ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

「天空要塞アーロック」攻略その3(宇宙ステーションの追いかけっこ)

バッドエンドの嵐

 

NOVA『さて、プレイ前に思ってたよりも難解だと判明したアーロックなんだが、バッドエンドの数をざっと数えてみると、34回だった』

 

アスト「すると?」

 

NOVA『これまで、ここで攻略したFF作品のバッドエンドの最多記録は「危難の港」の30回だったんだが、それを超えたことになる。さすがはアーロック。旧世紀最後のFFと呼ばれただけのことはある。恐ろしいゲームだ。バッドエンド率8.5%とはな』

 

ダイアンナ「すると難易度もそろそろ出せるんじゃないか?」

 

NOVA『こんなところかな』

 

★天空要塞アーロック(難易度7)

・ラスボスが強い(X、ラスボスは拍子抜けするほど弱い)

・全体的に罠が多くて死にやすい(◎、理不尽な死が多く、回復できるパラグラフも一切なく、どんどん体力を削られる。シビア)

・パズル構造が複雑(◎、選択肢が錯綜していて、多彩なイベントがパラグラフ迷路とも言うべき構造になっていて、番号をフローチャートにしなければ突破は困難)

・ゲームシステムが難しい(◎、独特の宇宙船および乗り物戦闘。理解が困難なのではなく、勝率半分を切るほどのバランスの悪さで、突破にはダイス運が必要。いかに乗り物戦闘を避けるルートを選ぶかが攻略の鍵と言える)

・フラグ管理がややこしい(◯、アイテム総数は多いが、必須アイテムは少ない。ただ、宇宙ステーションなど、アイテム集めが必須のイベントがあって、無駄にアイテム管理をさせられたりもする。使うと不利になる罠アイテムもそこそこあって、アイテム集めの不毛感が萎えどころ)

 

NOVA『本作の場合、ラスボスそのものは非常に弱く、終盤の緊迫感が一気に削がれるのも達成感が欠如する原因と言える。本作に比べると、アイテム使って、あっさり倒せるザンバー・ボーンはまだ立派なラスボスをしていたと思うな』

 

アスト「ル・バスティンはそんなにダメなのか?」

 

NOVA『ル・バスティンはラスボスじゃなかったんだ。部下に裏切られたので、やむなく主人公と協力して事態の収拾を図ろうとするんだが、戦闘に巻き込まれて虚しい最期を遂げる。そして、真のラスボスとなった部下は、主人公の仕掛けにハマって、思いきり弱体化させられた状態であっさり倒される。

『では、本作最強の敵は何か? 個人的にはヴァリオーグの戦艦イベントそのものだと思うな。難易度の条件を「ラスボスが強い」ではなくて、もっと広く「出会う敵が強い」ということにすれば、本作は宇宙船戦闘の敵の強さで◎を獲得して、難易度9になる。まあ、ヴァリオーグ戦は避けられるイベントなので、そのルートを通らなければいいだけなんだがな』

 

アスト「普通は最初の敵が弱くて、話が進むにつれて強くなって行き、ラスボス辺りが最強というのがセオリーだと思うが、本作はそういうセオリーを外しているという感じだな」

 

NOVA『そうだな。いつ、どんな理由で殺されるか分からない、予定調和を外したサプライズも特徴だし、あと冒険を続けても楽しくない。その楽しくない理由は何だろうって考えたら、要するに選択肢にメリットがないんだな』

 

アーロックの問題点解析

 

ダイアンナ「選択肢にメリットがない? どういうことだ?」

 

NOVA『例えば、3つの選択肢があるとしよう。1つはアイテムや情報その他が手に入る当たりで、2つは可もなく不可もなく、3つめは罠なんかにハマって損をする。つまり、その場で損得がはっきりするんだな。まあ、たまにバトルがあって損をしたかな、と思いきや、報酬に貴重なアイテムが入手できてラッキーと思ったり。このラッキーって感じさせる瞬間の多さ、冒険中に高揚感が得られる機会が多いほど、良いゲームって感じるし、当たりくじがあるからこそ、外れくじを引いても次こそはって思えるものだ』

