ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

アストラルの海で

次元嵐の襲来から一週間以上を経て、かつて〈事象の分岐点〉と呼ばれた空間座標は、空虚なアストラルの海と化していた。俗に時空の狭間とも、虚無空間とも呼ばれ、アストラル化などの魔術技能を持たない生身の生物では生命維持すら困難な異空間。

 

そこに、一人の男が時空転移で飛ばされてきた。

男は次元ドルイドと呼称され、かつては幾多の世界に飛ばされ、こうした転移には慣れているはずだった。

しかし、この度の転移は勝手が違っていた。

男のかつての転移先には、大地があった。緑豊かな自然があった。程なく男は世界の住人と遭遇し、短くも確かな生活を営むことができた。

この度の転移は、男にとって、この数ヶ月暮らし慣れた座標ではあった。馴染みの場所ではあったが、そこは次元嵐の影響で今や空虚なアストラル海と化していた。

 

 

(バカな)と、男は自分の置かれた状況を悟った瞬間、絶望した。

見慣れぬ大地に飛ばされる覚悟はしていたが、大地すらない虚無空間に投げ出されることは想定外だった。

薄れ行く意識の中で、男は自分の死を予感した。

 

 

(こんなことなら、あの娘御の求めに応じて、人であることを捨てて、Kカプセルに封じ込められる道を選ぶべきだったかもな)

ここに転移する前の、精霊少女とのやり取りを思い出す。

そう、自分は人として誇り高い旅立ちと別れを選んだつもりだった。

アストラルの海で人知れず死ぬつもりなど毛頭なかった。

いや、それも、運命だったのかもしれぬ。

次元ドルイドとしての旅の行き着く先は、人としての誇りを抱いたまま、望み果たせず時空の塵と消えること。

 

 

(ここで死ぬのなら、来世のことを考えるのも、また一興でござろうか)

男は諦観とともに、脳裏に思い描いた。

人でなく故郷の森の一角獣と化した己が、森の乙女に侍りながら誇り高く生きる姿を。

(死ぬなら大地に抱かれて死にたかったな。月明かりの下で、緑の匂いを嗅ぎながら、安らいだ気持ちで)

男は、少女から受け取ったKカプセルに最期の願いを込めた。

 

 

薄れていく意識の中で、男の肉体は光り輝きながら、カプセルの中に吸い込まれていく。

こうして、ただ一つのカプセルが、アストラルの海をあてもなく漂うこととなった。

 

 

次元間を航行する一隻の船が見つけ出してくれるまで……。

 

★アストラル界の明鏡蜻蛉

ハイラス「ここは? 意識を取り戻してみれば、何やら未知の科学技術っぽさが満載の『めでぃかるるーむ』って感じの場所に囚われているでござる。もしや、これがNOVA殿の言われたタイムジャッカーなるものの施設なのか? 私もまた晶華殿のように改造されて、バイオ次元獣ドルイドジゲンなる怪人にされたりはしていないであろうか。それならば、今すぐに脱出して、ドライヤージゲン殿のところに転がり込んで、第2の人生、いや新たな怪人生を送ることを考えねばならぬが」

謎のドクター「おお、どう~やら気付きおったか。Kカプセルの中から、お主が出てきたときは死~んでいたかと思ったが、蘇生治療が上手くいって、な~により、な~により。わしか? わしはド~クター・ウルシェード。お主の命の恩人にして天才科学者。桐生戦兎や葛城父子にだって負けない~と自負しておる。って、自負していたら、負けてるみたい~じゃないか。こういう時は自認していると言うべきか。そう、お主を改造したい気持ちにも駆られ~はしたが、そんなことをすれば悪の街道ま~っしぐらなので、し~っかり自制して、生身のままで命を救った正義の天才科学者様じゃよ。心から感謝するように」

ハイラス「ドクター・ウルシェード? すると、あなたが獣電戦隊の初代キョウリュウバイオレットにして、明鏡戦隊メガネンジャーの科学技術担当にスカウトされたという御仁であったか」

ドクター「ほう。キョウリュウジャーならともかく、メガネンジャーのことまで知っておるとは~、お主、なかなかのキレ者らしいな。そう、メガネンジャーにわしが初登場した時の話を読みたくば~、こちらを見るがいい。ついでに、他の話を読みたくば~、メガネンジャータグがいつの間にか付けられているので、ファ~ンの人も、これからファ~ンになりたい人も、利用す~ればいいだろう」

