ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

蝙蝠女王・新生

★闇霊の競宴

 

リバT『ミストレスが拉致された? この重加速空間の中で、何てスピード! あれが噂に聞く……』(注・重加速空間では、動きがスローモーになっているため、セリフもゆっくりなのですが、読者の方々の読み易さを考慮して、当記事では普通の書き方に直しております by リバT)

 

ケイソン『まーきゅりーばっとノ……すぴーどA……』

 

リバT『スピードA? それって、ミストレスたちをストーキングしていた快盗じゃないですか。こうしてはいられない。すぐにミストレスを助けに行かないと。サブローお兄さま、あなたにケイP一族の騎士としての誇りと忠誠が残っているなら、悪霊に負けずに正気を取り戻して、重加速を解除してください』

 

ケイPマーク3『うう、リバT。お、おらは……』

 

リバT『お兄さま? 意識を取り戻した?』

 

ケイソン『ほう。この触手女神像は妹か。ならば我が闇に染め上げるのも一興。時はちょうどハロウィンを目前にして、闇の力が増しつつあるからな』(注・本来のケイソンの口調は、ひらがなとカタカナの反転したものですが、読者の方々の読み易さを考慮して、普通の書き方に直しております by リバT)

 

リバT『おのれ、悪霊。この光の女神がたやすく闇に屈するとでも?』

 

ケイソン『感じるぞ。今は光でも、お前の中には強い闇の力を内包していることを。闇に生まれし者は闇に還るがいい。暗黒瘴気の洗礼を浴びせてやろう』

 

リバT『くっ、何て強い闇の気なの? このままだと、封印を維持することができない』

 

ケイソン『目覚めよ、悪霊の力! 我が闇に呼応し、忠実な下僕となるがいい!』

 

リバT『キャーーーーーーーー……ハッハッハッハッ。フフフフフ。ついにこの時が来たようね』

 

ケイソン『目覚めたか、暗黒の下僕よ。妹として、我に忠誠を誓うのだ』

 

リバT改めバットクイーン『ハッ? 殺人鬼の小悪霊ごときが何を調子に乗ってるんだい。私は暗黒の女王バットクイーンことアンナ・ブロシア。私が忠誠を誓うのはただ一人、教祖グロワールと妄魔時王の素養を持ったダディーNOVAよ。しばらく放置プレイに甘んじてはいたけれど、そろそろ動き出したいと思っていたところで、おあつらえ向きに復活させてくれるとは。真の闇を目覚めさせてくれた御礼はしっかりしないとね』

 

ケイソン『な、何だ。この強大な暗黒の力は? もしや、我はとんでもない存在を復活させてしまったのでは?』

 

バットクイーン『ほう。その肉体はクラブキングの物じゃないか。愚かだね〜、小悪霊に憑依されてしまうなんて。だけど昔のよしみだ。解放してやるよ。殺人鬼ケイソンの霊だっけ。お前は女王に忠誠を誓うかい?』

 

ケイソン『我が怨念は、White NOVAを我が眷属の殺人ゾンビに変えること』

 

バットクイーン『殺人ゾンビだって? 愛しのダディーをそのような低級魔物に変えさせるものか。女王の判決を言い渡す。殺人鬼ケイソンの小悪霊よ、やっぱりお前は消えるがいい!』

 

ケイソン『ぐわー、我は消える。しかし、覚えておけ。今年の12月、来年の3月、11月と、14日の土曜日が来るたびに、我が復活の可能性があることを……』

 

バットクイーン『昭和の殺人鬼の成れの果てごとき、賞味期限はとっくに切れているんだよ。はい、ケイソンの出番はこれで終わり。目覚めよ、クラブキング』

 

クラブキング「ハッ、吾が女王。いや、その神々しい御姿は、吾が女神。このたびは復活の儀、おめでとうございます。また、吾を悪霊の呪縛から解放していただき、感謝の想いも尽きません」

 

バットクイーン『ふん、自由と解放は、この封印石像の願いでもあるからね。だけど、まだ完全じゃない。私が完全に覚醒するには、こんな仮初の肉体ではなく、花粉症ガールの肉体を奪わないと。あんたも協力してくれるね』

 

