ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

空と大地の交流

地母神の声

 

ダイアンナ「よし、グリーンソウルの使い方にもだいぶ慣れて来たぞ。これで天空宮殿も安定した」

 

アスト「ようやくか。何だか地震酔いだか、飛行機酔いだかフラフラして、夜も寝た気がしなかったからな」

 

ダイアンナ「地上の東北のことを思えば、これぐらいの揺れが何だ? とにかく、地上をウルトロピカルの光で照らすことが、この宮殿の存在意義とする。ダディーNOVAはそういう期待も込めて、グリーンソウルをあたしに託したんだからな」

 

謎の声『よく言いました。我が後継者の双子の姉妹の未来の分身よ』

 

ダイアンナ「その声は、大地母神ガイア様? いつぞやは、あたしとアストの結婚を祝福していただき、ありがとうございます。宇宙勤務のために、この地への挨拶が遅れたことをお詫びいたします」

 

アスト「グリーンソウルを通じて、神さまの声が聞こえるのか。ちょっとしたプリースト感覚だな」

 

ガイア『さて、我が後継者・翔花のファンクラブ会員ナンバーXにして、変態ストーカーの呼び声が高い者よ』

 

アスト「ちょ、神さまにそういう認識のされ方をしているのは、かなり凹みますよ。会員ナンバーXはともかく、変態ストーカーの汚名は生まれ変わったつもりで返上いたしたく思うのですが、大地母神ガイア様に忠誠を誓いますので、導いてくれませんか?」

 

ガイア『翔花に対する数多の懸想は、私に肉体があれば蹴り飛ばしたくもなりましたが、その役目は妻のダイアンナに任せるとしましょう。今後とも、夫婦仲よろしく世界の平和のために天空宮殿の主として恥じない振る舞いを誓うなら、旧悪は水に流しましょう』

 

ダイアンナ「しかし、天空宮殿の主として、あたしたちは何をすればよろしいのでしょうか? どちらかと言えば、裏街道を歩んできたあたしたちだから、あまり立派な振る舞いは慣れていないんですけど」

 

ガイア『時空魔術師によれば、お前たちはD&Dという異世界へ通じる儀式魔術の研鑽に従事しているようですね。それとイヌやネコ、トカゲや鳥といった動物たちの世界の研究もしているとか。TRPGという大いなる幻想、物語世界の構築儀式がどのようなものか、人の心や文化活動に私は関心を抱いております。そこから世界の光と闇を解き明かすなり、今の混沌に満ちた世相のバランスをとるような祈りに深めるなり、引き続きの文化研究に従事精進すれば良いでしょう』

 

アスト「神さまがTRPGに興味を持っているとは、驚きです」

 

ガイア『それは当然でしょう。TRPGという文化が生まれたことで、ゲーマーと呼ばれる人たちが神話や伝説、そして信仰に興味を持つようになり、神への祈りや誓願の声を以前にも増して、しばしば聞くようにもなりました。たまに邪神に祈る不届き者も増えたようですが、そういう輩は大抵、正義の神を奉じる冒険者によって退治され、世の傾向としては善神、秩序神、大地母神などを崇める声の方が確実に増えたと感じます』

 

アスト「そりゃあまあ、邪悪プレイに邁進するプレイヤーは少数派で、基本は勧善懲悪、もしくはトラブル解決が冒険のメイン。邪神を崇拝して、この世に闇をもたらすことを目的とするゲームプレイは王道じゃないわけで」

 

ガイア『つまり、TRPGは基本的に邪を戒め、正義や平和を尊ぶ風潮を生み出すわけですね』

 

アスト「そもそも、平和でなければゲームを楽しめませんから。TRPGゲーマーのほとんどは、戦争について考えることはあっても、リアルで戦争が起こって欲しいとは考えませんから。戦争をテーマにしたゲームを楽しむ者のうち、本当に戦争をしたい者はまずいません。遊びだからこそ、戦いも楽しめる。遊びとリアルの区別は、遊びの意味を知らない者の方が混同しがちです」

 

