ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

D&D戦士ルールの話

@D&Dの戦士

 

 

アスト「今回は、オレが戦士について語ってみよう」

 

ダイアンナ「ああ、期待している」

 

リバT『果たして、どういう話になるのでしょうか」

 

アスト「そもそも、戦士(ファイター)って、クラシックD&Dでは何の特殊能力も持たない初心者向け職業とされていたんだな。全ての武器や防具を装備できて、HPが高いので、前衛壁役になっていれば特に頭を使わずとも、脳筋で仕事ができる役職。他の職業なら、特殊能力をどう活用しようかと考える手間と楽しみがあるのに、戦士の場合は『ウォーッと雄叫びを上げて、武器攻撃していればOK』。かつてはバカでもできると言われたものだ」

 

ダイアンナ「今は違うのか?」

 

アスト「最近のゲームでは、戦士にもいろいろな戦闘オプションが設けられるのが当たり前になって、戦術にも相応のヴァリエーションが広がったからな。つまり、戦いのエキスパートである戦士は、それだけ戦闘ルールを熟知して、仲間を守ったり、敵を撃破したりするための最適解を模索することが求められている。まあ、戦闘中にあれこれオプションを考えるのが面倒な場合でも、どんな武器や防具を使って、どんな戦闘スキルを持たせれば、自分のキャラが活躍できるかを考慮しないといけない」

 

リバT『プレイ中にあれこれ考えるのが面倒だから、なるべく基礎データを強くなるようにして、ややこしい特殊能力を使わなくても、ダイスを振っているだけで活躍できるようにキャラを組むって感じですね』

 

アスト「とりあえず、戦いだけは強い単機能戦士ってだけでも、ファンタジーなら活躍できるもんなあ」

 

ダイアンナ「だけど、戦場に銃とか飛び道具が出てくると、ややこしくならないか?」

 

アスト「現代ものとか近未来もの、SFだと武器の攻撃範囲とか、防具との相性とかいろいろ考えることが出て来るし、文明やゲームのルールが発達・複雑化して、できることが増えるほど、戦闘のプロも単純な肉弾戦以外に考えることが多くなる。それが現在の戦場、世の中のルールってことだな。そんなゲームの戦士の歴史を語りながら、パグマイア&マウの犬猫戦士の話をしようってことだ」

 

@クラシックD&DとAD&Dの戦士


アスト「クラシックD&Dの戦士のHPはD8で、武器はノーマルソード(D8ダメージ)、防具はプレートメールとシールド(AC2)か、ツーハンデッドソード(D10ダメージ)で鎧のみ盾なし(AC3)の二択……というのが標準だな」

ダイアンナ「斧ファイターというのは?」

アスト「バトルアックスは普通の剣と同様のD8ダメージなのに、両手持ちなので盾が持てないという点で、剣の劣化仕様になる。よって、ドワーフとか変なこだわりがない限り、普通は剣を使う」

リバT『エキスパートルールで、槍による突撃ダメージが2倍というルールが加わったことで、槍を持つ戦士も増えたのでは?』

アスト「スピアは基本ダメージがD6だからなあ。騎乗槍のランスはD10なので、野外で騎乗しての行軍だとお奨め武器になるけれど、野外では馬に乗って槍騎兵になって、ダンジョンに入る時は剣をメイン武器にし、飛び道具としては弓を使うか、など、いろいろ武装オプションを考える楽しみが、高レベルルールに加わって、その最たるものがマスタールールのウエポンマスタリィだ」

クリックすると元のサイズで表示します

アスト「ウエポンマスタリィのルールを採用すると、得意武器の習熟度を上げることでダメージアップしたり、受け流し(デフレクト)とか麻痺打(スタン)とか武器ごとの特殊効果が付与されたりして、ただのダメージの与え合いから進化した戦いになるわけだな。クラシックD&Dでは、ウエポンマスタリィのルールを採用するかどうかで、プレイ環境は大きく変わると思う。まあ、習熟度の低い初期レベルでは大差ないんだけどな」

ダイアンナ「要するに武器のルールの複雑化によって、戦士にもいろいろなオプションを持たせようとしたわけだな、クラシックD&Dは」

アスト「戦士だから武器にこだわるってのは、零斗さんも言っていたな。その一方で、コンパニオンルールだと、戦士も領主への道とか、教会に仕えて聖騎士パラディンになるか、暗黒騎士アベンジャーになるかなどといった育成ヴァリエーションが広がるわけだが、それらはレベル15以降の話だから、やはりマニア向きの選択肢だったわけだ。海外では、AD&Dに移る方が標準で、クラシックD&Dを続ける方がマニアという意見もあったらしい」