ハイラス「何だか、ファーンとおかしな伸ばし方をされると、ロードス島の六英雄にして英雄王の一人を思い出すでござるな。それはともかくとして、あなたがメガネンジャーの仲間ということは、ここはもしかして?」

ドクター「そう、地球の海はオレの海。宇宙の海もオレの海。アストラルの海も何のその。我が造りし多次元航行母艦アーストロ・メガネウラに渡れない海はな~い。この世に海がある限り~我が航海の旅は続く。未来永劫旅する夢の舟乗りであることに、ち~っとも後悔などしない。そう、この船は、キャプテンフューチャーのコメット号並みの高性能を目指して設計されたのだ」
https://m.youtube.com/watch?v=m-n4r9M2drs

ハイラス「時は未来、所は宇宙でござるか。一体、私はいついかなる場所に転移したのやら」

ドクター「今は2018年9月15日から16日にかけての夜。所は、何と言えばいいのか。かつて〈事象の分岐点〉と呼ばれる施設があ~ったらしいが、恐るべき次元嵐に見舞われたようで、今は跡形も~残っておらん。我々が発見した~のは、お主を封じたKカプセルの~み。我らはWhite NOVA司令と~、その娘御の粉杉~翔花嬢を探しているのだが、心当たりはな~いかね」

ハイラス「実は、かくかくしかじか」

ドクター「何と〈事象の分岐点〉ごと出来たばかりの新世界へ? 道理で多次元レーダーに司令の居場所がつかめ~んはずだ。次元嵐の藻屑と消えたと思ったが、よもや拠点~ごと転移とはな。で、その新世界の位置座標は? 何、座標と言われても分からん? お主は〈事象の分岐点〉の管理人と言~ったではないか。多元宇宙を股に掛けた冒険者とも。そうか、ファンタジー世界の住人であるがゆえ、乗り物や測距システムに無知で位置座標など気にしたこともなかったと。航海の経験もなく、大地から離れて暮らしたこともなかったとは。つまり、ギ~ンガの森の住人は、星獣戦隊を名乗って宇宙海賊バルバンと戦っていても、自分たち自身は宇宙に無知なのと同じことか。パワーレンジャー版では、また違ったようだが」

ハイラス「的確な例えでござる。自然に基づくアースの力や、獣の力は専門であるが、広大な宇宙そのものの仕組みとなるとさっぱりで、NOVA殿の元で勉強中の身。しかし、ヒントは差し上げられるやもしれぬ。その新世界は確か、クリスタルと殺人ウサギというキーワードが印象的だった。これで位置が特定できないであろうか? 」

ドクター「クリスタルボーイコブラなら思いつくが、それだけだとな。大体、この多元宇宙において、いくつのクリスタルと、何羽のウサギが存在すると思うのか。もっと他に作品世界を容易に想像できる特徴的なキーワードはな~いのかね。『世紀末覇者』とか『奇面フラッシュ』とか『屁のつっぱりはいらんですよ』とか『ダーリン、浮気は許さないっちゃ』とか『オラオラオラオラ』とか、そういった感じの」

ハイラス「私には全てが分からんが、ドクターにはいずれも関わりの深い世界なのでござろうな。ともかく、NOVA殿たちは全員健在であるゆえ、いずれは向こうから連絡もあると予想される。私が向こうから転移する前は、位置座標が変化したから、それを調整して通信網を再設定するようなことを言っておられたな。それが済めば、平常に戻ると思うので、それまではこの位置で待機してはもらえないだろうか」

ドクター「よかろう。現在、メガネンジャーはわし~が当艦の艦長で、メガネレッドことモロボシ・ダン隊長が司令代理ということになっておる。最終決定はダン隊長が判断されることであるが、お主の情報がなければ、司令の痕跡を求めて当て~もなく探索行を続けるかたわら、ウルトラ族の皆さんには故郷に戻って、ウルトラマンキ~ングの助けを求めることも検討されていた。司令の失踪が~そこまで宇宙規模の問題になるとは、以前のわしには想像もしていなかったが、最近、一つの仮説に至ってな~。それはともかく、少なくともダン隊長は、ご自分が異世界に失踪されていた際、司令が彼の追跡を続けてキ~ングに情報をもたらしたことを恩義に感じていたみたいでな。司令の捜索をそれはもう熱心に主張しておられたのだよ」

