ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

パグマイアのプレイ開始(ワンデルヴァー序章)

ゴールデンウィークの見切り発車

 

 

NOVA「今日は休みだ」

 

アスト「昭和の日だからな」

 

NOVA「明日も、あさっても、その次も休みだ。というか、5月6日まで完全にお休みだ」

 

ダイアンナ「ゴールデンウィークだからね」

 

NOVA「いや、本来なら俺の休日は暦どおりで、明日と、あさってと、その次まで仕事はある予定だったんだよ。だけど、新型コロナの件で、この連休期間は『大小関わらず、学習塾は自粛休業するように』との要請が県から出されたのだ」

 

アスト「つまり、これまでは『塾といっても小規模で、休業要請の対象外だから細々と授業を続けてきた』のが、ついにお目こぼしなく、休まざるを得なくなったということだな」

 

NOVA「おまけに、5月7日に再開するはずだった学校も、5月末まで休校が延期になったので、果たしてどうなることやら、というのが現状ということだ。一応、休業要請が出たのが月曜なので、昨日の火曜に『今週後半の授業は休止することを保護者に電話連絡』して、今日は教室の玄関に休業知らせの張り紙もしてきた。一応、来週の5月7日からは授業再開するつもりだが、もしも県からの休業要請が長びくようなら、ずっと休日になるかも、ドキドキという段階」

 

アスト「最低でも1週間まるごと休みになったようなものか。お盆休みや正月休みと思えばいい」

 

NOVA「まあな。そんなわけで予定外の休日が入ったおかげで、早速パグマイアのプレイを開始する」

 

アスト「って、おい、いきなりプレイかよ。そんな遊んでいる場合か?」

 

NOVA「部屋の片付けとか、溜まっている映像ソフトやゲームを消化するという選択もあるが、ひとまずはTRPGをするのが、この場での王道だろう。読者もそれを期待しているんじゃないか。何にせよ、このアステロイド監視所まではコロナの脅威も来ないだろうし、いざとなれば、鉄太郎さんの伝手でビヨンド学園に避難して、ルナミラクル保健室で治療してもらえばいい」

 

鉄太郎「しかし、ビヨンド学園も5月に一時休校する可能性もないわけではないぞ」

 

NOVA「ゼロさんやリク君は元気でも、番組制作する円谷さんの方針次第だからなあ。東映ニチアサも、まずはプリキュアが負けたわけだし、ライダーと戦隊、ウルトラでどんどん脱落していく未来がドキドキものだ」

 

リバT『ゴールデンウィークが明ける頃には、次々と番組休止(再放送)のお知らせが出されるかもしれません』

 

NOVA「時空をねじ曲げて、ヒーローヒロインたちを過去の世界に封じ込めるとは、正に恐るべき敵コロナといったところか。それでも、俺はヒーローたちの未来を信じて、ここでもTRPG記事を展開することにするぜ。ここでは俺の、いや、俺たちの物語を紡ぎ続ける(仕事が休みで時間もできたんだしね)」

 

★暗黒邪霊ヒッポリトンの呪い


NOVA「では、シナリオ本編を始める前に、プロローグとしてキャラの個別導入を行う。と言っても、5人全員だと手間が掛かるので、2人ずつ組み合わせるとしよう。
「まずは鉄太郎さんとリバTだ。最初のシーンは、アイアンとフリーダの二人、いや二匹だけ。舞台はパグマイア王都で宗教区として知られる西部のウェストウォール地区。ここには、みんなが所属している王立開拓団の『開拓者ギルド』と、ヒト信仰の中心『聖アナの礼拝堂』が存在する。鉄太郎さんのキャラクター、アイアンは今、この礼拝堂に来ているんだ」

アイアン(鉄太郎)「どうして教会なんかに? 私のキャラは、それほど信仰深くはないと思うんだが」

NOVA「子どもたちがブロンズ像にされているからね。治療するには、教会の癒しの術が必要なんだよ」

アイアン「おお、それは確かに。では、3人の仔犬は今、教会に運び込まれているのか」

NOVA「3人ではなくて3匹だけど、そういうこと。そして癒しの担当は、フリーダの師匠であるストラ牧師。このストラ牧師と、義兄弟のレオ巡査部長は、数十年前の犬猫戦争時の歴戦の勇士たるアイアン・ラビドッグに心酔しているという設定だ」