リバT『その辺は、日本の展開とのギャップがあったんですね』

アスト「85年を基準にすると、まず最初にオリジナルD&Dが誕生したのが74年で、本国では10年の歴史がある。D&Dのルールを最初に整理して、簡単なベーシックルールと発展版のAD&Dに分かれたのが78年で、その後、ベーシックルールの方からクラシックD&Dが派生する形になって、日本に翻訳輸入された80年代の半ばには、『ヴァリエーション豊富な普及版のAD&Dと、ベーシックの枠組みを縦方向に延々と伸ばして深化したクラシックD&D』という位置付けになっていた。だが、日本では最初の古い枠組みで紹介されて、『基本の(クラシック)D&Dと、発展進化版のAD&D』という立ち位置になった。ゲームの進化史から見ると、AD&Dの方が先にあって、CD&Dの方が後から生まれた流れなんだけど、紹介順が日米でズレたから、どうしてもクラシックD&Dの方が一段下だと考える者も多い」

ダイアンナ「下じゃないのか?」

アスト「発展方向が違うんだな。AD&Dは横方向、様々な世界観のヴァリエーションを広げる方向に進化したのに対し、CD&Dは縦方向、中世ヨーロッパ風の騎士道世界観をベースに、冒険者が成長して領主になり、歴史を動かした挙句、神の世界を目指すという深まり方で、目指す方向が違った」

ダイアンナ「AD&Dでは違うのか?」

アスト「そもそも、騎士道的な世界観にこだわっていない。古代でも、中世でも、銃のある近世以降の世界でも、東洋の侍や忍者、武闘家が出てくる世界でも、次元を越えてSF世界でも、いろいろとハイブリッド可能に展開して行ったのがAD&Dだ。真面目に一途に中世騎士道を模索したCD&Dと、何でもありでごちゃ混ぜに無数のデータを提供したのがAD&D。まあ、その中でメジャーだったのが、ドラゴンランスとかフォーゴトン・レルムだったんだが」

リバT『つまり、AD&Dでは忍者も銃もメカロボも登場させられるけど、CD&Dでそれをすると「ふざけるな」って雰囲気になる、と』

アスト「ロードスに、忍者や銃やロボが出ると違和感を覚えるようなものだな。もちろん、80年代後半の日本ではRPGブームで、剣と魔法の中世騎士道ファンタジーというジャンルが当時、新鮮で、一大ブームになっていたんだけど、海外では逆に『中世騎士道とか、指輪物語のエピックファンタジーにこだわる者』とは別に、『侍文化や西部劇、メカロボ』などの異文化をD&Dに混ぜることを求める層もあったわけで、秩序のCD&D、混沌のAD&Dという棲み分けだったのかもしれん」

ダイアンナ「で、CD&DとAD&Dについて、ダディーNOVAみたいなこだわり概論を語っているんだが、戦士の話はどうなったんだ?」

アスト「おっと、戦士か。CD&Dでは、戦士のヴァリエーションとして異種族が設定されていた。つまり、強靭な肉体と地下探索の特殊能力を持つドワーフ魔法戦士のエルフ、機敏さが取り柄のハーフリングだな。一方のAD&Dでは、普通の戦士とは別に、特殊能力を付与されたパラディンやレンジャーが用意され、それらの追加職業あるいは上級職は、成長の遅さや個々の制約で自由度が減じた分、ただの戦士よりも明確に強い扱いが為された」

ダイアンナ「普通の戦士が不遇の時代ということか」

アスト「ああ、普通のつまらない人生扱いされたわけだな、AD&D時代の戦士は。もちろん、こだわりの強いプレイヤーは戦士にも独自の個性を求めるし、それに応じてAD&D第2版では『キット』と呼ばれる育成ヴァリエーションルールを提示したわけだ」

ダイアンナ「キットというのは初耳だな」

アスト「プラモデルにおける改造実例って感じかな。ただのつまらない戦士も、このキットのルールを付与することで、個性を発揮できますって内容。劇的に強くなるわけじゃないけど、『いわゆる典型的な戦士よりも魅力的な要素』が付いてくる」

