ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

パグマイアのトカゲ人

★海賊話のつづき

 

 

リバT『今回は、先月の海賊話と、9ヶ月前の海賊記事のつづきになります』

 

ダイアンナ「そろそろ海賊話も旬が過ぎたって感じだね」

 

アスト「紅兄貴も『ドラゴンの騎士との対決がオレサマを待ってるぜ』って叫んで飛び出して行っちまったからなあ」

 

リバT『ついでに石の海の牢獄で、白蛇スタンドを操ってくるぜ〜なんて息巻いていましたし』

 

ダイアンナ「何だかんだ言って、忙しい御仁みたいだね。それで今回は海賊サプリでプレイアブルになったトカゲの話だが、イヌやネコとはどう違うんだい?」

 

リバT『データ的な部分と、文化的な部分での違いがありますが、先に後者から。一番の違いは「トカゲが国を持たない放浪種族」ということですね。パグマイア王国を築いたイヌ族と、マウ連合君主国を築いたネコ族に対して、トカゲ族は国を持たずにキャラバン(隊商)を編成して旅から旅へ、の生活をしています』

 

アスト「いわゆるジプシーみたいなものか」

 

リバT『ヨーロッパにおける移動民族の総称ですね。語源はエジプシャンらしいですが、その言葉が使われるようになった時に「エジプトの方から来た」と思われていたから。ただ、実際はインド系のロマ族をはじめ、多彩な人たちらしいですし、近年はジプシーを差別語として使わないようにする傾向もあるようですね』

 

アスト「誤解によって通称が決まったという意味では、ネイティブ・アメリカンがインディアンと呼ばれてきたようなものだな」

 

ダイアンナ「定住文化を持つ者からすれば、異邦の旅人はどこかいかがわしい信用できない連中にも見えるものさ」

 

アスト「多くの歴史書は、国や為政者など定住民族の視点で書かれるものだからな。古代や中世の遊牧民族が謎の蛮族呼ばわりされていたり、土地の支配が社会構造を形成する封建社会において、定まった家を持たない連中は支配の枠外にいるため、無法者と大差ない扱いを受けることもしばしばらしいぜ」

 

ダイアンナ「あたしたちにとっても決して他人事ではないんだけどね。今でこそ、ここに定住して女王気取りでいられているが、元々は時空の旅人にしてアウトローだったんだから」

 

アスト「自由な旅人だからこそ、自分を守る力が必要なんだし、信頼を得るための話術、交渉力なんかも問われることになる。さらに、現地の法を重視する姿勢を見せて、トラブルを起こさないだけの誓約も都市に入るときは求められることがあったようだな」

 

リバT『交易商人には、自分の所属する国の発行する交易許可証が必要ですし、所属する団体を持たないフリーな者たちは何の保証も得られないわけだから、とりわけ社会が求める特殊な技能や芸能、あるいは為政者とのコネや信用、そして一定以上の節度を示さないと、その世界では受け入れてもらえないことになります』

 

アスト「交易商人は各地の風聞に詳しいという点で、よその文化に興味を持つ開明的な権力者には外交アドバイザーとして信頼されることもあるみたいだな」

 

ダイアンナ「そりゃあ、商売で身を立てている人間だったら、物流に関する知識は豊富だろうし、どこの国が武器を買い占めて戦争の準備をしていそうとか、いろいろ政治に必要な情報も持っているだろうさ。もちろん、為政者も自分の情報源を持っているのが普通だから、情報の真偽を確かめるだろうし、あまりに嘘ばかりとか、益にならないデマしか言わない連中は胡散臭くて、社会の撹乱を狙っている敵国のスパイとか不穏分子扱いされるのも当然で、自由人だからこそ、信用構築のための言動には気を使うべきと言えるだろうね」

 

リバT『ともあれ、トカゲ族は国を持たない放浪民族であるため、一枚岩のパグマイア王国、国家間の協力と陰謀を扱ったマウ連合と比べても、部族単位で多彩な背景設定が構築できます。だからこそ、アウトローを描いた海賊サプリで扱われたのでしょうね』

 

アスト「とは言え、アウトローを演じる指針は必要なわけだ」

 

リバT『ええ。今回はそういう話です』

 

★家族団中心のトカゲ


リバT『パグマイアやマウ連合では、ミステリアスな異邦人扱いされているトカゲですが、彼らが大事にしているものは三つあります』

アスト「大事にしているものが分かれば、付き合いやすいな。自分もそれを尊重する姿勢を示せば、尊重されるし、それを傷つける態度をとれば敵対行為だ。当然、誤解から傷つけてしまって仲がこじれる場合もあるが、その場合は誤解を解いて、謝罪を示せば仲直りもできる。しかし、大事なものを傷つけるような振る舞いが常態化すれば、それは到底、相容れない関係だ。折り合いをつけるにも限度があるわけで」