ガイア『とにかく、大地母神とか母なる大地といった言葉は、TRPGとそれにまつわる文化のおかげで語られる機会が増えた。ならば、神がその風潮について知りたいと考えるのも自然の理と言えるもの。違いますか?』

 

ダイアンナ「なるほど、納得しました。それでは何かご要望やリクエストがあれば、研鑽内容を考えますが」

 

ガイア『それについては、詳しい者をそちらに送ったので、今後の相談は彼らを通じて行うといいでしょう。とにかく、グリーンソウルを持つ限り、私の地上と、そちらの天空は声と力を通じ合わせることができるので、今後の活動を期待しておりますよ』

 

3人の来訪者

 

ダイアンナ「さて、母上からの交信は終わったようだね」

 

アスト「母上……なのか?」

 

ダイアンナ「遠い母上なのかもしれないが、いちいちヒイヒイ……お婆さまと言うのも手間が掛かる割に、向こうを喜ばせるとも思わないから、母上でいいだろう。母なる大地の神さまなんだし。それより、このグリーンソウルなんだけど、リバTが預かってもらえないか?」

 

リバT『私めでよろしいのですか?』

 

ダイアンナ「元々、リバTは自由の女神型のカプセルだからね。大いなる力を収納し、時に封じる役割を持っている。大切なものはリバTに預けておく方が安心だ」

 

リバT『では、確かに預かっておきますが、いざという時にはいつでもグリーンソウルを召喚できるように儀式を施しておくことを勧めます』

 

ダイアンナ「自分の持ち物を召喚できるように呪印を施す儀式だね。確か、そういう術を記した資料があったはず」

 

謎の声「それはソード・ワールドの世界では、真語魔法7レベル呪文【アポート】と呼ばれておるのじゃ」

 

ダイアンナ「むっ、侵入者だと!?」

 

謎の声2「侵入者ではなく、先代の管理役でござるよ」

 

謎の声3「そして前王でごわす」

 

アスト「なるほど、お前たちがガイア様の使いか」

 

アリナ「その通り。わらわはコンパーニュの女主人にして、TRPG好きの女の子、日野木アリナじゃ。空はわらわの領域でもある。この宮殿を受け止める際にも力を貸したので、これを貸し一つとしておくぞ、元・快盗団のマーキュリー・バットよ。いつぞや、我がコンパーニュにて狼藉を働いた件も、この機に水に流してやるとしよう。これからはTRPG仲間として、交流する機会も増えるじゃろうし、花精戦隊シキリンジャーのフユカイザーとしても歓迎してやろう」

 

ダイアンナ「フユカイザー……もう冬は終わって、季節外れだけどね。まあ、先立っての無礼は謝罪するとしよう。ダディーNOVAより、新たな使命と生き方を与えられたゆえ、花粉症ガール4号として先輩のご指導鞭撻を謹んで受けることにするよ。何ぶん、こちらはTRPGの素人に毛が生えたようなものだ。アストやリバTがいなければ、D&Dなるものも何が何やらという始末」

 

アリナ「うむ、いつか共に同じ卓を囲んで、プレイしたいものじゃのう。当面は忙しくて、その機会も得られぬじゃろうが、真面目に趣味活動に励んでおれば、いつかは巡り合わせも生じよう。では、あいさつは済ませたので、わらわはこれにて失礼。『魔神ハンター』第4部後のキャラ成長の儀を残しておるでのう。コンパーニュに戻らねばならぬ」

 

アスト「慌ただしく飛び去って行ったか」

 

ハイラス「さて、地上のガイア様の代理人として、今後の交渉役の任を預かった次元ドルイドのハイラスでござるよ」

 

ダイアンナ「通称・ドルイ道おじさんだね。あなたとダディーの研鑽記録は読ませてもらった」

 

ハイラス「そうでござるか。私も当時はTRPGの素人ゆえ、いろいろと迷いも不手際もあったが、NOVA殿の導きの甲斐あって、今ではこの世界の大地母神の従僕として、管理すべき森と大地を見出し、人生の大きな目標を達成できた。しかし、TRPG研鑽についてはやり残したことも多いゆえ、これからは時々、古巣にも戻ってガイア様のための研鑽活動の協力をしたいと思う」