アイアン「私が数十年前の歴戦の勇士だというのか?」

NOVA「そう。だけど、アイアンは犬猫戦争の影で暗躍していた暗黒邪霊ヒッポリトとの戦いで、相手を倒したものの、自らも呪いを受けてブロンズ像にされてしまったということです」

アイアン「恐るべし、暗黒邪霊ヒッポリト。しかし、その名を使っていいのか?」

NOVA「ヒッポリトは元々、ギリシャ神話に登場するアマゾンの女王ヒッポリュテーと、その息子のヒッポリュトスを元ネタにした名前らしいからね。ギリシャ神話モチーフの名前だから使うのは自由だと思うけど、もしも問題を感じるなら、ヒッポリトンにアレンジしてもいい」

アイアン「では、ヒッポリトンの呪いを受けて、私はブロンズ像にされたんだが、それを息子たちが助けてくれたんだな」

NOVA「その通り。アイアンの3匹の子どもは、知恵のロワン、力のゼロッツ、慈愛のロザリーのラビドッグ3兄妹と呼ばれ、伝説の勇士の子どもとして期待されていた。その彼らを後見人として援助していたのがストラ師だったりします。また、武芸を伝授していたのがレオ巡査部長。うちのシナリオのレオ巡査部長は、初心者冒険者ではなく、すでに師匠枠という風に設定した」

フリーダ(リバT)『つまり、私めのお師匠さまがロワンさんたちの面倒も見て、その上、アイアンさんを伝説の勇士として尊敬しているわけですか。だったら、私めにとってもアイアンさんは師匠よりも目上の人になるわけですね』

NOVA「そうなるな。そして、ラビドッグ3兄妹は、ついに長い冒険の末にアイアンのブロンズ像を発見し、ストラ師が発見した解放の術を使って、ヒッポリトンの呪いを解こうとした。解放の術は効果を発揮し、アイアンはブロンズ像から生身に戻ったものの、その体は若返り、かつて宿していた力を喪失していた」

アイアン「ああ、だからレベル1なのか。しかも若者だと?」

NOVA「うん。精神年齢は老犬として成熟しているけど、肉体は若く、技量も未熟。つまり、心は酸いも甘いも噛み分けた壮年、体は青年というアンバランスな状態。それが復活したアイアン・ラビドッグだ。そしてヒッポリトンの呪いは、それで消えたわけじゃない。呪いを解いた子どもたちを蝕み、今度は彼らをブロンズ像に変えたんだ」

アイアン「おお、息子たちよ、娘よ。若いお前たちがこの父の身代わりになってしまうとは!」

NOVA「息子たちを犠牲にして甦ったアイアンは、彼らの体を頑張って教会まで運んだ。そこで話を聞いたストラ師は、自分の授けた解放の術がヒッポリトンの強力な呪いを克服するには未完成だったことを知り、さらなる研究を重ねて、その結果をアイアンに語るわけだ」

ストラ『アイアン様。やはり、暗黒邪霊ヒッポリトンのブロンズ呪縛を解除するには、通常の術では力不足。ただ術を使うだけでなく、犠牲者との絆を紡いだ魂の力パワー・オブ・ソウルの輝きが必要となります』

アイアン「パワー・オブ・ソウルだと?」

ストラ『ヒッポリトンの呪いは、犠牲者の力を吸収して暗黒に染め上げます。もしも、ロワン様たちがアイアン様を解放しなければ、あなた様の肉体は完全に闇に染め上げられ、ヒッポリトンの器と化していたことでしょう。つまり、ロワン様たちはあなたを救うだけでなく、ヒッポリトンの復活を阻止したのです』