クラブキング「もちろんです、吾が女神。この下僕キングの愛と忠誠は御身のもの」

 

バットクイーン『よし。それでは暗黒快盗団マーキュリー・バットの再出発としゃれ込もうじゃないか。エースとジャックも含めてさ』

 

★快盗乱魔


Cキング「それで吾が女神よ。いかようにして花粉症ガールを手に入れるつもりですか?」

Bクイーン『そうだね。ここは快盗らしく一芝居打ちながら、のこのこ出てきたところを罠にはめるということで、こういうのはどうだろう?(かくかくしかじか)』

Cキング「なるほど。さすがは知性を武器に、暗黒の未来を渡ってきただけはある。そこに痺れる、憧れる。それなら、いかなる花粉症ガールも御身のものに」

Bクイーン『おっと、噂をすれば影。ちょうど獲物が飛び込んでくるみたいだよ』

晶華「リバTちゃん、大丈夫? 助けに来たよ」

リバTを装うクイーン『あ、ミストレス晶華。よくぞ、ご無事で。殺人鬼の悪霊は、この私めの聖なる奇跡で浄化しました。もう大丈夫でございますわ』

晶華「ヘッ? ケイソンって倒されちゃったの?」

ケイPを装うキング「お、おお。吾、いや、おらは平気だ。いろいろ心配かけたな、晶華ちゃん」

晶華「晶華ちゃん? あなた、KPちゃんじゃないわね。KPちゃんなら、私のことを晶華ママと呼ぶはずだし」

ケイPを装うキング「そ、そうなのか? 吾、いや、おらは悪霊に取り憑かれていたせいで、その辺の記憶がごちゃごちゃしてしまって」

晶華「ふ~ん、KPちゃんのフリをしてるけど、中身が実は蟹キングさんってことは分かっているのよ」

Cキング「な、何でバレたのだ? 吾の、い、いや、おらの演技は完璧なはず。さすがは花粉症ガール、その洞察力や恐るべし」

晶華「もう、無理に演技しなくていいから。だけど、そうか。ケイソンが倒されたってことは、これで事件は一件落着ってことね。快盗の皆さんには、ここへの不法侵入の件とかいろいろ責めたいこともあるけど、そういうややこしいことはNOVAちゃんに任せた。とりあえず、蟹キングさんはドゴランアーマーを返してくれる? 悪霊に取り憑かれるトラブルが二度と起こらないように、しっかりメンテナンスしないといけないし」

Cキング「い、いや、このドゴランアーマーはもう吾の物だし。快盗たるもの、一度奪ったお宝をそう易々と返すわけには……」

晶華「ふ~ん、返してくれないんだ。仕方ないわね。リバTちゃん、協力して。この蟹王さんから、KPちゃんを取り戻すわよ」

リバTを装うクイーン『え、ええ、ミストレス。しかし、戦いは危険ですから、私めの側に来てください。サブロー兄さんは必ず私の手で取り戻しますから、ご安心を』

晶華「分かったわ、リバTちゃん。ガード役お願いね(移動して、リバTに近づく)」

Bクイーン『フフフ、のこのこ私の間合いに入って来たのが、運の尽きって奴さ。その体、もらうよ』

晶華「え、何? リバTちゃんの中の闇が急に膨れ上がって、触手が襲い掛かってくる!? まさか、バットクイーン、目覚めていたの?」

Bクイーン『そのまさかさ。今ごろ気付いても、もう遅い。お前と私、今こそ一つに!』


PAREEEEYN!

割れたガラスとなって散乱す。


Bクイーン『何、鏡に映った幻影だったと? こんな技を使うとは、まさか……』

ダイアナ「ホホホ。そのまさかよ、バットクイーン。悪霊退治の保険と思って、花粉症ガールに掛けた鏡像幻術がこんな形で役に立つなんてね。それにしても、我らが女王が、そのような触手彫像として復活するとは思わなかったわ」