ダイアンナ「友人だから、相手の大切なものを傷つけても許されるって考えは甘いね。大切なものを尊重できる姿勢を示すからこそ、友人でいられるわけだし、その辺に無頓着な人間は信頼を得られない」

アスト「まあ、人格は信用できないが能力は信頼できるとか、仲良しの友人ではないが共通の目的を持った一時的な仲間関係だったら構築できるだろうし、ドライで距離を置いた人間関係も乙なものだ」

ダイアンナ「本当に信用できる人間に限って、ベタベタできるってことだからね。一定の信頼もかち得ていないのに、ベタベタ甘えた関係を求めるのは、幼子のみに許された特権さ」

アスト「幼子には可愛げってものがあるが、さておき。トカゲが大事にしているものは何だ?」

リバT『家族団、塩、太陽の3つです』

アスト「家族というのは意外だな。連中は卵で生まれるんじゃないか? 哺乳類と違って、温かい血縁関係とは無縁だと思っていたが」

リバT『トカゲの家族団は、血縁関係でつながっているとは限りません。一般的には、キャラバンの隊商グループを一つの家族と見なしますが、隊商から離れた一匹トカゲが冒険活動を通じて得た仲間を家族と同一視することも有り得ますし、海賊仲間を家族と見なしたり、オルフェンズの鉄華団みたいな企業組織、マフィアのファミリーなど、義兄弟めいた感覚の家族イメージを抱いているようですね』

アスト「ウルトラファミリーみたいなものか。血縁関係も大事だが、信頼できるチームの絆はもっと大事とか」

ダイアンナ「要するに、仲間を家族のように大事と考えるわけだな。義に篤いところがある、と」

アスト「見た目は無骨でクールにも見えるが、実は仲間想い。一度、信頼を勝ち得たら、とことん誠実に忠義を尽くす熱いハートの持ち主か。なかなか格好いいじゃないか」

リバT『塩は調味料としての実用以外に、宗教儀式にも関わっていて、さらにトカゲ独自の職業クラス、アルカリスト(錬塩術師)が存在するほど貴重な鉱物扱いですね』

ダイアンナ「人間にとっての金銀みたいなものか」

リバT『そして太陽。トカゲの信仰は、イヌのようなヒト族信仰でもなければ、ネコのような霊魂を重視する形でもなく、太陽とそれが生み出す植物、自然を重視する傾向が強いです』

アスト「理屈よりも、肌で感じる暖かさを重視する感じだな。大自然の恵みに感謝する的な」

リバT『血縁関係については、親族縁者をまとめて「同腹の卵」と呼称するみたいで、名前の付け方も「○○の子□□」という付ける傾向がありますね』

アスト「ジョンの息子がジャック・ジョンソンになって、その息子がジェイムズ・ジャクソンになるみたいなものか」

ダイアンナ「ジョンソン家の苗字を代々受け継ぐわけじゃないんだね」

リバT『ただし、トカゲは母系社会なので母親の名前を受け継ぎますし、ソンではなくて、チャイルドを使うんですけどね』

ダイアンナ「すると、もしもあたしがトカゲで母親になったら……」

リバT『ダイアンナチャイルドが子どもに受け継がれます』

アスト「長いな。アニーチャイルドとか、アニーチャって縮めるといいのかも」

ダイアンナ「リバTだったら、リバーチャか」

リバT『まあ、英語のチャイルドに相当するパグマイア・トカゲ語をプレイヤーが独自に設定するのもありでしょうね。公式のサンプルキャラはサブ・クロマチャイルドとあって、公式シナリオでも、ウィップリング・テラチャイルドとかバグズ・エレクトラチャイルド、エスサー・ハナチャイルドといったNPC名が見られますが』

アスト「基本は『母親名+チャイルド』が公式ってことだな。それを踏まえた上で、『うちの隊商は違う呼称を使う習わしだ』と主張する権利もプレイヤーにはある、と」

リバT『社会の公式ルールに則って、社会に居場所をしっかり獲得する生き方もあれば、ルールに無頓着で自分流を貫いて変わり者ライフを送るのもまた一興。ただし、変わり者が一般社会に受け入れられるとは限らないので、どこの社会ではどこまでの変わり者アピールが受け入れられるか、あるいは受け入れられなくてもいい、自分は自分でいられる場所を作るなり、探すなりするという生き方もあり、かと』

ダイアンナ「もちろん、後者はあまりに独り善がりが過ぎると、社会で居場所を失うというリスクがあって、自分がどのように振る舞えば社会で生きていられるかは、賢明な判断が問われることになるわけで」