アイアン「だが、このままだと息子たちの肉体もヒッポリトンの器となってしまうのではないか?」

ストラ『そうです。ですから、その前にあなた様は往年の力を取り戻し、ヒッポリトンの闇を凌駕するほどの光の力をもって、ロワン様たちを蝕む呪縛を断たねばなりません。ロワン様たちも光を受け継いだ者として、あなたを解放することはできたものの、そこで力尽きた結果、闇の憑依に抵抗できなかった。ですから、この次は解呪のみならず、最後の闇に抵抗するだけの光を会得する必要があります」

アイアン「かつての力を取り戻すのみならず、その上を目指さなければならんとな」

ストラ『及ばずながら、私も協力します。この教会で祈りながら、闇がロワン様たちを蝕むのを少しでも食い止めるつもりです。そして、フリーダよ』

フリーダ『はい、お師匠さま』

ストラ『お前もアイアン様のお供をして、この暗黒邪霊の呪いから解放するための修行の旅をお手伝いするのだ。ヒトの光が、お前とアイアン様の道行きを照らさんことを』

フリーダ『ああ、私めが勇者のご子息たちの解放のお手伝いをするのですね。分かりました』

NOVA「こんな感じで、2匹の物語は始まるわけだ。と言っても、実際にすることは冒険を重ねて強くなることだけどね。どこまで強くなればいいかは明確でないし。一応の目安としては、通常の石化状態を解除するにはレベル5のシェパード呪文《グレーター・レストレーション》が必要だ。でも、ただそれだけでブロンズ像の呪いを解くことはできないそうなので、自らの成長とともに、その方法を求めることも冒険の目的となるだろう。だから、2匹とも『呪縛から解放する手段』というキーワードを意識して欲しいってことで」

アイアン「なるほどな。こうして、私とフリーダは主従関係みたいになって、冒険の目的を共にするわけだ」

フリーダ『私たちの設定をうまくつなぎ合わせたものですね。さすがはグランドマスター

NOVA「設定をつなぎ合わせるのが創作の醍醐味だと思ってるからな」


★二枚のカードが示す運命


NOVA「では、次はダイアンナとアストのペアだ」

触手キング「すると、吾輩だけが一人でごわすか?」

NOVA「キンちゃんは、鍛治師ゴランドとの絡みを用意した。この鍛治師ゴランドが、シナリオ本編での最重要キャラなので、プロローグよりも本編の主役がモッサ・トッサになる予定。他のキャラの設定は、原段階でシナリオ本編とは直接関係ない背景情報でしかないけど、まあ背景を作っておくと、アイデアも思い付きやすくなるからな。一方、モッサは背景で膨らまさなくても、シナリオの中心に位置するために、一匹でも見せ場は確保できると判断した」

触手キング「おお、そこまで考慮してのことか。では、出番を待つとしよう」

NOVA「というわけで、アストのキャラのバリー・ザッシュだな。君は王都の汚れた裏街で、よく当たると評判の占い師の前にいる」

バリー(アスト)「占い師か。だったら聞こう。翔花ちゃんはどこだ?」

NOVA「俺が知るか。いや、もしかすると『未来に行けない封じられた過去の世界』にいるかもしれないが」

バリー「何? 未来に行けないだと?」

NOVA「だから、未来が来るようにミラクルンに願わないといけないんだよ。プリキュア映画のネタはさておき、バリーにとっては、もっと大事なことがあるだろう?」

バリー「おお、そうだった。オレは生き別れの妹を探していたんだった。妹の名前はショーカにする」

NOVA「却下だ、却下。パグマイアに人の娘を登場させるな。ガイド権限でショーカ名義を禁じる」

バリー「だったらアレンジすればいいんだな。シューカ・ザッシュでどうだ」

NOVA「週刊雑誌みたいな名前だな。分かった、1万歩譲ってシューカは認めてやろう。バリーは妹シューカの居場所を占い師の女性に尋ねたんだ。すると……」

バリー「すると?」

NOVA「占い師は3枚の神秘的なタロットカードを引いてみせる。1枚めは恋人」

バリー「おお、恋人キター」

NOVA「……の逆位置」

バリー「逆位置かよ」

占い師『これは、お前さんの過去を表す札さ。恋人のカードは、深い結びつきの異性を表すが、それが逆位置ということは、お前さんは愛する誰かを失い、希望を失いつつあるってことだね』