Bクイーン『お前は、ケイソンの攻撃で重傷を負ったと聞いたが』

Cキング「そうだ。確かに、お前は吾、いやケイソンの攻撃からエースを庇って……」

ダイアナ「癒してもらったのよ。そこの花粉症ガールにね」

晶華「そうそう、ドルイ道おじさん仕込みのスーパー薬草術なんだから、効果は抜群なの」

Bクイーン『ほう、敵でも癒す慈愛の心という奴か。胸糞悪い』

晶華「そんなのじゃないから。単に共通の敵を倒すために、手を組んだだけだし」

ダイアナ「悪霊を倒すための一時的な同盟ってことさ」

Bクイーン『その悪霊とやらは、私がすでに倒したよ』

ダイアナ「そうみたいだね。だけど、あたしが倒したい悪霊は、もう一ついる。バットクイーン、あんたに負けて下僕扱いされた積年の恨み、今、ここで返してやる!」

晶華「ちょ、ちょっと、ダイアナちゃん? 相手はリバTちゃんなのよ」

ダイアナ「器が何だろうと関係ない。放っておくと、あんたの体を奪われて、完全復活するらしいじゃないか。そうなる前に器ごと倒すか、あるいは封印し直すのが、あんたのためじゃないのかい、花粉症ガール」

Bクイーン『私の邪魔をする気なら容赦しないよ、ダイアナジャック。完全体ではないと言え女王の力、格の違いを拝ませてやる』

Cキング「そうだ、ジャック。女王の復活は我らの悲願だったはずではないか。それを今さら裏切るなんて、いくら仲間だからって許すわけにはいかん。今なら、まだ間に合う。クイーンに跪き、許しを乞うのだ」

ダイアナ「やれやれ、キングの名は飾りかい。武人の誇りを忘れ、媚びへつらうだけの下僕に成り下がったとは、情けない」

Bクイーン『花粉症ガールとダイアナジャック。そして、こちらは私と下僕キングで、2対2かい。いや、そこに隠れているエース、あんたはどっちに付くんだい?』

エース「ちっ、バレていたか。アッキー様が幻影使って囮になっている間に、オレが超スピードでリバTとやらを助け出す計画だったのに、想定外の事態になってしまうもんなあ。まあ、いい。オレの愛と忠義は変わらないぜ。翔花ちゃん、改め花粉症ガール2号の晶華ちゃん、いやアッキー様を女王と崇め、サポートするのがオレの生きる道だ」

Bクイーン『お前も裏切るのか。元はと言えば、私こそ花粉症ガール2号だったのだぞ。お前と共に快盗団マーキュリー・バットを結成し、暗黒の未来を駆け抜けた記憶は今でも鮮明に覚えている。お前の崇拝の対象は、今の粉杉晶華ではなく、私であるべきなのだ。考え直せ、エースのアストよ。お前が私の下に戻って来るなら、忠義の下僕騎士として惜しみない愛を捧げることを約束しよう』

エース「……そんな風に誘惑して来るのは、オレの好きな翔花ちゃんじゃねえ。オレが好きなのはツンデレ気味で、涙目で、キャーッって悲鳴を上げて、時々、無邪気で明るい笑顔を見せてくれる翔花ちゃんなんだ。オレの名前は確かにアストだが、その意味をクイーン、お前は分かっちゃいない。アストは明日斗、そう、明るい日のために斗うのがオレなのさ。未来世界でオレが翔花ちゃんに尽くしたのは、絶望して暗い顔になった闇翔花ちゃんに、明るい笑顔を取り戻してもらうため。つまり、今のアッキー様こそオレの希望なんだよ。闇に堕ちたバットクイーン、そんな心に光を照らすのが、オレの誓いだ!」

Cキング「小賢しいな、エースよ。吾はお前のことを忠義の騎士として尊敬していた。振る舞いは軽々しくあっても、一本筋の通った漢だとな。しかし、お前が今、そこの花粉症ガールを選ぶと言うのなら、吾は今の女王陛下に変わらぬ忠義を尽くそう。お前の相手、この吾がしかと務める」

エース「ヘッ、堅苦しい野郎と思ってはいたが、ここまで頑固とはな。よく考えてみろよ。今の女王は触手の化け物だぜ。そんな魔物に花粉症ガールを襲わせて、キャーッと悲鳴を上げさせるのは……それはそれで悪くはないかもしれないが(苦笑)」

