バジリスクの闇を抜けた先
アスト「〈バジリスクの瞳〉探索のダンジョン攻略編の続きだ」
ダイアンナ「割とチート技で最適解ばかりを選んでるよね」
アスト「今作のダンジョンは、ほぼ1本道で正解と不正解が分かりやすい構造だからな。当たり外れがはっきりしてるゲームだと、初見殺しのイヤらしい罠があっても、次からはそれを避けるという選択を推奨すればいい。問題は、正解と不正解が分かりにくい場合だ」
リバT『例えば、非常に手強い敵を倒さないと、攻略必須アイテムが手に入らないイベントがあったら、ハイリスク・ハイリターンとなりますね。この場合は、イヤでも頑張って乗り越えないといけません』
アスト「だけど、盗賊の場合、ローリスク・ハイリターンを求めるわけだし、今作のダンジョンもそういう傾向があるわけだな。逆にハイリスクなのにローリターン、またはノーリターンなイベントは、スルーするのが正解となる。それがはっきりしているダンジョンは、最適解を意識して進まざるを得ない。それなりにリスクはあるけど、美味しいアイテム(攻略必須ではない)ってイベントの方が、プレイヤーのこだわりが反映されて、攻略記事的には面白いと思うんだがな」
ダイアンナ「つまり、当たり外れがはっきりし過ぎているダンジョンは、攻略が杓子定規になって、記事的に面白くない、と」
アスト「前回のポルターガイストのイベントも、もしも何かちょっとしたアイテムが入手できて、ちょっと危険だけどアイテムゲットのために通過しておきたいって誘惑があれば、記事書きも面白いんだけどな。リスクとかデメリットとか、非推奨でしかないイベントは飛ばしてもいいんじゃないかなあ、と思ったり」
リバT『ポルターガイストのイベントそのものが、物語として面白ければいいのですけどね』
アスト「ゲームブックで面白い物語の定義はいろいろだが、おおむねNPCとの絡みや、物語の伏線になっていたりとかで、話が有機的につながっていることだと思う。伏線が伏線として機能していれば、深い読みとりができるんだが、ポルターガイストはただの怪現象だからな。まあ、歴史的には82年から88年まで製作公開された映画『ポルターガイスト』シリーズとの関連づけができなくもないが」
ダイアンナ「ダンジョンが墳墓という設定だから、心霊現象が発生しても別におかしくはないと思う」
アスト「しかし、ポルターガイスト現象を利用して、偽の扉とか、鉄格子の罠を仕掛けたのは人間だろう? おそらくは盗賊ギルドが用意したのだろうが、トリッキーを通り越して悪趣味だなあ、と感じた」
リバT『主人公は霊能力者じゃないから、肉体を持たない心霊現象に対しては無力なのですね。結局、何の解決にもならず、逃げるしかない』
アスト「盗掘とオカルトホラー・イベントが雰囲気として、つながっていると思えば、分からなくもないが、物語的にいろいろ不可解なイベントに思える」
ダイアンナ「そこまで整合性にこだわらなくても、不気味な仕掛けの多いダンジョンだな、で話を終わらせて、次のイベントを楽しむといいんじゃないか」
アスト「まあ、そうだな。勇気を出して次の試練に臨もう」
ブラックサンドの盗賊ギルドの構成
リバT『では、数キロはあるかと思われる曲がりくねった通路を進みます。通路はやがて松明で灯された明るい洞窟区画に入ります』
ダイアンナ「松明が今だに灯っているってことは、ここを手入れ管理している人間がいるってことだよね」
アスト「一説によると、このダンジョンは郊外の〈バロウの丘〉からつながって、すでにブラックサンドの地下とも通じているという話だ」
リバT『ブラックサンドの地下には、古代都市カーセポリスの遺跡が埋まっているようですね』
