屋久島にて
日野木アリナ「そろそろ、新兄さんが約束していた時間じゃのう」
次元ドルイド・ハイラス「アステロイド宮殿が天空の彼方より飛来するのを、地上でガイア様が受け止めるというNOVA殿の計画、果たして上手く行くのであろうか」
アリナ「ハイラス様、あなたは新兄さんのことを信用されないのか?」
ハイラス「この私に様付けは不要ですぞ、ヒノキどの。元より、ただの人に過ぎない私と、コンパーニュを預かる神霊のあなた様とでは格が違う」
アリナ「神と人、どちらが上かと申せば、より強大な力を持ち合わせているのは確かに神じゃ。されども、神は元より人の想念より生まれ、想いのエネルギーを受け入れて力と為すもの。人なくして神は存在せず、神なくして人は想いを惑わす。人の想いと神霊の力が重なり合った時に、初めて奇跡が顕現する。それゆえ、わらわは神霊なれども、決して人の想いの力を蔑ろにはせぬ。ましてや、あなたは故あって怪獣の心を引き寄せる才能の持ち主。わらわはあなたを契約主の次に、慕っておる。ここでの仕事がなければ、コンパーニュに常駐してもらいたいところじゃが」
大地母神ガイア『日野木アリナよ。私の従者に色目を使うとは、そなたも隅に置けませんね』
アリナ「あっ、これはただの他愛ない戯れと思っていただければ。思念体の大地母神さまと違い、わらわは受肉した存在ゆえ、生身の本能とは無縁でいられぬもの。袖振り合うも他生の縁と申して、空の大怪獣ラドンの眷属である以上は、怪獣遣いの才持つ御仁には良好な縁を持ちたいと思う次第(赤面)」
大地母神ガイア『しかし、そなたには契約主がおるのであろう。例の絵師の人はどうなっておるのか?』
アリナ「サブロー殿は、最近、竺菻(ちくりん)なる娘御と契約を交わしたというか……」
ガイア『それは浮気というものですか?』
アリナ「い、いや、精霊使いが複数の契約を交わすことはよくある現象であって、わらわも別に独占欲が強い方ではないのじゃが、TRPGさえあれば満たされるのじゃが、そのう、ハイラス様はTRPGの世界から湧き出た御仁だからして、わらわのツボをいろいろ刺激してくれるわけで」
ガイア『TRPGですか。そなたも夢中になっておるし、次元ドルイドも教えてくれるのだが、私にはその概念がまだつかみきれていません。人が仮想の身に自分を置き換え、怪物退治をしたり、数多の冒険を繰り広げた末に、あわよくば神にもなるという精神修養の秘術とか。最近、流行りのアバタロウとかにも関わるのですか? 我が後継者の翔花も最近、ドンブラ脳がどうこう言っているようで、祖母としては心配です。ドンブラとTRPGに何かつながりが?』
アリナ「ドンブラとTRPGは直接の関係はないが、スーパー戦隊とTRPGだと、ストレートにこれがある」
アリナ「ジュウレンジャーは、90年代初めのRPGブームに乗るように誕生した初の本格的ファンタジー戦隊で、パワーレンジャーとして海外進出もした伝説の作品なのじゃ。さらに、戦隊シリーズ唯一の公式RPG書籍がケイブンシャの大百科シリーズで発売されておる。戦隊ヒーローを再現できるTRPGはいくつもあるが、公式に作品タイトルを冠したTRPGとなったのはこれ一本」
ガイア『……日野木アリナよ。その話はそこまでにしておきましょう。とにかく、今はアステロイド宮殿の飛来に備えて、心構えをしなければなりません。従者ハイラスよ、準備はよろしいですね』
ハイラス「はっ。何ぶん、天空から隕石を落とす呪文はあれど、天から飛来する隕石を受け止めるような呪文は知りませんからな。未だかつて経験したことのない作業ゆえ、緊張して神経質になっていたようです」
アリナ「大丈夫。新兄さんがやると決めたことじゃ。時空魔術師に確固とした未来が見えているのであれば、成功は間違いないはず」
