ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

ワンダリン到着(ワンデルヴァー3話)

★街への到着

 

 

ガイド役NOVA「前回(2話)は、ゴブネズミの奇襲を何とか退けた君たちだったが、先に出立していた雇い主ゴランドと護衛のシルダーの方は残念ながらゴブネズミに囚われたような痕跡を見つけたんだったな」

 

ガーディアンのモッサ(触手キング)「ゴランドのおやっさんにいろいろ世話になっていた吾輩としては、一刻も早く救出に向かいたいところだったが……」

 

アーティザンのルビー(ダイアンナ)「あたしが止めたんだ。夜の探索は危険だし、先の奇襲で消耗もしている。せめて拠点を確保して、情報収集や事前準備もしっかり整えた上で、一晩休んで明日の日中に出直そうって意見して」

 

ストレイのアイアン(鉄太郎)「私としても夜の闇は好かんので、魔女どのの意見には賛成だ」

 

シェパードのフリーダ(リバT)「それでも捕まった方たちは、必ず救出いたしませんと」

 

ハンターのバリー(アスト)「そんなわけで、オレたちは目的地のワンダリンの街へと急いだ。しかし、そこはすでに火の海だった」

 

NOVA「こらこら。勝手に街を燃やすな」

 

バリー「街は無事なのか? てっきり、お前のことだから、『その方が面白いし』という理由だけで、オレたちを追いつめに掛かってくると予想していたぞ」

 

NOVA「その方がいいと言うのなら、今からシナリオを改変して街を燃やすが? ちょっと待ってろ。シナリオを調整する」

 

バリー「本気かよ」

 

NOVA「冗談だ。街は普通に健在だよ(内部でいくつかのトラブルを抱えているんだけどな)。ええと、ワンダリンの街は4〜50軒ほどの丸太小屋で構成された小さな開拓街だね。田舎の村に毛が生えた程度の自然豊かなところだと思ってくれていい。ただ、今、建っている小屋はいずれも新しく十年は経過していないようである。と言うのも、この街は一度、戦争によって焼けてしまったからだ」

 

バリー「本当に焼けていたのか」

 

NOVA「昔の話だ。……あるいは未来の話になるかもね。君たちの行動次第によっては、この街が将来、焼け落ちる可能性もなくはない。ただ、今は新ワンダリンとして開拓途上、あるいは再興途上にあると言っていい。そして、戦火に焼ける前の旧ワンダリンはもっと大きな街だったらしく、その痕跡は周辺に点在する石造りの崩れかけた廃墟から容易に見てとることができる」

 

ルビー「廃墟の中にお宝が眠っているような可能性は?」

 

NOVA「可能性だけならゼロとは言えないけど、何の情報もなくやみくもに漁るのは勧められないね。というのも、崩れかかっているからリスクが大きいし、もしも宝があったにしても、街の再建時にあらかた掘り尽くされた可能性が高い。お宝探しってのは手当たり次第に掘るのではなく、まずは情報収集を重ねた上で、目ぼしいところに当たりを付けてから、というのがプロの仕事だと思う」

 

ルビー「なるほど。まずは情報を集めろってことだね」

 

モッサ「街の外観は以上でごわすか? では、早速、中に入ろうと思うんだが、荷馬車ごと入っていいのだろうか? 門番に誰何されて止められたりは?」

 

NOVA「門はないんだ。荷馬車も通れる昔ながらの交易路の周辺に、小屋が再建されて集落と化したところなので素通し。街の周囲を取り囲む木の柵すらない」

 

アイアン「無用心なところだな。敵から攻められたら一たまりもないぞ」

 

NOVA「再建途上だし、敵を想定して建造計画が練られたわけでもない、街とは名ばかりの田舎の牧歌的な村なんだろうな。少なくとも王都を知っている君たちから見たら、自由で開放的すぎると感じられる」

 

フリーダ「自由で開放的なのはいいことですけど」

 

モッサ「誰何する者がいないなら、自己紹介すらできないでごわす。誰か村人はいないのか?」

 

NOVA「村人はいない」

 

モッサ「いないだと? どういうことだ」

 

NOVA「村犬なら、いろいろ集まってくるけど。外から来た荷馬車を見に来た野次馬、いや野次犬たちだね」

 

モッサ「ああ、そうか。人のいない世界で、犬の村なんでごわすな、ここは」

 

NOVA「それがパグマイアってもんだからな」

 

ポメラニアンの少女


モッサ「とにかく、村犬が集まってくるなら、隊のリーダーとして名乗りを挙げよう。『吾輩は王都より派遣された王立開拓団のモッサ・トッサでごわす。諸君らの長に挨拶したい。案内してくれい』と威厳たっぷりに訴える」

