ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

「天空要塞アーロック」攻略その5(要塞惑星の地上にて)

ブログ合同パーティーのスケジュール

 

リモートNOVA『来週の火曜日が何の日かは知ってるか?』

 

アスト「当然だ。翔花ちゃんの誕生日だろう?」

 

ダイアンナ「双子の姉妹だから、アッキー様の誕生日でもある」

 

リモートNOVA『……ということで、誕生日パーティーはコンパーニュで開催することになった』

 

アスト「何が……『ということ』なのか説明しろよ、おい」

 

リモートNOVA『一言で言えば、この記事を見よ』

アスト「……なるほど。NOVAが脳天フワフワ病とやらで、頭がおかしいって話だな」

 

リモートNOVA『そんなことはどうでもいい。大事なのは、花粉症ガール5周年記念イベントがもうすぐ始まる。そのために、当攻略記事をさっさと終わらせないといけないって話だ』

 

アスト「じゃあ、さっさと終わらせろよ」

 

リモートNOVA『まあ、それはそうなんだが、俺の計算によると、アーロックを終わらせるのに、あと3回ぐらい記事書きする必要がある。28日までに終わるか? と言えば、脳天フワフワ病のせいで難しいと思われ』

 

リバT『脳天フワフワ病の話はともかく、この私めを日野木アリナ様のメモリの器に使うという計画が気がかりですね』

 

リモートNOVA『不服か?』

 

リバT『いいえ。私めはグランドマスターNOVA様の忠実なしもべとして生まれましたから、命令に否やはございません。しかし、私めがいない間、このウルトロピカルの天空宮殿はどうなるのでしょうか?』

 

リモートNOVA『ダイアンナは、地上のガイア様の元で、「ガイア・グランプリ後の花粉症ガール4人セッション」に参加するから、ここに残るのはアスト一人だな』

 

アスト「ああ。オレ1人だったら何とでもなる。テキトーにやるさ」

 

リバT『そのテキトーさ加減が心配です』

 

リモートNOVA『世話係が必要なら、ハイラスを呼んでもいいし、話し相手ならカニコングだっている』

 

謎の声『マスターNOVA。おいらの存在を忘れてもらっちゃ困るな』

 

リモートNOVA『おお、ケイP1号。お前もいたか。体はもう平気なのか?』

 

ケイP『マスターが脳天フワフワ病とやらに冒されても、必死に記事書きしようと、涙を流しながら鼻水垂らして頑張ってるのに、このおいらがいつまでも寝ていられるかってんだ。リバTがいない間は、この城とアストの世話係はおいらに任せておけって』

 

リバT『イチローお兄さまが復活したなら、安心ですね。これで心置きなく、私めもコンパーニュに出張することができます』

 

リモートNOVA『そうだな。ケイPがサポートすれば、アストも一人で留守番できるだろう。よし、後は任せたぞ、ケイP。じゃあな』

 

アスト「おい、ちょっと待て」

 

リモートNOVA『何だ、まだ不服か? ケイPのサポートを拒むというのか?』

 

アスト「いや、そうじゃなくてだな。このケイPは翔花ちゃんのドゴランアーマーだし、正月のクトゥルフ対決でそのキーパーぶりも見せてもらった。アシスタントモンスターとしての能力は、さすがケイP一族の長兄、信頼に値するものがある……と思う」

 

リモートNOVA『だったら、何が問題なんだ?』

 

アスト「お前だよ、お前。今、お前、『じゃあな』と言って、さりげなく通信を切ろうとしていただろう? 一体、何をしに、ここにリモート交信してきたんだ?」

 

リモートNOVA『そりゃあ、娘の誕生日パーティーと、その後のブログ交流イベントの段取りを整えるためだろう?』

 

アスト「それは大事だが、他にも大切なことがあるだろう?」

 

リモートNOVA『他に? 誕生日パーティー以上に大切なことがあるって言うのか? ううっ、頭がフワフワして何も思い出せん。教えてくれ、アスト。俺はあと何人殺せばいい? ゼロさんは何も教えてくれない』

 

アスト「脳天フワフワ病だか何だか知らんが……記事のタイトルを読むことぐらいはできるだろう?」

 