ガイア『日野木アリナは、彼のことを強く信じているようですね』
アリナ「伝説の魔術師にして、花粉症ガールの父じゃからな。いささか不安定なところもあるが、こうと決めたら、世界のルールを多少捻じ曲げてでも、何とかする男じゃ。世界の一つや二つなら、救ったりも破壊したりもしてきた男じゃからな。そんな御仁が、世界は滅びない、必ず救ってみせると断言するなら、まあ、今回は壊れることもないじゃろう」
ハイラス「しかし、『俺の言葉の半分は妄言だぜ』って言っている御仁でござるからなあ。世界を救うというのが妄言である可能性は?」
アリナ「今回に限っては、ゼロに限りなく近い。何しろ、実際に完成した世界の未来を見せてもらったからのう。ほぼ完成して、実体ができているものは、妄想ならぬ予定であって、よほどの事故がなければ定まった未来に等しい。当てにならない言葉というのは、やったこともない、経験したことも、それだけの能力も実績もないのに、大言壮語を吐く無責任な輩じゃ。新兄さんはできないことはできないと言うし、できることはできると自身の経験に基づいて言う。まあ、あやふやで確信が持てぬような時は、あやふやながらも言ったことの半分ぐらいは果たすように、がむしゃらに動く。新兄さんが失敗するときは、自分の意志だけでは本当にどうしようもない、他人の仕事に関わるときじゃ」
ガイア『つまり、自分の責任の範囲で、言ったことは確実に果たす、ということですね』
アリナ「約束は必ず守る。それがヒーローたる小説家の言葉じゃからな。平気で約束を破る悪魔使いの小者とは根本的に違うわけで」
ハイラス「まあ、寄り道脱線でハラハラドキドキさせる御仁でもござるのだが」
アリナ「それも、また一興。では、そろそろ空に動きが見られよう」
ガイア『神の掌で包む重力操作は任せてください。従者ハイラスよ、祈りを込めて、我が力の伝達経路を確立しなさい』
ハイラス「心得たでござる。久々に、我が次元ドルイドの力を発動させましょう」
アリナ「空の監視と、大いなる力の微調整は、わらわが引き受けた。新世界構築の夢は、必ず成し遂げてみせるのじゃ」
次元の扉を通じて
アリナ「次元の扉が開いたのう」
ハイラス「次元転移は何度もしてきたが、今度の門はサイズが全然違う。あのような大きな門を開くとは、NOVA殿の魔力も大したものでござるなあ」
アリナ「確かに、新兄さんの思念力、魔力は相当のものじゃが、あれは新兄さんだけの力ではない」
ハイラス「と言われると?」
ガイア『娘の翔花と晶華、それに平成および昭和の分身の魔力を、アーティファクトの〈光の杖〉の力で増幅し、この地に送り込んでいるようですね』
ハイラス「ああ、娘御がこの屋久島の地に来ていないのは、そういうことでござったか。〈光の杖〉のあるクリスタル・タワーに待機して、大いなる力を伝達する係をしている、と」
アリナ「力の伝達には、送り手と受け手が心を通じ合わせる必要があるからのう」
ハイラス「信仰呪文の原理と同じでござるな。人が神や精霊を信じて、心を共にしたときに大いなる力が送り届けられる。迷いや不信で心が揺れ動いていては、力の伝達も困難になる」
アリナ「魔法使いは使い魔を作成して、その精神力を借りて呪文を掛けることもできる。あるいは、契約精霊や時代を越えた分身を用意することで、想いの力を結集することもできる。逆に言えば、想いが重ならずに、一方的な要求だけを突きつける独り善がりな輩は、力でねじ伏せでもしない限り、そういう恩恵に預かることはできぬ。人の信頼とはそう言うものじゃろう」
ガイア『想いをつなげる……ですか。翔花や晶華が、きちんと思念波をこの地に送り届けている辺り、時空魔術師は娘に真っ当に慕われているようですね』