バリー「そうだよ、その通り。で、次のカードは?」

占い師『2枚めは……おお、これは運命の輪の正位置。現在のお前さんは人生、いや犬生の転換点に来ている。幸運の到来、出会いと解決、そして定められた運命。どうやら、このカードがお前さんを導いてくれるようだ。お前さんは運命の輪に選ばれた犬。このカードをお前さんにやろう』

ダイアンナ「……って、その占い師はもしかして?」

NOVA「ああ。ダイアンナのキャラ、ルビーに女帝カードをくれた名前不明の占い師だ。そして、バリーにも今、『運命の輪』のカードをくれる」

バリー「オレが運命の輪に選ばれた、だと?」

NOVA「そう。『ホイール・オブ・フォーチュン。運命は流転するもの』 そのカードは最初、ただの紙のように見えたけれど、思いがけず神々しい光を放って、遺物的なプラスチックの材質に変化して、バリーの手に収まった。バリーはちょっとした手品を見せられたような気分になる」

バリー「こんな貴重なものをオレにくれるのか?」

占い師『わたしがあげるんじゃない。カードがお前さんのところに行きたがっているのさ。わたしはカードに従うのみ。そして、お前さんを導く未来は、このカードの持ち主だね』

NOVA「そう言って占い師が示したのは、ルビーが持っているのと同じ女帝のカードだ。『いずれ、女帝のカードに選ばれた女が、お前さんと出会うことになる。そう遠い話ではないはずさ。その女との道行きの先に、お前さんの求める運命も見つかるだろうよ』 そう言い残して、占い師の姿はフッと消えた」

バリー「消えたのかよ」

NOVA「ああ。バリーはまるで夢から目覚めたかのような気持ちになったが、その手には確かに『運命の輪のカード』が残っている。魔力を感じる力をバリーは持たないが、これが幸運のお守りのように感じて手放したくはないと思った」

ルビー(ダイアンナ)「そして数日後、バリーのところにカードの魔力を感じたあたしが現れるわけだ」

NOVA「そうだな。『女帝カード』がルビーの心に囁く。『お宝カード発見。あの男だよ』」

ルビー「そこまではっきり囁かれるのかい。だったら、興味津々でスリ取れるチャンスを窺うよ」

バリー「ちょっと待て。いきなりスリかよ」

ルビー「だって、あたしは犯罪者上がりだからね。欲しいお宝があれば、何としても手に入れたい。それがあたしの生きる道」

NOVA「ナイスロールプレイだ。フォーチュンをあげてもいいくらいだけど、まだプロローグだからね」

バリー「って、こんなロールプレイを推奨するのかよ。仲間から何かを盗むなんて」

NOVA「まだ仲間じゃないんだ。このロールプレイを乗り越えて、仲間になると思ってくれたらいい」

ルビー「どうせだったら、ダイスを振って判定したいんだけど」

NOVA「いいだろう。では能力値の対抗判定になるな。ルビーは敏捷で、バリーは判断力で判定だ。ルビーは〈窃盗〉が、バリーは〈感知〉があれば使えるよ」

ルビー「〈感知〉はあたしが持ってるよ」

バリー「オレが持ってるのは〈探索〉だ」

NOVA「〈感知〉は受け身で、〈探索〉は積極的に何かに気づく技能だから、この場合、立場が逆だよな。狙っているのがルビーで、狙われているのがバリーだから、どちらも技能は使えない。有利不利も関係ないので、純粋に能力値勝負だ。ええと、どちらも能力値ボーナスは+2だから、純粋にダイス目勝負と言った方がいいな」