リモートNOVA『てんくうようさいあーろっくこうりゃくそのご……何の呪文だ? って、おっと、そうか、そういうことだったのか。これがゲッター線の大いなる意思ってことだな。全てはつながっているんだ。よし、今こそ目覚めたぞ。脳天フワフワ病も、ゲッター線で浄化された……はず。ここからが真アーロックだ』

 

アスト「大丈夫か、こいつ?」

 

ここから本番のアーロック地上編

 

NOVA『……ということで、ここからが本番だ』

 

アスト「ああ、そうみたいだな」

 

NOVA『前回までの話を覚えているか?』

 

アスト「お前はどうなんだ?」

 

NOVA『うっ、頭が……空が落ちてくる。あれは憎しみの光だ』

 

アスト「変な電波を受信してるんじゃねえよ」

 

ダイアンナ「前回は、空が落ちてくるんじゃなくて、空から《星霧号》が落ちて来たんだ。アーロックの地上、沼地か砂漠のどちらかにね」

 

NOVA『なるほど。大気圏突入したのか。しかし、敵の攻撃で突入の際の角度がズレて、目的のセントラルシティから離れた荒野に不時着した、と。砂漠に落ちると(84)、衝撃で体力2点を失い、灼熱の太陽《セヴ》の日差しを浴びながら、何時間も紫の砂の荒野を歩き続けることになる。やがて夜になって野宿していると、現住生物の大蜘蛛の襲撃を受けてしまい、よほど上手く選択肢を選ばないかぎり、蜘蛛に捕まってしまうんだ』

 

アスト「なるほど、それで?」

 

NOVA『……』

 

アスト「? どうした?」

 

NOVA『今、脳内ウルトラサインを受け取った。帰ってきたウルトラマンことジャック兄さんが亡くなったらしい』

 

アスト「何だと?」

 

NOVA『悪い。ちょっと通信を切って、訃報記事を書いてくるわ(一度通信を切る)』

 

  それから、少し経って……

 

ダイアンナ「ジャックさんか。会ったことはないけど、あたしも、かつてはダイアナ・ジャックと呼ばれた女。ウルトラマンアースの片割れとしては、冥福を祈らざるを得ない」

 

アスト「ああ。快盗としても、かつて有名な20面相を演じていた御仁だからな。お悔やみを申し上げたいところだ」

 

NOVA『(改めて通信に復帰して)ふう。さて、哀しみに満ちた気分で、蜘蛛に捕まったジャン・ミストラルだが……(涙目)』

 

アスト「おい、大丈夫か? そんな涙に満ちた目で、アーロック攻略なんてできるのか?」

 

NOVA『心配してくれるのか?』

 

アスト「記事の行方をな。今のお前じゃ、話がどこに転がるか知れたものじゃない」

 

NOVA『大丈夫だ。娘の誕生日の前にできることをする。誰かの訃報で涙を流すことには、もう慣れた。そして、昭和のウルトラ魂を持つ者としては、この涙で世界が救えるか? と自分に問わないといけない。そう、この涙を乗り越えて世界を救う。それが1971年生まれの新マン精神であり、シンライダー精神ってものだ』

NOVA『とにかく、悪の組織によって4本腕の怪人に改造されたジャンは、追っ手の蜘蛛怪人の手を逃れて、ルリ子さんを助けなければいけないのだ』

 

アスト「違う話を混ぜるなよ。読者が混乱する」

 

NOVA『では、間違い直しはお前に任せよう。何がおかしい?』

 

アスト「エンスリナの宇宙人であるジャンは元から4本腕で、ルリ子さんなんてキャラはアーロックにはいない。蜘蛛に追われているのは本当らしいがな」

 

NOVA『なお、アーロックの蜘蛛は普通に知的生物なので、喋る。だから、怪人と言っても構うまい。アリやハチと同様に女王が巣を治める制度になっていて、女王の名前は《クイーン・スリン》。餌として捕まったりしながら、何とか頑張って脱出すると(選択肢を間違えると2ヶ所のバッドエンドに出くわすことに)、今度は砂漠でサソリに襲われたりしながら歩き続けるうちに飛行はしけと遭遇する(377)』

 

ダイアンナ「飛行はしけ?」

 