アスト「オレは下水道しか探索したことがないけどな。都市の下に古代の地下遺跡があるって設定は、TRPG的にも非常に便利で、本作でも地下からグールが出現するように、ブラックサンドの地下に何がつながっていても不思議じゃない。〈バロウの丘〉のダンジョンはガイコツ王の埋葬室で終わって、そこから先は盗賊ギルドの遺跡探検班が継続調査しながら、試練にも使われていると仮説を立ててみる次第だ」
リバT『なるほど。だから、このダンジョンのゴールでは、盗賊ギルドの面々がおめでとうと言いに登場するわけですね。盗賊ギルドの地下とつながっているなら納得です』
アスト「昔から不思議だったんだよ。連中はどうやって、主人公に先回りして、ゴールの部屋の奥の隠し扉に待機できたんだろうって。〈バロウの丘〉のダンジョンが、延々と延びて盗賊ギルドの地下隠し施設につながっているなら納得だ。逆に言えば、地下隠し施設の存在はギルドの幹部しか知らなくて、そこまで到達できた者のみが幹部としての入団試験に合格を認められる。仮に、そこまで到達できなくとも、生き延びさえすれば、ギルドの下っ端団員として鉄砲玉扱いで在籍可能とか、そんな仕組みになっているんじゃないかって」
リバT『公式設定では、確かにこの入団試験はマスターシーフとして認められるためのものだと、「ブラックサンド」のワールドガイドに書かれていますね。ギルドの構成員の多くは、ただのスリの下っ端若者で、それで数年生き延びると、正式な徒弟として認められ、その後に試練を受けてマスターシーフとなる形です。ただ、公式ガイドの記述では、マスターシーフは5人しかいなくて、ラニックさんもそのマスターシーフの1人みたいですね』
アスト「本作では、ラニックさんが盗賊ギルドの長として扱われているけど、実はその上に3人のギルドマスターがいて、さらにその上に影のグランドマスターがいるらしいが、一般的な盗賊の中ではマスターシーフとしか面識がなくて、ギルドマスターの存在は知られていない、とか」
ダイアンナ「つまり、表の長がラニックさんで、彼と対等の立場の別派閥の者が4人いて、それらを統率する格上の裏の長や、最高指導者が秘密裏に仕切っている、と」
リバT『盗賊ギルドの真の首領は、3人のギルドマスターしか知らず、アズール卿でさえ知らないそうですね。ともあれ、ピートさんに見えている範囲だと、ギルドの長がラニックさんで、今回の試験に合格すると、マスターシーフの副官や腹心、直結の部下として認められるということで、本作が幹部採用試験という認識で間違いなさそうです』
アスト「納得だ。ギルド内のランク付けは、下から順に〈スリの若造〉→〈徒弟〉→〈マスターシーフの直属幹部〉→〈マスターシーフ〉(ラニックを含む5人)→〈裏のギルドマスター〉(3人)→〈真のグランドマスター〉となるわけだな」
ダイアンナ「リサの立ち位置はどうなるんだ?」
リバT『街にやって来た経験豊富な盗賊、もしくは冒険者として才能を示した者が、稀に勧誘されることもあるみたいですね。その勧誘に応じた者には試練を与えられ、徒弟もしくは幹部への道が開けます。もしも、街に定住しながらも、ギルドへの加入を拒んだ者は、しばしば暗殺者ギルドの標的になるとか』
アスト「リサの場合は、ピートが幹部としてスカウトしたことにしよう。とりあえず、徒弟としてな。順調に経験を積んで行けば、幹部まで昇進できたかもしれんが、その前にアズール卿に目を付けられてしまい、ギルドとしてもリサを庇護することはできなくなった、というところか」
ダイアンナ「つまり、ピート先輩はリサの盗賊としての師匠もしくは兄弟子みたいな立場ってこと?」
アスト「師匠ほどの年ではないから、師匠はラニックでいいんじゃないかな。ラニックがリサの可能性に目を付けて、新人幹部のピートに面倒を見るように押しつけたから妹弟子みたいな立ち位置で考えよう」
ダイアンナ「だったら、『恐怖の神殿』でブラックサンドに立ち寄った際に、ピート先輩を登場させるのもありだね」