アリナ「花粉症ガールの誕生日効果もあるのかもしれぬ。ちょうど今は、新兄さんの誕生日と、コナっちゃんやアッキーの誕生日の間に位置する、ハッピーバースデイな星辰の時期。つまり、新世界誕生に向けて気力が充填し、花粉パワーも満ち足りて、ゼンカイ脳からドンブラ脳への移り変わりの時期。そういう諸力や想念を全て結集させて、奇跡を起こす流れを生み出しておるのじゃな」
ガイア『なるほど。一人の力は卑小なれど、天の時、人の和を味方につけると、魔力も増幅されるわけですね。時空魔術師は、そういう原理を心得ている、と』
ハイラス「ならば、大地の力は我らが補わねばなるまい。ここまで来たら、私も覚悟は決まった。NOVA殿の想い、そして私も世話になったアステロイド監視所を支えるために、持てる力を振り絞りましょう」
アリナ「コンパーニュの想いも届けるのじゃ」
スピードフォースからの帰還
その頃、次元の扉を通過中のアステロイド宮殿では、
NOVA「よし、もう加速は十分だ。ここから制動段階に入る。アスト、おつかれさん。スピードフォースはもういいぞ。戻って来い」
アスト『戻って来いって簡単に言うなよ。オレはお前と違って、時空魔術師じゃないんだ。そう簡単にPOMPOM移動できるかっての』
NOVA「何のためにQ&Aリングが、お前とダイアンナの指にハマっていると思うんだ? ウルトラマンAを見ていれば、北斗星児と南夕子が遠く離れたところからでも、次元の壁を超えたところでも、ウルトラタッチでAに変身していたことぐらい分かるだろう」
ダイアンナ「つまり、アストとあたしが互いを想って、手を伸ばせば、一つになれるってことだな」
NOVA「いや、無理だ。お前たちじゃ、Aの絆には遠く及ばない」
アスト『何だと? 及ぶかどうか試してみようじゃないか。アニーーーーッ!』
ダイアンナ「アストーーーーッ!」
アスト&ダイアンナ『2人は……って何も起こらない?』
NOVA「当たり前だ。そんなに都合よく、ウルトラマンAの奇跡が起こせるかっての」
アスト『だったら、何のためのQ&Aリングなんだよ!?』
NOVA「そりゃ、想いを通じ合わせるためだろう。ただ、想いだけで次元の壁を突破できるのは、時空魔術の技だ。だから、俺が門を開き、ダイアンナがたぐり寄せる。俺はアストの位置が特定できないから、どのポイントに門を開ければいいか分からん。だから、ダイアンナが感じた位置情報をリバTに伝えて、俺に通じ合わせる必要があるんだ」
アスト『いちいち面倒くさいんだな。魔法なんだから、チョチョイのチョイで片付けられないのかね』
NOVA「俺の魔術はそんなお手軽なもんじゃねえ。類感とかタイミングを見計らって、十分な段取りを重ねた上で、発動させるんだよ。とにかく、俺を信じてくれたら、すぐに引き戻してやる。信じないなら、一生そこでスピードフォースと一体化してろ」
アスト『そんなことになったら、フラッシュポイントが発生して、大変なことになるだろうがよ』
NOVA「フラッシュポイントか。TV版のフラッシュは、現在シーズン8だったかな」
アスト『おい、今は海外TVドラマの話をしている場合じゃないだろう?』
NOVA「ああ、確かにそうだな。それよりも、映画のDCEUの『フラッシュ』はどうなっているんだ? 確か2021年に予定されていたはずなんだが、コロナ禍で延期を繰り返したりしているうちに、今どうなってるんだ?」
アスト『そんなこと、オレが知るか! 後にしろ、後に』
NOVA「いや、気になることはすぐに調べないと、俺の気が済まん」
リバT『グランドマスター、私めのつかんだ情報では2023年6月公開予定で、今年はバットガールが公開されるらしいです』
ダイアンナ「へえ、バットウーマンじゃなくて、バットガールかい?」
