@今回はモンク編のつづき
アスト「今回はD&Dのモンク話の続きだ。具体的には、この話の続きだと考えてくれていい」
>モンクの話2
ダイアンナ「ネコの武闘家の話から戻って来た感じだな」
アスト「オレの新流派・ラブコ武流を考えるに当たって、D&Dモンクの門派についての研鑽は必要だからな。レベル3に上がったモンクは、『開手門』『暗影門』『四大門』の3つの門派から一つを選んで、自分の拳法や生き方を定めることになる。サプリメント(追加ルール)を使えば、さらに『長死門』『陽魂門』『剣聖門』『酔拳門』といったヴァリエーションも選択可能」
ダイアンナ「7つもヴァリエーションがあるのか。モンクの世界も奥が深いんだな」
アスト「あくまで、和訳されているだけで7つってことだな。いろいろ探せば、まだ見つかるかもしれんが、オレはD&Dのプロではないし、拳法も入門段階に過ぎん。流派・東方不敗の先達に少々、手ほどきを受けただけで、達人になったと慢心する気はない」
ダイアンナ「とりあえず、今回は基本の3門派を研鑽してみるってことだな。お手並みを拝見しよう」
アスト「お前も、悪魔研究の課題があるんだろう?」
ダイアンナ「AFF2の魔界サプリが研究材料としていいか、と思っていたんだが、発売が年末から2月にズレたからな。それより一つ疑問がある」
アスト「何だ?」
ダイアンナ「魔界の王子というサブタイトルで登場した全力全開時空のステイシーなんだが、どの辺が魔界で、どの辺が王子なのか、今だに理解できなくてな。もしかすると、魔界の王子はゲゲではないか、とか、ゲゲと融合した今こそ真ステイシーなのではないか、とか、いろいろ気になって研究が滞っている」
アスト「そんなことかよ」
ダイアンナ「そんなこととは何だ? 魔界研究において、ステイシーが魔王子なのかどうかは重要な疑問だぞ」
アスト「AFFの世界には、ステイシーがいないんだから、話を切り分けないと、多元宇宙の混迷は解きほぐせないだろう」
ダイアンナ「うむ。魔界研究において、ステイシーは研究対象にすべきかどうかは、保留すべきだな。改めて、魔王子の可能性としてゲゲを提唱してみるわけだ」
アスト「そっちも研究が進んだら、話を聞かせてくれ。だが、今回はオレが主役だ」
@開手門
アスト「さて、王道にして正統派モンクな開手門だが、以下の技を習得する」
・レベル3:開手の技
・レベル6:肉体の完成
・レベル11:明鏡止水
・レベル17:激震掌
ダイアンナ「明鏡止水とか前に話していなかったか?」
アスト「ネコの武闘家の話で少し触れてはいたな。ネコのワンダラーが使う明鏡止水は精神耐性を上げるのに対し、D&D5版モンクの明鏡止水は防護結界を張るものだって」
ダイアンナ「激震掌も、相手のHPを瞬時にゼロにするとか?」
アスト「気ポイント3点消費で放てる技だな。相手は耐久力セービング・スローで抵抗できて、失敗すればHP0になり、成功しても10D10ダメージ(期待値55点)を受けるという必殺技だ」
ダイアンナ「気ポイントはMPだな」
アスト「D&Dの魔法の基本は、MPではなく回数消費制になっているが、魔法以外の特殊技にMPのようなシステムを採用しているものもあるな。5版モンクはレベルと同じだけの気ポイントを使えるので(休憩によって回復)、激震掌を習得するレベル17時点では5回まで必殺拳を使えるんだ」
ダイアンナ「恐るべき殺人マシンと言えるな。5体まで即死させられる」
アスト「この技の恐ろしさは、単にその場で即死させるだけではない。効果の発動を最大でレベル日数だけ遅らせることができるんだ」
ダイアンナ「ということは?」
アスト「お前は17日後に死ぬ。技を解けるのはオレだけだ。死ぬのが嫌なら、オレの命令に逆らわないことだ……と脅しの暗示をかけるのにも使えるし、お前の命はあと3秒、とか、3日後に死ぬとか、いろいろな演出ができるのが激震掌の面白さだ。もちろん、ザコなら戦闘シーンでの即死技として使えばいいし、重要NPCの命を人質にとって、怯える相手を服従させるやり方もあり」