 

ダイアンナ「それは心強いな。ところで、現在、あたしはAFF2の魔界サプリというものを研究中なんだが、裏街道を歩いているときはともかく、光の当たるこの空に居を定めて、ガイア様の恩恵に預かる状況で、魔界の研鑽発表なんて場違いではないか、と考えるのだが、どう思う?」

 

ハイラス「むむっ、確かにここに到着して早々、闇の世界の研究というのはどうかと思うでござるな。まずは自然の理を研究して、そこから異界研究の一環として、改めて掘り下げるという形ではいかがか? NOVA殿とも相談して、仕切り直すといいでござろう」

 

リバT『ハイラス様がこちらにいらっしゃるというのは、私めには歓迎すべきことですわ(ニュルンニュルン)』

 

カニコング「おお、吾が触手の女神が昂っているでごわす」

 

アスト「お前も元気みたいだな、キング……いや、コングと言うべきか」

 

カニコング「うむ。今のキングはお前だからな、エース。クイーンとは上手くやっているのでごわすか?」

 

アスト「ああ、共にラブコ武流を研鑽する程度にはな。そっちはどうなんだ」

 

カニコング「大地母神さまや怪獣王さまに忠義を尽くし、次元ドルイド殿の指導のもと、心洗われる修行の日々よ。さらに、海好きのドクターの研究に協力するなど、吾輩を必要とする者のために働く南国ライフは充実しておる。この地に暮らすと、触手帝国なるものを夢想していた吾がいかに卑小な存在だったか思い知らされたでごわす」

 

アスト「へえ。触手帝国はやめにしたのか」

 

カニコング「吾輩が帝国など築かなくとも、自然界には触手が溢れているでごわす。そう、この世は元より触手パラダイスで、トロピカっているでごわすよ。今の吾輩の目標は、この広い海のどこかに眠るルルイエの謎を追うこと。トリガーという作品が手がかりになるかと思いきや、ルルイエが古代語で『希望』を意味すると分かり、植物に名付けられたこともあって、花粉症ガールともつなげられるのでは? と考えるに至っているでごわす」

 

アスト「希望と言えば、後始末しないといけない怪獣を連想して、何だか変なキノコが生えて来そうで、イヤなんだが」

 

カニコング「きっと、あの怪獣もルルイエから来た可能性があるでごわす。何故か時空の乱れで、トリガー世界ではなく、東映の世界に現れて、体質が合わずに突然死したようでごわすが、最近の東映は地雷映画が大流行しているようにも見える」

 

アスト「アニメも含めて、東映にとっての厄年なのかも知れないな。この状況が改善されることを願っているが」

 

カニコング「とにかく、触手は希望でトロピカってる。わざわざ帝国など築かなくとも、触手は自然に満ちて、パラダイスであることを吾輩は悟った。ならば、触手研鑽こそが吾がドルイ道と考えるに至ったでごわす」

 

アスト「触手を捨てたわけではなく、帝国主義を捨てて、触手エコロジーに突入したってことか」

 

カニコング「触手エコロジー! その言霊は気に入った。そう、時代は帝国主義のエゴよりもエコを理想であり、希望としている。エコの道は、エロにも通ず。エコにして、エロを堪能できる触手エコロジーこそ、破壊と絶望をもたらす闇に打ち勝つ光のパワー。希望の光に満ちた触手の世界こそ世の中を変える。そうは思わんか?」

 

アスト「どうツッコミを入れていいのか分からんが、触手とエロというキーワードさえなければ、真っ当なことを言っているような気がするだけに、性質が悪いな。下手に肯定するわけにもいかないが、頭ごなしに却下もできん微妙なラインを突いて来る。とにかく、ルルイエが古代語で希望と聞いて、ハッ? と思ったが、自分の築く街に暗い名前を付ける者もそうそういないと思うし、希望転じて邪神の都になってしまったと思えば、考察もはかどるということか」

 

カニコング「世の中には、ルルイエバースデイという名のリプレイ本もあるでごわすし」

 

クトゥルフの道

 