NOVA『はしけというのは荷運び用の平底船らしいが、この世界では艦船ほどの大きさではない比較的小型の飛行艇っぽい。それはともかく、砂漠の蜘蛛に捕まらないにせよ、捕まって脱出するにせよ、はしけには遭遇する。そして、捕まるメリットはないため、まずは蜘蛛に捕まらないパラグラフを吟味するんだが、ただ何も考えずに逃げちゃダメだ』

 

アスト「逃げても捕まるだけということか」

 

NOVA『蜘蛛の巣の罠にあっさり捕まるんだな。捕まらないためには、木の柱に登って(281)、登って来る蜘蛛をレーザー剣で撃退し(178)、レーザーピストルを撃ちながら(228)、運だめしに成功すればいい(298)。ただ、こんなところで運点を浪費したくなければ、一度捕まってから脱出を考える方がいいと思われる』

 

アスト「運点が回復しない以上は、なるべく運だめしの必要なパラグラフは避けるというのが攻略テクニックだもんな」

 

NOVA『バッドエンドのパラグラフ(27、147)さえ分かれば、蜘蛛の巣穴からの脱出はそれほど難しくない。さらに蜘蛛に捕まらないコースを選べば、自動的に飛行はしけに乗ることになるんだが、このはしけが思ったより美味しくないんだよな』

 

ダイアンナ「どういうことだ?」

 

NOVA『このはしけとは、「セントラルシティへ連れて行ってくれる代わりに、水夫として働く」という契約を結ぶんだが、途中でライバル船とのバトルに巻き込まれた末、下船するように命じられる流れだ。はしけに乗って得することは全くないため、乗らないで砂漠を歩く方がイベントが少なくて、結果的に早く進められることになる』

 

アスト「わざわざイベントをたくさん通過して、得することがないんじゃ、最短パラグラフを目指す方がいいってことか」

 

NOVA『もちろん、初見プレイでそんなことは分からないわけで、はしけに乗ってセントラルシティまでひとっ飛びって流れに期待したくなるんだが、結局、不毛なバトルに巻き込まれて中途半端に下ろされるだけなので、乗らない方がマシということになる。これが仮に、砂漠をずっと歩いたために体力点を減らすということになれば考えどころだが、そうはならずに32番のパラグラフに到達する』

 

アスト「蜘蛛イベントと、はしけイベントの後で、32番に合流、と」

 

NOVA『32番では、小柄なヒキガエル男に遭遇して、ならず者から家宝を取り戻すのに手を貸すことになった』

 

アスト「何か見返りは?」

 

NOVA『さあな。どうも、ジャンはお人好しなのか、頼まれると断れない性質らしい。大切な使命の途中で関係ない事件に首を突っ込む案件が多すぎる。「少し迷惑と思ったが、君はその生き物に手を貸してやることにする」の文章で、事件に関わることを何かと強要される。やたらと、つまらない選択肢が多い割に、大事な場所でプレイヤーの自由意志で選択させてもらえず、どうでもいい事件に巻き込まれるのがこのゲームの仕様だな』

 

ダイアンナ「とにかく、そのならず者とやらを倒して、家宝を奪い返してやったらいいんだろう?」

 

NOVA『その通りだが、途中で運だめしを必ず強要されるうえ、最適解でも2点の体力点が、最悪だと7点の体力点が削られて、戦闘に入る前から消耗させられるんだな。しかも、ご丁寧にバッドエンドも用意されてある。相手の家宝の武器が役に立ちそうだからと奪おうとして、うっかり自爆してしまうんだな。作者はプレイヤーキャラを親切心から人助けをするヒーローとして描きたいのか、それとも欲深いマヌケに描きたいのかどっちだ?』

 

アスト「ゲームブックだから、そういうのを決めるのはプレイヤーの自由意思だろう?」

 

NOVA『まあ、基本は無色透明な君が主人公だから、大胆に振る舞おうと、慎重に振る舞おうとプレイヤー次第だが、ある場面で親切に振る舞うことを(プレイヤーの意思とは関係なく)文章で強制しておきながら、欲深い小悪党みたいな行動の選択肢を用意するのは、キャラの行動パターンに整合性が見られないような気がする』

 