ルビー「20面を振ればいいんだね。出目は……8」

バリー「何だ。それぐらいのスリなら、簡単に気付くはず(コロコロ)……って、1かよ」

ルビー「よし、ラッキー。これで『運命の輪のカード』をゲットした」

NOVA「……と、その時、バリーの持っている『鈴』がチリンチリンと鳴った」

バリー「お? そう言えば、『危険を知らせてくれる鈴』を持っていたよな。スリに気付いていいのか?」

NOVA「いや。鈴が鳴ったので即、気づくってことだと判定に意味がないので、『鈴』の効果は〈感知〉判定を有利にしてくれるということにしよう。つまり、2回ダイスを振って、大きい出目を選べる」

バリー「実質、判定ダイスを振り直せるということだな。(コロコロ)よし、17出た。『鈴』の加護だぜ。この泥棒ネコ、いや、メス犬め。オレのカードを盗むんじゃねえ」

ルビー「チッ、気付かれたか。だったら、技能の〈はったり〉で相手を言いくるめようとするよ。盗むつもりはなかった。ただ、あんたのカードに導かれただけだ」

バリー「カードに導かれただと? どういうことだ?」

ルビー「こういうことさ、と『女帝カード』を見せる。あんたもお宝カードを持っているなら、カードの導きって奴を信じているんだろう? あたしはお宝を探している。あんたはお宝を持つ男かい? それとも、もしかすると、あんた自身がお宝かい?」

バリー「オレは……運命を導いてくれる女帝を探していた。オレの探しものをお前は見つけてくれるのか?」

ルビー「あんたも宝を探しているのかい。あたしのスリに気づいた嗅覚は頼りになりそうだ。共にお宝探しの仲間になるってのはどうだい?」

バリー「これがオレの未来か。占いは当たったな、と呟く」


★鍛治師ゴランドの願い


NOVA「では、最後にキンちゃんのモッサ・トッサだ。君がいるのは王都の北部、鉱石区と呼ばれるノースゲート地区。ここは力自慢の工夫や鍛治師、そして体を鍛えるのが日常の王国警備隊員がよく集まる場所として知られている。そこにある老舗の酒場、〈こぼれた皿〉亭で馴染みの鍛治師ゴランド・ロックシーカー・マラムートと食事をしながら、彼の話に耳を傾けている最中だ」

モッサ(触手キング)「おやっさん、改まって話って何なんだ? 吾輩にできることなら何でも言ってくれ」

ゴランド『おお、モッサ。お前さんの鎧だが、今のわしにはそれ以上の物は造れない、と思っている』

モッサ「お、おお、そうだな。おやっさんの腕は最高だよ」

ゴランド『腕はな、鍛えればまだまだ延びると自負しておるよ。最高だなどと自惚れていては、後は錆び付くだけ。鍛錬は常に欠かしてはならんのだ』

モッサ「ああ、そうか。悪い、頭が回らなかったでごわす。そうだな、腕も体も鍛えれば、まだまだ延びる」

ゴランド『しかしだな、それでも足りんのだよ。今以上の鎧を造るには、腕だけじゃなく、素晴らしい鍛治炉がいる。優れた素材がいる。ありきたりの施設や材料では、この腕に見合った仕事ができん。そのように感じるようになってな。近々、わしはここを出ようと思う』

モッサ「何だと? 王都を去ると言うのか?」

ゴランド『ここより少し離れたところにソード・コーストと呼ばれる地があってな。そこにわしの兄弟が住んでおって、最近、連絡が届いたのだ。「ワンデルヴァーの失われた鉱山」を見つけた、と』

バリー「ええと、GM、いや、ガイドか? ソード・コーストって、もしかして、あのソード・コーストだよな」



NOVA「そのソード・コーストだよ。D&Dの世界フォーゴトン・レルムの舞台を、パグマイアと連結させた。一応、パグマイアのマップは現状、王都パグマイアの周辺部しか(日本語では)分かっていないんだけど、西の方にソード・コーストに準じる湾岸地域があるという前提でいる。もしも矛盾が生じるようなら、その時に考えて調整するってことで」

バリー「ああ、本気でD&Dと絡めるんだな。『ワンデルヴァーの失われた鉱山』ね」

NOVA「なお、元シナリオでは、グンドレン・ロックシーカーという名のドワーフが鉱山を見つけようとして、事件に巻き込まれるのをプレイヤー・キャラクターが助け出す流れなんだが、そのグンドレンの役割をゴランドに割り当てたわけだ」