NOVA「バットウーマンは映画じゃなくて、TVのアローバースの方な。2019年に始まったが、第2シーズンで主演女優の交代があって、ニューパワー編になったと聞く。まあ、俺も2019年から後のアローバースの動向はコロナ禍のゴタゴタで追っかけ不足だと思うな」
アスト『だから、アローバースがどうこうより、オレを何とかしろよ』
NOVA「仕方ないな。ほい、フォースゲートOPEN。さあ、手を伸ばせ。ウルトラタッチだ」
ダイアンナ「アスト、あたしの手をつかめ。引き寄せてやる」
アスト「頼むぜ、アニー」
うんとこしょ〜、どっこいしょ〜。
まだまだ王さまは抜けません。
女王さまは魔法使いに助けを求めました。
魔法使いは自由の女神の鎧を身にまとっていました。
自由の女神の鎧が魔法使いをアシストし、
魔法使いが女王さまを支援し、
女王さまが愛する王さまを引っ張って、
うんとこしょ〜、どっこいしょ〜。
こうしてカブならぬ王さまはこの世界に帰って来れました。
めでたしめでたし。
アスト「ふう、ようやく帰って来れた。死ぬかと思ったぜ」
NOVA「大げさだな。お前がこんなことで死ぬはずがないじゃないか」
アスト「どんな根拠があって、そんなセリフを言えるんだ?」
NOVA「ここのキングでクラシックD&Dなどに詳しいお前がいないと、俺が困る。ダイアンナが悲しむ。カニコングがキングに返り咲いて、また触手帝国がどうこう言い始める」
ダイアンナ「そいつはイヤだねえ。アストのいない未来なんて、あたしには考えられないよ」
NOVA「俺だってそうだ。このブログを新生するに当たって、主役とも言うべきアストを殺してしまっては、ちっともウルトロピカルじゃない。アストがいなくなった後の物語を作者が考えつかない以上は、アストは死なない。アストを殺した方が面白くなると判断したら、うっかり殺してしまう可能性はゼロじゃないが、今は作者がアストを殺して作品を面白くできるとは全く思わないので、お前が死ぬ可能性はゼロだ。安心しろ」
アスト「思いきり、メタっぽい理由だが、『アステロイド宮殿を救うために、オレがその身を犠牲にした』って話にならなくて良かったぜ」
NOVA「だって、読者の方に頼まれたからな。『ぼくはアストさんの活躍を応援してます。だから、絶対に殺さないで下さい。読者A』って」
アスト「誰だよ、その読者Aって?」
NOVA「読者Aと言えば、お前じゃないのか?」
アスト「知らねえよ。そんな自作自演みたいな恥ずかしいマネができるか」
NOVA「だったら、きっと読者A2号だろう。うちの娘がPONと分裂したみたいに、読者Aも分裂したに違いない」
アスト「読者Aは花粉症ガールじゃねえ。普通の人間は分裂して増えねえ」
NOVA「読者Aが普通の人間とは限らないだろうが。もしかすると、暴太郎かもしれないし。暴太郎だったら、アバター作ったり、アルター作ったり、分裂増殖したって不思議じゃない」
ダイアンナ「謎の読者A2号氏が暴太郎かどうかはともかく、世の中にはAというイニシャルな人間は山ほどいるからねえ。読者Qは、さすがに日本人ではいないと思うけど」
アスト「とにかく、本名不明の暴太郎疑惑のある読者A2号さん(仮称)のおかげで、オレはうっかり殺されなくて済んだわけだ。誰だか分からんが、こいつは良縁だと思って、本当に助かったと言っておこう」
リバT『作者がドンブラ脳だと、何が発生するか分かりませんね』
大いなる魂の力
NOVA「さて、スピードフォースの加速エネルギーも途絶えて、制動体制に入った。あとはアストロメガネンオーの明鏡光子エンジンで逆噴射して、そこにウルトラマンアースが協力して、地上のガイア様の見えざる神の掌で受け止めてもらえれば、アステロイド宮殿、改めて天空(エリアル)宮殿は屋久島上空で一端、静止するだろう」