 

アスト「本作にはそれがないと?」

 

NOVA『プレイヤーを喜ばせるのが下手な文章だな。ジャクソンやリビングストンが上手いのは、たまに意地悪だなあと思う仕掛けがあっても、プレイヤーが成功したときには必ず報酬と祝福をくれるんだ。それで、ああ、正しい道を進んでいるんだな、と感じさせてもくれて、うまく誘導してもらえる。

『アーロックの3択は、外れ(細かいダメージ)と、大外れ(即死)と、可もなく不可もなく(メリットはストーリーが進むということのみ)であるパターンが多く、ピンチを切り抜けても何もくれないケースが多々ある。当たりのないクジを延々引いてる感覚が大きいな』

 

ダイアンナ「良い話と悪い話があります……ではなくて、悪い話ともっと悪い話がありますってことかい?」

 

アスト「だったら、どっちの話も聞きたくはないな」

 

NOVA『文章による心理的報酬という意味では、イベントを解決した際に、「君はうまくやった。恐るべき魔獣を倒し、村のピンチを救ったのだ」的な文だな。それから、次のパラグラフに進む。読み手は、よし、一つのトラブルを解決したぞって安堵感を覚えつつ、次はどんな事件が待っているかなあ、とワクワクする繰り返しだな。たまに安堵のタイミングがなく、次から次へと事件が襲いかかる切迫感に駆られるが、そういうのは物語の終盤の雰囲気を高める手法だ。こういう物語的な緩急、メリハリを演出するのが、アーロックは致命的に下手だ』

 

アスト「ええと、プレイヤーキャラにデータ的な報酬をあまり与えてくれないし、道中の事件を解決して称賛するような心理的な報酬も与えてくれない、と?」

 

NOVA『事件解決で喜ぶ間もなく、次の選択肢を押しつけてくるパラグラフの分け方だな。「恐るべき魔獣を倒して村のピンチを救った君は、村人たちの感謝の言葉を背に受けて旅を続ける。すると、前方で道が3本に分かれている。左右まん中どっちに進む?」的な1パラグラフに詰め込んだ密度の濃さ、絶えず選択を迫ってきて、余韻とか間とかがほとんどない。

『子どもがテストで100点をとったら、「よくやった。では、次のテストだ。休んでる間はないぞ」って言うような親だな。よほどストイックに勉強そのものを楽しめる子どもでなければ、モチベーションは下がる一方だ』

 

ダイアンナ「ダディーはどうしているんだ?」

 

NOVA『おお、100点をとったか。すごいやん。先生もむちゃくちゃ嬉しいわ。よく頑張ったな。次、行けるか? おう、やる気あるやん。だったら頑張りや……って感じか』

 

アスト「結果に寄り添う教師のコミュニケーションか」

 

NOVA『まあ、個別指導だから使える手だけどな。相手が複数いると、結果を出せた子と、出せなかった子で対応を変えないといけなくて、なかなかほめてばかりもいられないだろうが、テストが終わってお疲れさん、ぐらいの労いはかけてやらないとな。

『それはともかく、ゲームブックの文章での心理的報酬なんて、これまであまり考えたことがなかった。致命的にそういう要素が欠落したアーロックを解析することで、反面教師的にジャクソンやリビングストンのゲームの美点が再発見できた気がする。プレイヤーの達成感をいかに充実させるかの手法とかな』

 

 

アスト「しかし、ジャクソンやリビングストンみたいな創始者、御大と比べられては、マーティン・アレンも大変だろう? 彼には長所がないのか?」

 

