ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

極度の躁状態な話

ワクチン脳な作者弁

 

 さて、唐突に作者NOVAである。

 昨日の記事にあるように、3回めのコロナワクチンを接種した。

 何故、平日の水曜日に打ったかと問われたら、うちの地元でファイザー製ワクチンを打てるのが水曜だけだからである。

 副反応が厳しいと言われるモデルナ製よりは、ファイザー製の方がいいという判断で、いろいろとスケジュール調整した結果、4月6日の昼前に打つことになった。

 そして、副反応というと……気のせいかもしれないけど、腕の痛みと倦怠感は続いているが、そんなことはどうでもいい。

 問題は……体がダルいのに、頭の中身が逆に活性化して、空想妄想大爆発な躁状態に舞い上がっていることである。

 体が疲れているのだから、素直に寝ろよ、と考えるのだが……眠れん。いや、少しは寝たんだけど、夜中に目が覚めてしまった。

 頭の中に書きたい欲が渦巻いて、これを世に残さなければ死んでも死にきれんモードに入ってる。

 ただし、その内容が本当に誰もが称賛するほど素晴らしいものである確率は、ほんのわずかである。アイデアの断片でしかなく、後から読み直すと、「自分でも頭がどうかしてる」と思える勢い任せの奇文、怪文、珍文感奮になっている可能性が1000%である。

 言わば、極度の興奮状態で、思考が定まらない状態で、勢いが無駄に上滑りしている状態。

 冷静な頭なら、そういう状態で何かを書いても、ほぼゴミにしかならないことは分かっている。

 だけど、今は冷静な頭じゃないので、「うおー、例えゴミだと分かっていても、男には書かねばならない時というものがある(普通はない)。この地球を守るためには、この天才的ひらめきを残さなければ、人類全体の損失につながる。そう、このわしの書く文章こそが、今の乱れた世界を救うのだ。人類よ、刮目して平伏し、そして崇め称えよ。天才ここに降臨せり」と何かに取り憑かれたかのような戯言を、臆面もなく書き残せるのである。

 なお、創作でマッドサイエンティストや、ダークサイドに堕ちた悪の魔術師のイカれたセリフがポンポン飛び出すのは、こんな時である。いつもの冷静かつ慎重なブレーキが機能しないタイミングで思いつくセリフをメモ書きして、残しておくと、後で役立つことがある……かもしれない。

 ともあれ、今は「後で読み返すと、赤面して自己ツッコミしたくなる文章」がポンポン飛び出す絶好の機会である。

 転禍為福の精神に則るなら、ゴミ製造機になっている今こそが、磨けば宝になるネタを生み出せるチャンスである。まあ、九割がたがゴミかもしれないので、自分のメインブログには書きたくないよな。

 でも、ウルトロピカルなここなら、大丈夫。アストがツッコミ入れながら、何とかしてくれるさ。

 

アスト「そういう自分勝手な理由で、他人の宮殿にゴミをバラまいているんじゃねえッッッ!」

 

前回の話の続き

 

アスト「作者NOVAのダメな状態が理解できた。今の頭の状態で何かを書かせると、大暴投の妄言連発になるから、おとなしく寝てろと言いたいが、寝れないから困っているんだろうがッと逆ギレ3倍返しに言弾(ことだま)が飛んでくるのが明白なので、このオレが、いやオレたちが明鏡止水の精神で対処するしかあるまい」

 

リバT『こういう過剰な躁状態は、創作家にはよくあるみたいですね。そして、それを上手く処理する手法も備えているのがプロだとか』

 

ハイラス「徹夜続きで脳を酷使しすぎたりした時にテンションがピークに達して、ハイ状態を維持したまま舞い上がっていると、たがが外れた面白い文章が書けるとか、冴え渡る筆致というのは極度の緊張状態や集中力から生み出せるとか、マンガ家の絵にも荒々しい勢いづいたタッチの絵なんかはそういうモードの産物とか、でござるか」

 

ダイアンナ「大事なのは、クリエイターが自分のそういう精神状態を理解して、それを活かせるタイミングを外さないってことだね。まともじゃない思考のタイミングを、自分のブログなどで人に迷惑をかけずに処理できる人間と、そういうものを他人へのメールやコメントなどで吐き出して、自分でも後から読み返さずに、ゴミをばらまいて謝りもしない人間の違いってことかい」