NOVA「村犬たちは威厳たっぷりのモッサに威圧されて、ビクビクし出すね。遠巻きにして近づいて来ない」

バリー「おいおい、一般の村犬を脅してどうするんだよ? こういう時は威風堂々よりも親しみやすさの方が大事だろうが。平民出身で《民衆の英雄》って芸を取得している、このオレが前に進み出てだな……」

NOVA「その時、『モッサ・トッサ様ですね。お待ちしておりました』と怯える村犬たちの中から、一匹の女性犬が歩み出てくる。犬種は愛玩犬のポメラニアンだ。念のため、一般の犬はわざわざ犬種を言わないので。犬種を説明するということは重要NPCと思ってくれていい」

バリー「愛玩犬のポメラニアン……ということは、美少女か?」

NOVA「年齢的には成犬で少女じゃないんだけど、童顔なので外見的には美少女犬だね。愛玩犬なので《つぶらな瞳》の芸を取得していて、魅力判定が有利になるわけで」

バリー「美少女犬キター。ということで、猛ダッシュで駆け寄って、さわやかな笑顔であいさつするぞ。『お嬢さん、あなたがこのワンダリンの町長さんですか。あるいは、町長の娘さん? どっちでもいい。この王立開拓団の若きホープとゆっくりお茶でも』と尻尾を振りまくり」

NOVA「(ある程度は想定していたが、予想以上の食いつきようだな~)ええと、ポメラニアンの美少女はバリーの強引なアプローチに引き気味になって、『あ、あのう、何か誤解をなさっておいでですけど、私はここの村犬ではございません。ゴランド様の供として王都から参った商犬のメルシー・ポメラニアンと申します』と自己紹介する。その目はバリーよりもモッサに向けられているね」

バリー「何でこいつに?」

NOVA「隊のリーダーがモッサだから、かな」

モッサ「そのお嬢さんは、吾輩と知り合いなのでごわすか?」

NOVA「知り合いではないけど、名前は聞かされていた。先行していたゴランド一行は、護衛戦士のシルダーと、商売交渉担当のメルシーの3匹構成だったんだ。ゴランドは王都で名の知れた職人犬だけど、交易交渉のできるプロじゃない。だから、そういうことのできる知り合いを一行にスカウトしたんだよ。だけど、途中でゴブネズミの襲撃にあったので、彼女一匹を先に逃したという背景設定が今回、決まったんだ」

フリーダ「今回、決まったということは……」

NOVA「原作シナリオには書いていない、俺オリジナルのNPCだ。キャライメージとしては『カリオストロの城』のクラリス公女と『名探偵ホームズ』のハドソン夫人を足して2で割ったような、宮崎駿監督好みの美少女属性ってことで」

ルビー「古い作品はよく分からないが、ヒロインとして強力なライバル出現ってところだね」

フリーダ「油断なりませんね。アイアン様が誘惑されないように目を光らせます」

アイアン「いや、私は子持ちだし、今さら美少女に籠絡されたりは……」

バリー「クラリスはいい。しかし、ハドソン夫人って既婚者じゃねえか。年増はオレ好みじゃ……」

NOVA「何を言うか。ハドソン夫人は、年増じゃなくて19歳の未亡人設定だぞ。同じ未亡人美女でも『めぞん一刻』の音無響子さんより若いんだ。犬キャラとしてハドソン夫人の魅力の分からない奴に、パグマイアをプレイする資格はねえ」

バリー「こらこら。そんなことを言ったら、公式の商売を邪魔することになるだろうが。あくまで、このガイドの暴言は非公式な戯言だから、パグマイアを愛するファンにケンカを売っているんじゃないということは、オレがフォローしておく」

NOVA「とにかく、俺はこの期に『名探偵ホームズ』をプッシュするぞ。パグマイアの背景に、何で探偵がないのかを抗議したいくらいにな。犯罪者があるのに、探偵がないのは片手落ちだ」

バリー「そりゃ、世界観が中世風ファンタジーであって、19世紀のイギリスじゃないからだろう?」



NOVA「まあ、なければ自作するのが年季の入ったTRPGゲーマーのたしなみって奴だが、今はとにかく話を進めよう。ゴランド一行の中で唯一逃げ延びたと思われるメルシー嬢の案内で、君たちはワンダリン最大の交易所『バーセンのよろず屋』まで連れて来られた。そこで荷馬車と中の荷物も無事に引き渡され、荷運び仕事は終了と相成った次第」