ダイアンナ「なるほどね。誇り高い宇宙貴族として設定されているのに、選択肢に誇り高さと矛盾する行動があれば、作者が自分で提示したキャラ設定を自分で崩しているように見えるってことか」

 

NOVA『割と作者が行き当たりばったりで、設定をいろいろ披露する割には、その整合性には無頓着で、読者が主人公への感情移入をできなくするような描写が多い(読者が主人公のゲームブックなのに)。イベントの数は盛りだくさんで、密度は濃いんだが、回復の機会が皆無で体力や運というリソースをどんどん削られるだけなので、結局のところ、ゲームとしてはイベントを避けるのが最適解となるのも残念だな』

 

アスト「ストーリーを楽しみたいのに、ゲーム性が邪魔をするというところか」

 

NOVA『ゲームとしてイベントを楽しむためには、苦労に値するリターンが望ましいんだがな。強敵を倒したから得られる報酬が大きいなら、頑張って試練を乗り越えようって話になる。あるいは、ここで運点を消費しても、後で回復できるスポットがあるから(あるいは回復薬などの手段を持ってるから)積極的に使おうって判断ができるんだが、本作のゲーム性はそれを考慮していないので、ひたすらリソースを消費するだけのカツカツプレイになってしまう』

 

ダイアンナ「選択肢によって、当たりルートと外れルートに分かれるのはゲームとして面白いんだけど、本作では外れルートと大外れルートに分かれて、得をするようなイベントがあまりない。ゲーム性としては、イベントクリアによる達成感、お得感をいかに感じさせるかが重要なのに、作者がひたすら『限られたリソースを削ることがゲーム性』というスタンスでいるから、プレイ中の楽しさがスポイルされている、と?」

 

NOVA『これが例えば、バルサスのような「一晩のダンジョン探索劇」なら分かるんだな。限られた回数の魔法をやりくりして、回復の機会はほとんどなく、リソース消費中心のゲーム。ただ、本作は「何日もかけて旅する長期冒険ストーリー」なのに、それに見合った大らかさがゲーム処理としては感じられない。言わば、スーパーマリオ以前のアクションゲームのノリというか』

 

ダイアンナ「どういうことだ?」

 

NOVA『スーパーマリオは85年に登場した革新的なアクションゲームだが、その革新性の一つに「1UP」というのがある。当時のアクションゲームは、大体3つの残存機があって、3回死ねばゲームオーバーという仕様が普通だった。いかに死なずに先の面に進み、どこまで進められるかを競うゲーム。失った残存機は回復しないので、残り機体数というリソースをいかに減らさずに進めるかがプレイヤーのテクニックと言えた。敵の攻撃をいかに回避するかがゲーム性と言えたんだな』

 

アスト「だけど、スーパーマリオは残存機が回復できる、と」

 

NOVA『それ以前のゲームでも、敵を撃墜したらポイントが得られ、一定数まで貯まるとボーナスで1機増えるというシステムはあったが、プレイ中に1UPキノコを見つけたり、特定場所で何かのアクションを行うことで1UPになったり、ただ減るだけだった残機リソースを増やす手段を見つけることがゲーム性になって行った』

 

アスト「ただ避けるゲームから、見つけるゲームに変わったということか」

 

NOVA『ゲーム中に見つけてゲットしたアイテムで自機をパワーアップする仕様は、85年の「ツインビー」や「グラディウス」といった作品で、シューティングゲームでも定着した感がある。ゲーム初の隠しキャラは83年の「ゼビウス」と言われており、84年の「ドルアーガの塔」では迷宮を探索しながら隠しアイテムを見つけて、主人公をパワーアップさせることが攻略においても必須となった。この辺りで、コンピューターゲームも「単に敵を倒すゲームから、きちんと設定された背景世界の魅力と、隠しアイテムの発見と、それに連動した主人公の強化」というRPGっぽさを高めていくことになる』

 

ダイアンナ「それが80年代のゲーム進化の流れってことか」

 

NOVA『その後、「ゼビウス」や「ドルアーガ」は濃密な背景世界を流用して、日本のゲームブック界にも傑作を生み出したわけだが(ゼビウスは85年。ドルアーガは86年に3部作として出版)』

アスト「ドルアーガ3部作は、ジャクソンのソーサリー4部作と並ぶ傑作として語られ、国産ゲームブック最高傑作とも言われているそうじゃないか」

 