NOVA『彼が目指したところは、ハリウッドのスターウォーズやインディー・ジョーンズみたいな「次々と事件が降りかかるジェットコースターと称される冒険活劇」なんだろうな。絶えず切迫感があって、退屈で単調ということは特にない。アイデアはいろいろと盛りだくさんで、物語の密度は結構濃いんだな。ゲームじゃなくて小説として読めば、風変わりで刺激的なのは間違いないが、ゲームとしての報酬感覚をあまりに軽視しすぎて、プレイヤー置いてきぼりの吟遊マスターと称される部類だ』

 

ダイアンナ「自分の物語に酔って、プレイヤーが主役という感覚を喪失したGMスタイルだっけ?」

 

NOVA『NPCが勝手に話を進めて、プレイヤーはそのお膳立てに乗せられるだけって感覚だな。まあ、ゲームブックは本を通じたコミュニケーションだから、GMが誘導する形なのは仕方ないんだが、プレイヤーキャラの行動を強要されて、しかもドジな失敗まで押し付けられて、一方的に嘲られるバッドエンドは酷いと思ったな。前に書いた38番をくり返すと、こうなってる』

 

「君は飾り板を調べようとしてそのうえにかがみこむが、つまずいて飾り板のうえに倒れてしまう。すると、君のからだは飾り板をつきぬけ、地の底へとまっさかさまに落ちていく。君の冒険は、ここで終わりとなる」

 

NOVA『このシーン。その前にあるのはパラグラフ57番で、宙に浮いたプリズムの一面に扉が付いていて、エレベーターみたいになっているんだな。プリズムの扉に入るか、それともプリズムの下の飾り板を調べるかの選択肢なんだが、普通は怪しげな扉に入る前に調べたいと思うだろう? 調べた結果がバッドエンドだ。

『考えなしのうかつな行動で、仕掛けられた罠にはまって死ぬのなら分かる。しかし、慎重に考えて調べたら、突然、意味もなくつまづいて強制的にドジな死を迎える歴戦の冒険者って何なんだ? いや、主人公がうかつな性格の素人って設定なら分かるが、歴戦のスーパーヒーロー、エンスリナでもっとも経験豊かなスパイとまで設定されているのに、別にトラップでも何でもないガラス板の上に勝手につまづいて転落事故死するなんて、サプライズにも程があるだろう?』

 

アスト「慎重に振る舞った結果がドジを踏んで、大胆に振る舞ってバカになる方がいいって作者の思想じゃないのか?」

 

NOVA『このセンスは、どちらかと言えばFFよりもT&Tのソロアドベンチャー的なんだろうな。結局のところ、思わぬ事故って不条理をブラックジョークと受け止めてワハハと笑い飛ばせるか、作者の頻繁な嫌がらせにイラッとさせられるかの違いで評価は変わるが、個人的には別に愚かでもない慎重な捜索活動が原因で、いきなり殺されてしまうようなゲームは、受け入れがたいよ』

 

ダイアンナ「ゲームとしてフェアじゃないってことか」

 

NOVA『まあ、俺がそういうシチュエーションでキャラを理不尽に殺されたら、今のはなし(ただの予知夢)と言い訳して、プレイをそのまま続行するだろう。そういうチートプレイもソロプレイのゲームブックに許されたことだし、理不尽に対して真面目に怒るような年齢でもないしな。ただ、この作者は理不尽の連発ゆえに、せっかくのアイデアマンぶりが評価されないのだとは思う。ゲームブックはただの出たとこ勝負なギャンブルじゃなくて、ストーリーを味わう知的遊戯という視点からは、評価できないだろうし』

 

アスト「ゲームブックが知的遊戯ってのは、安田社長の持論だったりもするな」

 

NOVA『そこは俺も同意するよ。理屈だけじゃなく、感情的にもな。同じくバッドエンド数の多い「危難の港」がそれほどストレスなくプレイできたのも、バッドエンドのパラグラフの理由が納得できる(事前に警告があったり、ハカサンを仲間にせずに無理に意地張って一人旅を敢行しようとした報いだったり、作者の明確な意図が伝わってくる)ので、この辺は安田社長が「死のワナの地下迷宮」論評で語っていた「的確な状況判断の助けとなるパラグラフ前の選択の手がかり」にも通じていて、プレイヤーが自分の選んだ行為の結果責任を受け止めやすいということだ』