アスト「無茶な計画だと思ったが、科学の力と、ウルトラの力と、神の力が合わされば、これぐらいの奇跡は起こせるってことか」
NOVA「だが、それだけではまだ足りないんだ。ブレーキはかけて静止はできても、いつまでもそのままってわけにはいかない」
ダイアンナ「まだ、何かあるのか?」
NOVA「天空宮殿を維持するために、ずっとガイア様の掌で支えてもらうわけにはいかないだろう。この宮殿は独自に空中に固定する浮遊システムを構築しないといけない」
アスト「浮遊システムってないのかよ」
NOVA「宇宙空間だと必要ないだろうが。浮遊システムを作るぐらいなら、まず推進装置を作って、移動宮殿にしておくぜ」
ダイアンナ「つまり、アステロイド宮殿は独自に移動もできず、空中に静止もできない、ただの置き物だったってことだね」
NOVA「モデルの一つが、サンダーバード5号だったからな。大雑把なスペックはここに書いてある通りだが、アステロイド宮殿のサイズは、横幅120メートルで、縦幅80メートルに設定されていた」
アスト「宮殿にしては、意外と小ぢんまりしていたんだな」
NOVA「何と比べて、そう言っているんだ?」
アスト「そりゃあ、宮殿と言えば、ヴェルサイユ宮殿だろう。その庭園の面積は約1000ヘクタールで、東京ドーム200個ぐらいの敷地面積を誇る」
NOVA「1ヘクタールが100メートル×100メートルかあ。つまり、アステロイド宮殿は正面から見ると、1.2×0.8で1ヘクタールにも満たないということになる」
アスト「まあ、庭園は置いておくにしても、宮殿の建物自体、正面から見ると、横幅400メートルって話だからな」
NOVA「う〜ん、じゃあ、この機にサイズを増やすか」
ダイアンナ「どうやって?」
NOVA「そりゃあ、ウルトラ族の力を応用すれば、サイズの拡大はお手のものだろう。時空の扉を通過する際に、等身大から40メートル以上に拡大することはよくあることだ」
アスト「サイズの拡大ができることは分かった。しかし、今、この場で拡大しても、地上で受け止めてもらう立場で、相手の負担を増やしても仕方ないだろうが。状況を考えろ、状況を」
NOVA「ああ。今、考えるべきはサイズの話じゃない。どうやって、空中に静止した天空宮殿の状態を維持できるかだ」
アスト「要は、天空の城ラピュタみたいに飛行石みたいなものがあればいいってことだろう?」
NOVA「ああ、そうだな。で、そんな便利なものを持ってるのか?」
アスト「オレが持ってるわけがないだろう?」
NOVA「何だ。次元快盗とか名乗っていたから、そういうお宝を入手済みだと思ったぞ。意外と大したことないんだな」
アスト「うるせえ。そういうお前はどうなんだ? 時空魔術師だったら、持ってるんじゃないかよ?」
NOVA「飛行石は持っていない。だが、イメージソースとして、こういう書物はある」
ダイアンナ「浮遊岩によって支えられた空中都市かあ。いかにもファンタジーって感じだねえ」
NOVA「さらに、ウルトラマンガイアの世界では、天才科学者集団であるアルケミースターズがいろいろと画期的な発明を行なっており、主人公の高山我夢の開発したリパルサー・リフトが空中基地エリアルベースを支えている」
アスト「なるほど。つまり、ガイア様の治める屋久島上空をエリアルベースを模した天空宮殿が浮いていても、言霊類感的には問題ないという理屈か。さすがは時空魔術師にして、言霊魔術師。それで行こう」
NOVA「いや、俺は高山我夢じゃないから、リパルサー・リフトなんて作れねえ。オマージュを捧げることはできても、そのまま使ったら、ただのパクリじゃねえか。参考にはしても、自分の創作世界観に合わせた設定に改変しないと、読者に呆れられる」