 

リバT『自己客観視、あるいは自己ツッコミの能力がないと、ろくに推敲もできませんし、そもそも自分の文章どころか他人の文章もろくに読めてないのに、読んだつもりになって、中身の理解がさっぱりって人もいます』

 

アスト「勢い任せだと文脈が追えないので、話の筋を構築もできないし、登場人物の気持ちが唐突すぎて深みを感じさせないし、会話の流れもチグハグ。まあ、それは後から読み返して、作者が自分で気づいて加筆したり、セリフの流れを整理したり、余計な部分を削ったりするのも推敲あるいは編集作業なんだが、さておき。NOVAの花粉ドンブラワクチン脳、長いので省略して花ドワ脳を整理するために、前回のパルプンテ記事を振り返ってみよう」

 

ダイアンナ「ところで……パルプンテって何だ?」

 

リバT『ドラクエに出てくる呪文ですね。「何が起こるか分からない不思議呪文」ということで、D&Dでもワイルドマジックというランダム呪文があったりしますが、最近はドンブラとパルプンテを同義で使うことも可能かと』

 

アスト「要は、予想困難で何が出てくるか分からん意味不明さを指す言葉だな。ドラクエブームの際は、『お前、パルプンテな奴やな』と友人の奇矯さをツッコミ入れるのに使われたこともある」

 

ハイラス「そもそも、パルプンテを理解する間柄でないと通じない言い回しでござるな」

 

リバT『オンラインのXを除けば、ドラクエ8以降は登場しなくなった呪文なので、半ば死語に近いと思われますね』

 

アスト「近い意味で、『お前、メダパニ(混乱)状態やな』から派生して、『頭、メダパニかよ』とか『お前のあだ名、メダパニな(普段から混乱したことしか言わんから)』とかいう言い回しがある。それに対して『誰がメダパニパルプンテ)やねん』と切り返すのが、旧世紀の一部の学生会話だったらしい」

 

ダイアンナ「つまり、当時のドラクエプレイヤーなら普通に通じる言い回しってことか」

 

アスト「中学生が習う化石の話に、時代を特定できる示準化石と、環境を特定できる示相化石というのがあるらしいが、どんな言葉を使うかでその人間の年齢層や背景が推測できるという。ゼンカイ脳とか、ドンブラ脳と言われて、話が通じるのは明らかに、公式サイトまで見に行く戦隊マニア、あるいは日頃から話している知人に戦隊マニアがいるってことだな。

「そして気心が知れるというのは、使う言葉や思考スタイルにも影響を与え合うということから、相手の言葉や考え方を吸収する力が高いということだ。逆に、相手の書く文章を読んで、理解困難さを覚える場合は、とても気心が通じているとは言えん」

 

ダイアンナ「パルプンテは、ドラクエ7以前のドラクエユーザーの間では常識で、旧世紀のゲーマーではドラクエは一般教養にも近いほど、多くがプレイしていた、と」

 

アスト「もちろん、そういう特殊な用語を使う者は、その言葉の浸透具合がどれぐらいか理解して使うのが当たり前で、例えばゲームをしない相手にそう言っても話が通じないのは分かっているから、あくまで仲間うちのジョークネタとして使うわけだ。例えば、『お前、頭おかしいわ』と言った場合、言葉がキツいので相手を傷つけてしまうけど、『お前、パルプンテやな』と言っても、それほど角が立たない。相手は笑いながら(あるいは怒ったような演技で)『誰がパルプンテや』と言い返せば、十分、コミュニケーションが通じる。

「内輪向きの冗談言葉とはそういう意味で、分かっている者同士の反応を見極めながらの会話ということになる。だけど、世間で流行っているからって、その言葉の背景を知らずにマネして使っていると、トンチンカンな使い方になったりもする」

 

ダイアンナ「普通は、言葉の意味ぐらい調べてから使うだろう」

 