 

ダイアンナ「アーロックにはそれがない?」

 

NOVA『考えてもムダな選択肢が多くて、行き当たりばったりの中で、試行錯誤を重ねながら最適解を探し出す……という形なので、実プレイで感情を振り回されるのは避けて、途中からパラグラフ解析に切り替えざるを得なかった。まともにプレイして楽しむことは俺には無理だけど、それでもストーリー展開を味わうことはできる。それでパラグラフ解析に費やしたノートのページ数は8ページ』

 

アスト「『サイボーグを倒せ』の9ページに次ぐ量じゃないか?」

 

NOVA『道中、細かいパラグラフ迷路の多い話なんだよ。大筋を述べると、アーロックに至る前の4つの大イベント。アーロックに着いてからは、2つにルート分岐して、野外の旅から中心の都市街を目指す。都市に入ると、地下ドームに侵入してのダンジョン探索だな。その末に……って波乱万丈な密度の濃い冒険探索行と言える。400パラグラフの分岐小説と考えて、ゲーム性に目を閉じれば、それなりに面白く読めた。ここまでは駄作としての毒を吐き出したので、ここから先は盛りだくさんのイベントについて、好意的な視点で解説していきたいと思う』

 

アーロック前の4つのイベント吟味

 

NOVA『前回、攻略した「不時着惑星からの脱出」、ええと惑星に名前が付いていないから、どう呼称すべきか。「クリル王のレジスタンス対デルフォンの妖精シェイネの、科学VS魔法の惑星争奪戦」って内容なんだが……』

 

アスト「今どきのラノベみたいに長いタイトルで、『魔法を使う妖精が戦艦に乗って侵略してきたので、科学の力で抵抗していたら、空から4本腕の勇者が降臨して来たので共に戦います』って感じでどうだ?」

 

NOVA『クリル王が主役かよ? とりあえずイベントの名前は「シェイネイベント」とまとめるか。他の3イベントは「宇宙ステーションイベント」「ヴァリオーグイベント」と、最後の一つが「宇宙海賊タングステン・クロウ退治のイベント」だ。これを全て順に攻略することも可能だが、体力や運などのリソース消耗が激しくて最後まで攻略できなくなる危険性が大きいのと、何よりも宇宙船戦闘を繰り返すリスクが甚大なので、最適解は「最初に光ワープ→宇宙ステーション→宇宙海賊→アーロック到着」だと考える』

 

ダイアンナ「シェイネルートは通る必要がなかった?」

 

NOVA『クリル王の科学技術で、《星霧号》のレーザーが1基追加されたり、2回攻撃可能になったり、レーザーの威力が向上してダメージが2から3になったり、シールドが4基ぐらい追加されるようなパワーアップが図られるなら、お勧めしたいがな。《星霧号》は最後まで強化されることなく、アーロック到着時にボロボロになって、お役御免となるわけだ』

 

アスト「《星霧号》の活躍が最も長いルートだと?」

 

NOVA『タイムワープ→シェイネ→宇宙ステーション→ヴァリオーグ→宇宙海賊→アーロック……となる。当ブログでも、その順番で解説して行こう。パラグラフやイベント内容を詳細に辿るのはうんざりするので、概要と最適解を語る程度にする』

 

宇宙ステーション

 

NOVA『ここに来るには、最初の選択で光ワープを選べばいい。または、シェイネ事件を解決してから、救助要請に応じる流れだな。俺は4度めの解き直しで光ワープを選んだ。最初の敵はパラグラフ15番、アストとやり合った際に使用した《赤首ファーバッド団のギャング》だな。操縦能力の同値はプレイヤー先攻ってルールだと普通に倒せる。さもなければ勝率半々の相手だが、まあ、倒したということでいいだろう』