アスト「まあ、それも無事にこの試練にピートが生き延びてからの話だがな。ともあれ、これで当ブログにおける『ブラックサンドの盗賊ギルドの解像度』がずいぶん上がったと思う」
リバT『なお、暗殺者ギルドと物乞いギルドは、盗賊ギルドと連携はしていますが、別組織となっていますね。ゲームブックの時点(87年)では、すべての物乞いは盗賊ギルドのメンバーであると書かれていましたが、その後、設定が変更されたようです。正確には「全ての物乞いは、盗賊ギルドの提携組織である物乞いギルドのメンバーだ」ということでしょう』
アスト「そして、物乞いの一部が盗賊ギルドのラニック派閥の幹部候補であるピートに協力することで、後々の連携を強化しようという思惑があった、と」
影との戦い
リバT『さて、盗賊ギルドの裏事情の話はさておいて、ダンジョン探索に戻りましょう。パラグラフ252番で、松明に照らされた洞窟というキーワードから、ここが「人の手入れが行き届いていることへの不審感」を覚えたなか、その疑念を形に変えたようなピート自身の影が、モンスターとなって出現しました。ここでの選択肢は、次の5つです』
- 自分自身の影と戦う
- 攻撃を受ける前に逃げ出す
- 松明の火を消す
- 影ができないようにする
- 影を追い払うことを考える
アスト「一番簡単そうなのは、3番だな。自分の持ってる松明を落とす」
リバT『それだけではダメで、壁に掛かっている松明も落とさなければいけません。それには、余った武器を投擲する必要があります』
アスト「ちょうど、短剣が1本余っているので、それを投げるとしよう」
リバT『技術判定を行ってください』
アスト「6ゾロ以外なら、何でもいい。(コロコロ)よし、4だ」
リバT『ピートさんの投げた短剣は壁の松明を弾き落として、地面に落下。松明の火が消えて、辺りが真っ暗になった中を、洞窟の出口目指して、めくら滅法に走ります。運だめしをしてください』
アスト「6で成功(残り運点9)」
リバT『ピートさんは、何かにつまづいて転びました。その瞬間、ヒュンッと音がして、数本の矢が頭上をかすめ飛びます。もしも転んでいなければ、自分の体に矢が突き刺さっていたことでしょう』
アスト「転んだことがラッキーだったわけか。まるで、ラッキーマンみたいなネタだな。ドジッたことが功を奏するとは」
リバT『おかげで、運点が1点回復します(残り運点10)』
アスト「安全圏に出たことを確認したら、もう一度、松明に火をつけて先に進むぞ」
リバT『はい、これで影との戦いイベントが終了です。パラグラフ191番へ進めますね』
ダイアンナ「選択肢の数の多さに比べて、意外と呆気なかったな。他の選択肢だと、どうなっていたんだ?」
リバT『1番の戦うが、おそらく最もキツいです。自分と同じ技術点、体力点の影と戦って、倒さないといけません』
アスト「単純に、勝率2分の1ってところだな。戦闘中の運だめしを上手く活用すれば、ギリギリ勝率を高められるが、消耗が激しすぎる」
ダイアンナ「2番は逃げるだな。逃げられるのか?」
リバT『3回の攻撃をかわせば逃げられますね。最大でも6点ダメージなので、戦うよりは無難でしょう。おまけに松明を消していないので、矢の罠も〈感知〉で気づいて、かわすことが可能です』
ダイアンナ「ああ、闇の中で走る場合は、〈感知〉が無効化されるから、運だめしが必要になるのか」
アスト「運だめしに成功したから、結果オーライってことだな」
リバT『4番は〈姿隠し〉を使ってみるわけですが、それでは身動きできないので、結局、3番か5番に頼ることになりますね。ここでの最適解は、実のところ3ではなくて5番です。自分の松明の光で、壁の松明の影を消すような動きをすれば、一番リスクなしにこのイベントをクリアすることができます』