アスト「D&Dの日本語展開は当面止まっているが、代わりにD&Dシステムを利用したクトゥルフ系ゲームが出るらしいからな」

リバT『一応、D20システムに基づいたクトゥルフ作品は、D&D3版の時にもありましたからねえ』


リバT『最近は、ダブルクロスクトゥルフ系のステージサプリメントに力を注いでいますし』

アスト「どこもかしこもクトゥルフってことか。どこかにクトゥルフ系ゲームを比較総括したようなサイトはないものかね」

リバT『TRPGではありませんが、スマホでのフリーゲームアプリなら、ここで多数が紹介されているようです』

アスト「マジかよ。そんなにあるの?」

 

カニコング『やはり、時代はクトゥルフが自然天然に満ち溢れているようでごわす。吾輩が動かずとも、この世のエンタメはクトゥルフ触手が席巻しているようでごわすな』

 

アスト「いや、今回の記事は、大地母神使徒として、この世に秩序と平和を願うべく、TRPG文化の研鑽を頑張ろうって話のはずだろう? それが這い寄る混沌に満ちた世の風潮をほじくり返して、どうするんだ? この方向で大丈夫なのか、ウルトロピカル!?」

 

リバT『クトゥルフ神話は、現実の宗教団体ではなく、一作家の創作神話として始まり、ホビットや指輪のトールキン財団と違って著作権には比較的寛容と見られるので、メジャーな割に古代の暗黒神話としてフリーに使え、ホラーや異世界神話ファンタジーの題材、元ネタとして扱いやすいと考えられます』

 

アスト「ゲームのジャンルでは、81年に初版が出て、86年に2版が初邦訳された『クトゥルフの呼び声』が近代および現代ホラーRPGの老舗として君臨し、現在は7版(2014年出版、邦訳は2019年)が展開している。ある意味、5版のD&Dよりも版が多いということだな」

 

リバT『D&Dは途中で、クラシックとAD&Dに分かれましたし、初版デザイナーのゲイリー・ガイギャックス氏とデイヴ・アーネソン氏の手を離れたのみならず、お二人とも亡くなられましたから。一方で、TRPGクトゥルフの呼び声』のデザイナーがサンディ・ピーターセン氏で今なお健在です。ただし、7版は別デザイナーの手による改訂で、今度のD&Dクトゥルフが初版デザイナーの手によるもの』

 

アスト「どっちが本家かややこしいことになりそうだな」

 

リバT『同じD20システムのD&Dと分家のパスファインダーよりはマシだと思いますけどね。システムが違いますから』

 

アスト「NOVAの手元にあるシステムは、93年に出た5版と、2003年に出たD20クトゥルフと、19年に邦訳された7版(新クトゥルフ神話TRPG)だな」

 

リバT『ええ、6版は5版と大きくシステムが変わらないうえ、2004年に出たわけですが、D20クトゥルフがあればいい、と考えていましたからね。まさか、その後、15年間も続くロングセラーとなり、しかも日本でもトップクラスの売れ行きを誇るTRPGとして持ち上げられるとは予想だにしなかった、とはグランドマスターの弁』

 

アスト「それだけ、クトゥルフが流行した原因は何だろうか?」

 

カニコング『もちろん、触手効果でごわす」

 

アスト「お前の意見は聞いていない」

 

リバT『カニコングさんは喋らないで下さい。サイレンス』

 

カニコング「……(涙目)」

 

ダイアンナ「何をクトゥルフ話で盛り上がっているんだい?」

 

ハイラス「邪教の話題がそこまで盛り上がるとは、不穏でござるな」

 

リバT『これは失礼。しかし、クトゥルフが21世紀に入って流行したのは、邪教への親交よりも、むしろ現代の日常の裏にある恐怖を探るRPGとして、等身大のキャラクターを演じることができるシステムだったから、初心者が入りやすい世界観だったから、と言えましょう』

 

ダイアンナ「現代の日常だと?」

 

リバT『ええ。D&Dを始めとする多くのRPGでは、ファンタジー異世界やSF未来世界を舞台にした冒険者や探検家、特殊能力者が活躍するアドベンチャーをテーマにしています』