NOVA『ああ。マッピングの必要な60階建ての双方向ダンジョンと、キャラクターの成長システムで、86年のTRPG要素をふんだんに盛り込んだ傑作ゲームブックだよ。日本のゲームブック史を語る上では、決してスルーできない名作だし、こういうゲームをプレイした後で、アーロックに触れると「何じゃこりゃ?」となるよなあ』

 

ダイアンナ「アーロックをディスってるのか?」

 

NOVA『当時の日本のゲームブックファンの好みは、緻密に構築されたシステムと、自分の意思でじっくり探索できる冒険の舞台であって、きちんとした段取りを踏まえてプレイできるゲームなんだな。一方、アーロックは何もかもが大雑把で行き当たりばったりなシステムとストーリーだから、物語を味わうどころじゃない。ゲーム性としては、ゼビウス以前のアクションゲームやシューティングゲームの感覚で、リソースをひたすら消費するだけの(88年当時の時点で)古臭い感覚。報酬としては、面クリアおめでとうぐらいなものだが、それすら作者がパラグラフを詰め込み過ぎているせいで、きちんとした祝福のメリハリもなしに、引っ切りなしの選択肢の連発によって、味わわせてもらえない。TRPG的に言うなら、GMが次から次へとイベントを押しつけて来て、プレイヤーは考えずにダイスを振るだけのマシーンとなることを強要されている気分だ』

 

アスト「80年代のハリウッドアクション映画や、古いシューティングアクションゲームみたいな感覚ってことか」

 

NOVA『作者の目指している方向は分かるんだが、それを下支えするゲーム性がないのと、ゲーマーは次々とアクションしたいのではなくて、考えて意味のあるアクションをしたいってことを作者が分かっていなかったんじゃないか?』

 

ダイアンナ「意味のあるアクションって?」

 

NOVA『分かりやすく言えば、報酬だ。アイテムゲットでもいいし、面クリアの達成感でもいいし、ゲーム攻略のための情報入手でもいい。FFゲームブックのシステムは、基本的にキャラの能力成長はないが、敵を倒して得られるアイテムとか、倒した敵から得られる何らかの知見コメントで、戦う意味を文章で蔑ろにはしない作風だが、マーティン・アレンの文章はバトル後の描写があまりにも淡白で、無意味に過ぎる。一応、家宝を取り戻したヒキガエル君はお礼に「酸の入った瓶」をくれて、「都市に通じる秘密の地下道」の入り口まで案内してくれるんだが(323番)』

 

アスト「全く何もくれないわけじゃないんだな」

 

NOVA『酸入りの瓶はあまり役に立たない。敵に振りかけようとして、間違って自分にも掛けてしまい、ダメージを受けてしまうんだ。どうしてアイテムを有効に利用させてくれずに、わざわざドジらせるかね。やたらとドジる主人公描写に、ゲームブックの読者が喜ぶと思ってるのかね?』

 

ダイアンナ「役に立つと思ったアイテムが上手く働かないというサプライズを、プレイヤーに見せたかった?」

 

NOVA『ドジキャラは自分で狙って演じるから面白いのであって、作者にドジキャラであることを強要されるのは興醒めなんだよ。秘密の地下道の入り口は話を進めるのに重要なんだが、そういう大切な話は、家宝奪還ミッションを引き受ける際に「家宝を奪還してもらえたら、セントラルシティの入り口まで案内しましょう」と事前に話してもらいたかった』

 

アスト「たまたま偶然、親切心で助けたヒキガエル君が、お礼に大切なことを教えてくれた。やっぱり親切心は大事ですね……って話をアピールしたかった?」

 

NOVA『だったら、そういう交渉場面を選択肢にして欲しかったよ。ジャン・ミストラルは熟練の冒険家だと最初に提示されている。だったら、熟練の冒険家らしいパラグラフを提示して然るべきだが、どうも行動パターンが考えなしの行き当たりばったりだらけなんだ。行動を強要されるにしても、「ここで助けてあげると、シティの情報が得られるだろうと期待して、手を貸すことにした」と書かれてあれば、ああ、考えて行動してるんだなって伝わるんだが、判断基準も示さずにキャラの行動を勝手に決められる強引さが目立ち過ぎる』