ダイアンナ「一度、激震掌を受けたら解除できないのか?」
アスト「即死させずに効果を遅延させた場合は、技をかけた者の意思でいつでも効果を発動できる。ただし、自動的に効果が発動するわけではないので、技をかけた者を殺せば解除できるし、効果時間を過ぎれば無害だ。実のところ、17日後に勝手に死ぬわけじゃないんだな。あくまで17日以内ならいつでも殺せるという内容なんだが、モンクの技に無知な相手なら騙して脅すぐらいは簡単にできるだろう」
ダイアンナ「そんな騙すやり方は悪党の所業だな」
アスト「正義のために使うなら、悪人を改心させるのに使えそうだ。お前の秘孔を突いた。お前が悪心を抱かなければ無害だが、改心しなければ即死する。命が惜しくば、悔い改めよ」
ダイアンナ「それは……何かのフラグだな。へへへ、そんな脅しに誰が乗るかよ。後ろを向いた今がチャンス。死ねぇぇっ……って、ぷぎゃああっ(全身が膨れ上がって破裂)という展開を思いつく」
アスト「だから言ったのだ、愚か者め……ってロールプレイも可能な技だな、激震掌は」
ダイアンナ「他に、開手の技とか、肉体の完成の内容はどうなってる?」
アスト「開手の技は、自分の連打攻撃に特殊効果を付与する技だな。具体的には相手を転倒させるか、15フィート(約5メートル)弾き飛ばすか、リアクション不可状態に追い込むかを選べる」
ダイアンナ「格闘ゲームなんかでもありそうだな。最後のは、ピヨらせてガード不可って感じか」
アスト「モンクが先に殴って、相手をピヨらせた後で、仲間がさらに攻撃を重ねるという戦術は効果的だな。逆に言えば、モンクの行動は早い方がパーティーの連携にとってもいい。先に殴って相手を転倒させるのも有効だし、いろいろな戦術を組み合わせる価値がある」
ダイアンナ「15フィート弾き飛ばすのは?」
アスト「モンクVS相手の1対1なら、15フィート先が崖とかトラップでもない限り、あまり有効に感じない戦術なんだがな。モンクは基本的に接近戦キャラだし、相手をわざわざ自分の射程距離の外に追い出すメリットはあまりない。ただ、戦術マップを駆使したチーム戦なら話は別だ」
ダイアンナ「あっ、分かった。ボスの前に立ちはだかるザコを押し退ければ、仲間がボスに接敵しやすくなるということか」
アスト「D&Dの基本戦術は、重装鎧の戦士が戦場の中心に立って相手の攻撃を受け止めるポジションに入ることから始まるが、敵の配置によっては戦士が適切なポジションに上手く入れないケースもある。その際に、モンクが先に露払い役として、戦士の入るべきポジションにいる邪魔なザコを上手く排除するという戦術も考えられるわけだ。ザコの排除は、HP0にして瞬殺が単純だが、攻撃力不足でそれができなくてもサイドからの奇襲でザコを横に押し出して、戦士の入れる場所を確保する手もある。戦術マップを使った戦闘なら、相手の位置を操作できるキャラというのは戦術の要となることもあるな」
ダイアンナ「仲間との連携というのは、単に一緒に殴るだけでなく、自分の役割は何で、仲間の能力を有効に活かすには自分がどう動けばいいかをイメージ構築できることも大事ということか」
アスト「自分のことしか見えていないと、スポーツでもチームプレイはできないからな。連携が取れているというのは、仲間や戦場が何を求めているかを上手く察知して、それに合わせた一手が打てることをもって戦術眼と言うわけだし、周りや場が求めていないことを勝手にやっても、それがよほどのファインプレイでもない限りは、単に状況を乱しているだけだ」
ダイアンナ「自分がやりたいことと、周りが求めていることが上手くハマれば役立つキャラだし、そうでないなら要らんことしい、と見なされるわけだな」