アスト「あるいは文脈から理解して使うケースもあるが、人の言葉をマネして使う場合、その言葉の意味背景を知らずに使うと、とんだ誤解を招くことがある。卑しくも小説家を名乗るなら、言葉を正しく使うように神経を使うのが当たり前で、わざわざ専門用語を使っていながら、その意味が露骨に使い間違っているとニワカ丸出しということが分かって、恥ずかしい」

 

ダイアンナ「専門用語を使うと、自分の知識を証明しているようで格好いい気がするが」

 

アスト「その用語が正しく使えて、相手にも伝わっているときに限るけどな。難しい言葉を使うから賢く見えるのではなくて、その言葉の使いどころを弁えているから賢く見えるわけだ。用語だけ切り取っても、その背景にある文化を理解していなければ、チグハグになるだけだろう」

 

リバT『去年、グランドマスター掲示板で尊崇という言葉を使って、物議を醸し出した問題人物がいましたが、グランドマスター自身も当ブログで、一度だけ尊崇という言葉を特定個人への敬意を示す形で使ったようですね』

 

ハイラス「この記事でござるな。厳密には、NOVA殿ではなくて、私が使った。NOVA殿が『SNEの安田均社長に憧れ、もしくは尊崇というような感情を抱いている』と指摘したわけで」

アスト「つまり、信仰人であるハイラスさんだからこそ、そういう重い言葉が自然に出てくるわけだな」

 

ハイラス「NOVA殿も信仰人でござる」

 

アスト「そう公言しているよな。自分の背景は仏教であり、だけど大学で西洋史を勉強して、キリスト教イスラム教については学問として学び、他にもファンタジーの神話伝承に興味を持っているって。で、仏教徒だからお釈迦さん(ゴータマ・シッダールタ)を始めとする仏や菩薩を尊崇しているってことか」

 

ダイアンナ「その安田という御仁もそうなのか?」

 

アスト「いや、そんな話は聞いていない。あえて宗派を挙げるなら、TRPGを含むアナログゲーム教というか、日本にTRPGやドイツ製ボードゲームを紹介し、広げるのに努めた伝道師の一人だし、NOVAの趣味ライフに大きな影響を与えた人物。NOVAの中では、円谷英二石ノ森章太郎に匹敵するジャンル内神さまに相当する偉人ということじゃないか。NOVAの弁を借りれば、90年代の一時期に見習いとして社長に世話になったそうだし、それから20年以上を経ても、恩義を忘れずに、ブログでもTRPGを話題にし続けているんだから、尊崇に近い感情と言ってもいいんじゃないかと」

 

ダイアンナ「問題人物もわざわざ尊崇という言葉を使うのなら、その関連でブログを作るぐらいの心酔ぶりで、自分の心意気を表明あるいは思考の整理をすればいいのかもしれないのにねえ」

 

アスト「そうせずに、わざわざ他人の掲示板で自分の場違いな尊崇感情を公開して、宗教とも言えない反社会思想をばら撒くのみならず、日野木アリナの契約主のブログにも怪文書的なコメントを入れて、そこでもあっさりブロックされて縁を切られたそうだから、『宗教の悪い面=ところ構わず自分の思想、偏頗な妄信を伝道して、共感されることもなく忌み嫌われる』を地で行っているんだな」

 

ダイアンナ「ダディーだって、仏教アピールはしているようだが?」

 

アスト「自分のところで自分の文化背景をアピールしているだけだから、他所に行って押し付けるようなマネはしていないんじゃないか? 例えば、『特撮マニアが特撮に興味のない他人の掲示板に乗り込んで、特撮話を展開したらウザいと思われるだけ』だろうし、掲示板にせよ、ブログコメントにせよ、管理人が自分の興味ある同好の士とコミュニケーションを交わすために設置したり、解放しているわけだ。管理人が興味ない話題をしつこく展開する姿勢を客が見せたら、注意勧告の上、関係性を断ち切られることも当然だな。宗教は同胞意識を高めるには有効だが、キリスト教の教会で仏教徒が仏の話をしても、通じないことが普通だ」

 

ダイアンナ「場の空気や推奨話題よりも、自己主張が強くなり過ぎると、問題になりやすいようだな」

 