アスト「それが最適解だってのは分かっていたが、今回は自分にとって一番自然な選択肢を選んでみた。判定もなしに、イベントを選択肢だけですり抜けると、何だかゲームを遊んでいる気になれないしな」
リバT『事故らなくて良かったですね。6ゾロが出たりすると、目も当てられませんから』
恐怖の人魂
リバT『洞窟を先に進むと、やがて天然の地肌から人工の石板造りに変わります。そして角を曲がったところで、1人の盗賊らしき男の死体が見つかりました。深手を追って、ここまで這って来たような痕跡ですね』
アスト「う〜む、過去の試練に失敗した者だろうか? 今夜の試験はピートだけのはずだが」
リバT『謎の盗賊の死体は、血文字で盗賊の符号を遺しています。〈目利き〉があれば読めますが?』
アスト「手がかりは何でも欲しい。何が書いてある?」
リバT『「幻」という言葉だけです』
ダイアンナ「つまり、あたしが専門家だね」
アスト「それはアニーがそうだというだけで、キャラは関係ないだろう。とにかく、幻に気をつけながら、先へ進むぞ」
リバT『何やら青い光が突如として飛んできます。技術判定をどうぞ』
アスト「4を出して回避。当たらなければ、どうってことはない」
リバT『そうですね。当たっていれば、体力2点、技術1点、運1点を失っていたところですから』
アスト「思いきり痛いじゃないか。上手く避けることができて良かったぜ」
リバT『避けられた人魂っぽい何かは、盗賊の死体にスーッと憑依して、死体が亡者となって立ち上がります。これがクトゥルフだったら、正気度判定を要求するところですが』
アスト「実体がある相手なら戦える。名もなき盗賊先輩には悪いが、切り刻んで人魂から解放してやるぜ」
技術点5、体力点6の動く死体はザコそのもので、あっさり撃退された。しかし……
リバT『死体は地面に崩れ落ちました。中から青い光を放つ生首のような姿が再び現れて、今度はピートさんの肉体を奪おうとします。魔法の武器を持っていなければ、ゲームオーバーです』
アスト「普通は持ってるだろう。ガイコツ王の魔剣をよ」
リバT『影との戦いに際して、壁の松明を落とすのに投げていれば別ですが』
アスト「こんな貴重な魔剣をあっさり投げるなんて、ゴブリンスレイヤーみたいな真似ができるか。とにかく人魂を斬る!」
リバT『モンスター名は〈寄生する悪霊〉です。英語名はPossessor Spiritですが、現行のモンスター事典の3冊にも載っていないレアな存在ですね。技10、体10の強敵で、ダメージを受けると運点も1点失ってしまいます。ここは略式でなく、本気で戦ってみましょう』
●1ラウンドめ
悪霊の攻撃ダイス8+10=18
ピートの攻撃ダイス9+11=20
運だめし4で成功(残り運点9)
悪霊に4点ダメージ(残り体力点6)
●2ラウンドめ
悪霊の攻撃ダイス6+10=16
ピートの攻撃ダイス8+11+ボーナス1=20
運だめし11で失敗(残り運点8)
悪霊に1点ダメージ(残り体力点5)
●3ラウンドめ
悪霊の攻撃ダイス10+10=20
ピートの攻撃ダイス7+11+1=19
ピートに2点ダメージ(残り体力点14)
運消耗1点(残り運点7)
●4ラウンドめ
悪霊の攻撃ダイス10+10=20
ピートの攻撃ダイス6+11=17
ピートに2点ダメージ(残り体力点12)
運消耗1点(残り運点6)
●5ラウンドめ
悪霊の攻撃ダイス5+10=15
ピートの攻撃ダイス5+11=16
悪霊に2点ダメージ(残り体力点3)
●6ラウンドめ
悪霊の攻撃ダイス5+10=15
ピートの攻撃ダイス8+11+ボーナス1=20
悪霊に2点ダメージ(残り体力点1)
●7ラウンドめ
悪霊の攻撃ダイス7+10=17
ピートの攻撃ダイス12+11+ボーナス1=24
悪霊に2点ダメージを与えて撃退!