アスト「まあ、時流の先を読める人間なら、世の中のニーズを構築して自分が第一人者にのし上がることも可能だが、モンクは戦場構築において、そういう先駆者、切り込み役であることが求められている感じだな。そのために傷つきやすいこともあるが、『肉体の完成』という特殊技によってHP回復が自力でできる。レベル×3点の回復力だから、技の習得時点の6レベルで、18点のダメージなら1アクションで回復できるんだな。ただし、回復アクションは1日に1回だけなので、決してプリースト要らずにはならないんだが、それでもプリーストの回復呪文の届かない先に突撃し過ぎた場合でも、非常時に何とかなるというのは心強いわけで」
ダイアンナ「自分の面倒は自分で見られることによって、先駆者、切り込み役として前に出て活躍することもできる、と」
アスト「逆に、目立つように行動するというのは、必然的に傷つきやすくなるということだ。わざわざ傷つきやすくなる行動をして、それでも周りが助けてくれるというのは、どういう場合か考えると、それは周りのために行動しているのが明らかで、自己中な行動を助長するためではない。モンクの行動理念は、何よりも献身の哲学と、技や心の鍛錬があって、そういう精神性への信頼がある。率先して仲間のためや、周囲との調和のために動き、傷ついた自身も己で癒せる斬り込み隊長キャラ、それこそが開手門のモンク。オープンハンドであり、オープンマインドな道だと思うな」
@モンクの一般技
アスト「次に、他の2門についても見て行きたいが、その前に門派とは関係ないモンク共通の技も確認しよう。3レベルになったモンクは門派の選択以外に『矢止め』を習得する。飛び道具のダメージを減らし、場合によっては相手に投げ返すことすら可能にする技だ」
ダイアンナ「え? 飛び道具を無効化するのか? 接近戦特化キャラが飛び道具すら効かないって卑怯じゃない?」
アスト「まあ、魔法まで反射できるわけじゃないからな。矢の投げ返しについては気ポイントを消費するし。次にレベル4のモンクは『浮身』の技を習得して、落下ダメージを減らせる。減らせるダメージはレベル×5点だから最低でも20点分は減らせる。落下ダメージは10フィート(3メートル)ごとにD6ダメージだから、モンクは10メートル落下しても平気という計算になるな。もちろん、意識があって、しっかり受け身をとれることが前提だけど」
ダイアンナ「どんどん超人化が加速していくのがモンクということか」
アスト「5レベルで習得できる技は『朦朧撃』。気ポイント1点消費で、耐久力STに失敗した相手を朦朧させる。リアクションもアクションもできないので、より深刻なピヨり状態だ。さらに、このレベル5は素手攻撃のダメージがD4からD6に上がって、攻撃回数も1回増えるので、モンクの攻撃力が一気に高まる頃合いだな」
ダイアンナ「そこまで成長して、とりあえず1人前と言ったところか」
アスト「レベル6は門派の技(開手門なら『肉体の完成』)が増える他、素手打撃が魔力を帯びて、物理耐性を持った相手にもダメージを与えられるようになる。レベル7だと、盗賊同様の『身かわし』で攻撃呪文を回避可能になる上、『不動心』で魅了や恐怖の自力解除が可能になる」
ダイアンナ「『身かわし』は攻撃呪文が無効なのか?」
アスト「さすがに、それじゃ強すぎる。D&Dではドラゴンブレスやファイアーボールなどのダメージ効果を、敏捷力STに成功すれば半減させることができるんだが、盗賊やモンクのような敏捷特化の職業が育つと、敏捷力STに成功すればダメージを0にできるってことだ」
ダイアンナ「ああ、当たらなければノーダメージってことか。他の職業だと、完全に避けることはできなくて、避けたと思っても半分は喰らうのに対し、『身かわし』だと完全回避ができる、と」