 

ダイアンナ「クトゥルフは違うのかい?」

 

リバT『クトゥルフのプレイヤーキャラクターである探索者は、基本的にただの人ですよ。探偵とか新聞記者とか古物商とかオカルトマニアとか学者とか、それぞれの職業の技能を持ちますが、一般人が普通に魔法を使ったり、超能力を使って、派手に怪物や怪現象を解決して回るゲームではなく、怪物が出たらビビってしまい、怪現象を見たら悲鳴を上げて、ガタガタ震えたりもするホラー世界の一般人が、なけなしの勇気を奮い起こして、何とか邪神の復活を阻止したり、出現した怪物を封印したり、弱点を見つけて撃退したりするゲームです』

 

アスト「その過程で、狂気に陥って再起不能になるキャラクターも出たりして、長期のキャンペーンには向かないシステムと言われたりしたな」

 

リバT『別に長期のキャンペーンでなくても、一期一会の単発セッションで楽しむのもありなんですよ。キャラの成長ではなく、その時その時の物語経験を味わい、自分らしい等身大のキャラを演じる方が面白いという時代の風潮です。英雄になれなくてもいい、自分らしく地に足ついたキャラで日常を暮らし、日常を脅かす怪現象の謎を突き止め、頑張って解決するリアリティあるゲーム。それこそが21世紀クトゥルフのイメージです』

 

ハイラス「地に足ついたキャラでござるか。それは確かに分かりやすいか」

 

リバT『元々、90年代までのクトゥルフRPGは、ラブクラフトの原作小説の時代である1920年アメリカをメインの舞台にしていました。小説『クトゥルフの呼び声』の発表は1928年。禁酒法時代に酒の密輸で儲けたマフィアがしのぎを削るレトロアメリカが背景にあって、その中で邪神絡みの怪現象を扱うだけでなく、人間同士の銃撃戦や、巻き込まれた一般人の命からがら生き延びる脱出劇など、超人ではないリアル活劇を展開しやすいシステムです』

 

アスト「それが30年代になれば、インディー・ジョーンズなどの冒険活劇の時代にもなるな」

 

リバT『クトゥルフのシステムだと、インディー・ジョーンズみたいな冒険学者をプレイすることも可能。ただし、システム的に死にやすいのが難点ですが、その辺はインディー・ジョーンズに憧れる考古学者の卵を演じるなり、活劇用にGMクトゥルフではキーパー、KPと呼称)がスキルにボーナスポイントを与えるなりで、比較的簡単に調整できます。D&Dのようなレベル制ではなく、また戦闘メインのシステムではないために、冒険活劇のさまざまな要素を%ロールで判定しやすいわけですね』

 

アスト「確かに、2D振って7以上で成功よりも、60%の確率で成功の方がゲーム初心者は感覚的に分かりやすいもんな」

 

リバT『その後、クトゥルフはさまざまなサプリメントが発売されて、1920年代のアメリカ以外の舞台もサポートされるようになりました。シャーロック・ホームズ時代の19世紀イギリスを舞台にした『クトゥルフ・バイ・ガスライト』、現代アメリカ(当時は1980年代)を舞台にした『クトゥルフ・ナウ』、そして日本オリジナルの現代日本を舞台にしたサプリメントや、世界の大都市を旅して回るワールドツアー的なキャンペーンシナリオなど、いろいろと出版されて展開が広がったのが80年代から90年代のムーブメントでした。それが世紀末のTRPG冬の時代で一時中断して、復活したのがゼロ年代半ば頃ということになります』

 

アスト「その間、2〜3年に1つのペースで版上げをしていたんだな」

 

リバT『日本では86年に2版で、93年に5版ですから、早いペースですね。次の6版までは10年を要しますし、今は10年に1度の版上げが定番でしょうか。ともあれ、5版では1920年だけでなく、現代を舞台にしたキャラも基本ルールで作れるようになり、そのことが21世紀のクトゥルフ・ムーブメントに大きな恩恵をもたらした、と思われます』

 

アスト「女子高生が怪事件に巻き込まれて、解決のために奔走するストーリーが普通に展開できるもんなあ」

 