リバT『仏典では、仏の教えを内道、それ以外の異教を外道と言うそうです。しかし、仏教の教義研鑽の場ならともかく、国際的な文化交流の場で仏教者が他宗教を外道呼ばわりしていては、話になりません。宗教者が強い確信で自分の宗教を最高だと考えるのは結構ですが、それをところ構わず訴えて、相手の機嫌を損ねて険悪になるようでは、とても仏の智慧を体得した者とは言えません』

 

ハイラス「仏教とは、確か我執を排する教えではなかったか?」

 

アスト「無我を尊ぶというのが教義の土台にあるらしいからな」

 

ダイアンナ「無我というのは、自分を捨てろってことか?」

 

リバT『要するに、仏教は縁起とか因果応報を重んじる教えなので、恒常不変の我はないという考えですね。万物は流転すと言ったのはギリシャ哲学者のヘラクレイトスですが、世の中のものは有為転変するので、その本質は固定されたものではなく、実体を持たない空(くう)であるということです。この仏教の持つ空観を悟った名前が有名キャラの悟空であり、また仮面ライダー空我も仏教的な名前と言えましょうか』

 

ダイアンナ「ダディーは空を重んじるのか?」

 

リバT『だから、時空魔術師を名乗っているのでしょう?』

 

アスト「その割には、いろいろと固執しているみたいだが? 特撮とか、ロボットとか、必殺とか、TRPGとか……」

 

リバT『そりゃあ、趣味の世界と宗教の世界の違いでしょう。仏教は縁起を大切にするから、本質は空ながら機縁によって各種の実体を生み出して、移り変わっていく。その移り変わりの流れを研究するのが娑婆世界の趣味活動だそうです』

 

アスト「その移り変わりこそが『時』ってことか」

 

リバT『だから変化の流れを記録し、記憶に留めることで観じる作業がグランドマスターの生き甲斐なんですね。逆に、そういう自身も含めた時流の変化に無頓着で、凝り固まった考えには魅力を感じない。趣味という土台は持ちながらも、そこから融通無碍に発想を広げることを重視するとか』

 

ハイラス「融通無碍も仏教用語でござるな」

 

アスト「仏教の話はもういいや。その辺の哲学はNOVAの価値観につながっているから、趣味哲学にまで発展させられるかもしれないが、話を戻すぞ」

 

ハイラス「どこに、でござるか?」

 

アスト「ええと……クリエイターの自己客観視辺りからか」

 

クリエイターの心

 

アスト「結局、自分で何かの作品を作る創作家は自分の作品の良さを認めてもらいたいか、自分の作品をより良くするための何か(アイデアなり技法なり)を仕入れたいかなんだな。それに加えて、他人の面白い作品(=自分のツボにハマる作品)を読んで楽しみたい。

「よって、創作仲間というのは、『自分が褒められる→返礼に相手を褒めるというヨイショのし合い』を軸にしながら、『相手の作品の褒めポイントと、辛口批評点の一つぐらい』を示し合って、社交をこなすわけだ。この褒め方の勘所と、批評のポイントを適切に突き合うことが仲間付き合いで大事だが、そもそも『褒めるところよりもダメな点の方が多い作品』はどうか」

 

ダイアンナ「お茶を濁すように当たり障りのないことを言うか、それともダメだダメだと酷評するかだな」

 

アスト「褒めるか貶めるかは、論者の性格や対人関係をどうしたいかによる。本音と建前の考え方にもなるが、基本的に『手放しで面白いと楽しむ』ことは考えなしにできるんだな。自分のツボを突く楽しい作品を普通に作ってくれるクリエイターは貴重だ。素直に好きになっていればいいし、その好きを通じ合わせれば、ファン同士は分かり合える。『新幹線好きに悪い奴はいない』というのはそういう無邪気で開明的な精神が生み出した至言と言えよう」

 

ハイラス「新幹線のことはよく分からないので、違う例えをさせてもらうでござる」

 

アスト「どんな例えだ?」

 