アスト「だから、『身かわし』を覚えた盗賊やモンクは、対魔術師戦闘のプロと言えるんだ。戦士だったら接近する前に魔法で随分と傷つけられて耐えながら切り込むのに対し、盗賊やモンクは移動力も高く、魔法も避けてくる。魔法使いにとっての天敵と言えるだろうな」
ダイアンナ「あたしはアストが味方で良かったと思ってるよ」
アスト「もっとも、世の中には攻撃魔法一辺倒のバカな魔法使いばかりではないから、相手の使う呪文次第ではどうしようもないんだけどな。いきなり未来に飛ばされるような次元移動の魔術なんて発動されたら、抵抗しようがない。経験者として語るわけだが」
ダイアンナ「思い出した。あたしが粉杉翔花2号(今のアッキー様)から分裂する前も、日野木アリナの見境ない必殺拳で未来送りにされたんだ。確か……朱雀幻魔拳弍式・時空天翔だったか」
アスト「その技は、魔術だか武術だかよく分からないオリジナルな秘技だが、聖闘士の世界だと時空の彼方に相手を放逐する技も普通にあるみたいだな」
ダイアンナ「いや、普通じゃないだろう? その技は神に近いレベルの高位の黄金聖闘士じゃないと達し得ない領域で、次元間移動なんてのは、あたしたちもそういうメカを使って初めてできたわけだし」
アスト「今の技術じゃ、壊れたタイムマシンの修理が難しいもんな」
ダイアンナ「時空魔術と科学技術の組み合わせで、ドクター・ウルシェードが研究を重ねているらしいが、今の世の中の次元境界線がたいへん不安定だから、うかつな次元間移動が思いがけない騒動を巻き起こすこともしばしばだとか」
アスト「混乱の修復のために、記憶を消去するという悲劇は勘弁して欲しいぜ。スパイダーマン=ピーター・パーカーのような悲劇は、オレには重すぎる。愛する者が自分のことを忘れているなんて、そういう思いは二度としたくないぜ」
ダイアンナ「アスト……」
アスト「アニー……」
アスト&ダイアンナ『ふたりは……』
リバT『はいはい、また、そのパターンですか? マンネリが過ぎると、読者さんに飽きられますよ』
アスト「うおっ、リバT。今まで何をしていたんだ!?」
リバT『次元を越えて、お客さんが出現しましたので、出迎えに行っていたんですよ』
アスト「お客さん?」
赤い髪の男「よう、アスト、いや、アッシー。遊びに来たぞ」
アスト「ゲッ、こいつは……」
赤い髪の男「何だ、その態度は。こういう師弟再会の時は、涙を流してする儀式があるだろう」
アスト「え? もしかして、あれをするのですか?」
赤い髪の男「無論よ。答えろ、アッシー。流派・東方不敗は……」
アスト「王蛇の風よ! と言いたいですけど、今のオレはラブコ武流の研鑽中なので、遊んでいる場合じゃないんですけどね、紅蓮火兄貴」
紅蓮火「おお、オレサマの名前を忘れていなかったようだな」
ダイアンナ「忘れた読者さんは、こちらの記事をどうぞ、と言っておく」
アスト「と言うか、紅兄貴は登場した次の記事で、ジャンさんとケンカを始めて、そのまま行方不明になったきりだったんですが、どうして今ごろまたノコノコと?」
蓮火「話せば長くなるぞ」
アスト「だったらいいです。もう、この記事も終わりますから。いささか中途半端なところですが、兄貴の相手をしていたら、上手くまとめることはできそうにないですし」
蓮火「え? もう終わっちゃうわけ? オレサマ登場で、これから盛り上がるところじゃないの?」
アスト「いえ。武闘家にして、宇宙海賊にして、魔王にして、今年はジョジョのラスボス神父さんにも抜擢された声の人が突如サプライズで出現したら、次回につづく、続きが楽しみだなあって思うのが大多数の読者の心情というもの。ここで話を切るのが、王道作劇術と見ました」
……ということで、今回はこれにて完。
果たして、グレンファイヤーこと紅蓮火兄貴は、話をどう掻き回してくれるのか?
トリガー最終回を受けてのウルトラネタに乞うご期待。