ハイラス「ほう、そこまで。NOVA殿は風変わりでとりとめのない御仁であるが、この多元宇宙で相応の活躍をして来られたのだと見える」

ドクター「まあ、言~っていることの半分は妄言だと口にしている男だからな。荒唐無稽の戯言混~じりだと考えておく方がいいだろう」

ハイラス「つまり、半信半疑で接して、実際に起こった事象から判断すればよいのであろう。そもそも言ったことが100%正しい人間と話す方が恐ろしい。そういう人間が『イヤな予感がする。この日常が崩れたりしたら最悪だ』などと口にして、その翌々日ぐらいに大災害に見舞われたりしたら、『頼むから、お前はネガティブなことを口にしないでくれ』と言わざるを得ない。そして、そういう冗談の一つも言えない男とは喋っててもつまらないであろう」

ドクター「それはまあ、冗談の~レベルにもよると思うが、ネガティブ発言しか口にしない輩は、言ったことが当たろうが外れようが~総じてつまらんな。と~にかく、司令の行方や~生死の確認がで~きて良かった。わしは今から~外で活動している仲間に連絡をとってくる。お主はゆ~っくりしているといいであろう。す~ぐに話し相手と飲み物でも差し向けてやるから楽しみに~待っておくがいい」

ハイラス「はあ、かたじけないでござる。では、お言葉に甘えて、グリーンティーを」


★ケイP3号、その名はブレン・トリニティー


ハイラス「ふう、悪い御仁ではないが、あのハイテンションな叫び口調に付き合うのは少し疲れたでござる。しかし、まさかメガネンジャーの船に救出されるとはな。これも運命か、必然か。思えば、晶華殿が転移間際にKカプセルを投げつけてくれたことも幸いであった。さもなければ、カプセルの中に避難することもできず、私はアストラルの海の藻屑と消えていたであろうから。カプセルという一応の生命維持装置に収納され、それをNOVA殿を捜索していた船が見つけ出し、手遅れになる前に私を外に出してくれた。しかも、生身を維持してくれた上で。これを僥倖と言わずして何と言おうか。私自身の運か、それともNOVA殿の周囲の事象がこのように動く運命にあるのか。確か、特異点という言葉で良くも悪くも偶然が引き起こされると聞いたこともあるな」

コロコロ



ハイラス「ム、こんなところにケイP殿が。いや、ちょっと色合いが違うな。緑色が濃いのは、確か桜島の1号であったか」

緑のケイP「それは仮面ライダーだ。おっす、おらはケイPマーク3。またの名を仮面ライダーブレン……って、結局のところは仮面ライダーじゃないですか。モード318510は引っ込んでおいて下さい。ここは、この私、モード61310の003、メガネグリーンのブレンが仕切らせてもらいます。よろしいですか、ハート様。……うむ、お前に任せた。新しい友だちになるかもしれない男によろしくな……あなたに任せますけど、コミュニケーションに失敗すれば、お仕置きですわよ、ブレン……ってメディック、あなたは浄化されて黒い部分がなくなったんじゃないですか……あら、別にあなた相手なら、白でも黒になるのですわよ、ごきげんよう……うう、とにかく今は黙っていてください。このボディの専有権はこの私、冷静で、知的で、コミカルじゃない威風堂々なブレンにあるのですから」

ハイラス「こ、これは、いかなる存在か。何やら面妖な感じで理解困難な代物でござるが、NOVA殿の教示のおかげで似たようなケースを知っている気がする。あれは確か、そう、仮面ライダー電王クライマックスフォーム。モモ、ウラ、キン、リュウの4つの意識体が一つの肉体に憑依し、似たようなカオスな様相を示していた。つまり、これはケイPクライマックスフォームと称すべきか」

ブレン「いいえ、ボディはケイPですが、私のことは以降、ブレンとお呼びください。同時にハート様やメディックの意識も内包しているので三位一体。ブレン・トリニティーというのがいいか。とにかく、主人格はメガネキャラのブレンということでよろしく」