アスト「ふう、何とか撃退したが、体力も運も回復が必要だ」
リバT『回復の前に戦利品です。さっき倒した盗賊の死体から、金貨5枚と、投げナイフ、鈎つめ付きワイヤー、薬瓶を入手しましたが、薬瓶は戦闘で割れてしまったので、今すぐ飲まないといけません。飲みますか?』
アスト「飲んでみる」
リバT『技術点が原点まで回復しました』
アスト「意味ねえよ。とりあえず、アイテムを整理しつつ、食料を食べて、運点もポーションを飲んで、原点+1に回復しておく」
★盗賊見習いピート
・技術点11
・体力点16/20(16→12→16)
・運点10→11(10→6→11)
・盗賊技能:〈すり〉〈感知〉〈目利き〉
・アイテムによる追加技能:ロープとかぎ爪による〈壁登り〉、合い鍵による〈錠破り〉、黒マントによる〈姿隠し〉
・食料10食→9食
・金貨38枚→43枚
・装備:ショートソード、短剣1本、革衣、明かりセット、ガイコツ王の魔剣(ダメージを与えた次の回の攻撃力+1)、兜(技術点+1)、石斧、投げナイフ1本
・背負い袋の中身(6つまで):食料、運の薬、ロープとかぎ爪、鉤づめ付きワイヤー(残り3つ)
(合い鍵、マント、武具類は個数制限に含まれない)
疑惑の盗賊
アスト「ふう、恐ろしいアンデッドと出会ってしまったぜ。まさか、盗賊ギルドがアンデッドと手を組んでいるとは思わないが、例の盗賊は一体どこから来たんだ?」
リバT『元々、傷ついた盗賊はピートさんが向かう先、前方からこちらに向かって来たことが、血痕から推測できます』
アスト「つまり、このダンジョンの侵入口は、ピートが入ってきた〈バロウの丘〉とは別にもあるって分かるわけだな。この先に、他の盗賊がいてもおかしくない、と」
リバT『そんなことを考えながら、通路を先に進みます。血の痕跡が真っ直ぐ進んでいるのも良い目印になっているように思えますね。やがて、通路の先の左手のドアから「誰か、助けてくれ」と叫び声が聞こえて来ます』
アスト「何だ? 敵と戦ってたりするのか?」
リバT『いいえ。1人のドワーフが檻に閉じ込められていますね。「あんた、ここに来ているってことは同業の盗賊だろう? 〈バジリスクの瞳〉を探しているんだったら、協力してやる。ここから先は、あんた一人じゃダメだ。仲間の協力を借りることが大切なんだぜ。だから、ここから出してくれ」と訴えて来ます』
アスト「あんたが本当に仲間の盗賊なら助かるんだが、ギルドの長のウェリック・ロングフィンガーの差し金かい? この試練は元々、オレ一人で果たさなければいけないと聞いているんだが、長の許しもなく勝手に他の盗賊の力を借りたら、ズルして不合格なんてことになりかねん」
リバT『「その点は心配いらない。ウェリックさんの命令だ。仲間を助けてやれって。報酬だってもらってる。だから、この俺に仕事をさせてくれ」と、訴えますよ』
アスト「だったら、残念だが、あんたはどっちにしてもオレの敵のようだ。オレの上司は、ウェリックのクソ野郎じゃなくて、輪なわ地区を取り仕切っているラニックさんだからな。ウェリックは最近マスターに昇格した暴力好きの人オークって聞いてるぜ。あいつの残忍さは、盗賊仲間の間でも悪名が高くてよ。そんな男が、オレみたいなのを手伝うために誰かを差し向けるなんて、常識的にあり得ないだろう。むしろ、オレの邪魔をしに来たと言う方が本当っぽいぐらいだ。こんなウソに騙されるってことは、あんたはブラックサンドの盗賊でもなさそうだな」
リバT『アストさん、ゲームブックにも載っていない話を勝手にでっち上げないでくださいよ』
アスト「いや、『ブラックサンド』の資料に載ってる、マスターシーフの設定を参考にさせてもらったわけだよ。1年前にマスターシーフになったばかりの野心家ウェリックが、悪の種族を配下にして、盗賊ギルドの権力争いを目論んでいるって設定はいいよなあ。一方、我らがラニックさんは格式と商業ギルドとのコネを重視する穏健派みたいだが、ギルド内の派閥争いは良い物語ネタになると思う」