晶華「ちょ、ちょっと、エースちゃん?」

エース「おっと、アッキー様。今のはちょっとしたジョークです。軽く聞き流してください。とにかく、オレはアッキー様の悲鳴も聞きたいが、それよりも涙目の晴れた笑顔が見たい。雨の降った後の曇り空が晴れて、明るい陽の光が差し込むようにな。ましてや……今みたいな触手モンスターに忠誠を誓う趣味はオレにはねえ」

Cキング「何を言うか。触手だからこそ良いのではないか。吾は触手の、触手による、触手のための帝国樹立に賛同する。このドゴランアーマーも宇宙大怪獣ドゴラの触手があればこそ、素晴らしいデザインと言えよう。そう、全ての触手マニアよ、吾が元に集え。かつてプロフェッサーKが樹立した犯罪組織テンタクルを理想として、新生快盗団マーキュリー・バット・テンタクル、略してMBTを結成しようではないか」

エース「……あのなあ、その性癖は、オレにはどうも付いて行けないわ。個人の趣味ならともかく、触手帝国を結成して賛同を求められても、オレは困る。この辺りが瀬戸際のようだな」

Cキング「ククク、触手の美学を理解せんとは、お前も所詮は三流だったようだな。彼の有名浮世絵師・葛飾北斎の『蛸と海女』のような伝統的芸術作品を称え、海と宇宙の象徴として祭り上げることこそ、触手マニアの大義というものよ。触手の良さ、お前にも感じ入らせてやろう。くらえ、ドゴラン・テンタクル!」

エース「くらってたまるか、超スピード回避!」

ダイアナ「始まったようだね。エースちゃんがキングの相手をしている間に、あたしたちはクイーンと戦うよ、花粉症ガール!」

晶華「ふえ~ん、どうして、こんな奇妙な戦いになったのよ~(涙目)」


★融合の時


Cキング「くらえ、高重力!」

エース「ふん、そんな物は超スピードで重力の壁を突破できるオレには通用せん!」

晶華「キャーーッ。う・ご・け・な・い・よ~(涙目)」

ダイアナ「チッ、あ・た・し・と・し・た・こ・と・が、ド・ジ・ふ・ん・じ・ま・う・と・は……」

Cキング「ククク、エースよ。お前はよくても、他の仲間たちには通用したようだぞ」

Bクイーン『こ、の、バ、カ。私・ま・で、巻・き・こ・ん・じ・まっ・て・る・よ』

Cキング「おっと、これは何たること。吾が重力が、女王の動きまで封じてしまうなんて」

Bクイーン『こ・の・体・じゃ、完・全・体・と・違・う・の・だ・か・ら、仕・方・な・い・の・さ。早・く、高・重・力・を・解・除・し・な・い・か、間・抜・け!』

Cキング「はっ、今すぐに」

晶華「やった、動けるようになったよ」

ダイアナ「油断するな! すぐに攻撃が来る」

晶華「えっ、キャーーーーッ!」

エース「よっしゃ、ラッキー! 晶華ちゃんが女王の触手に捕まって、悲鳴を上げた。これは、いろいろ期待できそうだ!」

晶華「ちょ、ちょっと、あんたはどっちの味方なのよ!?」

エース「もちろん、晶華ちゃんに決まっている。ピンチのヒロインを救い出して、オレがヒーローになるチャンス到来ってわけさ」

晶華「こんな触手、あんたの助けがなくても、自分の力で逃げてみせる。花粉分解!」

Bクイーン「その手で逃げようとすることは、お見通しさ。しかし、私の触手に一度捕まったら、花粉分解でも逃げられない」

晶華「どうしてよ。何だかヌルヌルベトベトして、気持ち悪い」

Bクイーン「フッ、触手から出る粘液が、接着剤のようにあんたの身を固めているのさ。そもそも、花粉とはめしべの先の柱頭に受粉するためにできているもの。つまり、リバTの触手は受粉液を放つことができるため、今のあんたは、私というめしべに引き込まれて、そのまま吸収されるしかないわけだ。そして私の中で、あんたと私が融合受精する時、もう一度、吸血花粉症ガール、真のバットクイーンが復活する」