ダイアンナ「例えば?」

アスト「AD&D2版のサプリメント『ファイターハンドブック』は邦訳されたんだが、そこには女戦士アマゾン、野蛮人バーバリアン、獣使いビーストライダー、狂戦士バーサーカー、騎士キャバリアー、剣闘士グラディエーター、軍隊兵士ミュルミドン、貴族戦士ノーブルウォリアー、民衆英雄ピーサントヒーロー、海賊パイレーツ、無法者アウトロー、東洋の剣士サムライ、ターザンみたいな野生児サベージ、小洒落た雰囲気の軽闘士スワッシュバックラー、荒野戦士ウィルダネスウォリアーといったキャラの育成方針、ロールプレイの指針、特殊能力や推奨技能などが載っていて、たとえば、『ぼくのファイターは、ピーサントヒーローを目指すから』とか軽いフレーバーをファイターに付与することができる」

ダイアンナ「ピーサントヒーローって、何か役に立つのか?」

アスト「ボーナス技能が『農業または釣り』『天候予測または動物知識』とか、いかにも田舎の素朴な若者上がりって感じだな。利点としては『自分の出自の文化環境では、常に宿を見つけることができる。村人などと仲良くなれて、ちょっとした助けを得られる』というのがあって、欠点としては『地元民からは英雄と見なされているので、必然的に助けを求められる。断ればペナルティーを受ける』とか、そんな感じだな」

ダイアンナ「数値的な有利不利ではなくて、ロールプレイの方向性を選択できるルールか」

アスト「まあ、制約は少ない分、地味なキットだと思うけどな。何にせよAD&D2版には、1版にあったバーバリアンやモンクなどのクラスが削られて、そういう要素は『ファイターに背景要素を付与するキット』という形でフォローされているわけだ。一応、武闘家用のマーシャルアーツルールも『ファイターハンドブック』で実装されたし、戦士にもできることを増やし、キャラヴァリエーションを広げようとする流れが90年代にはあったんだな。そういう背景要素の名残りが、現在のD&Dやパグマウにも受け継がれているような気がする」


@3版D&D以降の流れ


アスト「AD&D2版の特殊背景キットルールは、普通のファイター以外のウォリアー職(パラディンやレンジャー)の個性化にも使えるが、組み合わせるとおかしなものもあるよなあ」

ダイアンナ「アウトローパラディンはおかしいな。サムライレンジャーは行けそうだが」



アスト「ともあれ、AD&D時代は、いろいろと新しい職業を実装することでルールを増やす方向に走ったんだが、そうなると基本職の扱いが悪くなるので、2版から後は『基本職に後付けオプション特技や背景を付与する形』で、ヴァリエーションを増やす流れになる。サプリメントの方向性も職業そのものを増やすか、オプション特技を増やすかという両面で展開されていった」

リバT『特撮ヒーローやロボのパワーアップで、新しい機体やフォームに変わるか、武装パーツやメダル、カード、ボトルなどのオプションを増やすか、の2パターンあるようなものですね』

アスト「ガオレンジャーが百獣武装で、ロボの腕パーツを換装するような強化が定着したのが21世紀頭。基本モードに、外付けオプションパーツを付与していくのは、TRPGのルール展開にも多く見られたパターンだけど、多数のカードデータを組み合わせて自分だけのデッキを構築するTCGは世紀末から新世紀に定着した商品展開の流れで、キャラの育成ルールにもそれが反映されるようになったわけだな」

ダイアンナ「それが3版以降のD&Dにもつながるのか」

アスト「そういうことになる。3版は、2版で削られた要素を復活させると共に、曖昧なルールを統合整理したりしながら、AD&Dの混沌に新たな秩序の光を当てた集大成システム。ただ、成長時に兼職が簡単にできるようになった点は、ソード・ワールド的という意見もある。3版は、戦士であり、盗賊であり、魔法使いというキャラも簡単に作れる」

ダイアンナ「だったら、神官戦士と聖騎士は何が違うんだ?」

アスト「同様に育てるなら、聖騎士パラディンが6レベルになった際に、神官戦士はプリースト3レベル/ファイター3レベルなので、シングル職のパラディンの方が戦闘力は高くなる。ただ、そちらは育成に融通が利かない感じだな。神官戦士だとバランスよく平均的に上げることもできれば、プリースト4/ファイター2とか、プリースト1/ファイター5とか、成長を偏らせることも可能。つまり、育成自由度が高いということだ」

ダイアンナ「似たような成長システムだけど、ソード・ワールドにはパラディンがないよな。どうしてだ?」

アスト「僧侶系魔法が使える戦士という意味では、神官戦士でパラディンみたいなキャラが作れるからだろうな。フォーセリアでは、至高神ファリスの神官戦士が聖騎士と呼称されるし、ラクシアではどうだろう? やはり、ライフォスとかティダンの神官戦士がそう呼ばれるのかな?」