 

アスト「負けても、すぐやり直せばいいだけだもんな」

 

NOVA『わずか2パラグラフでゲームオーバーという屈辱に耐えさえすればな。初っ端のチュートリアルバトルでいきなり殺されるのは、プレイ意欲が萎えるってもんだ。で、ギャングとのバトルを終えた次のパラグラフ41番で、これ以上の光ワープは危険と判断して、通常空間に戻り、今度はタイムワープに切り替えようとする。しかし、目の前に巨大な黒い物体(後で宇宙ステーションと判明)が横切るんだな。選択肢はタイムワープするか(シェイネルートへ行く)、黒い物体を調べるか(宇宙ステーションルートへ行く)の2択』

 

ダイアンナ「シェイネルートはもうクリアしたから、宇宙ステーションルートの1択だね」

 

NOVA『パラグラフ137番だな。シェイネルートからも同じ番号に合流する。そこで出現したのは、防衛用の戦闘ロボットだ。操縦6、レーザー4、シールド7という能力で、宇宙船戦闘を行う。これも勝率半々だな。シールドが7という中途半端なことをせずに6だったら、親切だと思うんだが』

 

アスト「ん? ちょっと待て。相手のレーザー数が4ということは、レーザー数5だったギャングよりも倒しやすいんじゃないか? もう一度、計算し直してみろよ」

 

NOVA『あ、ああ……(再計算して)こちらは理論上、7ラウンドで相手を倒せるが、相手は……確かに9ラウンドかかるか』

 

アスト「つまり、期待値計算では今度のロボットは倒しやすいってことだな。おまけに操縦能力が高いので、主人公の能力も上昇する。このバトルは良いことだと思うぞ」

 

NOVA『なるほど、シェイネルートを経過すると、こっちの操縦能力が6になるな。経過しなければ5だが』

 

アスト「最初は勝率半々でも、戦いを繰り返して操縦能力が上がって行ったら、確実に先手をとれて勝ちやすくなるかもしれないな。だったら、育成を楽しめるゲームと見なせるのでは?」

 

NOVA『そうなんだろうか? まあ、そういう観点で、宇宙船戦闘を分析するのもいいのかもしれんが、とりあえず護衛ロボを倒すと、宇宙ステーションに入ることができる。侵入方法は2つあって、1つは回転するエアロックが水平状態のとき(382)で、もう1つは垂直状態(209)だ』

 

ダイアンナ「どう違うんだい?」

 

NOVA『後者の方がより多くの部屋を探索できて、ステーション攻略のためのアイテムがたくさん入手できて、お勧めだ。先にネタバレすると、このステーションは現在、《ヴァルクレスの脅威》と呼ばれるオレンジ・スライムに侵蝕されている。こいつは多くの物体を溶かして貪り食い、そして有機体に擬態する能力さえ持っていて、言わば物体Xとパックマンを足して2で割ったような怪物だ』

アスト「何だよ、それは?」

 

NOVA『状況を把握すると、ステーションの乗員を救出することは不可能と判断し、命からがら脱出することになるんだが、怪物がしつこく後を追ってくるので容易ではない。なお、《星霧号》に帰って来ても、そこには巨大なパックマンもどきが待ち構えていて、何の対処手段もなければ、あえなく貪り食われてゲームオーバーだ』

 

ダイアンナ「どうしろって言うんだ?」

 

NOVA『幸い、奴は何かのアイテムを投げつけると、餌と見なして貪りつく生態を持っている。つまり、奴から逃げ回りながらステーションの多くの部屋を回って、アイテムをいろいろと拾い集めて、手当たり次第にぶつけてやればいい。各アイテムには怪物の興味を引くポイントが設定されていて、そのポイント合計が13以上なら脱出成功。12以下なら十分に引きつけることができなくて失敗、ゲームオーバーとなる。