アスト「この状況で、そんな面倒くさいことを考えてるなよ」
NOVA「こんな状況だからこそ、きちんと自分ならではの流儀を示さないと、物語世界がただのハリボテになっちまうんだよ。ただのパクリと、オマージュの違いを見せないと、新世界構築がただの嘘っぽい絵空事になって、物語内の整合性を持ったリアリティーが感じられなくなってしまう。いきなり、新しいブログを立ち上げてみたはいいが、このウルトロピカルな新世界がただのハリボテで手抜きですってわけにもいかないだろう。きちんと考えて構築された、どこか変だけど、作者らしい夢ワクワクの奥深い世界であるように見せないとな」
ダイアンナ「何でもいいから、早くしないと宮殿が墜落してしまうんじゃないか」
NOVA「フッ、今、この空間は外の世界と時間の流れが異なっている。いくら喋っても、外の世界では一瞬だ、というZ様理論が通用する」
アスト「だからと言って、ムダ話をいつまでも続けていいってことはないだろうが」
NOVA「アイデアを出すためのブレインストーミングは決してムダ話じゃないんだがな。まあ、アイデアが出ないなら、そして物語の整合性をもって形にできないなら、さらに完成した話がどうにもこうにも、つまらない代物にしかなっていなければムダなんだが。しかし、ノリと勢いさえあって、テンションさえ高まればムダにはならねえ。それこそが今のトレンドのドンブラ脳だ」
アスト「そのドンブラ脳で、どこに流すってんだよ」
NOVA「うむ、ここだ」
アスト「屋久島在住のセイリュウG様が出てくる話か。そんな昔のエピソードを読む時間のない読者さんのために、要点をかいつまんで話すとどういうことだ?」
NOVA「そんな読者がうちのブログを読んで楽しめるのかどうかは微妙だが、『読んでいると主張しながら、おかしな誤読で相変わらず勘違いしたことをほざいたメールをしつこく寄越す作家志望だった現役ストーカー氏』もいるみたいだから、誤解のないよう書いておく。うちの創作ストーリーで重要なアイテムに、『7つの竜の魂』というのがあって、俺たちはそれを集めるために活動しているわけだ」
アスト「そうだったのか。アステロイド宮殿では、そんな話はちっとも知らなかったぞ」
NOVA「これからは知っておけ。重要になる」
ダイアンナ「『7つの竜の魂』か。そいつは いかにもなお宝っぽいねえ。次元快盗の血が騒ぐよ」
NOVA「ちなみに、現在、分かっているのは、4つだ」
・ブルーソウル:セイリュウG様の思念と力を秘めた魂石。
・ゴールドソウル:黄金竜ギドラを封印している魂石。
・レッドソウル:G様の息子リトル・セイリュウの魂に宿る石。いまだ未覚醒。『魔神ハンター』の試練を切り抜けた先に覚醒すると言われている。
・グリーンソウル:モスラの力を宿した魂石。粉杉翔花の中に眠っていたが、『妖精郷』から救出された際に、覚醒したことが、今回、初めて公開された。現在、NOVAが持って来ている。
アスト「グリーンソウルだと? 翔花ちゃんの魂? ハアハア」
NOVA「ダイアンナ、これをアステロイド、改め天空エリアル宮殿の女王であるお前に預ける。お前は、翔花の分身、晶華の未来の影だからな。花粉症ガール4号として、これを受け取る資格は十分にあるはずだ」
ダイアンナ「何と。そのような貴重な宝を、あたしが預かっていいのか?」
NOVA「この世界におけるモスラの力の大元は、ガイア様が治める地上の屋久杉に今も封印されている。この石に秘められた力は、そこから漏れ出したほんの一部分でしかない。だが、それでもエリアル宮殿を浮遊させ、管理維持するために必要なだけの魔力ソースにはなるだろう。