ダイアンナ「特殊能力を持たない一般人が一生懸命に事件を解決する物語と、クトゥルフは相性が良いシステムだったんだな」

 

リバT『21世紀になると、現代退魔ものとか、魔法学園ものとか、超能力アクションものなど多彩なRPGが出るようになっていますが、その中で特殊能力のない一般人を扱うクトゥルフがなぜムーブメントになったのか。一つの理由は、動画配信によるリプレイが人気になったから、という起点を挙げることもできますが、それ以上に、ややこしいルールをあまり覚えなくていい、というのが大きいのかも。魔法や特殊能力ってルールが複雑だし、初心者相手に説明も困難。データ至上のマニアックなゲーマーは、特殊能力リストを見て、いろいろとワクワクしがちですが、オタク未満の一般層には『魔法使いが呪文を駆使して、怪物を倒す物語よりも、日常生活を送っている学生や社会人が怪事件に遭遇して、謎を解いて云々』という物語の方がしっくり来るのかもしれません』

 

アスト「クトゥルフ神話には、そういう需要の潜在的ポテンシャルがあったんだな」

 

リバT『怪事件の裏には、おぞましい邪神の影がうごめいていて、それが復活する前に阻止するって物語が、日常を守るために一般人が頑張る、ウルトラマンではなくて、ウルトラQ的な物語の方が厨二病っぽくなくて、お洒落な感覚ってことかもしれません』

 

アスト「あるいは、コロナウィルスが蔓延した影に、邪神の陰謀があるとか、シナリオのネタにしやすいってことか」

 

リバT『そんなゲームもありますよ』

 

アスト「マジかよ。何でもありになっているな、クトゥルフ

 

リバT『ついでに、パンデミックでは、自分が病原体になって、ウィルスを蔓延させたら勝ちというイヤな設定のゲームもありますし』

 

ハイラス「何たる不謹慎。何たるブラックジョーク。とてもガイア様にお勧めできるゲームではござらん」

 

カニコング「まことにもって、その通りでごわす」

 

リバT『あっ、沈黙の呪文の効果が消えたようですね』

 

カニコング「こうなったら、触手の力でコロナウィルスを退治するゲームを出さねばならぬ。『触手VSウィルス』というアイデアで、何とかならないでごわすか」

 

リバT『なりません。ここも日の当たる舞台になりましたので、触手エロネタは自粛してください。さもないと、宮殿からマピロ・マハマ・ディロマトの呪文で、追放の刑に処しますから』

 

カニコング「ウィルスを退治する正義の触手の話をしているのに、どうして!?」

 

リバT『触手による接触は、ウィルス感染の原因になる可能性の方が濃厚だからです。触手も粘液を出さずに、手洗いうがいでしっかりアルコール消毒して、ワクチンを接種して、無害でキレイな触手になってからでないと、宮殿内の立ち入り厳禁にしますから』

 

ダイアンナ「次元ドルイド殿、カニコングはガイア様のところでもこうなのか?」

 

ハイラス「性癖はそう簡単に直せんでござるよ。まあ、触手が本当にエコロジーになって、世界の闇を浄化するための力になってくれるなら、別でござるが、今のところは悪側のイメージが濃厚でござるからな。濃厚接触には気をつけて、今後のTRPG研鑽をよろしくでござる。まずは、天空宮殿らしく、パグマウの鳥から始めるのが良いでござろう」

 

ダイアンナ「分かった。それはリバTの担当だったかな」

 

リバT『鳥は飛行生物なんだから、蝙蝠女王のクイーンが担当する方がいいのでは?』

 

ダイアンナ「むっ、そうだな。魔界サプリは置いておくことにしたから、あたしが鳥の研究をするとしようか」

 

ハイラス「うむ。その後は、昔の研鑽記録を読み返して、やり残したネタもござるゆえ、私が話題の整理を試みるといたそう」

 

アスト「それはいいが、その前に触手ネタのうるさいカニを地上に連れ帰ってくれないか? ここを触手邪神に乗っ取られたくはないからな」

(当記事 完)