ハイラス「ああ、思い出した。確か仮面ライダードライブと戦った機械生命体ロイミュードとかいう存在でござったな。以前までの私なら、機械というだけで嫌悪感を示していたものでござるが、多元宇宙では機械生命体も市民権を得るようになってきているのが昨今の風潮。D&Dでもエベロンの世界でウォーフォージドが、そしてソード・ワールドでもラクシアではルーンフォークなる人造人間種族が普通に生活しているとか。ラクシアのルーンフォークは、神や妖精を見ることができず、信仰や自然との絆とは無縁の種族であるが、人類に仕えるべく設計されているため、総じて友好的。ただし、仕える主人が悪人であった場合は、敵対関係になるとか、良いも悪いも主人次第という」

ブレン「ほう。結構、博識のようですね。さすがは私たちと同じ機械生命体の次元ドロイドだ。これなら友好関係を結べそうです」

ハイラス「ちょっと待つでござる。今、私のことを何と言った?」

ブレン「おや? 次元ドロイドのハイラスさんと聞きましたが、何か不都合でも?」

ハイラス「ドロイドではなく、ドルイドな。私は人間であり、機械生命体ではござらん。大地と自然を愛し、機械とは無縁でござる」

ブレン「ああ、機械のパーツではなく、生体部品で作られたバイオドロイドの方ですか。つまり、我々がロボライダーであるなら、そちらはバイオライダー。あるいは仮面ライダー・シン、さもなくばアマゾン。人類の生体改造技術も多元宇宙では様々で、ロイミュードとは違った技術で生み出され、人間社会を守るものと壊すものも多士済々だそうですね。メガネンジャーにスカウトされて、我々ロイミュードがいかに狭い世界で生きていたかを知るようになりました」

ハイラス「それは結構なこと。私に関して、まだ多少の誤解はあるようだが、もしかすると私自身、Kカプセルから救われて治療が間に合っていなかった場合、改造手術による蘇生が施されていた可能性もあるでござろうから、並行世界では仮面ライダーハイラスというキャラも存在するのかも知れぬな。『仮面ライダーハイラスは次元ドロイドである。彼を改造したショーカは未来から来た悪のコウモリ怪人である。仮面ライダーハイラスはショーカの下僕のアシモンとして、フルーツと血液確保のために暗躍するのだ』的な物語も生み出された可能性もある。この物語世界の作者が血迷わなくて幸いでござった」

ブレン「確かに、並行世界云々を言いだすと、キリがありませんからね。スカイウォールがなくビルドが誕生しなかった世界や、バグスターが存在せずにエグゼイドが誕生しなかった世界も描かれたりするそうですし、このままだとドライブの世界はどのように改編されることやら。ロイミュードのいないドライブ世界だと我々の居場所がなくなるので、いろいろ気掛かりです。そもそも、ゲイツとやらは、どうやってドライブアーマーを手に入れたのか。あのジオウの物語では、もうゴーストとドライブの世界は探索済みなのか。いや、いっそのこと仮面ライダーブレンの世界を描いてくれれば、私にも出番があるのでしょうが、公式サイトによると、仮面ライダーブレンは2035年リリースだそうで、2051年の仮面ライダーアクアと並んで、未来世界のライダーの一人になるはず。未来といえばダークドライブも存在しましたが、そちらは物語内で歴史が変わり、存在を抹消されましたからね。とにかく未来の予定は未定ということですが、オーマジオウがダークドライブや仮面ライダーポセイドンを率いていれば笑えたりします。できれば、その中に私もちゃっかり混ざっていると、さらに笑えるのですが」

ハイラス「う~ん、ジオウの物語は付いて行けてないでござる。番組が開始したと思ったら、次元嵐に巻き込まれて、新世界云々で観察の機会を奪われたからな。多元宇宙監視の任務が果たせていないのは、無念を覚える次第」

ブレン「ああ、それなら我々メガネンジャーが代わりに、監視任務を引き継いでいます。記録した映像も本艦のデータベースに保存されていますので、後で確認するといいでしょう」

ハイラス「そいつは助かるでござる。NOVA殿もそれを聞くと、さぞかし喜ぶであろう。『うわあ、異世界に飛ばされて、通信も不備な状況では、いろいろと見逃すじゃないか。ヒーローの物語が奪われたら、俺は闇堕ちしてしまう。ただでさえ、甲子園時空には悩まされたんだ。これ以上、俺からスーパーヒーロータイムのリアル視聴の機会を奪わないでくれ』と心底嘆いておられたからな。ヒーローの活躍があの御仁の正義のエネルギー源なので、それが充足できない限り、ギルの笛を聞いた時のキカイダー・ジローみたいに、不完全な良心回路が誤作動してしまうという話を聞いたことがある」