ルビー「一気に間をすっ飛ばしたな」

NOVA「これもマスタリングのテクニックだよ。プレイヤーの自由度を高めても、ストーリーを盛り上げるのに貢献しない部分はすっ飛ばす。それとも、何か他にやりたいことがあったのか?」

バリー「オレは、メルシーちゃんが案内してくれるなら、どこでも尻尾を振ってついて行くぜ」

モッサ「吾輩も、ゴランドの同行者なら、いろいろ話を聞かせてもらいたい」

アイアン「特に反対する理由はないしな。それでストーリーが進むのなら任せよう」

フリーダ「アイアン様の仰せのとおりに」

ルビー「仕方ないねえ。多数決には従っておくよ」

NOVA「では、よろず屋のエルマー・バーセン・ダックスフントさんが、君たちの旅をねぎらって、素朴ながらも丁重な歓待をしてくれる。なお、シナリオ記載のNPCは、本来のキャラ名に犬種名を付与してアレンジしている。ダックスフント家は知性派の猟犬の血統なので、抜け目ないやり手商犬だけど、ダックスフントのイメージで愛嬌があるってキャラ設定だったりする。この街での君たちのパトロンだと考えてくれていい。それなりの情報通で、いろいろアドバイスしてくれる善き犬だ」

バリー「メルシーちゃんは、どういう立ち位置なんだ?」

NOVA「村の商犬代表のエルマーと、王都の商犬のメルシーの間で、いろいろ話し合いをして行こうって関係だね。エルマーさんはゴランドさんの昔馴染みでもあって、彼がいるからゴランドさんの交易開拓計画も実現しそうな手筈だったんだけど、ゴブネズミの襲撃で計画も頓挫しそうになってるわけだ。主導者のゴランドさんにもしものことがあったり、街道を野盗がのさばることになって放置したままだったりすれば、交易どころではないから」

アイアン「つまり、我々としては開拓計画を成功させるためにも、ゴランド救出と野盗討伐の任務を成功させる必要がある、と」

エルマー『ええ、その通りです。昨日、ゴブネズミの襲撃から辛うじて逃げ延びてきたメルシー嬢ちゃんでしたが、街の住犬は他にもいろいろと問題を抱えていて、あまり助けになってやれそうにありませんでした。後から開拓団の強い戦士である、あなた方が追いついて来るという話を聞かされたから、一日様子を見たわけですが、無事に到着できて良かったです』

モッサ「吾輩たちもゴブネズミの襲撃を受けたがな。容易く撃退してやったわい」

フリーダ「約1名、気絶させられましたけどね」

バリー「よけいなことは口にするなよ。とにかく、視線はメルシーちゃんに向けて、力強く宣言する。『心配するな。ゴランドさんたちは、オレたちが必ず助け出してみせるから』」

メルシー『お願いします、モッサおじ様とお仲間の方々。あなた方だけが頼りです』

バリー「……って、この娘、おじ様好みなの?」

NOVA「宮崎駿ヒロインがモデルだからな(偏見)」

バリー「畜生。オレもルパンになりてえ」

ルビー「だったら、あたしが峰不二子の役だね」


★頼りにならない町長


 その夜、一行はエルマーの紹介で、ストーンヒルの宿屋に泊まることにした。
 これがD&Dだと、エルマー・バーセンからの賃金とか、宿代とかを考えるのだけど、パグマイアの場合は、所持金処理が非常に曖昧でいいシステムなので、気にしないようにする。
 プレイヤーキャラは、王立開拓団所属の公務員設定なので、収入や装備は開拓団から支給されて困ることはないし、細々とした雑貨や冒険の必要経費も開拓団の名で収まるようになっている。冒険でお金を貯めて裕福になることや、強い装備を高い金を払って購入することを目指すゲームではないのだ。
 まあ、このファンデルヴァー・シナリオは、元がD&Dなのでそういう細かい金銭処理についても書いているけど、ワンデルヴァーにアレンジしたことで全部割愛。
 だから、逆にプレイヤーの行動動機として、開拓団の任務や、個人的な人間ならぬ個犬的な犬関係を重視することになる。「か弱い女の子を守ること」が理想のバリーを引き込むために、そういうNPCを登場させて動機を補強したりとか。

 ただし、メルシーがバリーにとっての正ヒロインだとしてしまうと、ルビーとの関係性を損なうので、メルシーの視線はモッサに向くようにしてある。何せ、メルシーはゴランドに付き従ってきた女の子ですから、おじ様好みで問題ないわけで。
 でも、そういう想いが、バリーの方に向かうことがあるかどうかは、バリーのロールプレイ次第だなあ、と他人事、いや他犬事のように考えるガイドにして作者なのであった。