モッサ「つまり、ゴランドのおやっさんは、これから危険に足を踏み入れることになるんだな。それは何としても止めないと。おやっさん、吾輩を置いて行かないでくれ。この街には、吾輩以外にもおやっさんの鎧を愛用している者がたくさんいる。今のままでも十分やって行けておるではないか」

ゴランド『そう言ってくれるのはありがたいのう。わしも長年、自分は堅実な犬生を歩み続けると思うておった。弟たちは伝説の鉱山を見つけるなどという、ネコみたいにフワフワした夢に現を抜かしておったが、このわしはパグマイア王国のためにコツコツ働くことこそ至高なり、と信じてきたのだ。その果てに、わしは多くのものを得てきたのだが、それだけでは物足りなくなったのもまた事実。お前さんに作ってやった以上の傑作を造るには、わしが新たな挑戦に臨まねばならないのでは? そう思い始めた時期に「失われた鉱山」の話が出たのだ。フワフワした夢とバカにしてきたものが、確かな形をもって現れたとして、お前さんならどうする? 挑んでみるか、それとも今あるものに縛られて断念するか?』

モッサ「難しい選択だが、挑むのなら、この吾輩にも手伝わせて欲しい。報酬は……新たに鍛えた今以上の鎧ということで、どうでごわすか?」

ゴランド『おお、わしのフワフワした夢に付き合ってくれるか。お前さんに話した甲斐があったというもの。だが、心配せずともタダ働きはさせんぞ。わしとて、これまで王国で堅実な犬生を歩んできた男。この失われた鉱山の探索行は、王立開拓団の仕事になるよう手はずを整えるつもりだ。たとえ鉱山の話がほら話であったとしても、ソード・コーストのワンダリンの街と交易ルートが確立されるなら、王国の利益となろう。交易の馬車隊を仕立て上げて、王立開拓団に護衛を引き受けてもらえれば、と思う。その際には、お前さんも護衛の役目を果たしてもらいたい』

モッサ「おお、身一つで乗り込むのではなく、交易馬車を率いるとは、さすが堅実な御仁でごわすな。よし、吾輩は戦うことしかできない不器用な男だが、護衛という仕事なら任せて欲しい。で、いつ出発する予定か?」

ゴランド『王家と議会に話を通して、王立開拓団の任務にするのに一ヶ月は掛かるかもな。その目処が付いた辺りで、わしはワンダリンの街へ下見に行くつもりだ。後から交易の馬車隊が付いて来てくれればそれでいい。それから現地で落ち合うように考えておる。その折はよろしくな』

モッサ「王立開拓団か。そこに吾輩も所属しているのでごわすな」

NOVA「パグマイアのプレイヤーキャラクターは、原則として全員、所属しているという設定だ。開拓者は、ソード・ワールドなんかの冒険者と違って営利商売ではなく、王国に仕える特殊部隊の位置づけで、身分や肩書きに関係なく入団できて、危険に対処する勇気と特殊な技術を見込まれた者たちだ。一応、軍隊みたいに装備なんかは支給されて、一定の生活は保証されているけど、少人数のチームで怪物退治や遺跡探索などの様々な仕事を要請される。フリーターではなくて、裏仕事を行う公務員と考えた方がいいかも」

アイアン「私としては、自らを鍛え、かつ呪縛からの解放手段を求める上で、遺跡探索などは都合がいいのだろうな」

フリーダ『そのようですね。勇者さまにお供します』

ルビー「こちらも三食と寝泊まりできる場所を確保できて、お宝を見つける機会をくれるなら、開拓団に入っていた方が得なんだろうね」

バリー「オレは難しいことを考える性分じゃねえ。女帝が導いてくれるなら従うぜ。そうすれば、運命が開けることを心から信じてな」

NOVA「ということで、以上が各キャラの動機や状況を紹介したプロローグだ。次回から、本格的にシナリオの中身に突入する」

(当記事 完)