『俺は、切り盛り用の大ナイフ、羊の脚肉、鉄アレイ、ダーツ、いちご、除草剤、毒薬、葉巻一箱を拾い集めていたんだが、12ポイントにしかならずに、5回めの死を迎えた。その瞬間、俺はブチ切れたね。こんなゲーム、やってられっかって』

 

アスト「あきらめたのか?」

 

NOVA『ゲームとして楽しみながら解くのはあきらめて、アプローチの方法を変えたんだ。各イベントごとのパラグラフを解析して、最適解を探り当ててから、悠々とプレイするってな。で、この宇宙ステーションにはアイテムを回収できる部屋が8個あって、1つの部屋には6種類のアイテムがあるんだが、そのうち2つしか持ち出せない。俺は4部屋回ったんだが、それだとギリギリ足りなかったんだな。

『宇宙ステーションで入手できるアイテム総数は全部で48種類。それぞれには1ポイントから3ポイントの点数が設定されていて、パラグラフ40番で一覧が用意されている。俺が集めたアイテムのポイントは以下のとおりだ』

 

・1ポイント:切り盛り用の大ナイフ、鉄アレイ、ダーツ、除草剤、

・2ポイント:羊の脚肉、いちご、毒薬、葉巻一箱

 

NOVA『これでナイフの代わりにシナモン棒を、もしくは鉄アレイやダーツの代わりに鉛入りボールを、あるいは除草剤の代わりにビニールホースのどれかを選んでいれば、もう1、2ポイント加算されて、イベントクリアできていたんだが、初見でそんなのは分からないからな。まあ、非常に惜しかったと言えよう。大まかな傾向として、金属製品よりも有機物の方が餌として効果的だと思える。

『パラグラフとしては、382番からは最大5部屋しか回れず、209番からは最大7部屋回ることができるので、アイテムを少しでもたくさん集めたければ、209番から回る方がいいだろう。以下に最適な攻略順を挙げてみる』

 

・209:ステーションの保守要員バーティ・バクスターが現れ、あいさつしてくる。握手を求めてくるが……。

・300:握手に応じると、擬態していた怪物に貪り食われてゲームオーバーになるので危険を察して、レーザー剣の柄で殴り倒す。なお、このステーションにはロケット燃料が漏れているようで、レーザー武器を使用すると誘爆の恐れがあって使えない。また、正体を表したオレンジ球体に出口を塞がれたので、来た道を引き返すことはできない。

・60:奥の通路に逃げ込むと研究室。技術点8の狂ったロボットに襲われるので撃退。

・28:研究室でアイテム回収。お勧めは3ポイントの脛骨と、2ポイントの麻酔注射。

・124:ロボットとの戦いで酸の入った瓶が壊れて、床にいくつかの穴が空く。2番めの穴を降りると、倉庫でアイテム回収。お勧めは2ポイントの酸素ボンベとラミネックス・シート。

・379:倉庫の端の丸い穴から出ると、ステーションの機関室でアイテム回収。お勧めは2ポイントの消火器とボール・ベアリング。

・332:オレンジ球体から逃れてエレベーターに乗ると、技術点5の狂った乗員に襲いかかられる。撃退してエレベーターから降りる。

・390:ドーム型の施設で、侵入者撃退用のサイボーグを誤って起動させてしまう。吹き出した蒸気で3点ダメージを受けながら、サイボーグから逃げるための選択肢2択。

・167:サイボーグに追いつかれて戦うことに。相手の技術点は8。

・173:行き止まり通路の先の小部屋で、三輪スクーターを発見。スクーターに乗って、追ってくるオレンジ球体から逃げる。

・219:球体はエンジン付きワゴンに乗って追いかけてくる。スクーターに乗ったままだと、追いつかれてゲームオーバーの危機になる可能性。

・126:スクーターから降りて、通路の壁のハッチに慌てて飛び込む。そこは大食堂でアイテム回収。お勧めは2ポイントの羊の脚肉と、3ポイントのシナモン棒。

・9:スポーツ・ジムで小休憩。おもむろにビリヤードに興味を惹かれる。

・77:ビリヤードボールに擬態したオレンジ球体に気付く。この宇宙のビリヤードでは、オレンジ色のボールは使わないらしい(現実のビリヤードでは普通に使うのだが)。慌てて逃げ出す主人公。走りながら器用にアイテム回収(苦笑)。お勧めは2ポイントの鉛入りのボール。あとは全て1ポイントなので何でもいい。