NOVA「では、宿屋で一晩眠った。この宿屋では、階下の酒場でいろいろな情報が手に入るようになっているけど、ぶっちゃけ、今回のゴブネズミ退治シナリオにはあまり関係ないので、『今はフラグが立っていないので興味深い情報は聞けなかった』と処理する。おそらく、君たちが街に来て間がないので、警戒心を解きほぐすには至っていないってことで」

ルビー「情報源は今のところ、エルマーさんとメルシーしかいないってことか」

NOVA「それでも微かに知り得たのは、ゴランドが元々、この街の近辺の出身で、ロックシーカーという鉱夫の家系の名門だったこと。そして、二匹の弟ヌンドロとタルデンが今も街の鉱夫ギルドに所属して、近辺の穴掘りで日銭を稼ぎながら、『伝説の失われた鉱山さえ見つければ、こんな貧乏暮らしともおさらばだ』と酔っ払いの妄想じみた夢をしばしば語っていたことなんかを聞くことができた」

アイアン「鉱夫ギルドか。ゴランドを助け出したら、そこが重要ポイントになりそうだな」

NOVA「それと、よく話題になるのは『町長がいまいち頼りにならないこと』だね。平穏なときには、金銭管理などで有能で裕福な商売犬上がりなんだが、事なかれ主義で、街の周囲にはびこるトラブルを積極的に解決に乗り出すような威勢の良さは持ち合わせていない。『みんなの意見を聞いて判断するから待っていて欲しい』と言いつつ、手を打つのにやたらと時間が掛かる。慎重で、じっくり考える性格だけど、とにかく行動が遅いので、リーダーというよりは事務方で書類だけ作ったりしている方が向いているのでは? と言われている。結果的に、町長に相談するよりも自分たちで勝手に解決して、事後報告して必要経費だけ町長が街の予算から工面するという形で、これまで対処してきたそうだ」

ルビー「そんなことで、よく長をやれてるね」

NOVA「金の管理については公正で、それなりに細かく見ることはできるんだよ。素朴な村犬には、そういう面倒くさいことができないので、事件さえ起こらなければ、裏方として経営を回すことはできる。要するに、社会の善き歯車なんだね。組織にはそういう人材も必要なんだけど、非日常な事件が起こっても日常の枠内で収めようとしてしまうので、現場の状況を踏まえない後手後手の対処になってしまうわけだ」

ルビー「間抜けな金持ちってところかい? 上手くやれば、いいカモになるかもね。ゴブネズミをいっぱい倒して来ました。だから報酬を下さいって言えば、深く調べずに金だけくれるとか?」

NOVA「いや、ゴブネズミを倒した証拠になる書類を提出してください。書類や証拠が不備なら、給付金は払えません。物事はきちんと決まり事に沿って動かさなければ、と言っちゃう犬」

ルビー「うわあ、面倒くさい奴」

NOVA「長が有能だと、君たちの活躍の場があまりなくなるからね。逆に言えば、君たちが勝手に動いても、長が邪魔をしてくることは少なくて、ほぼ放任に近いわけだけど」

フリーダ「手続きさえ、きちんとすれば金は出す。口はあまり出さない。責任もとらない。結果だけは知らせてくれって感じですか。自由で放任主義で、少々ケチ臭いけど、文句たらたらではなく、自分にできる仕事だけ最低限は行って、適当に管理する。悪党ではないけど、正義漢でもない、官僚主義の権化と言ったところですか。頼り甲斐はないけど、邪魔もしない、空気のようなトップですね」

NOVA「モデルは、うちの県のトップだ、というのはここだけの秘密な。決めるのが遅いのに、ギリギリになって、パッと決めてしまい、現場を慌ただしくさせる悪弊が、この度のコロナ禍で露呈した形だな」

モッサ「では、今は事を急ぐので、そんな町長に会うのは後回しだ。事が終わってから、挨拶に行けばよかろう」


 ということで、町長のハービン・ウェスター・マスティフは今回、登場することもなく話が進むのでありました。一応、このキャラは後のシナリオで、依頼主としていろいろと冒険のネタを提供(丸投げ)して来るんだけど、うちのシナリオではエルマーにパトロン役をさせることに決めたので、空気のようなトップとなりました。
 まあ、今回の話の目的は、「ワンダリンの街の最低限の紹介をしつつ、キャラの行動動機を相応に高めた上で、後の伏線も少しぐらいは張って、そして速やかにパート1のゴブリン退治シナリオに戻ってくれること」ですから。
 次回は、いよいよファンタジーTRPGの初心者名物「ゴブリンの洞窟」へと突入です。

 果たして、どんな探索物語が生まれるのやら。

(当記事 完)