ダイアンナ「そんなの、あたしが知るか。ダディーに聞け」

アスト「機会があればの話だな。それより、D&D3版のファイターは、ただの劣化パラディンではなく、戦闘のプロらしい特徴がある。それは戦闘特技(フィート)の習得数の多さだ。それまでのAD&Dのファイターは、パラディンに比べて制約の少なさと成長の速さだけがメリットだったが、3版でフィートの習得数が一番多い職業という特徴が付けられ、戦闘面での育成自由度が最高クラスになったわけだ」

リバT『育成自由度が高い=プレイ前の準備時間に考えることが多いということですね』

アスト「呪文習得をあれこれ考える術師系と同様に、ファイターも戦闘に使う特技をどう組み合わせて、有能なキャラに育成するかが問われてくるんだな。そして、4版では呪文もまた特技の一種として選択習得する形になって、ファイターと術師系の育成手法の差がほぼなくなった。違うのは戦闘での得意な立ち回り方(役割)と必要能力値ぐらい。ファイターだから脳筋でいい、ということには絶対ならないのが21世紀ということだ」

ダイアンナ「つまり、ファイター=脳筋で務まるという考えは、旧世紀の遺物ということだな」

アスト「もちろん、脳筋でも務まるように育成を考えれば、ゲーム内での脳筋プレイも可能だがな。とりあえず、強い武器と防具で身を固めて、特技は常時防御力アップと常時攻撃力アップに固めて、特殊な宣言系の特技は取らないようにする。あるいは、いつでもバカの一つ覚えみたいにワンパターンの宣言特技だけを使い続けるとか」

リバT『この敵は回避能力が高いので、命中率ペナルティーのある必殺技が当たりそうにないから控えよう……とか言い始めると、ゲーマーの第1歩ですね』

アスト「そうしたら、『いや、先にぼくが特技で攻撃して相手の回避を下げてみるから、その後で、必殺技を使って下さい』と言ってくれる仲間がいれば、連携を学ぶこともできる。自分一人では不利な状況も、その不利を補う仲間と助け合えれば、より大きな効果を発揮することも可能。そして、ベテラン戦士だと、自分だけでなく、仲間が持っている能力をどう組み合わせられるかを模索するものなんだ」

ダイアンナ「それこそ戦術リーダーの資質という奴だな。仲間の特性を知って、それを自分や他の仲間とどう組み合わせるかを考える知恵か」

アスト「4版はそういう連携要素を突き詰めたシステムらしいがな。あまりにゲーマー志向に特化したために、既存の個人主義育成スタイルに愛着を持ったファンはパスファインダーRPGに走り、もっと簡単で大らかな旧来のゲームを望んだ者は5版を受け入れたそうだ」

ダイアンナ「5版の戦士はどんな感じだ?」

アスト「従来の上級職に、わずかレベル3で就けるようになった」

ダイアンナ「へっ?」


@5版のファイター


アスト「パグマウの戦士について語る記事のはずなのに、調子づいて延々とD&Dのファイター史について語っているオレがいるんだが、一体、新年早々、何をしたいのか? と悩み始めている」

リバT『というか、アストさんがこれほどD&Dについて詳しいとは思いませんでした』

アスト「いや、ここには資料だけはそれなりにあるからな。NOVAの真似して、戦士のルールをあれこれ調べているうちに、いつの間にやらって感じだ」

ダイアンナ「本筋にたどり着く前に、前置きを延々と語るところまで、ダディーの真似をしなくてもいいのだぞ」

アスト「とにかく、5版までたどり着いたら、パグマウまでもう少しだ。今回の記事は、D&D戦士の話で終わらせておいて、そこから派生したパグマウは次回に回すことにしよう。タイトルも書き換えた」

ダイアンナ「で、わずか3レベルで就ける上級職の話を聞きたいんだが」

アスト「ああ。5版のファイターは、3レベルになると、3種類の類型から1つを選ぶことになる。チャンピオン(闘士)、バトルマスター(戦技の達人)、エルドリッチナイト(秘術騎士)の3つのコースに応じて、同じファイターでも能力が変わってくるわけだ」

