レベル上限のことを考えると長く楽しめるというメリットも。

一方、人間にはデュアルクラスという別ルールがあって、これはいわゆる転職によって複数の職業の能力を習得できるようにするもの。能力値制限が結構厳しくて(2つめの職業の長所能力は17以上でなければならない。最大値が18なのに)、つまり転職できるのは優れた能力の持ち主だけという。

以上、細かいルールが付きまとって、異種族を選択するには制限とかが多くて自由度の高くないのがAD&D時代だったということだな。


ハイラス「正にクラシックD&D同様、異種族は辛いよ、でござるな」


それでも、クラシックD&Dよりはマシなんだけどな。初めてAD&D(1版)に触れたときには、「何て自由度が高いんだ」なんて思ったわけで。
もちろん、その後で『ソード・ワールド』に触れて、さらに自由度の高さに感じ入るわけだけど、21世紀になると、D&Dもソード・ワールドもますます規制緩和が進んでいく、と。
旧世紀は「ドワーフの魔術師」なんて考えられなかったわけで。まあ、他のゲームでなら、それも可能だったんだが、そういう色物プレイのできる自由度を売りにしているゲームも見られてな。要するに、「本家で規制されている要素に目星をつけて、そこを掘り下げたニッチジャンルの開拓」が後進の者の目指す方向性で、それが世間に受け入れられると、老舗も後から同じことをするようになるのが世の中の流れって奴だな。

だから、後から業界に参入しようと思う者は、まず流行モノに追随するのではなく、「流行モノを知った上で、まだ存在しない新規性を見出して、そこに自分の活路を見出だす」必要がある。「自分のオリジナリティはこれだ」と明言できるものを持っていない人間に、クリエイターデビューはなかなか難しいと俺は考えるわけだし、だからと言って、ニッチすぎて他からの需要がなさ過ぎるのも問題だからな。
俺なんかは「かつては流行したけど、今では何だか忘れられているよな、これ」って懐古的に考えてみたら、時々、自分と同じようなことを考えている人が業界にもいるようで、俺が欲しいなと思って書いたことがタイミングよく作品として発表されたりして、「おお、俺の願いが叶ったやん」と喜んだりすることが近年多い。プロを目指していたときは「うわ、先にアイデアを取られた」と思ったりもしたものだが。
まあ、自分の同世代の人間で似たような感性の持ち主が業界の中核として活躍しているのが近年なんだと考えるが、適当に懐古していたら一巡して時代の最先端だったって感覚は、過去と現在、未来がつながるようで嬉しかったり。

また、新元号になったら、最初の数年は新しいものを生み出そうと頑張って、それからオリンピックが過ぎた辺りで、いろいろリメイクされるんじゃないかな、と踏んでいる。
その辺りで、ガメラが復活したり、拳法アクションヒーローだったり、新生スパロボだったり、自分のツボを突いてくれるといいな、と思いつつ、当記事はこれまで。
次は、「ドワーフ道について」掘り下げる予定。


ハイラス「どうしてドワーフ? エルフの方が需要は多くないか?」


いや、アルファベット順だからか、D&Dではドワーフ、エルフ、ハーフリングの順なんだわ。
新規性なら、ノームとハーフエルフをハーフリングの前に入れることも考えるけど。

とにかく、ドワーフの方が、エルフよりも書くことが少なかったりもするので、先にエルフを書くと、どこまで書いたらいいのか、文量が読めなかったりもする。先にドワーフについて書いてウォーミングアップって流れだと、「次はエルフですね、楽しみです」って読者のリアクションや心情も期待できるけど、先にエルフから始めると、ドワーフとハーフリングがおまけみたいな扱いになりそうだし、自分が力尽きそうな気も。

だからドワーフ。ヒゲキャラが旬なうちに。(完)