アスト「自分を受け入れてくれる社会を探す、あるいは作るというのは人生活動の一つのテーマだし、社会勉強というのはそのための手段だな。TRPGの世界設定や種族設定を通じて、間接的に社会像や文化観を考えることもまた一興」


★トカゲの3種族


リバT『さて、トカゲはイヌネコ以上に多彩な種別があるのですが、ルール上は大きく、ヤモリ、ヘビ、カメの3種類に分けられています』

アスト「ラブコ武流に役立ちそうなのは、ヘビだな」

リバT『一つの隊商には、どの種別もいて、それぞれの役割を果たしているのが普通ですが、一般的にイヌネコが接する機会が多く、トカゲの代表と見なしているのがヤモリ族ですね』

ダイアンナ「どうしてだ?」

リバT『ヤモリは敏捷で魅力的。家族団特技の《カメレオン》は、同じヤモリ以外の者と交渉する際に、【魅力】判定が有利になって、軽妙な会話で仲良く振る舞ったり、相手に好印象を与えて有益な情報を得たり、とにかくトカゲ界でも交渉上手。ですから、商売でも前面に出ることが多いからですね』

アスト「ああ、トカゲ族の外交窓口だからか。そりゃあ、顔を見る機会が多いのは、そういう連中だな」

リバT『イヌ族では愛玩犬、ネコ族ではキムリック家に相当する特技が習得できますね』

ダイアンナ「ヤモリは交渉担当、と」


リバT『次にヘビ。外見は腕を持ったラミアっぽい姿ですが、顔は蛇面なので、表に出るにはなかなか不気味なイメージですね。筋力や知力が発達していて、思索的かつパワフル。戦場では勇敢で、前線に立つ指揮官として振る舞うことも多く、有事のリーダーとしての才能を持ちます。ですから隊商の長、責任者(刀自=マトリアーク)はヘビの女性が多く、平時はヤモリに交渉を任せながらも、いざという時にはヘビが家族団を率いて果敢に戦うことになります』

ダイアンナ「荒事担当ってことかい」

リバT『家族団特技は《這いずる尾》。他の2本足の種族よりも荒地などでの〈踏破〉能力が高くて、水上その他の移動困難な地形でもダイス目に【筋力】ボーナスを加えることができ、〈隠密〉も有利になります。ヤモリの《カメレオン》も隠密が有利になりますが、対応場面が違うようですね。雑踏に紛れて違和感を感じさせないのがヤモリの《カメレオン》で、音を出さずにすり抜けるのがヘビの《這いずる尾》』

アスト「同じ潜伏でも、イメージが違うんだな。ヤモリは都市のような人が多い場所で有効なので、シティーアドベンチャー向き。ヘビは敵地のような隠れ潜むことが必要なスニークミッションで効果的。日常のヤモリと戦場のヘビというイメージか」

リバT『他の特技は、力仕事の得意な作業犬や、コラット家に相当するものが習得できます』

ダイアンナ「マッチョにパワーを高めたり、威圧する系の特技だね」

アスト「ヘビに睨まれてビビるような演出もできるわけだ」


リバT『最後にカメ。他の種族からは鈍重だと思われて、寡黙な性格ですが、じっくり物事を深く考えるトカゲ族の賢者として重宝されています。言わば、隊商における知恵袋。軍師やアドバイザー的な立ち位置で、一歩引いた視点から長を助ける役どころです。さらに戦場では、甲羅を利用して撃たれ強い頑健さを示すことも。耐久力と判断力に優れ、家族団特技は《どっしり構える》。この能力を使うとディフェンス・クラスが+2され【耐久力】セーブにも1D4ボーナスが加算されます』

アスト「他の特技は、頑犬やサイベリアンといったところか」

リバT『その通り。とにかく打たれ強いのがカメですね。職業としては聖戦士クルセイダー、いや、トカゲの場合は呼び名が変わって、修道兵ダルヴィーシュがお勧めです』

アスト「がっちりした体格で、太陽を崇める信仰戦士か。まるで太陽の子の岡元次郎さんみたいなキャラだな」

リバT『次郎さんだと、カメじゃなくて、クマだと思いますが』

アスト「的確なツッコミにオレが泣いた。とにかく、パグマイアのカメは軟派なプレイボーイで嘘つきなキャラじゃなくて、ダイナミックチョップの方に近い、と」

リバT『ガンドッグ、いや、射撃手シューターを選べば、ロボライダーみたいに振る舞うことも可能』


アスト「とにかく、トカゲの3種族は以上だな。次はトカゲの天命(職業クラス)を行ってみようか」

リバT『いえ、今回はここまでです。続きはまた、次回の講釈で』

(当記事 完)