ダイアンナ「転職とは違うのか?」

アスト「ウルトラ族で言うなら、鍛え抜かれた肉体で戦うのか、武器を使いこなすのか、光線技の達人なのかという選択肢みたいなものだな」

ダイアンナ「フォームチェンジで全てを切り替えるというのは?」

アスト「TRPGでそれをすると、フォームチェンジごとに違うデータの書かれたキャラクター用紙を準備しないといけなくなって、ややこしくなりそうだな。とにかく、ルール的に比較的簡単なのはチャンピオンだ。3レベルでクリティカル率が上昇し(通常の2倍)、7レベルで身体能力が向上して各種判定が成功しやすくなり、10レベルで得意な戦闘スタイルが一つ増えて(普通は1レベルで選んだものが一つだけ)、15レベルでクリティカル率がさらに上昇し(通常の3倍)、18レベルでHPが半減した際にわずかながら毎ターン自然回復能力がつく」

ダイアンナ「他のレベルでは?」

アスト「他のファイター同様の育ち方をするが、ファイターの特徴としては、能力値上昇の機会が多いこと(他の職業は5回が標準だけど、ファイターは7回)と、追加攻撃回数が多いこと(最大4回)。僧侶呪文や加護のオーラなどの特殊能力を持つパラディンと比べても、ファイターは肉体的な戦闘能力は群を抜いている。他のD&Dルールと比べても、5版ファイターほど強く、面白く育てて行けるルールはないのではないか。少なくとも、ルールブックのデータだけを見ていて、そう感じた」

ダイアンナ「パグマウの戦士と比べたら?」

アスト「パグマウの成長ルールは、芸や秘奥の習得自由度が高いけれど、成長パターンが割と一元的というか、自動習得特技とかがないので、プレイヤーの意思に任されるところが大きい。つまり『レベルが上がったら、こういう能力が付いて来ました、やったね嬉しい』って感じる偶発性が少なくて、『レベルを上げて、こういう芸を選んで、予定どおりに成長させました』って感じで、どうしても先が読めてしまうんだな」

ダイアンナ「何事も思いどおりに物事が進みすぎると面白くない、ということか?」

アスト「少しぐらいはランダム要素とか、自分の意思に関わらない掘り出し物とかがあった方が、ゲームとしては面白いかな、と感じる。まあ、いいや。ともあれ、5版のチャンピオンは素の戦闘能力が特に上昇する役職なので、純粋に力を求める脳筋プレイには最適だな。一方、戦闘中に技をあれこれ駆使したいテクニシャンなゲーマーにはバトルマスターがお勧めだ」

ダイアンナ「力のチャンピオンと、技のバトルマスターといった感じか」

アスト「レベル3になって、バトルマスターの道を選んだファイターは16種類の戦技から、自分の得意とする3種を選んで、戦闘中に回数制限ありで使うことができる。例を挙げると、複数の相手にダメージを与える『なぎ払い』とか、相手を転倒させる『足払い』とか、敵からの攻撃ダメージを減少させる受け流しの『パリィ』とか、戦闘中に使用できるオプション行動がいろいろだ。そして、戦技はレベル7、10、15の段階で、2つずつ新たに習得できて、使用回数も増えるわけだ」

ダイアンナ「多彩な技で相手を翻弄しながら戦うファイターだな。そしてもう一つが魔法戦士のエルドリッチナイトというわけか」

アスト「まあ、魔法の使えるファイターという分かりやすいキャラだな。しかも、エルドリッチナイトは自分の愛用する武器と絆を結んでいて、同一次元界にある限り、いつでもどこでも武器を召喚することができたりする」

ダイアンナ「それって、ベリアロクさん?」

アスト「ファンタジー的には、ストームブリンガーっていうところだろうけどな。しかも、レベル7になれば同一ターンで剣と魔法の同時使用ができたり、レベル15になれば戦闘中に短距離瞬間移動できたり、従来のD&D魔法戦士ルールと比べても、格好いいアクションができるようになっている」

ダイアンナ「パグマウには、そういう格好いい上級職ってないよな」

アスト「ないよなあ。その辺が人と違う犬や猫の限界って奴かもしれん。じっさい、D&D5版は最大レベル20だけど、パグマウは最大レベル10なので、あまり能力がインフレし過ぎない段階で成長が抑えられている」

ダイアンナ「とにかく、D&Dとやらに長い歴史があって、今のD&Dが昔のゲームに比べて、かなり派手なことができて、戦士と一口に言ってもヴァリエーションが豊富で、相当に奥が深いことは分かった。ダディーが熱中するわけだ」

アスト「時々、ルールブックを読んでいるだけで、夢の世界にトリップしているみたいだからな。で、パグマウはそんなD&Dの簡易バージョンなんだが、それでもオレたちはまだ、その片鱗しか味わっていないみたいなので、次回は犬猫の戦士について引き続き、見ていくとしよう」

(当記事 完)