★鉄太郎の帰還
鉄太郎「ただいま……と言っていいのかどうか」
NOVA「おお、お帰り。モロ……いや、鉄太郎さん」
鉄太郎「おや、司令じゃないか。こっちに来ていたのか」
NOVA「ああ、こっちの地球はコロナという未知のウィルスのために大変な状況に……って、その話は知っていますか」
鉄太郎「そうだな。息子の経営する学園にも念のため、手洗いうがいを勧める貼り紙をするなど対策を講じるよう伝えてきた。ルナミラクル保健室があれば、あの学園はおそらく大丈夫だろう。コロナとやらが地球人以外にも感染するかどうかは今のところ不明だが、何事も念には念を入れておかないとな」
NOVA「で、一通りの出張仕事を終えて、こちらに帰ってきた、と」
鉄太郎「また急な用事で席を外すかも知れんが、それまでは世話になるゆえ、またよろしく頼むよ」
NOVA「ええ、分かりました。鉄太郎さんの犬キャラクター、アイアン・ラビドッグは準レギュラー参戦ということで考えておきます」
★アイアンの持ち物
鉄太郎「で、私のアイアンの持ち物を考えればいいんだね。もちろん、宇宙ブーメランと、ワイドショット光線銃と、カプセル怪獣の入ったカプセルと……おお、そう言えば、今度セブンガーにも陽の目が当たることになってね。また、起動時間が1分しかないのか、と心配しているんだが」
NOVA「TRPGの世界では、1ラウンド10秒という作品が多いので、6ラウンドも使えれば、割と役に立つと思うんですけどね。6ラウンド効果のある前衛壁役ファイターを召喚できると思えば」
鉄太郎「なるほど。だったら、セブンガーの怪獣ボールも持ち物に加えておいて……あとは当然、忘れちゃいけない変身メガネと……」
NOVA「いいえ、それらのアイテムは持って行けません」
鉄太郎「何だと?」
NOVA「作っているのはパグマイアの犬キャラであり、ウルトラ戦士ではありませんから。アイアン・ラビドッグの出自背景は自由犬なので、初期の持ち物は『寝袋、破れて繕われた衣服、プラスチック貨の少々入った革袋』です」
鉄太郎「まるでホームレスみたいな格好だな」
NOVA「もちろん、天命つまり職業のストレイ(野犬)から得られるものもあります。『近接武器1つと盾か、近接武器2本。スコップ。松明数本。保存食。その他の特殊な品物』ですね」
鉄太郎「特殊な品物?」
NOVA「d6を振ってください」
鉄太郎「これだな。実のところ、キャラ作りでダイスを振るのは、これが初めてだよ」
NOVA「昔のD&Dでは、考えられないセリフですな。D&D5版やパグマイアは、キャラ作りにランダム要素がほぼないわけで」
鉄太郎「2が出たが」
NOVA「何年か前に、あなたの仔犬たちからプレゼントされた何か」
鉄太郎「あなたの仔犬たち! そうか、このキャラは複数の子持ちだったのか。よし、一匹めはゼロワンと名付けよう」
NOVA「ゼロワンですか?」
鉄太郎「ゼロだと、いろいろマズいと思うからな」
NOVA「ゼロワンでもマズそうですよ」
鉄太郎「いや、犬キャラだから、ワンが入っても問題ないだろう。2匹めはゼロツーで、3匹めはゼロスリー。ゼロスリーは娘がいいな。ゼロワンは緑の服を着て、ゼロツーは赤で、ゼロスリーはオレンジ。3人そろってトリオで変身するとか、そんな感じで」
NOVA「しかし、いきなり子持ちキャラがランダムにできるとは、さすがアメリカンなゲームだな。まあ、日本流にアレンジするなら、子どもを弟とか、後輩にアレンジした方がいいのだけど」
鉄太郎「だが、私はこれで行くぞ。今さら少年キャラよりも、年季を積んだ父親キャラの方がプレイしやすいからな」
NOVA「でも、最初はレベル1ですよ」