リバT『とにかく、この檻の中のドワーフには、そういうギルド内部の抗争は知ったよしもありません。なぜなら、彼の正体は「運命の森」の表紙絵で有名な変身怪獣こと変化(シェイプチェンジャー)ですから』
アスト「変化も技10、体10の強敵だったよな。檻に閉じ込められているんだったら、逃げた方が良さそうだ」
リバT『アストさん、いや、ピートは相手を騙して怒らせましたからね。変化は激怒のあまり、檻を突き破って襲い掛かろうとしてますよ。逃げ出すなら、技術判定を成功させてください』
アスト「8で成功。スタコラサッサと逃げ出した」
忍べない盗賊の苦労話
リバT『では、次のイベントです。変化から逃れて、通路の先に進むと、道はまた狭い地肌の天然洞窟になっていますね。それもそのはず、この通路は岩ウジの棲息地で、物音を立てると主の岩ウジに襲われてしまうわけです。変化も、この辺りが危険地帯だと理解しているから、後を追って来ないってことで』
アスト「う〜ん、一難去ってまた一難か。物音を立ててはいけないってことだな」
リバT『岩ウジの気を引きつけないためには、〈忍び足〉が必要です』
アスト「なければ?」
リバT『サイコロ1個分のダメージで強引に突破できますよ』
アスト「1よ、出ろ。(コロコロ)6かよ、最悪だ」
リバT『運だめしに成功すれば、ダメージを半減できますよ』
アスト「そうする。(9で成功。残り体力13、残り運点10)」
リバT『岩ウジゾーンを何とか脱出したピートさんは、通路がまた石板造りになったので安心します。右手に扉がありますが、調べますか、それともスルーして先に進みますか?』
アスト「扉を開けてみる」
リバT『すると、扉が攻撃して来ました。2点ダメージです(残り体力11)』
ダイアンナ「さっきから、騙し討ちばかりじゃないか、このダンジョン?」
リバT『作者の意地悪さが連発していますね。敵は扉に擬態した木のゴーレム(技8、体6)です』
アスト「反撃だ」
リバT『反撃に使う武器を選んでください。魔剣か、松明か、それ以外の普通の武器か』
アスト「わざわざ、そんなことを聞くとは、ええと、松明を使うと、木の体を燃やせるということだな」
リバT『ええ、魔法の武器の効果が薄いという特殊能力を持っていまして。松明だったら、一発で撃退できます』
ダイアンナ「一つ一つの戦いが、何かとトリッキー過ぎる」
リバT『ゴーレムが擬態していた扉を焼き尽くすと、部屋の中には宝の山があります』
アスト「中に入る前に、体力点を回復しておくぞ(残り体力15、残り食糧8食)」
リバT『入るんですね』
アスト「入る」
リバT『だったら、宝は幻で、ピートさんは宝の幻を見せる黄金のヘビ、サジタリスの奇襲を受けました。2点ダメージです(残り体力13点)』
サジタリスの技術点は8、体力点は10。
奇襲で否応なく受けるダメージ2点を除けば、それ以上の被害なく、簡単に撃退できた。
そして入手したアイテムが、食料2食と、迷路の地図。
この迷路の地図こそが後に必要になるので、回収しておいた方がいいわけである。
今回の攻略はここまでにして、体力を回復しつつ、次回はパラグラフ374に続く。
↓
影との戦い&矢の罠
↓
盗賊の死体と寄生する悪霊
↓
ドワーフ盗賊に化けた変化
↓
岩ウジの巣穴→ーーーーー→374
↓ ↑
木のゴーレム ↑
↓ ↑
黄金蛇とお宝(迷路の地図)
★盗賊徒弟ピート(ラニック配下の幹部候補)
・技術点11
・体力点17/20
・運点10/11
・盗賊技能:〈すり〉〈感知〉〈目利き〉
・アイテムによる追加技能:ロープとかぎ爪による〈壁登り〉、合い鍵による〈錠破り〉、黒マントによる〈姿隠し〉
・食料9食→10食
・金貨43枚
・装備:ショートソード、革衣、明かりセット、ガイコツ王の魔剣(ダメージを与えた次の回の攻撃力+1)、兜(技術点+1)、石斧、投げナイフ1本
・背負い袋の中身(6つまで):食料、ロープとかぎ爪、鉤づめ付きワイヤー、迷路の地図(残り2つ)
(合い鍵、マント、武具類は個数制限に含まれない)
(当記事 完)