ハイラス「ドルイ道としては、『動物好きに悪い奴はいない』と言いたいところであるが、動物の何が好きかで立ち位置が変わってくる。すなわち、『動物は野生のままがいい』派と『人に飼い慣らされた愛玩動物として愛でるのがいい。野生の凶暴な動物は勘弁』派と、『俺は動物が好きだが、それは愛でるためじゃねえ。狩りの獲物として好きなんだ』派と、『動物? 好きだよ? 食べたら美味しいからね。馬肉最高♪』派などで、単に動物好きという言葉だけでは相容れない価値観の違いがあるでござる」

 

アスト「馬を食う奴は、オレの敵だ」

 

ハイラス「ああ。アスト殿は馬に変身するのでござったな。あれは一体どういう原理で?」

 

アスト「オレにもまだ分かっていねえ。オレが馬になった不思議なエピソードはこちらだが、獣の専門家のあんたなら何か分かるんじゃないか?」

ハイラス「これはドルイ道の観点からも興味深いケースでござるな。騎馬戦士アスタリオンの秘密、研究する価値がありそうでござる」

 

アスト「何にせよ、一口に動物好きと言っても、野生派と愛玩派と狩猟派と食材派とでは、話が通じないこともあるわけか」

 

ダイアンナ「宝石好きと言っても、単にキラキラ綺麗だから好きという層と、加工技術の職人芸を読み取って感じ入る層とでは、見ているものが違う気がする」

 

アスト「鑑賞者視点と、創作者視点の差って奴かな。新幹線好きでも、『おお、このメカのフォルムが最高だ。よし、全ての新幹線はわしのもの。世界中の新幹線をこの手につかむのが我が願い。この世の新幹線を愛でるのは、わし一人でいい』って新幹線コレクターなキャラが登場したら、速杉ハヤトでも悪い奴認定するだろうな」

 

リバT『シンカリオンにはそういう敵が登場しませんでしたが、もしも出てきたら、「新幹線が好きなのは分かるけど、新幹線はみんなをつなぐものだから、独り占めするような奴は許せない。みんなから奪った新幹線を返すんだ」とか言いそうですね』

 

アスト「彼は独自の新幹線哲学を持っているぐらい好きだからな。趣味が哲学の域に到達するぐらいのめり込むと、一部の層は引くが、そこまで好きなのか〜と感じ入るマニアも数多い」

 

ハイラス「そのマニアを感じ入らせるポイントは、どこにあるでござるか?」

 

アスト「何より大切なのは、自己完結しているってことかな。これが新幹線好きを押しつけて、お前も新幹線好きになれとか、新幹線を好きにならない奴とは話にならないねとか、新幹線の良さを語るのみならず他の趣味を見下すような暴言を吐いたら、ハヤトは愛されキャラにならなかったろうし、例え相手に理解されようとされまいと、新幹線の話に目を輝かせて、視聴者をして『こいつはここまで追求するか? 本当に好きなんだなあ』と思わせるぐらいのマニアックぶりを示すと、マニア心を震わせる」

 

ダイアンナ「自己完結かあ」

 

アスト「これが宗教だと、自分だけが正しいという独善に走って、布教になりがちだからな。求められない布教活動は、趣味のレベルを軽く逸脱する。ハヤトの好きは個人の中で完結しているし、他人の趣味を尊重するから、シンカリオンの運転士が個々の趣味をアピールする場となって、鉄道を基軸に趣味の話題の祝祭空間が生まれていったわけだ」

 

リバT『シンカリオンZは、そこまで日常シーンが広がりませんでしたね』

 

アスト「主人公の妖怪趣味と、ロックな花火と、自然好きと、鷹匠とか、アイドルとか、無線とかが、該当仲間の登場回を除けば、それほど掘り下げられなかったからな。あと、敵キャラのデザインが妖怪モチーフが中心で、器物や古生物メインだった前作に比べて、シン以外のキャラが分からない局面が多すぎた……って、オレはどうしてシンカリオンZを批評しているんだよ」

 

リバT『グランドマスターNOVAの意志です』

 

アスト「勘弁してくれ。要するに、好きなもので話が通じ合うのはいいが、好きでないものを押しつけられるのは迷惑だって話なわけで。速杉ハヤトは何を見ても鉄道に例えて、新多シンは何を見ても妖怪や宇宙人、UMAなどオカルト知識に例えるが、前作の方が趣味の引き出しがマニアックで濃く、Zの方は薄味だったという違いかな」