「言わば、天空のグリーンソウルと、地上の屋久杉と、人たる俺のクリスタルタワーにいる翔花の3つで、天地人のモスラ・トライアングルを築くわけだ。今のリアル世界に蔓延る災厄を安穏にし、平和な令和になって欲しいという祈りも込められていると言っていい。粉杉翔花の魂の一部であるグリーンソウルを、今ここにダイアンナ・ジャックイーンに託す。アストと共に、そしてガイア様のところの民と協力して、しっかりとこの地の管理を任せたい。いいな」
ダイアンナ「大いなる力には、大いなる責任が伴う。そう受け止めろってことだな、ダディー」
NOVA「ああ、そして大任を負った女王を支えることができるのは、アスト、お前の役目だ。危険なスピードフォースに突入して、命をかけて天空エリアル宮殿の設置に協力したんだからな。その功績は、読者と俺がきちんと見届けたはずだ」
アスト「へへ。オレは単に、お前に振り回されただけだったけどな」
NOVA「振り回されて、文句を言うことはあっても、お前はお前で頑張って、試練を果たしたんだよ。読者A2号ってファンも付いたんだし」
アスト「そうか。花粉症ガールの追っかけ読者Aに過ぎなかったオレが、いろいろな試練を切り抜けて、未来に行ったり、次元快盗になったり、ゴブリンスレイヤーのGMやったり、非公認ながらウルトラマンになったり、波乱万丈の生活をしていたら、何だか王さまになって……って、もしかしてオレって凄くない?」
NOVA「全てはこの日のためにあった……と言っておこう。ちなみに、最初からこんな話にするつもりは一切なかったが、時流に乗りながら、勝手に頭の中に浮かんだイメージを行き当たりばったりに書いていたら、ここまで漕ぎ着けたわけで、書いてる俺が一番驚いている。俺が読者なら、『何、この作者。頭おかしいんじゃないの? もしかして、ドンブラ脳が覚醒してる?』と言いたくなる話だ、今回は特に」
アスト「分かった。元読者Aとしては、これを読んでる奇特な読者にも言っておくぜ。人の運命は誰にも見えない。お前の物語の主人公はお前自身だ。だから、主人公に恥じない自分の生き様をしっかり貫いてみせろ。まあ、脇役街道がいいってなら、それも一つの道だがな。だったら、名バイプレイヤーとも言うべき、自分の役割をしっかり押さえた愛される脇役の生き方を研究しろよ。かく言うオレはアニーとの愛をつかんで、光を手に入れたが、それで話が終わったわけじゃない。オレたちの物語は、まだまだ始まったばかりだ……って、こんな話でいいのか?」
リバT『グランドマスターは、既に出立なされました。後は、クイーンとキングに任せたと言い残して』
アスト「ちっ、散々かき乱して帰って行きやがったか。後始末ぐらい、しっかりして行けってんだ」
ダイアンナ「それは、あたしたちの仕事さ。早速、グリーンソウルの力を使ってみよう。アステロイド、いや、天空エリアル宮殿、これより屋久島上空への安定軌道に入る。花粉症ガールの魂の石よ、あたしに力を!」
こうして、花粉症ガールの系譜を受け継ぐ光と闇の蝙蝠女王ダイアンナは、伴侶のアストと共に宇宙から地上に降臨した。
病魔と戦災、そして地震再びの災禍の訪れる地上において、天空宮殿がいかなる救いになるかは、今はまだ分からない。
だけど、屋久島を守護する大地母神ガイアさまは、大いなる慈しみの掌で、新たな希望となるべく宮殿を受け止め、地上と天空を結ぶ聖蛾の力を宿すべく祝福を与えた。
リアルとフィクションをつないで、ハッピーに祝いたい新たなブログが、こうして始動することとなった。
果たして、空想、妄想、幻想に彩られた物語が、楽しいものになるのか。
それは、受け止める読者と、ハッピー・ドンブラ脳の作者の心の絆に掛かっている。想いが通じて、みんな、ウルトロピカルにな〜れ♪
(当記事 完)