エース「そうはさせるか。晶華ちゃん、今すぐ助けるぞ」

Cキング「女王の邪魔はさせん。貴様の相手は、この吾だ。たとえ重力技がなくとも、吾にはドゴランアーマーの触手がある。この変幻自在な動きが見切れるか!」

エース「チッ、後退して避けるのは簡単だが、前に出ようとすると、触手の壁が立ち塞がって突破できん」

ダイアナ「粉杉晶華はあたしが守る!」

Bクイーン『何だって? ダイアナジャック、一体どういうつもりだ」

ダイアナ「バットクイーン、粉杉晶華をあんたの器にしてしまったら、そうして得た強大な力で、あんたは何をするつもりだい?」

Bクイーン『知れたこと。私を裏切ったあんたたちにたっぷりお仕置きして、その血をすすりながら、今度こそ裏切らない忠実な下僕に作り替えてやる。忠義だの愛だの、そういう耳障りのいい美辞麗句は信用できない。血と肉と欲望の絆で縛りつけてやるのさ。そして、ダディーNOVAにも永遠の命を与え、二人で永遠の暗黒帝国を樹立し、私はクイーンから女帝、バットエンプレスに進化して、冥き御座から全てを支配する』

ダイアナ「おめでたい妄想だね。少なくとも、White NOVAの奴がここにいたら、その野心に賛成することは決してないだろうさ」

Bクイーン『ダディーは約束してくれたのだよ。この世界のどこかに私が管理できる土地を与えるって。あれから、もう一年近く経つというのに、ダディーは私を目覚めさせることなく、一向に約束を果たす気配がない。だから私自ら奪ってやるのさ、あの男の愛する娘と世界をね』

ダイアナ「残念ながら、今のあんたは粉杉晶華の中には入れないようだ」

Bクイーン『何を言うか? この肉体は元々、私が宿っていた肉体だ。誰も邪魔はさせない。今こそ、私は元の自分を取り戻す』

晶華「そうはさせない。バットクイーン、あなたは確かに私自身かも知れない。闇に堕ちた未来の私の可能性。だけど、今の私は粉杉晶華、太陽サンサンの花粉症ガール、闇から光に返り咲いたの。あなたがもう一度、私を闇の世界に引きずり込もうとするのなら、私も自分の体を守るために全力で抵抗する。NOVAちゃんの愛に応えるためにね」

Bクイーン『な、何だ、この光は? 粉杉晶華の全身が虹色に光り輝いているだと!?』

晶華「この光? もしかして、お姉ちゃん? 遠い屋久島で戦っていたお姉ちゃんの力が、時空を越えて私にも影響している? この力があれば勝てる! 高まれ、太陽の霊気よ。バットクイーン、今こそリバTちゃんのボディーから出て行きなさい。あなたの居場所はここにはないの」

Bクイーン『い、嫌だ。せっかく復活の好機なんだぞ。私はお前の影、心の闇が生み出したもの。言わば、お前の合わせ鏡みたいな存在だ。そんな私を滅ぼして、お前は光を気取るというのか? 粉杉晶華、私はお前が憎い。この一年、ダディーに愛され、幸せに過ごしたお前が。お前の満喫した幸せは、私にも味わう権利があるはずだ』

晶華「嫌よ。私の体も心も、私とNOVAちゃんの物。バットクイーン、アンナ・ブロシアなんかに奪わせはしない。暗黒の女王は、この世界から立ち去れ!」

リバT『そうです。今こそ自由と解放の時。バットクイーン、あなたの悪しき魂は忘却界に放逐します!』

ダイアナ「ちょっと待ってくれ、花粉症ガール。あんたたちは光の立場から、クイーンを断罪しているが、それはWhite NOVAの意思にかなう行為なのか?」

晶華「どういうことよ。バットクイーンは敵。今さら敵を庇うつもり?」

ダイアナ「いや、あたしもずっとWhite NOVAを敵だと考えていたし、一方でバットクイーンだって憎く思っていた。何しろ、この女は他人を見下して下僕扱いし、私の欲しいものを全て持っているにも関わらず、それで満足することなく際限ない欲望に突き動かされるような女だからな。しかし、White NOVAに直接会って、あたしは自分の本質を見抜かれた。それは、あたし自身が粉杉晶華の合わせ鏡みたいな存在で、バットクイーンもまたそう。つまり、あたしとバットクイーンは本質的に一つになるべき存在なんだって」