・266:三輪スクーターに乗って、オレンジ球体を踏みつぶし、ステーション内の果樹園へ。

・362:腹ごしらえにイチゴを貪り食って、お腹を壊す。3点のダメージ。せめて、こういう時に回復させてくれよ。性格悪い作者だなあ。代わりにアイテム回収。お勧めは2ポイントのイチゴとビニールホース。

・103:ステーション内を駆け回った末、ついに外に出る作業船を発見。作業船を上手く操縦して外から《星霧号》に接触しようとするも、船の操縦室に隠れ潜んでいた自暴自棄の乗組員ルド・クルドウィグ(技術点7、体力点4)に襲われる。ところで、主人公はどうして彼の名前を知っているのだろう? 別に本人が名乗っているわけじゃないのに。やはり、こういうところの描写が物語の書き手として雑に思えるんだなあ。

・85:ルド・クルドウィグの遺体からアイテム回収。お勧めは2ポイントの毒薬と葉巻一箱。

・40:回収したアイテムのポイント計算。

・232:ポイントが13点以上なら、《星霧号》の内部で待ち構えていたオレンジ球体を外に追い出して、無事に愛機を取り戻すことに成功。そして怪物に汚染されて生存者ゼロと判断した宇宙ステーションをレーザーで破壊すると(淡々と書いているけど、何気なく酷い^^;)、その後、アーロックへ向かうために、光ワープ(ヴァリオーグ)かタイムワープ(宇宙海賊)を選択。

 

NOVA『以上がまあ、できるだけ多くの部屋でアイテムを回収しつつ、なるべく安全にダメージをくらわないように選んだ攻略ルートだな。ただし、別ルートを選べば、もう一ヶ所、274番(球体に殺された人間の白骨死体)からアイテム回収できる。お勧めは2ポイントの圧搾空気ボンベとチューインガムだ』

 

アスト「いや、そんな可哀想なものをお勧めするなよ」

 

NOVA『まあ、何にせよ、ポイントの大きなアイテムを選んで行けば、最低4ヶ所の部屋で攻略条件を満たせるので、もう少しダメージパラグラフを避けて、攻略することも可能だな。390番のサイボーグと、362番のイチゴ果樹園を避けるコースを考えるなら、28→124→9→77→103→85で16ポイントの最短攻略が実現できる』

 

ダイアンナ「ここで入手したアイテムは、宇宙ステーションのイベントでしか使わないんだね」

 

NOVA『ああ。無駄にアイテム数だけは多いが、全部オレンジ球体の餌として使い捨てられるから、後に持ち越されることはない。アーロックに到着前のイベントは、後の探索にはほぼ全く影響しない。唯一、シェイネイベントで入手できた「酸に効く薬草」だけは後で使う機会があるものの、入手する際に2点のダメージを受けて、その効果は1Dのダメージを減らせる機会が一度あるだけという些細なもの。別に攻略必須というわけじゃないな』

 

アスト「では、次はヴァリオーグ戦の攻略に移るか?」

 

NOVA『ヴァリオーグと宇宙海賊タングステン・クロウは、どちらもヴァークス王から退治することを要請されるんだが、アーロックへの任務で忙しい宇宙貴族に、ついでのように厄介ごとを頼んで来るなよな。他に頼める相手はいなかったのかね?』

 

アスト「有能な成り上がり者は、上からは便利にこき使われるのが定めってことかもな」

 

NOVA『そんなわけで、次回は2つの宇宙船バトルイベントの最適攻略ルートを確認することにする』

(当記事 完)