 

アスト「自分の用意したイベントに、強引に誘導するタイプのGMってことか」

 

NOVA『あと、熟練の冒険家の意味合いが、こちらの考えるのと違うんだろうな。経験豊富なベテランで慎重に行動するタイプではなくて、直感と思いきりの良さで襲い来る試練を次から次へと切り抜ける蛮人コナンのようなタイプ。まあ、それならそれで、つまらないことで体力点を減らされるゲーム性を何とかして欲しいし、もっと大らかに振る舞えるバランスで全体を構築して欲しかった』

 

沼地のメカ戦

 

NOVA『……と言うことで、砂漠ルートは蜘蛛イベント、はしけイベント、ヒキガエルの家宝奪還イベントの3つを順に攻略する内容だが、メインから外れた裏ルートって感じで、作者が力を入れて描いている表ルートは沼地の方だと思う。ストーリーが面白いのはこちらだ』

 

ダイアンナ「どんなストーリーだ?」

 

NOVA『沼地に不時着すると、セントラル・シティから巨大な飛行艇が飛んで来て、3機の小型偵察機を残して行く。敵機はロケット・スクーターと、多脚の蜘蛛型機、湿地帯用ヨットで、パイロットはル・バスティンが遺伝子操作で生み出したと言われる、犬顔の完璧兵士プリフェクタス。このプリフェクタス部隊に対処するのが、沼地ルートの展開だ(154)』

 

アスト「砂漠でも蜘蛛に襲われ、沼地でも蜘蛛型機が出現するとは、作者は蜘蛛好きなのか?」

 

NOVA『言っておくが、沼地で蜘蛛型機と戦うなよ。必ず死ぬ』

 

アスト「そんなに強敵なのか?」

 

NOVA『いや、主人公はとっさに木の根を切り取って、投げ槍を作り出すんだな。こういう機転の利くところは、いかにも熟練の冒険者らしいところだ。そして蜘蛛型機が飛びかかって来て、射程距離に入ったところを投げ槍で貫くんだが、コントロールを失った機体がそのまま自分の真上から墜落するんだ』

 

ダイアンナ「真上から墜落ってことは……」

 

NOVA『ペシャンコに押しつぶされて圧死する。槍を投げつけて敵機を撃墜したと思ったら、自分もつぶされるなんてマヌケだ。こんなパラグラフは68番なので、選ばないように忠告する』

 

ダイアンナ「他にはどんな選択肢が?」

 

NOVA『バトルが好みなら、ロケット・スクーターを奪い取ろうとする122番があるが、木の根で投げ縄を作って引っ掛けたら、勝手に墜落した。機体から飛び降りた2体のプリフェクタスと戦うことになるが、技術点が7と8、体力点が8で、完璧兵士という割には大したことないなって感想だ。このゲームの良い点は、通常戦闘の敵は弱いってことだ。戦闘以外に無駄に削られる体力点と、バッドエンドが多いのと、手持ちの食料以外の回復ができないってだけで』

 

アスト「とにかく、ロケット・スクーターは奪えなかったけど、撃破には成功した。他はどうする?」

 

NOVA『突然、泥の中から釣り鐘型の巨大戦闘艇が出現して(165)、助けてくれるんだな。乗っていたのは、先住アーロック人唯一の生き残りのリオさんだ。リオさんは敵機を追い払ったあと、主人公を戦闘艇に招き入れてくれる。彼の話によると、惑星アーロックは300年以上前の放射能汚染で崩壊し、今は放射能レベルが下がったものの、彼の種族は宇宙伝染病で彼一人を残して全滅したそうだ』

 

アスト「それはお気の毒な話だな」

 

NOVA『リオさんに自分の任務を話すと、悪党退治に大いに賛成してくれ、セントラル・シティまで連れて行ってやろうと申し出てくれる。しかし、直後に死んでしまうんだ』

 

アスト「はい? どうして?」

 