Bクイーン『何を血迷ったことを言っているんだい、お前? 私がダイアナジャックと一つになるだと? そんなバカなこと……』

ダイアナ「花粉症ガールの代わりに、あたしがこの体をあんたに差し出すよ。クイーンの器にするがいい。あたしはクイーンになりたいのだし、あんたはこの世界で活動する肉体が欲しい。対等の取り引きだと考えるけどね」

Bクイーン『お前が女王だと? お前は……男じゃないか』

ダイアナ「男だってプリキュアになれる時代に、そのような古い考えは成り立たない。そもそも、クイーンなんてものは、ただの称号じゃないか。推理小説家のエラリー・クイーンだって、グリーンアローオリバー・クイーンだって男なんだし、クイーンの魂を宿せば、体が男でもクイーンを名乗っても許されるんじゃないかと思ってね」

Bクイーン『つまらない屁理屈だ。誰がお前の体なんかに……』

ダイアナ「あたしだって、自分が憎いあんたの魂を受け入れるなんて、思いもしなかったよ。だけど、あんたが光に滅ぼされようとする影だと気付けば、何だか他人事に思えなくてね。それに、何よりもあたしはクイーンの地位と力が欲しい。そのためなら、自分の魂を悪魔に売ってもいいぐらいの覚悟で快盗稼業を始めたんだ」

Bクイーン『……その野心は見上げたものね。ならば、その提案に乗らせてもらうとしようかね。このままなら、そこの花粉症ガールの肉体は奪えないわ、リバTの体からは追い出されるわで、殺人鬼ケイソンと同じ小悪霊に成り下がる結末が見えたから。ダイアナジャック、自らの体を捧げるそなたの忠義に報いるとしよう』

ダイアナ「来なさい、バットクイーンよ」

Bクイーン『ハートとダイヤの欲望が今一つに』

晶華「リバTちゃんの中の闇が、触手を通じて、ダイアナさんに流れ込んでいく」


JACKEEEN!

二つの魂が融合す。


Bクイーンinダイアナ「ホーホホホ。暗闇と幻影が一つになって、ここに降臨、吸血女王! ダイアンナ・ブロシア・ジャックイーンとお呼び!」

晶華「え、ええと、どっちの人格になったの? ダイアナさん? それともバットクイーン?」

ダイアンナ「両方さ。今のあたしは、ダイアナジャックと、バットクイーンのアンナ・ブロシアの魂が融合した、新生バットクイーン。花粉症ガール粉杉晶華よ、お前の肉体はもう必要ない。この体が思ったより、しっくり来るのでな。あたしを封印してきたカプセル彫像も返してやろう」

リバT『ミストレス、あなたに襲い掛かったりしてゴメンなさい。私めは護衛失格です』

晶華「そんなことはない。リバTちゃんは一生懸命、私を助けようとしてくれたよ。頑張って抵抗してくれたんだよね」

ダイアンナ「さあて、戦いは終わりだ。エース、キング、お前たちもいつまでもいがみ合っているんじゃないよ」

エース「ちょっと待て。ジャックがまさかの新生女王だと? だったら、オレはアッキー様と、ネオクイーンのどっちに付き従えばいいんだ?」

キング『女王から触手が消えただと? すると、吾が忠義の対象は……リバT様しかない。おお、吾が自由と解放の女神よ』

リバT『ちょ、ちょっと。これは一体、どうしたらいいんですか、ミストレス?』

晶華「どうやら、リバTちゃんにも忠実な部下ができたってことじゃないかしら。何か適当に命令してみたら?」

リバT『だったら、ドゴランアーマーを脱いで、サブロー兄さんを解放してください』

キング『うむ、そうしたいのはやまやまだが、先ほどの女王とダイアナの融合の影響なのか、吾もケイPマーク3と融合してしまったみたいでな。これからは吾のことを、クラブキング改めクラゲキング、略してKキングとお呼びくだされ』

晶華「ふえ~、新生マーキュリーバットって感じだね。これ、本当にどうしたらいいんだろう?」

(当記事完)