ブレン「そう聞くと、うちの司令も何だか人間ではなく、壊れたサイボーグだかアンドロイドのように思えて来ました。まあ、あの人の場合、内蔵されている空想・妄想回路が暴走すれば、良くも悪くもいろいろカオスをもたらす特異点であることが、うちのドクターの研究仮説にあったりしますから。司令を放置すると、多元宇宙にどんな悪影響が生じるか分からないので、メガネンジャーは一刻も早く司令を見つけねばならないとも。これは司令には秘密なんですがね。このまま、司令をヒーロー物語から引き離すと、妄魔時王と化してしまうという未来予測も観測されたので」

ハイラス「妄魔時王? それはいかなる存在でござるか?」

ブレン「いえ、タイムジャッカーと呼ばれる未来からの侵略者がいましてね。彼らはオーマジオウと呼ばれる未来の魔王とは別に、自分たちの独自の王を擁立しようとする勢力だそうで。そして、そのうちの一派が、どうもうちの司令にも目を付けたようなんです」

ハイラス「タイムジャッカーの存在はこちらも認知しているでござるが、司令にとっては不倶戴天の敵になりそうでござる。何しろ、娘御を怪人に改造されてしまったからな。メガネシルバーは今や悪のバットクイーンにされたところを、司令の尽力で洗脳状態を解除し、正気を取り戻させることには成功したでござる」

ブレン「そ、それは……(突然メディック)聞き捨てなりませんわ。私もロイミュードとして邪念に支配されたことはありましたが、蛮野のような悪魔の手からハート様の愛とブレンの勇気? 献身? ええと、誠実な真心で救われました。今では、人の自由で真摯な想いを踏みにじることが極悪ということが分かります。私たちの仲間、メガネシルバーの翔花ちゃんを改造し、あまつさえ洗脳するなんて、この私が許しません。タイムジャッカー許すまじ、ですわ……(ハートになって)いつもは冷静なメディックが、そこまで感情を露わにするのは珍しいな。だが、俺もその気持ちは同じだ。友だちを傷つけられた。ならば、ロイミュードの誇りにかけて、人との友情の絆にかけて、タイムジャッカーという連中に報復せねばなるまい。いいな、ブレン……(ブレンに戻って)やれやれ、お二方がそういう意見なら、私としても賛同しないわけにはいかないじゃないですか。ただし、冷静沈着な私としては、やみくもに行動するのではなく、まずは司令との合流、そして情報収集を果たした上で、万全の備えをしての行動を推奨します。敵の実態も見極めないまま、猪突猛進で動いても相手の思うツボにはまる危険があります。ましてや、今の私たちはメガネンジャーの一員、メガネグリーンなのですから、チームの意志決定というものも考慮しなければなりません。よろしいですね。ああ、納得いただけたようで幸いです」

ハイラス「う~む、分かっていても一人三役脳内会議というのは、横で聞いていて混乱するでござる。せめて人型でボディアクションを伴うなら、落語の複数人物芸と解釈もできようが。ボディがケイP殿のままだと、ラジオでトリオ漫才を聞いているような、音声ドラマを聞いているような、不思議な感じでござる。今さらながら人型にはなれないのでござるか?」

ブレン「なろうと思えばなれますが、エネルギー消費量が高すぎて長時間の活動は無理なんですよ。だから、普段はエネルギー節約のための省エネモードで、ハロ形態でいるように言われていまして。人型形態は戦闘時とか非常時用のモードということで」

ハイラス「映像投射機能はついていないのでござるか?」

ブレン「ああ、付いているのは付いているのですが、今は別の用途に容量を食ってまして」

ハイラス「別の用途とは?」

ブレン「本当に今さらなんですが……(ハロ型ボディがパカっとオープンして)ご注文のグリーンティーをどうぞ。冷蔵庫機能を働かせていますので、冷たくて美味しいですよ。お代わりもできます。マスコットロボには日常生活における給仕機能もあればいいのでは? と試験的に組み込まれました」

ハイラス「あ、ああ、ケイPマーク1殿にもこういう機能があれば、サバイバル生活での飲料水獲得に役立っていたかもしれないでござるな」

(今話完。そして次回は、「次元ドルイド、職務復帰」エピソードにつづく)