NOVA『久々に興奮したのが災いして、高齢の身に祟ったのだろう。仕方ないので、彼の戦闘艇を譲り受けることになったんだが、何しろ勝手がよく分からない。機体の内部を探索すると、技術点6の護衛ロボットと戦ったり、修理ロボットに腕を1本引きちぎられて(体力4点と技術1点を失う)代わりに触手を移植されたり、自爆コード(368)を知ったり、レーザー砲搭載の戦闘バギーに襲われてバッドエンドの危機に見舞われたりする』

 

アスト「危険すぎないか、その戦闘艇はよ?」

 

NOVA『ああ。普通、あれこれ探索すると、当たりと外れがあるものだが、外れしかない。強いて言えば、自爆コード(368)の情報をくれる情報蓄積装置「イオン球」くらいだな。そして、機体内部を探索しようと、しまいと緊急警報が鳴り響く。敵の戦闘機が3機飛来して来たそうで、自動操縦装置が208、358、368の3つの指令コードを提案するんだ。どれかを選ばないといけない』

 

アスト「368を選ぶと?」

 

NOVA『もちろん、自爆してゲームオーバーだ』

 

アスト「テキトーに選ぶしかないよな。208だと?」

 

NOVA『機体を操作して戦うことになる。358だと、機体に搭載された特殊戦車BABIに乗って戦うことになる。BABIのデータはこうだ』

 

●特殊戦車BABI:操縦6か7、レーザー2、シールド10

●敵機:操縦4、レーザー4、シールド8

 

アスト「それは……勝てるのか?」

 

NOVA『こちらが先制だな。ええと、1ラウンドのダメージ期待値が3分の2で、8から割れば敵撃退まで12ラウンドかかる計算だ。一方、敵がこちらを撃退するのには10ラウンドでいいので、期待値どおりなら負ける計算になる。せめて、レーザーがもう1門多く搭載されていればなあ』

 

ダイアンナ「つまり、358の戦車戦は避けた方がいいってことだね」

 

NOVA『戦車戦で運良く勝ち残っても、試練はなおも続く。運だめしをなおも要求されて、失敗したら、もう一戦交えることになる』

 

●敵機:操縦4、レーザー3、シールド6

 

NOVA『今度の相手はまだ倒しやすい方だが、とにかく戦車から降りると、地下鉄駅に突入して、妨害する衛兵たちとのバトルを次々と切り抜けて行くと、やがて砂漠ルートと同じ323番に合流するわけだ』

 

アスト「戦車じゃない208番コードだと?」

 

NOVA『南へ向けてレーザーを発射すると(348)、敵のミサイル攻撃で自機が爆発してゲームオーバーだ。だから、西へ向けて焼夷弾を発射して(198)、体力2点を失ってから、沼の底に潜る選択をして(290)、敵の攻撃で上部ハッチが吹き飛んで体力2点をさらに失い、機体内に侵入して来たプリフェクタス3人とのバトルをさらに切り抜け、戦闘艇から脱出して北西に向かうことになる。その際、さらに体力点2点を失って、地下鉄駅に突入する流れだな。最低でも体力点6を消費することになるが、運点は失わないで済む』

 

アスト「結局、地上ルートの最適解はどうなるんだ?」

 

NOVA『総合的に砂漠ルートよりは、沼地ルートの方が危険度が大きいと考える。沼地ルートの戦車戦は勝てる確率が低いうえに、運点が1点削られるので、それを選ぶぐらいなら、砂漠の蜘蛛から脱出して、はしけをスルーして、ヒキガエルの家宝イベントをクリアする方が消耗は少なくて済むだろう。戦車戦ではなくて、戦闘艇に乗ったままのバトルだと、最低でも6点は傷つき、バトル回数も多くなると思われ。まあ、派手なドンパチが好みなら、そっちの方がエキサイティングな経験ができるのだろうが』

 

アスト「砂漠ルートは、荒地の旅を行なってコソコソと裏から侵入する形なので被害は少ない。沼地ルートは、正面から堂々と敵陣突破する形なので被害が大きくなり得る、と」

 

NOVA『回復が充実したゲームだと、派手に撃ち合うストーリーの方が好みなんだが、リソースの消耗が気になるゲーム性なので、攻略のためにはエキサイティングなノリがお勧めできないということだ。ともあれ、アーロックの地上編はこれで終了して、次はアーロックの地下都市に侵入して探索を続けることになる。パラグラフ323からだな』

(当記事 完)