 

リバT『グランドマスターNOVAは、何を見ても特撮かスパロボか必殺かRPGにつなげてしまうみたいですね』

 

ハイラス「まあ、ホビー館や関連ブログ内でのキャラ付けってことでござるな。さすがに、職場や大人の社交でそれしか話ができないのでは困るので、場を弁えるだけの世間知は持っているはず」

 

アスト「社会に生きるオタクの知恵という奴だな。いつでもどこでも全力全開で自分をさらけ出すわけにはいかないので、空気を読むというのは基本技能だろう」

 

ダイアンナ「この場ではこういう話題がいいとか、この場ではこの話題はマズいとか、この人ならこの話題に乗ってくるだろうとか、タイミングや場所、相手を見て物を語るというのは、ネットでも常識だろうね」

 

アスト「場を弁えられないというのは、そういう器用な使いわけができないってことだろうな。この相手とは以前にこういう話をしたから、この話題なら付いて来てくれるだろうとか、この相手には前に叱られたから、『先日は失礼しました』とあいさつから入ろうかとか、前にした話の延長で話題をつないでいくものだろうし、前にした話を綺麗さっぱり忘れて『お久しぶりです』と話をして、唐突に前と関係ない話から始めるのは、『前に相手を不愉快にさせて怒らせた後の会話』では最悪と言っていい」

 

リバT『話のつながりを理解できない、あるいは覚えていられないってことですからね。気分を引きずらないという点では長所にもなりますが、個人としてそういう深く物事を考えない人間もいるだろうとは思いますが、そういう相手に対して深い話をしても無駄というか、積み上げがなくてつまらないというか、極論では果たして関わること自体に意味があるのか? と考えられても不思議ではありません』

 

アスト「どうせ大したことを言ってないのだから、その場だけテキトーに応じて、言ってることはハイハイと聞き流して、頼み事や質問をされたら、スルーして交わすのが下手にストレスを溜めずに正解、という気がするな」

 

ダイアンナ「相手に下手に感情移入することなく、機械的に処理するって関わり方だね」

 

アスト「じっさい、創作家として自分の関わった作品を作者として濃厚に語ることができる相手なら、NOVAは作り手としての敬意を示せたんだと思うぜ。例えば、『本当は、こういう筋書きで書こうと思ったんだけど、自分の筆力が届かなかった』とか、『このシーンの描写は自分なりによく書けたと思う。お気に入りです』とか、そういうことを語れるのは作者本人だけだし、作り手としての述懐やメイキング裏話はNOVAの大好物らしい」

 

リモートNOVA『ああ。もちろん、作り手への雑誌インタビュー記事なんかで、その作品に対する作り手の思いがあって、こだわりや愛情をアピールできてこそだけどな。ところで、「クリエイターの心」という小見出しが付いてる記事に割り込みするが、またも偉大なクリエイターの訃報が届いた。マイナーローカルの小人への不満をどうこう言っている場合じゃない。さっさと見切りを付けて、偉大な先人への哀悼記事を書くのが今すべきことだと考える』

 

アスト「誰だよ、それ?」

 

リモートNOVA『聞いて驚け。俺は驚いた。かの有名な藤子不二雄Aこと我孫子素雄さんだ』

 

アスト「読者Aならぬ作者Aじゃないか。いつ?」

 

リモートNOVA『今日4月7日だ。つまり、この記事を書いている最中に亡くなったということだ。奇縁すぎるだろう』

 

アスト「タイミングが合いすぎるだろう。昨日、藤子不二雄作品の話をしたばかりなのに、今日、訃報が届くなんてよ」

 

リモートNOVA『虫の予感か、何かの縁かは知らないが、躁な気分が一気に吹っ飛んで、涙目全開に突入している花粉症な俺がいる。とにかく、ここから記事を仕切り直して、故人への追悼記事に切り替えねばならぬ』

 

アスト「ああ。オレも同じイニシャルAを持つ男として、謹んで哀悼の意を表明するぜ」

(追悼記事に続く)