鉄太郎「きっと、元々は高レベルの冒険者だったんだが、何かの呪いでブロンズ像にされて、力を封じられてしまった。それを一人前に成長した息子たち3人兄妹が助け出してくれたんだが、その代わりに彼らが封印されてしまった。私は自分の子どもたちを助けるために、まずは失われた自分の力を取り戻さなければならないのだ」
NOVA「凄い。よくも、そんな設定がポンポン出て来ますね」
鉄太郎「これも過去の経験という奴だな」
NOVA「まあ、実際にブロンズ像にされたり、ゴルゴダ星に貼り付けにされて力を奪われたりしていましたからね。じゃあ、息子さんたちの名前はゼロワンとかだとそのままなので、ロワン、ゼロッツ、ロザリーってアレンジするのはどうでしょうか?」
鉄太郎「司令がその方がいいと言うなら従おう。ロワン、ゼロッツ、ロザリーね(キャラシートに書き込み)。それで、息子たちは私に何をプレゼントしてくれたのかね」
NOVA「そうですね。ゴーグル・オブ・ナイト、つまり暗視メガネでも差し上げましょうかね。アイアン・ラビドッグは、このメガネを着用することで、暗闇でも見通すことができるのだ」
鉄太郎「おお、それは野外活動においても便利そうだな。『光のメガネ』とキャラシートに書いておこう」
NOVA「何だか、明鏡戦隊メガネンジャーの隊長らしくて、いい感じかと思います」
★アイアンのパーソナリティー
NOVA「では、次に理想、絆、欠点を決めてもらいます」
鉄太郎「前回の記事によれば、理想は一番大事な信念とか目的とかだな。もちろん、3人の子どもたちだ。そのために失った力を取り戻さなければならぬ」
NOVA「絆は、自分を勇気づけてくれるものですね」
鉄太郎「子どもたち以外でか。だったら、大宇宙の光だな。太陽や月、星の光が私にエネルギーを与えてくれる」
NOVA「うわあ、いかにもヒーローっぽい。『この大空に光がある限り、この勇気の炎も消えることはない!』とか叫んでしまえるんですね」
鉄太郎「いや、そこまでくどくど説明しなくても一声叫べば十分だ。デュワッてな」
NOVA「何だか、一人だけ違う世界に生きているキャラって感じなんですけど。ギャグの要素が一かけらも見当たらないというか」
鉄太郎「そんな私にも重大な欠点がある。『何があっても私は闇が怖い』んだ。光があれば無敵なんだが、闇には恐れを抱く。しかし、そんな暗闇恐怖症な私もメガネの力で、かろうじて闇を克服して挑むことができるわけだ」
NOVA「もしも、メガネがなければ?」
鉄太郎「うおっ、何も見えん。暗いよ~、キャンキャンと尻尾を巻いて逃げたくなる。あるいはガタガタ震えて、もうダメだ~と弱気になる」
NOVA「メガネを掛け直すと?」
鉄太郎「ハッ、光が戻ってきた。そうだな、私には大切な子どもたちのくれたメガネがあるんだ。これぐらいの闇に怖気づいている場合じゃない。今こそ勇気の光で、邪悪な闇を晴らしてみせよう。デュワッ」
NOVA「凄い。そんなロールプレイをされたら、フォーチュンをあげずにはいられない。何とか、そういうシチュエーションを作ってあげたいな」
鉄太郎「これって、メガネを紛失したロールプレイでフォーチュンを1つ稼ぎ、適当にピンチを演出した後で、メガネをあっさり見つけて、フォーチュンをもう1つ稼ぐって技が使えないかな」
NOVA「一回ぐらいなら、そういうのもありでしょうね。何度も繰り返されるとマンネリ化して、うんざりしますけど」
鉄太郎「メガネを紛失して戦えない時に、代わりに戦ってくれるカプセル怪獣がいればいいんだがな」
●鉄太郎のアイアン・ラビドッグ
理想:私が一番大事なのは、子どもたちを助けることだ。
絆:大宇宙の光(太陽や月、星)が、私を奮起させる。
欠点:何があっても、私は闇が怖い。メガネがないと耐えられない。
★次回予告
NOVA「では、次回からお試しプレイをしてみますか。シナリオはD&D5版スターターセットの『ファンデルヴァーの失われた鉱山』のパグマイア版アレンジってことで」
(当記事 完)